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2007.01.17【CHAPTER-0021】

一番は二番より凄いので、超威張ってました。
三番とか四番とかは『俺らなんかじゃ話にもならんな、ハハッ…』と自嘲的に笑ってました。
一番と二番はいつも暴力的な言葉を投げつけ合ってました。
『死ね』とか『生きる価値ない』とか『殺すぞ』とか平気で言い合ってました。
見兼ねた五番が『一度勝負して決着をつけてみようよ』と提案しました。
一番も二番も『この際白黒はっきりつけよう』とやる気全開でした。

勝負の方法はかけっこにしました。
一番は自信満々なのか『俺が一番だぜ』と自己紹介しました。
二番も自信満々なのか『いいや、俺が一番だね』と言い返しました。
『位置について、よーいどん!』と七十三番が言いました。七十三番は暇だったので駆り出されたのです。
白熱したデッドヒートは50m走だったこともあって一瞬で終わりました。
ゴール写真判定の結果、ハナ差でニ番が勝ちました。
二番は『やったぜ、俺が一番だ!』と勝ち誇り、一番は悔しさの余り地面にうつ伏してしまいました。

『つーか…お前ら足遅くね?』
七十三番が突然呟きました。これには一番と二番も黙っていません。
『七十三番のくせに生意気だ、死ねクズが!』とお得意の汚い言葉で罵りました。
見兼ねた五番が『だったら皆で勝負して白黒はっきりつけようよ』と再度提案しました。
その日の内に連絡網が回り、勝負は1ヵ月後に決行されることになりました。

一番から百番がグラウンドに集合しました。
『位置について、よーいどん!』と七百七十七番が言いました。七百七十七番は多数決での推薦の結果駆り出されたのです。
怒涛のレースは100レーンもあるにせよ50m走だったこともあって矢張り一瞬で終わりました。
結果、一番と二番に喧嘩を売った七十三番がぶっちぎりで圧勝する結果と相成りました。
七十二番以下の面々は『俺が七十三番に負けるなんてあり得ない、どうしてそんなに足が速いんだ?』と詰め寄りました。
七十三番はフッと鼻で笑うとこう言いました。

『当たり前だろ、努力したんだから…。

七十三番は決戦日が決まったその日から、雨が降ろうと槍が降ろうと毎朝走る練習をしていたのです。
今まで自分の番号にあぐらをかいて生きていた皆は七十三番の生き様に感動し、おごり高ぶっていた己を戒めようと強く思いました。
すると一番が突然大声で言い出しました。

『でもやっぱり俺が一番だな。俺という存在がなかったら七十三番は一番になることができなかった!!

それは誰の耳にも届くことはありませんでした。

それからも一番は変わらず、威張り散らし他人を汚い言葉で貶す日々を送り、
一番は誰もが認める一番の嫌われ者になりました。

2007.01.17【CHAPTER-0022】

私に決まってるじゃないですか。今物凄く急いでるんです。
私は唄が下手な力士のことを考えていました。唄が下手でも相撲が上手なら何も問題ないないですよね。
でも私の頭の中のこの力士は髭がもじゃもじゃなことは愚か、相撲がびっくりするくらい下手っぴなんです。
土俵に上がった途端に転びます。決まって高確率でまわしも取れます。
しかも毎日きゅうりばっかり食べるので一向に太りません。
『やめちまえ!』と私は言ってやったんです。でも力士は首を横に振るのです。
『おいどんはどうしても相撲がしたいんでゴワス!』と、
いっちょまえにゴワスとか言う始末。そこまで言うのならちゃんこ鍋を食べなさいよ。
結局この力士は夢見る自分を守り通したいだけで、全く努力しない現代の口だけ若者と同じなのです。
私の頭の中で10年余りが過ぎ、その力士はハゲて大銀杏が結えなくなり相撲界を引退させられました。

で、私なんですけど凄く急いでいるんですよ。
今日中に仕上げないといけない何かがあるんです。その何かは本人である私にも謎なんです。
迷宮入りです。だからまずそれを発見しなければならないのです。
どうすればいいんだろう。泣き叫んで誰かに助けを乞いたい気持ちで一杯です。
でもそれだけは私のプライドが許せません。えーい、こんな時のティッシュだ。
私はティッシュを部屋中に散布しました。ふぅ、落ち着いた。
そっか、豚肉より牛肉の方がカロリーが低いんだっけ。今全然関係ないけど。
ごめんなさい。ごめんなさいパルプ。パルプごめんなさい。
あぁ、パルプ…パルプ…パピルス…えーい、取り敢えず部屋をお掃除しよう!

やがて日が暮れ私は急いでいたことなんて忘れ、今夜も力士の夢を見るのです。
私は力士が好きです。でも行司さんの方がもーっと好きです。

2007.01.18【CHAPTER-0023】

林檎をかじってる女の子を良く見たら、猫の耳がついていた。
魚を食べなさいと言ってやったら林檎の芯を投げつけられてしまった。
確かにファーストコンタクトでこれはお節介な発言だったと反省すべきだろう。
だが林檎の芯をぶつけられた事で私の心は多少煮え滾っていた。
頬をつねってやると女の子は死に場所を探しているのだと漏らした。
鰹節を探しなさいと言ってやったら鋭い爪で引っ掻かれてしまった。
失念したが技の名前も発していた。得意技なのだろうか。
猫に近い人間なのか、人間に近い猫なのか訊いた。
女の子は差別用語をふんだんに用い自分を紹介した。辛い境遇で生きているようだ。
試しに抱き寄せてみたらひどく心地が良かったのだ。
万障繰り合わせても該女の子の飼育がしたいと思った。無理矢理に手を引くが拒否しない。
どうしようかと思ったが、如何せん拒否をしないのだから後は欲望の赴くまま動いたのだ。
ペット可のマンションに住んでいて良かった。招き入れるとすぐにこたつで眠ってしまった。
指先で髪を弄ってやるとくすぐったそうに笑んだのだ。
女の子は突然目を見開くと何かを呟いた。聞き取れずにぽかんとしている私を見るともう一度呟いた。
『ここでいいや。ありがとう。』
そう言って死んだ。死亡した。息を引き取った。逝去した。消えた。無くなった。
困った。
悲しい。
苛立つ。
嫌だ。
何がいけなかったんだろうか?
私はきっと悪くない。女の子は確かに死に場所を探していると言った。
でもどうして私の家で死んだんだ。ここでいいやと言った。そうか、妥協したのか。
それともこのマンションのこの一室は死ぬに適した場所だったのか。泣きそうだ。
泣こう。泣いた。そしたら何か聞こえた。にべもない声が聞こえた。
『バーカ、変態。』
そりゃそうさ、あわよくばとか多少思ってたさ。でもいきなり死ぬことないだろう。

翌日スーパーで林檎を買った。そしてどうしようかなと思ったのだ。
死に場所を探そうと一瞬思ったけど、別にどこで死んでも同じではないかと気付いた。

2007.01.20【CHAPTER-0024】

売れない小説家(正確にはライノ作家)である俺はメッセージ性とかそんなのどうでもいいからとにかく売れたかった。
そしたらある日遂に思いついたのだ。絶対に売れる作品を。それは突然に。
これは過信などではない。勿論現段階ではアイディアだけなので最終的な作品の是非は己の表現力に左右されるだろう。
だがそんな事問題にならないくらいの優れたプロットだ。
自分は畢生凡才作家のまま一生を終えるのだと、半ば諦めての執筆活動を続けていたさなかの不意の出来事であった。
逸る気持ちを敢えて抑え、PCに向かわずに頭の中でキャラ設定や決めの台詞等を練り上げる。
すると驚くほどポンポンと情景が浮かび、次から次へと物語が進んでいくのである。
初めての経験だった。開花ってやつ?やべぇ、俺マジで売れるわコリャ。年甲斐もなく若者風に呟く。
だがブラウン管にふいに目を奪われた瞬間、事もあろうに頭の中が真っ白になってしまったのだ。
画面には人の心や前世を透視できる所謂イタコのような女性が、ゲストの芸能人の悩みを次々と解決していたのだ。
ヤラセかなぁ。でもこの芸人本気で泣いてるし結構マジっぽいなぁ。やっぱり不思議な力を持つ人って居るんだなぁ。

…………………………あれぇ?

いや、どうでもいいんだよヤラセとかマジとか不思議な力とか。それより…
さっきまで凄くウキウキしてた筈なんだけど果たして理由は何だっけ?
そうだよ、俺スゲー面白い話考えたんだった。妻夫木主演で映画化されちゃうような絶対売れる作品。
はぁ?ちょっと待て、落ち着こう。だって忘れるとか有り得ないから。第一忘れてしまう程度の作品だったというのか?
そんな筈は無い。先の展望まで見える程の、己の実力以上の秀作だった筈だ。落ち着こう。すぐに思い出せるさ。

だが思い出せなかったのだ。その片鱗すら覗けず、忽然と記憶から消え去ってしまったのだ。
この怒りはどこにぶつければいいんだ。イタコか?すぐにメモを取らなかった自分自身か?

むしゃくしゃして2ちゃんねるにスレを立てた。

『超面白い話を思いついたんだがイタコのせいで忘れた』

ネタに飢えていたのか、意外に食いつきのレスが多かったのでトリップをつけて状況をありのままに書き込んでみた。
やがて『>>1が忘れた話よりもっと売れそうな話を俺達で作ってやろうぜ』というレスと共に、
多様なアイディア、キャラ、セリフが投下されていった。
まとめサイトも誕生し、半日で文庫本一冊程度のボリュームの作品が出来上がってしまった。
スレを流し読みしている時に薄々感づいていたが、まとめを読んでその事実に愕然としたのだ。
2ちゃんねるの有志の手によって誕生したその作品は、それは紛れも無く、
先程自分が忘れてしまった『妻夫木主演で映画化されちゃうような絶対売れる作品』だったのだ。

だがそれを何と説明すればいいというのだ?
まずそんなこと有り得ない話であるし、ネタとしても笑えないのでスルーされる事は必至だ。
でも2ちゃんねらーのお陰で無くした記憶の一部を取り戻す事ができたのは事実なのだ。
考えあぐねた挙句、一言お礼を書き込むことにした。

 891 名前:売れない小説家男 ◆BB/M11p2JL 2011/01/20(土) 23:51:50.50 ID:LhHf8f4I0

 おめーらありがとうよ!!!!!!!!!!

 892 名前:名無しさん 2011/01/20(土) 23:52:08.12 ID:pFk68kEq0

 >>891
 使う気かよwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 893 名前:名無しさん 2011/01/20(土) 23:52:12.09 ID:1H26cn+EO

 >>891
 プロのプライド無いのか
 つーかガチでまとめ流用する気ならここで晒されて作家生命終わるぞお前
 まぁその方が面白いけど

 894 名前:名無しさん 2011/01/20(土) 23:52:31.52 ID:W5fvdb0W0

 >>1
 マジレスすると 村 上 龍 乙

だがこれ以上もう秀作が生み出せないというのであれば、それは自分が一発屋の小説家に留まるという事になる。
否、俺の脳はまだまだ妻夫木主演で映画化されちゃうような絶対売れる作品が思いつく筈だ。きっとそうだ。
PCの電源を落とすと座禅を組み黙想した。俺はやるぞと思った。村上龍先生ごめんなさいと思った。

2007.01.21【CHAPTER-0025】

違う。否定。嫌い。
それを示す理由。交通事故でお亡くなりになった私は可哀想。
風邪を引いた。くしゃみが止まらない。午後6時に家を出なければならない。
何もが微動だにしない。重すぎるんだよ、君の言葉は。
君の言葉を雪に喩えよう。やっぱり止めた。
犬が吠える。逃げ道を探して吠える。それが生み出すのは騒音のみ。
指数が上がる。良くない指数。示されたのは現実。
違う。
だが正解なのです。土木作業はやりたくない。甘いものが食べたい。
幸せが耳で聞き取れない。違う方法で取得するには…
犬が吠えている理由をまず考える。交通事故で死んだ私は世界一不幸だ。
不謹慎だ。三国一の不謹慎だ。
はにかみながら生まれ変わりたい。生まれ変わる方法を教えて欲しい。
生まれ変わる方法を教えて欲しいのです。生まれ変わる方法がどうしても知りたいのです。
もうすぐくしゃみが止まる。
大嫌い。
全員大嫌い。一人も嫌いじゃなくない。でも好きな人がどこかに居る。
旅に出ればいいじゃない。他人事だと思って…。
群集が怖い。怖い。怖いよ。恐ろしい。怖い。恐怖。殺傷能力。散文詩。看板。血。
否定しないでくださいね。お嬢様風の女がそう言った。
紅茶を飲み干したら美味しかった。だからもう一杯紅茶を飲もうと思ったのに、
私はもう予約をしてしまった。キャンセルは利かない。
いかがわしい小学生時代。女子が、女子が来る、上から来た。来たよ。居るよ。見られた。
私はトラックに突っ込まれた。何でやねん。
馬鹿みたい。飼い犬を殴ったのだ。
素早いし素晴らしい。美しい。さしずめイリーガルアートだ。
成長していく。自覚は錯覚。秘密は伝説。感動は自決。
眠い理由を示す。怖い。怖い理由は生きていたくない力のそれを上回る。
生首を焼いても、なまくびのままだきいろくてわたしはそうだんしたのだきっぷをてにいれた、
ので、私は、電車に、飛び乗って、行く当てもなく、
肥満児が許せないので、幸せが耳で聞き取れないので、どんどん上がっていく。
油が熱い。
涙をさじで掬って口に含むが、色の無い世界で私は絶望するばかりで、
甘いものがどうしても食べたかったので、土木作業をしたのだ。
でも誰も私のことそうだと思わないので私は一人で放っとかれて私は悲しかったんだけど私はずっと私は私は、
黄色くて短くて幻滅したのでどこでもいいので場所があるので旅をした人が帰ってきたので、
心臓がうるさい。
カラスの死体が生き返った。奇跡です。皆感動して泣いたり笑ったり良かったねって言ってる。
じゃあ何でカラスを殺したの?誰が殺したの?私が笑った。私が気持ち悪い。消えてなくなった涙は笑うあははははははは
浮かぶ。
浮かんで、
消える。
浮遊する魂のことをフロートソウルなんて誰も呼ばないので私だけがそう呼ぼうとそう思ったんだけど、
思想犯と間違えられて、いや間違えられたのではなく私はこの社会で危険思想の持ち主だと位置づけられるから死ねばいいのに
どうして生きているの?息がしたくてもしたくてもしたかったらしたいくらい眠いな眠いの助けてあははは
面白いのにね、私は悪くないもん私は何もしてないもん見てよ見てよほらもっとちゃんとちゃんと抱きしめて
ここにいるよどこだっけにほんだよ日本のどこか日本のののあれの日本にいるのごはんをね食べてちゃんと日本に
あるからそこに疑わないでよ疑ってもいないので泣かないで私ほら私私私私誕生日もうすぐ本当に
自転車に乗ってどっか行こうよ。血が。どんどん伸びて、上がってく。
どよめいた。どよめいた。
私はキツネなんだよ。紅茶を飲み干したら美味しかったんだけど、
思想犯と間違えられて、私は殺されそうになって夜な夜な枕を濡らしながら生きているのが辛いけど、
おめでとうって言ってくれてすごく嬉しかったんだ。だから好き。あなたは好き。
どこにいるの?見えないから聞きたいから怖い怖いほらうあーやだやだ、隠れないで出てきてよそれともダメなのかなあうあああ
油が熱いから私は交通事故で死んじゃって、一生お前を呪うと決めたんだ。
あの日お前が感じた恐怖は、他でもない私の怨みなんだよ。うふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふ、ふふふ、ふ、ふふ、む、ふdokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudokudoku
dokudokudokudokudokudokuはぁ生きていて殺したかったな。夜の団地には幽霊が出るよ。
私の前髪、随分短いのに。

2007.01.23【CHAPTER-0026】

色恋沙汰が生み出すのは殺意だ。
カップル達はこぞって時間を殺害する。
あ、私です。どっこい生きてます。

許せない。地球の自然を破壊する奴らが許せないのです。
愛知県民も許せません。尻の穴に味噌を塗ってやりたい気持ちでいっぱいです。
勿論全ての愛知県民が許せないわけではありません。
私が許せない愛知県民は、エビフライを正しい発音で言う輩です。
愛知県民のくせに流暢な発音でエビフライという5文字の単語を口述しやがって…!
5モーラ5シラブルの正確な発音しやがって!愛知県民なら4シラブルでしょ!
エビフリャーでしょ!エビワラーはかくとうタイプのポケモンでしょ!
れいとうパンチとほのおのパンチとかみなりパンチを覚えて結構凄いんだけど、
とくしゅが低いから全然使えないの!ちなみに元ネタはプロボクサーの海老原博幸なんだよ!

てことで結局私が言いたいのは、初代ポケモンは神ゲーですよということと、
愛知県民の元カレから突然メールが来てイライラしてるんだということなんです。

それにしても過去にあんなやつと一緒に時間を殺してたんだと思うとゾッとします。
今度私の前に姿を現したらあいつのアスタリスクに是が非でも味噌を塗りたぐってやる意気込みなのですよ。
可愛いなディグダ。あぁ可愛い大好き。好き好き。ディグダを抱きしめてちゅってしたい。

2007.01.23【CHAPTER-0027】

『唇が切れちゃったの。だからちゅってして欲しい。
『わかった、じゃあ目を閉じろ。

彼女は言われたとおりに目を瞑った。
その唇を前歯で挟んでやる。端的に言えば噛み付いたのだ。
途端に鮮血が唇の切れ目からほとばしる。

『くぁっ、痛っ、ひゃうっ…痛いよ…。
『お前はMで俺はSだから、お前に不審な念があるというのならばお前は性癖偽装をしたという事に…。

彼女は多分二つの意味で首を振った。一つは所謂いやいやの証。もう一つは非M疑惑に対する否定。

『えっと、すごく気持ちよかったよ!
『ホントかよ…。

ポケットからリップクリームを取り出すが、中身は体温ですっかり溶解してしまっていた。

あのね、君は非常に気持ち悪いんだよ。彼氏彼女以前の問題なんだ。存在するだけで人を不快にさせる。
だから毎晩君の手首に宛がわれるあのカミソリに是非もう少し力を加えるべきだと思う。
世界中の人間が君を疎んじているよ。醜いね。君は醜い。
君の言い分なんか誰も興味ないんだ。君に味方は一人として居ないんだよ。
どうしてだと思う?悔しい?死にたい?何とかしたい?
とてもじゃないけど助けてあげる気になれない。君に近寄りたくないからね。
でも俺はすごく優しいんだ。だから君に嘘をついてあげる。
俺は君のことが好きだよ。こっちにおいで。そして死ぬまで君の彼氏を演じ続けてあげよう。

『同情するなら金をくれって、ドラマのセリフであるよね…。

2年前の君の言葉だ。
君は一度も話したことのないクラスメイトに助けを乞う目をしてみせたのだ。
そう、だから言ってやったんだっけね。鉄の様に冷たい声色で。

『金をくれるなら同情してあげるよ。
『同情…。
『金をくれるならな。
『…同情だけ?
『ん?

差し出された札束の前の自分に、選択の余地なんて一切なかったんだ。
あの日教室で初めてのキスをした。
その時の君の唇もカサカサだった事をやけに鮮明に覚えてる。
でもそれ以上に自分の心も乾いていた気がしないでもない。

『私はね、Mなんだよ。

何を言ってるんだコイツは、気持ち悪い。けれども金銭での契約が成立した以上これは仕事なのだ。

『アハハハッ…そいつはいいや。俺はSだよ。

2007.01.31【CHAPTER-0028】

このくらい全然平気だね。満身創痍でゾンビ大佐が呟く。流石だ、と部下達が歓声を上げる。
けれども彼の側近は理解をしていた。深い理解をしていたのだ。
ゾンビ大佐は不死だという噂があるが、それは全く事実無根である。
確かに強靭な肉体を持つ彼ではあるが、噂が一人歩きしているというのが実際のところだ。
側近の一人が彼に言う。失礼ですが大佐は無理をしすぎだと思われます。
ゾンビ大佐は笑って言い放った。無理などしていない、私は有理をしている。
けれども満身創痍なので何を言ってるのか聞き取れないし作り笑顔に死相が見え隠れしていた。
ゾンビ大佐は懲りずに連日爆弾丸呑みショーを開催した。死ぬ気なのだろうか。
大佐の胃袋を使って防弾チョッキを作れば怖いものなしだという不謹慎な部下の発言が耳に入った。
顔をしかめたの側近だけ。ゾンビ大佐はおちゃらけてみせた。そいつは名案だ、私が死んだら試してみるがいい。
そう言って爆弾を丸呑みした。いつもの手榴弾かと思いきや、何と大佐が丸呑みしたのは大量破壊兵器だった。
つまり原子爆弾だ。これには部下もたじろぎ息を呑んだ。
俺たちまで巻き込まれて死ぬんじゃないだろうか…?部下達の表情に見るからに焦りが見え出した。
側近も予想外の出来事に目を丸くして唖然としている。大佐は何を考えているんだ。
大佐は何も考えていなかった。核兵器を丸呑みしたら自分はもっと評価されるだろう。その一心のみだった。
でもやっぱり本当に平気だった。大佐はあんま美味しくないなとおどけてみせた。
部下達のスタンディングオペレーションは幾久しく続き続いた。

ところで、ゾンビ大佐率いる軍を保有する某国は翌日滅びる結果となる。

爆音。その末に咲く一輪の花。
花の名前はわからない。名前も根拠も無い花。

そして矢張り生きていたゾンビ大佐。
地平線の彼方まで広がる、荒れ果ててしまった愛すべき守るべき国の成れの果てを見て思うのだ。

死にたい。

2007.02.01【CHAPTER-0029】

『オイ、のぼり棒!
『ん?

懐かしいあだ名で呼ばれ振り向くと、これまた懐かしい面影に出会った。
一見どこにでも居る有り触れた中年サラリーマンだが、こいつはまさしく…

『副大統領?
『そうだよ、20年ぶりか!何やってるんだ?
『離婚した。正確には23年ぶりかな。
『俺も俺も!
『何が?
『離婚、俺も!いや~それにしても最近の若者は礼儀がなってないよな。
『久々の再開でいきなりそんなオッサン談話したくねぇよ、もっと積もった話を崩していこうぜ。

目に付いたチェーンの居酒屋に入る。

『取り敢えず生2つ。

店員が去り副大統領を見ると、考え事でもしているかの表情だった。

『どうした?悩み事か?
『いやさ、虫メガネって何組だったっけ?
『誰それ?
『覚えてねーの?虫が好きだったメガネ君だよ。
『多分俺同じクラスになった事ない、そいつがどうしたんだ?
『今さ、教育番組に虫博士ってのが出てるんだけどなーんかアイツっぽいんだよなぁ。
『フーン。…テレビといえば、殴られたモナリザがテレビ出てたな。
『殴られたモナリザって…いつもゲロ風船とか三塁手とかと一緒に居たブス?
『そうそう。深夜やってる素人のおばさん集めたトーク番組に出てた。
『殴られたモナリザ未だにブスだった?
『そりゃそうさ、何たって殴られたモナリザ。
『名は体を表すってやつか。それより窒息がメトロノームと結婚したらしいよ。
『マジで?確か窒息って塩まみれの事が好きだったよな。
『違うよ、塩まみれの事が好きだったのは素朴な疑問だろ。
『いや、素朴な疑問は何かの罰ゲームで塩まみれに告白しただけで本当は骨ガールが好きだったはず。
『嘘だね、骨ガールは確かに可愛かったけど…ホラ、美形豚と五時出勤が素朴な疑問と結構仲良かっただろ?
『ん?美形豚?美形牛じゃなかったか?
『その呼び方はお前のグループだけじゃないか?野球部の間では美形豚だったはず…。
『美形牛は卓球部だろ?お前美形牛とそうめん食べすぎサイエンス間違えてるんじゃねーか?
『いや美形豚は卓球部でいいんだよ、俺が言いたいのは野球部の間では美形豚って呼ばれてたってことで…。
『まぁどうでもいいか、美形牛だし。
『そうだな、美形豚だし。
『あれ?確か美形饅頭って呼んでるやつもいたよな?
『それこそそうめん食べすぎサイエンスだよ。あいつと工事終了だけ美形豚のこと美形饅頭って呼んでた。
『工事終了といえばアイツよく廊下でチンコ出してたな。
『出してたよな。何でだろうな?
『永遠の謎だよな。あ、謎といえばそういえば謎じいさんに会ったぞこの前。
『謎じいさんとはまた懐かしい名前だ。相変わらずだった?
『相変わらずっていうか…正直謎じいさんってどんなヤツだったか覚えてないんだよね。
『俺もあんまり喋ったことないからわからん。
『謎だよな。
『名は体を表してるよな。

店員が不慣れな手つきでカウンターにジョッキを置く。
ふと見上げた先の婦人の顔にどこか懐かしさのある面影を覚えた。

『なぁ…あの店員もしかして…。
『俺も思った。やっぱそうかな?
『あぁ、あいつは間違いなく予選落ちスチュワーデスだ。
『相変わらずほくろが多いな。
『ほくろといえばほくろマンって呼ばれてるやつ居なかったっけ?
『あれだろ、数学の先生。名前忘れたけどほくろだらけでいつも静かなくせに怒るときだけ声でかくなるやつ。
『あー思い出した。そういえばほくろマンが花瓶で窒息殴った事件あったよな?
『あったあった!今だったら警察沙汰は余儀ないな。

突然副大統領が声のトーンを落としゴニョゴニョと語り始める。
店内の喧騒からその言葉を拾うべく集中し耳を澄ます。

『…警察沙汰といえばさ…殺戮マシーンって覚えてるか…?
『さつり…あぁハイハイ、不良の殺戮マシーンね。アイツがどうしたんだ?
『殺人事件を起こしたらしい…。
『…うわ。
『いや本当に。ニュースでもやってたぞ。
『そうなんだ…。
『名は体を表すか…。
『私のせいね。

甲高い女の声に振り返るとそこにはほくろまみれの女…予選落ちスチュワーデスが居た。

『のぼり棒と副大統領だよね?
『お、おう…久々だな予選落ち。
『私のせいって…まさかお前、殺戮マシーンの事件に関与してるのか?

首を横にふる予選落ちスチュワーデス。

『…あ、あのさ…ところで、二人とも私の前のアダ名は覚えてるかな?
『予選落ちの前のアダ名?そんなのあったっけ?
『あっ、俺少し覚えてる…確か…クソとかうんことかそういう系の単語が入ってた気がする。
『下痢オムツよ。
『…。
『体育の授業で下痢を洩らした私のブルマの膨らみを揶揄した悪辣なアダ名…。
『そうだ、確かそれが問題になってお前の親父さんが学校に殴りこみに来たっけ…。
『日が暮れるまで続いた地獄のホームルームの結果、新しいアダ名を本人が決めるという何とも首肯しがたい結論に辿り着いたんだったな。
『そう、そして私は当時の夢だったスチュワーデスを希望した。
『だがあくる日お前はアイドルのオーディション番組に応募し、見事に予選落ちになり再度クラス中の笑いの的に。
『そして最終的に予選落ちスチュワーデスと呼ばれることになった…。
『正にその通り。
『…で、殺戮マシーンについては一体…?
『フフフ…ねぇのぼり棒、あなたは何でのぼり棒と呼ばれてたか覚えてるかしら?

それは確か…俺は何故かのぼり棒を登るのが妙に速く、
全クラスを上げて行われたのぼり棒大会でぶっちぎりのタイムを残したからだ。

『殺戮マシーンは何で殺戮マシーンって呼ばれてたのかしら?
『それは…なんか不良でおっかなかったからじゃないか?イメージ的に殺戮みたいな…。
『私を下痢オムツと呼びからかっていた男子は主に殺戮マシーン。私の親は私が彼に新たなあだ名をつけることで彼の親と和解したの。
『そうか、お前が殺戮マシーンに殺戮マシーンってアダ名をつけたわけか。
『でも、だからといってお前のせいってことはないと思うぞ。飽くまでガキのつけた単なるアダ名だ。
『そんなことないのよ。名前には強い力があるの…。

予選落ちスチュワーデスは悲しそうな瞳でこちらを一瞥すると厨房の奥へと消えていく。
俺は殺戮マシーンの前のアダ名を思い出していた。そうだ、マヨネーズだ。

酔いは冷め体は重い何とも中途半端な意識で店を出る。副大統領とは電車が逆方向のようだ。
少し迷ったが気になったので思い切って聞いてみた。

『お前さ、俺の本名覚えてる?
『…じゃあお前は俺の本名言えんのか?

雑踏で賑わう駅前の一角で二人のオッサンが人目もはばからず大笑い。
顔を真っ赤にした副大統領が言う。

『でもな、お前今日無意識の内に俺の本名を口にしてたぜ。何回も。
『え?どういう意味?
『ヒントヒント。まーいいじゃねぇか、俺は副大統領でお前はのぼり棒なんだよ。

最後にもう一つ、と付け加え副大統領が捨て台詞をよこした。

『前妻には婿入りしてたわけなんだけどよ、なんとまぁ姓が福田と来たもんでさ。

良くわからなかったので聞き流した。

『そんじゃあお疲れさん、副大統領。
『おう、またなのぼり棒!

帰り際、公園にのぼり棒を発見し思い切って登ってみたらホームレスに拍手されてしまった。
それにしてもどうして俺はこんなにものぼり棒を登るのが早いんだろう。
あと今更思い出したけど、俺そういえば予選落ちスチュワーデスのこと当時好きだったな。

2007.04.04【CHAPTER-0030】

昔々ある所におじいさんとおばあさんが500億人居ました。
しかし老衰で499億9999万9998人が一瞬でお亡くなりになりました。
残されたふたりは互いを助け合い愛し合い末永く幸せに暮らしました。

ところで私と私は私同士だから意思の疎通が容易いです。
でも私と私は同じ私なので意思の疎通は不要です。
苦しいよ、助けて。

誰かが私のことをじっと見つめていました。

私はそうだ、そうだった、私は違うんだった。

………

オバタリアンの接吻で目が覚めた。世界は平和だった。

『おいクソババア、テメェ何しやがるんだ!
『あたしだって別に好きであんたに口付けしたわけじゃないんだからね!
『訳ありってことか…?

オバタリアンの背中には背な毛がビッシリ生えていた。

『な、何だよその服は!!
『あたしだって別に好きで着てるわけじゃないんだからね!
『訳ありってことか…?

オバタリアンは白目を向くとエクソシスト的動作で迫ってきた。

『怖すぎるよ!!
『あたしだって別に好きで関節外してるわけじゃないんだからね!
『訳ありってことか…?

オバタリアンに焼きスルメを投げつけられた。

『訳を話してくれないか…?
『………。

オバタリアンは少し躊躇いを見せた後、覚悟を決めたような表情で俺に語り始めた。

あんたも知っての通りこの世界は今何もかもがうまくいってるわ。
でも実際は見せかけだけのハリボテにすぎないの…。

………

オバタリアンもこの男も私もどうかしてるよ。
世界って?何を言ってるの?どこの世界に世界なんて概念があるというの?
残されたふたりのおじいさんは互いを助け合い愛し合い末永く幸せに暮らしたそうだけど、
日々低下する私の右目の視力を救えるのはもうブルーベリーだけなの。

私は私にそう言ったら私は頷いた。
苦しいよ。助けて、私を見つめている人。

現場付近に犯人が使用したと思われる、血まみれのシカトが残されていました。

2007.07.26【CHAPTER-0031】

やっかいな生徒に好かれてしまった…。
教師としてこの感情は如何なものかと思われるだろうが、やっかいとしか言いようがない。
時刻は午後7時。今日も今日とてその生徒が私のアパートにやって来る頃合である。

『先生、ただいま~!
『ここは君の家じゃない。おじゃましますだろう。

続いてもう一声。

『おじゃまいたします…先生…。
『あ、あぁ…。

そもそも私はどうして教師になったのだろうか。
元々学校は好きなほうではなかった。同い年の人間を一箇所に集める学校というシステムに嫌悪さえ抱いていた。
成績も優秀なほうではなかったし、不登校とまではいかないにせよ義務教育時代は結構休みがちであった。

やっかいな二人の生徒は仲良く一緒にシャワーを浴びている。
ふと床に放置された二つの赤いランドセルに目をやる。
片方は男子が使っているのではないかというほどボロボロで、もう片方は新品なのではないかというほどピカピカだった。
双子でこうも性格が違うものなのか…。
身近に双子の知り合いが居ないので何とも言えないが、もしかするとこういうものなのかもしれない。

やがてバスタオルを身に纏った二人のやっかいな生徒が脱衣所から出てきた。

『先生、今日はどっちが先?

クスクスと鼻で笑うやっかいな生徒。ケーキが先かイチゴが先か…。

『イチゴかな。
『あら、じゃあ私ですね。
『何言ってんのよ、私がイチゴに決まってるじゃない!

口ゲンカをし始めるやっかいな双子の生徒。気付くと一糸纏わぬ姿での取っ組み合いに発展していた。

『やめなさい、下の人から苦情が来る。
『先生はコイツなんかより私の方が好きでしょ!?ねぇ、そうでしょ!?
『違います、先生は私の方を好いてくれているのよ。
『私がイチゴ!あんたがケーキ!
『ケーキはあなた。イチゴは私ですよ。
『どうやら二人とも勘違いしているようだな。

キョトンとするやっかいな双子の生徒。

『先生はイチゴが嫌いなんだ。だからとっとと先に食べて後でケーキを楽しむ戦法なのさ。
『…じゃ、じゃあ私がケーキだよね!?そうだよね!?
『しつこいですね。私がケーキです…。
『はいはい、二人ともケーキだからこっちおいで。

それにしてもやっかいな生徒に好かれてしまった。
非常に言い辛いが私はロリコンなのである。小学4年生なんて私にとってはもうババアだ。

2008.09.04【CHAPTER-0032】

自分で言うのも何だけど私は温和だ。否、充分自分で言ってもいい程度温和であろう。

記憶している限りでは生を享けてから此の方迄苛立ちを覚えたことが一度たりともないのだ。
例えば突然見知らぬ人に理不尽且つ謂れも無い非難を浴びせ続けられることがあったとしても恐らく平静を保てる。
冷静に解決法を導き、必要であればそれが冤罪であろうと謝罪と賠償の要求に心から応じるだろう。
自信がある。私は人間です…というような当然の事のような確信があるのだ。
そしてそんな自分が異常であるという自覚もあり、他者にそれを認識させるような振る舞いをしないよう努め今日に至る。
前述した私の特徴は長所であり短所である。ステイタスに成り得ないのであれば主張する由は無い。

襖の向こうでは食器が小気味良くリズムを奏でる。
重ねて母の声も聞こえるが私の耳は完全に音楽に奪われており、私の脳はそれを雑音と判断し排除していた。

視覚の遮断。

はてさてこの昂ぶり続ける心の高揚の正体は何であろう。
喜怒哀楽の一つを失った私が持てる全ての感情をフルパワーで発揮している。
どうにかなってしまいそうだ。既にどうにかなってしまったのだ。
目の前のテーブルに拳を叩き降ろしたら真っ二つにかち割る事さえ出来てしまいそうな気さえする。
同時に今まで全く知らなかった音楽の持つ強大な力に恐怖を覚えた。
カルト宗教の恐ろしさも頷ける。人は誰でも洗脳される。知識も身分も人種も関係ない。誰にでもその可能性があるのだ。
私はオニオンハンバーグ用のタレ宜しくバラバラになるも束の間、眼前の母のスッピン顔に我を取り戻す。
では今も中断することなく演奏を続けている楽団の正体は…そうか、先週から我が家に導入された自動食器洗い機だったのだ。
機械に心を揺さぶられるとは私も落ちたものである。それと同時に母の拳骨が私の頭に落ちた。

『聞いてるの?早くしないと幼稚園バス行っちゃうわよ!

癪だわ。鞄に隠した先日付与分の肝油を口に含ませ椅子から飛び降りた。

2010.03.16【CHAPTER-0033】

3年前に更新が途絶えた連続小説のサイトを見つけた。プロフィールが真実ならば執筆者は現在24歳だろう。
それらは気味の悪い文章だった。手書きでもない活字の群集から確かな怨念を感じた。
彼は作中でしきりに「鉄棒」という単語を乱用していた。鉄棒といえば私は逆上がりが出来ない子供だった。
主人公は事或る毎に鉄棒に頭をぶつけ、ヒロインは何かと鉄棒に着衣を干し、父親は鉄棒そのものだった。
そして執筆者のハンドルネームである「つちべい」は一文字ずらすと「てつぼう」になるという事実も無視できない。
何故そこまで鉄棒にこだわるのだろうか。鉄火丼ならまだしも。
私は最寄の公園に赴き鉄棒を前に考えを纏める事にした。取り留めない推論を両手で弄び粘土遊びのように捏ね繰り回す。
すると完成したのは不恰好な土偶人形だ。人気キャラのローグゲームでは最大HPを下げてくるやっかいな魔物だ。
しかし私の大冒険はまだまだこれからだ。日記に記す価値もない日常がどんどん過ぎてゆく。
流れるしか能がない時間に哀れみすら覚えてしまう。
これが鉄棒という感情なのではないか。それは優れた回答だと思った。だが決して的を射てはおらずパジェロなど夢の又夢だろう。
そうこうしている内に私はエアロスミスに達していた。オルガンを弾きながら。
鉄棒に着衣をかける。見知らぬ男性がマタドールよろしく突進してくる。父親に謝ろう。
絶望した時のお湯の温さは鉄棒した時の胸の弾みで絶対零度まで下がったのだ。
3年前に凍結した連続小説のサイトを見つけた。プロフィールが真実ならば執筆者は現在24歳だろう。
それらは気味の悪い文章だった。手書きでもない活字の群集から確かな怨念を感じた。
彼は作中でしきりに「絶望」という単語を乱用していた。絶望といえば私は逆子だったそうだ。母親に謝ろう。

I wish you sweet dreams.