はる☆すた
憂鬱だった中学も卒業し、新たな生活、北高での生活が始まった。するべきことは大体わかっている。心のどこかで否定する一方、信じたいとも思う。この世の不思議を――――――――。
ありふれた入学式、ありふれたHRを茫と過ごす。退屈の極み。自己紹介?・・・試しに言ってみようか。望むものがホイホイあちらから来ることなど無い。仕掛けるのはこちらからだ・・・。「ただの人間には興味ありません―――――――」こんなところか。・・・どいつもこいつも、当たり障りの無い自己紹介だった。そんな中、自分だけイレギュラーな自己紹介だったのだ。これは自分としてもよかった。凡骨になど興味が無いのは事実だったから。・・・あるいはその凡骨に秘匿されているだけで、求めているものはあるのかも知れないが。この時点で知る由も無い。なればこその積極的行動だった。「なあ、自己紹介のアレ、どこまで本気だったんだ?」なんか間抜け面したやつが話しかけてきた。とりあえず適当にあしらった。「涼宮さん?あれってどこまで本気なのかナ?」もう一人、なんだかちっさい女子が話しかけてきた。髪がやたらと長い。人のことは言えないが、「なによあんたら、そんなにあの自己紹介が珍しい訳?」冷たく伝わるように、目線ごと言葉を送る。「あ・・・いや」間抜け面はそういって前に向き直った。「そうだヨ~~、あんな自己紹介は今まで生きてきて始めてだネ~」まだろくろく人生も歩んでいないというのに、その女子は語った。名を泉こなたと言うらしい。・・・どうやら一般的にいうオタクであるらしい。とりあえず、掴み所が無かったので言葉も無く、放置しておいた。
しばらくして、前の席の奴が話しかけてきた。さあ、どうやって黙らせようか。「髪型を曜日によって変えるのは宇宙人対策か?」内心驚いた。が、ただの偶然だろう。どうやらその間抜け面はキョンと呼ばれているらしかった。旧クラスメイトである谷口やらとなにやら話している。谷口は普通でもないがただのバカだった。
放課後、さっさと帰ろうとしたのだが、泉こなたが私を呼んだ。「ゲマズよってくけど一緒に行かない?」まわりには彼女の友人も見受けられる。丁重に断ることにした。
不思議というキーワードを探し、あらゆる部活に入った。高校レベルの部活ではどこも似たようなものか。些か諦めかけていた。完全に諦めるつもりは無かったが。
「全部の部活に入ったんだって?・・・それで面白い部活はあったのか?」キョンはどこか探るように聞いて来る。ない、と答えた。この先のことを少しばかり不安になりつつも授業を消化していった。既存の部活にはない・・・。ならば、新しく場を作ればいいんじゃないか―――――――――――――
そんな簡単なことに気がつかなかったとは。少し、この高校という枠に縛られていたのかもしれない。
もう少しで、自分の求めていたものが、望みが叶うとなると、居ても立ってもいられなくなった。とりあえず前の席で船を漕いでいるバカに伝えようと思った。襟首を掴んで思いっきり引っ張る。机の角に後頭部を思いっきり叩き付けられ、そいつは怨嗟を吐く。「なにしやがる!」そんなのかまいもせず、伝える。「なければ作ればいいのよ!」授業中だとそいつに窘められ、とりあえずは黙っていることにした。放課後、やるべき事は沢山ある。こいつにも協力してもらおう。
授業が終わってすぐ、キョンに話をすべく、キョンのネクタイを引っ張って教室を出ようとした。しかし、泉こなたに止められてしまった。この小さい体のどこにこんな力があるのか。・・・それもある意味、不思議なのかもしれない。心の中で苦笑した。「なーにーよ、放しなさいよ!これから緊急会議なんだから!」何の会議だ、と苦しそうな顔でキョンが呻く。やれやれ。「ねーねー、それ私も混ぜてヨ」真逆、向こうから言ってくるとは思わなかった。まあ、人が多いに越したことは無いのかもしれない。一瞬、新規部活創部の際、一般的な高校のそういったルールが頭を過ぎる。「いいわよ、ついてらっしゃい!!えーと、泉さん!」「こなたでいい」
「あんたたち、協力しなさい」「何に、だ」「あんた話し聞いてなかったの!?部活を作るのよ!」「さんせ~」「ああ、わかったからこの手を離してくれ」
・・・どうやら幸先はよさそうだ。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。