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激突! 竜の騎士!!◆Mc3Jr5CTis



轟!!

夜の森に、硬質な激突音が響く。
この世界へと導かれた、出会うはずのない二人の出会いから始まったその戦いは、およそ人と人とが、剣と剣とが
ぶつかり合う、剣士同士の戦いとは思えないものへと発展していた。

夜の帳に覆われた闇の中で、撃ち合う剣戟の火花が散る。
激突ごとに土塊が撒き上がり、森の地形が大きく変わる。
一合毎に迸る強烈なエネルギーは、まるで大砲の弾を撃ち出しているかのよう。

月の光も届かぬ、鬱蒼と茂る森の中。
彼らの周り一帯だけが、ぽっかりと穴が開いたように何もなかった。
障害物など、とうの昔に消滅している。
彼らの放つ闘気/魔力(オーラ)がその場に渦巻き、何者の干渉をも許さぬ一種の闘技場を形成していた。
この光景を見たのなら、今戦っているのはヒトの姿を真似ただけの、それ以上の存在であると諸人が信じるであろう。

だとするなら、彼らの正体はなんであろう。
神々というには、あまりにも猛々しすぎた。
悪魔と呼ぶには、あまりにも荘厳であった。
彼らを形容するに相応しい言葉があるとすれば、それは竜。
猛々しくも美しい、幻想上の最強の生物の名こそが相応しいように思える。

そう、今まさにヒトの姿を模した二頭の竜が、森の中で激突していたのだ。

「オォォッ!」
「はぁっ!」

漆黒の闇に染まる甲冑を纏った少女の、裂帛の気合が空を裂く。
大地を割るかの如き力強い踏み込みから、袈裟懸けの一撃。
一閃。
その見えないはずの一撃を、心眼によって見切ったダイの背後を黒い暴風が吹き抜ける。
目を眇めて、その風をやり過ごしたダイであったが、その心には深い焦燥があった。

当然だ。
大破邪呪文を成功させて、再びバーンパレスへと乗り込もうとした矢先、あのロワと名乗る女にこの闘いへと
招致されたダイには、こんな私闘よりも優先させねばならない使命があった。
仲間と共に闘い、大魔王を倒し、地上に平和をもたらすという尊い勇者の使命が。
こんな所で、あのロワという女の口車に乗って、何の意味もない闘いに興じている場合ではないのだ。

だが。

だが、ダイの目前に立ち塞がる少女は、あまりにも強かった。
そんな懊悩を抱えたまま、応戦する事が許されぬほどに。

例えるならば、竜魔人。
猛々しい凶暴性を発露させた、彼の父親のような威圧感が彼女にはあったのだ。

これだけの強敵を前に無心で戦いに集中しなければ、そこに待ち受けるのは死の定め。
多くの死闘を制して来たダイに、それがわからないはずがない。
それでも、ダイは抗議せずにはいられなかった。
この戦いの無意味さを。
無関係な人間同士が、殺し合わなければならない理不尽さを。

小さな少年の身体が宙に舞い、重装に身を固めた少女へと踊りかかる。
渾身の竜闘気を込めた一撃と共に、やるせなさの籠った悲痛な声を叩き付けた。

「なぜ、おれたちが闘わなきゃいけないんだっ!?」

戦うための、理由がなかった。
悪逆非道を働く魔王軍への正しい怒りも。
大切な人を奪われた、負の憎しみもない。
彼の中の正義の心は、この無意味な殺し合いを止めさせたかった。
だがそれは、扇動に乗ってしまった参加者を倒して回るという事ではない。
事の大本である、あのロワという女さえ倒せれば、それで済むはずなのだ。

皆、望まぬ殺し合いを、首輪と言う死の軛を持って強制させられているだけなのだから。


その、ダイの魂の叫びともいえる一撃を、黒き騎士王は見えない剣で真っ向から受け止め――
僅かに後退りはしたが、事もなげに打ち払う。
着地の隙を狙った追撃を警戒したダイであったが、予想に反し動きはない。
だが、荒ぶる魔力はそのままに。
周囲を取り巻くオーラの量も、増える事こそあれ、減りはしない。
訝るダイを前に、この戦いが始まって以来、初めてセイバーはその動きを止め、口を開いた。

「臆したのですか、竜の子よ」

凶悪なまでの攻撃からは予想しえぬ、深い、静かな声だった。
バイザー型の兜に覆われた顔からは、その表情は読み取れない。
しかし、品格すら感じる落ちついた声にダイは対話の糸口を見出し、その幼い顔に喜色を表す。

「こんな戦い、間違ってるよ。
 いくら命を握られてるからって、いきなり殺し合う事ないだろ!?
 みんなで力を合わせれば、この首輪をなんとかすることだって……」

「甘い」

一言で、切って捨てられた。

「皆が皆、そのように考えるとでも?
 呼ばれた者たちの中には、この戦いを歓迎する者とて居るでしょう。
 この私のように。
 でなければ、このような催しはそもそもからして成り立たない」

剣そのもののような、鋭い舌鋒がダイを襲う。
予想だにしなかったその切り口は、ダイの心に激しい衝撃を与えた。

「歓迎……してるだって?」
「ええ。万能の願望器を得る戦いこそ、我が望み……我が戦。
 それに是非のあろうはずもないっ!」

その動揺を突くように、黒の騎士王の姿が闇に溶けた。

「――ッ!?」

否。そう見えたのは、一瞬の事。
ダイはすぐに自らより低く身を沈め、突進してくるセイバーの姿を認めたが、対応出来ずにそのぶちかましを
まともに受けてしまう。

「ぐっ!」

ゴロゴロと回転しながら、素早く受け身を取る。
敵の姿を確認しようと顔を上げたダイの視界に、白い太腿が飛び込んだ。

「な――」

闇に慣れた目に、突如現れた鮮やかな白。
その白さに、思わず目を奪われて――直後、ダイの頬は、鉄靴に踏み抜かれた。


「ぐぁっ!」

反射的に竜闘気を防御に使っていなければ、頬骨を踏み砕かれていたであろう。
それほどに、容赦のない踏みつけであった。

翻った黒いスカートが、ふわりと風を孕んで元の形へと戻る。
ダイの視界に入るのは、不可視の剣を己が首元に押し当てたセイバーの姿。
結い上げられた金の髪が、月光を反射して冴え冴えと輝く。
黒の騎士王は不動のまま。
自らの考えを、勇者に宣言した。

「それを阻む物があれば、皆殺しにするまでです」

これまでダイは、いきなり襲われたとはいえ、この少女騎士に対して若干の親近感を覚えていた。
戦士としては、小柄な体躯。
それに反してヒトの規格を大きく外れた超常の力。
ダイを大きく上回り、あのロン・ベルクにすら匹敵するかもしれない精緻な冴えを誇る剣技。
ダイを取り囲む人間たちの中には存在しなかった、どこか自分と近しい存在への共感のようなものが、そこにはあった。
憧れと言い換えてもいいかもしれない。
だから、説得さえ叶えば、共にロワと闘えるかもしれないと、期待していたのに。

それが、それがそんな利己的な理由から戦っていただなんて。
まるで大魔王バーンのような暴君ぶりであった。
ダイの心を吹き抜けた落胆は、そのまま反発となって憤激の言葉を叫ばせる。

「そんなっ! そんな戦い、間違っている!!」

デルムリン島で怪物たちと共に育ったダイは、勇者の勇ましい物語に憧れる事こそあれ、誰かを傷つける事を
厭う心優しい少年だった。
その彼が戦いを決意するのは、常に弱者を虐げる強者の身勝手な論理への挑戦からだ。
ここにきて、ようやくダイの瞳に戦意が満ちる。

竜闘気(ドラゴニックオーラ)全開(フルパワー)。
右手に刻まれた竜の紋章が光り輝き、全身から眩い闘気の光が溢れだす。

大地を揺るがすほどの力の鳴動に、さしものセイバーもダイの顔に乗せていた足をどかし、その両足で大地を踏みしめた。
その隙に、勇者の体躯が跳ね上がる。
まるでルーラ(瞬間移動)の魔法を使ったかの如く、一瞬にして間合いを離した。

これまでとは異なり、逆手に持ちかえた剣の名はブレイブブレイド。
勇気の名を冠した剣に、ダイは全ての竜闘気を注ぎ込む。
自らの剣ではないとはいえ、この剣ならば自己の最強の一撃にも耐えてくれると、ダイは信じた。
これより放つ技は、ダイの使える剣技の中でも最強を誇るアバン・ストラッシュ。
それに対大魔王用の独自の改良を施した技である。

宝具の発動の瞬間にも似た、空気の緊張を感じ取ったか、黒き騎士王もその身を強張らせる。
高まるダイの竜闘気に呼応するかのように、セイバーの竜の因子を宿す魔力炉心が唸りを上げる。
月下に、双竜の咆哮が轟いた。

「……いくぞっ!!」

やや前傾姿勢に構えを取る。

「――アバン・ストラッシュ!!」

全力を持って振り抜かれた刃から、竜闘気の刃が放たれる。
剣から放たれる衝撃波を刃として敵を討つ、これがアバン・ストラッシュA(アロー)。
さらにこれを自ら突撃して斬り伏せるタイプのアバン・ストラッシュB(ブレイク)で追撃。
当然、敵も避けようと動くであろうが、そこをダイ独自の先読みの勘を持って二つ同時に炸裂させる。
それが、ダイの生み出した、ダイにしか出来ない超必殺技アバンストラッシュX(クロス)である。

だが、そのダイの超一流の戦いの勘を持って放たれた、必中のはずのアローのタイミングをずらすように。
セイバーの足が大地を蹴る。
騎士王の直感が、このタイミングで敵の技の前に身を晒す事を選択させたのである。
同時に炸裂させる事が出来なければ、この超必殺技もただの必殺技二連撃に堕とされる。
ダイの想定よりも、敵がアローに近付き過ぎ、もはやブレイクでアローに追いつく事は出来ない。
ダイはブレイクの発動を取りやめ、特攻してくる敵の迎撃に回る事を思案し――なかった。

いささかの逡巡も見せずに、セイバーの動きを再度見切る。
もっとも避けにくいであろうタイミングを狙い、ブレイクで突撃する。
アローの着弾する瞬間を狙って、力押しで押し切ろうというのだ。
この思い切りのよさこそが、敵をしてダイを称賛せしめる最大の要素。

超必殺技のタイミングをずらしたとはいえ、そこに待ち受けるのは勇者の放つ、最高の必殺技の二連撃。
いかな剣豪とて、初見でこれを受けては敗北するが必定。

だが――それを打ち破ってこそ、剣の英霊!!

下段に構えた剣を地に擦りつけながら、セイバーは低空姿勢で刃の下を潜り抜ける。
頭上を通り過ぎる衝撃で、頭部を保護する兜が弾け飛ぶ。
息つく間もなく迫るは竜の化身。
全身の闘気を、ただ刀身のみに集中させた勇者の姿を――露わになった黄金の瞳が射抜いた時。

黒き竜の顎門が、ダイの肉体を噛み砕いた。

周囲を漂う戦いのオーラが、一斉に敗者となった勇者の肉体へと襲い掛かる。
これまでの戦いで放出された、凄まじいまでの闘気と魔力の渦に焼き尽くされた肉が、アイスクリームのように溶け崩れる。
そうして一つの戦いを終えた森の中に、深い静寂が戻っていた。




残心を保ったまま、セイバーは背後の巨大な岩山を見やる。
セイバーが避けたアバン・ストラッシュの衝撃で、岩山はゾッとするような見事な切断面を見せていた。

――油断ならない敵でした。

敵は、セイバーが魔力で編みあげた鎧と同等の防御力を、その身体に宿していた。
聖剣のない今、セイバーにはその防御を貫くだけの秘剣がない。
そのまま戦っていては、互いに消耗しあう千日手に陥ってしまっていただろう。
戦争の序盤からそれでは、あまりにも拙い。
故に、セイバーは少年を挑発し、その奥義を撃たせる事で闘気を攻撃のみに限定させたのである。

もちろん、リスクは大きかった。
一歩間違えれば、自分の身があの岩山のように切り裂かれていたかもしれない。
だが――それでも此度も勝利したのは剣の英霊。
英雄とは、死力を尽くして立ち向かう敵を、当然のように葬る者の事を言うのである。


気を取り直して、セイバーは残った仕事を片付けようとし――
突如、飛来してきた赤光を纏う剣を叩き落とした。
響きわたる苛烈な轟音が、その剣に込められた威力を如実に表していた。

「何者っ!?」

鋭く誰何の声を上げたセイバーが見たのは、見覚えのある赤い背中。
逆立つ白髪に、褐色の肌。
第五次聖杯戦争へと召喚された、正体不明の赤い弓兵であった。
その胸に抱かれしは、戦いを終えた小さな勇者ダイ。
彼を連れて、逃げようとしているのか。

「アーチャーッ! 行かせるか!」

ようやく仕留めた雄敵を、連れ去ろうとするアーチャーに、セイバーは猛然と襲いかかろうとする。

「いいのかね? そら、撃ち落とした剣が、再び君の元へと返ってくるぞ」

ふざけたアーチャーの物言いを聞くまでもなく、騎士王の直感はそれを捉えていた。
再び背後から襲い掛かる赤い光を打ち払うも、更にその剣は勢いを増して、セイバーへと踊りかかる。

これぞアーチャーの創りし魔剣の一つ。
古代イングランドの叙事詩『ベオウルフ』に伝わる宝具フルンディング。
例え弾かれようと、射手が健在な限りは更に力を増して標的を襲い続ける必殺必中の魔弾である。

「チィィッ!!」

しつこく纏わりつく剣を前に、苛立ちと共にセイバーが剣に込める魔力は増大する。
極大の魔力を剣にチャージし、迎え撃つは赤原を往く緋の猟犬。
激突。
極光の輝きをその場に残し、へし折られたフルンディングが幻想の中へと還ってゆく。

周囲を見渡す。
アーチャーとダイの姿は、もはやどこにも見えなかった。

「……ッ」

苛立ちを胸に、可憐なる暴虐の騎士王は立ちつくす。
その凍てつくような眼光が、夜の闇を貫いていた。

【F-6 森/一日目/深夜】

【セイバー(オルタナティブ)@Fate/stay night】
【状態】頭部を負傷(回復中) 疲労(小) 魔力消費(小)
【装備】風王結界(剣の正体は不明) 魔力で編みあげた鎧
【道具】支給品 ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:ロワの提示した万能の願望器を得る。
1:敵を倒す。
2:アーチャーとダイを追う?

【備考】受肉した肉体なので、物理攻撃の無効化・霊体化などは出来ません。


※F-6一帯が更地になりました。
※F-6にある岩山が、アバン・ストラッシュによって切り裂かれて欠け落ちました。



気絶した勇者を胸に抱き、赤い弓兵は疾走する。
その超人的なスピードは、はや森を抜け、街灯の照らす街を前にしていた。

「う、うう……」

胸の中の勇者が、苦痛の声を漏らす。
その小さな身体からは無残にも、肩から先を僅かに残して左腕が無くなっていた。

アーチャーは先の決闘の光景を思い浮かべる。
アバンストラッシュAによる頭部への負傷の影響からか、アバン・ストラッシュBに対してカウンターを取った
騎士王の剣は僅かに逸れ、ダイの左腕を深く切り裂くのみに終わった。
だが、その怪我は決闘の天秤を揺るがすには充分すぎるもの。
均衡を失った、その場の闘気と魔力の渦が勇者の肉体へと群がろうとするその一瞬。
この少年は、千切れかけた腕を自ら引き千切り、その渦の中へと投げ入れたのである。

激痛により気絶した少年は、そのままではセイバーに殺されていただろう。
何の意味もない、ただ数秒だけの延命行為。
だが、そのおかげで、こうしてアーチャーが介入する時間が出来、ダイは助かったのだ。

アーチャーは少年の、その生きようとする力に驚嘆した。
彼が、再び剣を握る事が出来るようになれば、次こそはあの騎士王を倒せるかもしれないと。
なればこそ、こうして危険を冒してまで少年を助けたのである。

――本来、セイバーとはあのような暴虐の限りを尽くす暴君などではない。
剣の英霊に相応しき華麗な剣技と、高潔な精神とを兼ね揃えた最優の英霊なのだ。
それがあのような姿で呼ばれるなどと……
ロワの提示する万能器は、英霊をこの地に招くほどの力を、確かに持っているのだろう。
だが、あの騎士王の姿こそ、その力の歪みを象徴しているようにアーチャーは思う。

「う、ああ……父さん……」

少年は、うわごとのように父を呼ぶ。
アーチャーには、治療魔術など使えない。
その身に纏った聖骸布を使い、その傷口を縛ってやるくらいの事しか出来ない。
あとは少年自身の生きる力に賭けるしかないのだ。

「生きろ」

呟くように声をかけて、アーチャーは街を目指す。
そこに何が待ち受けているのか、神ならぬ身には知る由もない。

【F-4 平原/一日目/深夜】

【アーチャー@Fate/stay night】
【状態】健康 魔力消費(小)
【装備】赤の聖骸布
【道具】支給品 剣(詳細不明) ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:犠牲を減らす為に最適な行動を取る。
1:ダイを安全な場所まで運ぶ

【備考】受肉した肉体なので、物理攻撃の無効化・霊体化などは出来ません。

【ダイ@DRAGON QUEST-ダイの大冒険-】
【状態】気絶 疲労(小) 左腕喪失(応急処置済み)
【装備】ブレイブブレイド@ファイナルファンタジーⅤ
【道具】支給品 ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:元の世界へと戻り、大魔王を倒す。
1:この戦いを止める

【備考】ブレイブブレイド@ファイナルファンタジーⅤは持ち主が逃げるたびに攻撃力が落ちていきます。



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