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最後の悪あがき/愛情か友情か憎しみか/騎士の誇りを胸に/とある魔眼の殺人鬼◆Ub.tayqwkM



闇。
そこには闇があった。
男は何一つ得る物が無かった。
否、実際は死した自分を親友達が、そして主が悲しんでくれていた。
魔法に頼る仲間が自らの手で死した自分の像を作っていた。

―死んだ人間の価値は、どれだけの人が悲しんでくれるかによる―

それが真実であれば彼の人生には意味があったのだろう。
でも実際は死者にはそれを確認する術が無い。
それどころか、自分の死に意味があったのか、犬死になのか。
自分が愛した人は無事だったのか。
もはや知るすべなどない。
それが死に行く男の未練だった。
未練を残し、死んでいく男は結局、生きているうちには何も得る事が無かった。
そんな惨めな最期を遂げた男のこれは悪あがきなのかもしれない。
恐らく、ここで何をやっても結局は自身の願いは叶わないだろう。

―『俺は人を殺す気は無い』―

生死を賭けた闘いですら、相手を殺せなかった上に、実際死んだ男だ。
その男が殺し合いで最後の一人になどなれるはずが無い。
だからこれから先の行動など惰性の無駄な行為でしかない。
勝率0%の無謀な闘い。
どうせ何をやっても最後には無惨な死しか待ってはいない。
だが、既に一度死んだ身だ。
全身に無数の傷を負い、腕は炭化し、足はまともに動かない。
それは逆に言えば自らは死を一度体験したという意味だ。
死の恐怖を一度味わい、その感覚はこの身で覚えている。
そしてその上に、再び死ぬ事は確信しながら、それでもやる事は決まっていた。

「……何で生きてんだろなオレは。しかも次は殺し合い………か」

男は剣を取った。
そして行動は決まっている。

「やっぱ逆らうしかねーよな。殺し合いとかやる気はねーし」

男……平賀才人は立ち上がった。
剣を手に取り、ただひたすら前へと。



***

男は剣を取っていた。
そして、目に見えない殺意を静かに放出している。

「ガッツ……お前もここに……」

あの場。
グリフィスの両の瞳は確かに、ガッツを捉えていた。
ガッツ。
自身とともに、鷹の団を率い、そして最後には離団を表明し、自らとの一騎打ちで勝利し、自らの元を去っていった男。
絶望だった。
自分に人生にとって最も大事だった唯一無二の男。
それが自らの元を去っていった。

「次は……次こそは…………ガッツ、俺はお前を手に入れる!」

グリフィスの両の瞳がその一瞬、煌めきを増した。
グリフィスは剣を抜き、目の前にあった木を切り倒す。
戦意の高揚が故か、または自身に渡された剣の切れ味の確認の為か、それともその両方か。
どちらにせよ、グリフィスの鋭い一閃は木を完全に切断していた。
そして……木は自らの元へと倒れてくる。

「なっ!?」

一般的な物理法則を考えても、正面の木を切り倒せば、衝撃の流れを考えても自分の反対側へと倒れるはず。
しかし、その木はグリフィスの予想に反し、自らの元へ倒れてきたのだ。
一瞬驚きの表情を見せながらも、しかし華麗な動きでマントを翻しながら木をかわす。
すると木はなんと二本が折り重なるように倒れていた。
グリフィスは当然驚きながらも、もう一本の木があったであろう場所に目を向ける。
するとそこには

「……悪い!人がいたとは思わなかったんだが……大丈夫だったか?」

一人の身なりの整った美しい女性が立っていた。



***

「愚かな!殺し合いなどとそんな無益なこと。なぜやろうとする。あまりにも無駄じゃないか!
全くもって無意味ではないか!私は許さない。そのような事。断じて許さない!」

女騎士セシリー・キャンベルは憤っていた。
殺し合い。
あのわけの分からない命令など承服できようはずもない。
出来るものか。
してたまるか。
納得などしてやるものか。
セシリーの胸中に渡来するのはそんなこの催しへの強い否定。
一点の迷いも無く、セシリーはこの殺し合いを否定する。

「私はこのような催し。断固として拒否させてもらおう!」

セシリーは怒りに任せて、眼前の木を切り倒す。
怒りと勢いに任せての八つ当たり。
最も昨今の切れやすい若者とは決して違う。
彼女は怒りと勢いに任せながらも冷静に剣の刃を立て、流れるような太刀筋で木を切っていた。
当然木は倒れる。
彼女の反対側へと、そして不思議な音が響く。
それは木と木がぶつかる音。
そして、人が発するであろう驚きの声がセシリーの耳に届く。

(……まさか人が?)

セシリーは少々の冷や汗を浮かびながら、木が倒れた方向へと目をやる。
すると、綺麗に木は折り重なるように倒れていた。
恐らく木を切るタイミングが自分の方が少し早かったのだろう。
結果的に向こう側へと倒れたのだと思う。
そして木の脇には一人の美しい風貌の人物が立っていた。
一瞬男か女か判断に迷う。
だが、セシリーにとっては相手の性別は関係が無い。

「……悪い!人がいたとは思わなかったんだが……大丈夫だったか?」

セシリーは謝罪の意を表明する。
まさか、これが自分の相手に対する敵対行為ととられて、決闘を演ずることになっても面白くは無い。
誠意を込めた謝罪の意を相手へと示す。
しかし、目の前の人物は特に反応をしてこない。
セシリーは相手がアクションをしてこない為に、自分のリアクションに困るが、とりあえず騎士として名乗る事にした。

「そういえば名乗ってなかったな。私はセシリー・キャンベル。自衛騎士団に所属している。もちろんこの殺し合いは
私は参加する意思などは無い。全力で止める所存だ。貴方の名は?」
「……グリフィス」

そこでようやく相手が名乗ってくれた。
声と雰囲気、名前から男というのが分かる。

「グリフィスというのか。さっきは本当にすまなかった。だが……まあそなたも木を倒していたようだし、見たところ
怪我は無いようだな。ではお互い様という事で私はこれで失礼させて」
「待て」

セシリーがこの場から立ち去ろうというタイミング。
相手の制止の声がセシリーの動きを止める。

「なんだ?」
「ここは殺し合いの場。ならお互いに名乗ったところで、お別れは無いだろう」

グリフィスはようやく少し落ち着いたのか表情には余裕を持った笑みも出ている。

(どの道オレはここでガッツを倒し、あいつをオレのものにする。ならオレとガッツ以外はこの場では邪魔だ。
ましてやこいつはこの殺し合いを止めるつもりだ。なら当然排除させてもらう)

「待て?私はこの殺し合いには参加する気は無いといっただろう」
「貴女が参加しなくても俺は参加する。ガッツをオレの物にするために」
「ガッツ?そなたの友人か?では私も一緒に捜索に協力しても構わないが」
「……必要は無い。むしろ邪魔になる」
「邪魔って………お前、私をバカにしてないか?」
「してるつもりはない。……もう話はいいな」

その言葉と同時、グリフィスはほとんど息もつかせぬ速さで間合いを詰めて攻撃を繰り出す。
狙いはセシリーの首筋。
もし、セシリーが並程度の騎士ならこれで勝負は終わっていた。
だが、セシリーは並の騎士ではない。
だから、勝負は終わらない。

「いきなりか。容赦が無いな本当に!」

セシリーはグリフィスの剣を弾き、そのまま再び間合いを取る。

「ビックリしたぞっ、って、おい!本当に私を殺す気か」
「……」

グリフィスは続きの言葉を発しない。
既に120%戦闘に集中している。
狙いはセシリーの首、もしくは心臓。
急所を確実に狙おうとグリフィスの目は眼前の獲物を捉えている。

「くっ」

セシリーも集中力を高め、次の攻撃へと入るのを待ち構える。

(先ほどの攻撃で確信した。相手は強い。だが……剣は私の方が強い。なら……あれを狙う)

セシリーは相手の剣を見据える。
狙いは武器破壊。
相手の攻撃にあわせ、相手の武器を狙い撃ち破壊する。
武器の差では自分に利があると踏んだセシリーはその狙いを実現するべく、全集中力をグリフィスへと注ぎ込む。

(相手は想像よりは強いか。だがオレの勝てない相手じゃない。俺はガッツを手に入れる。その為にはここで
負けるわけには行かない。確実に倒す!)

グリフィスは次の攻撃の狙いを定めながら、セシリーの身体を舐めるように視線を突き刺す。


***

「………はあ。なんだってこんな事になってんだ」

式は一人呟きながら森を歩いている。
殺し合い。
自らの嗜好が殺人の式にとってはかつて臨んだシュチエーションであるはずだが、どうもモチベーションが上がらない。

「……面倒だな」

心底かったるそうな表情でそんな言葉が出る。
様々な荒事は既に綺麗に完結し、これから先はただの後日談。幹也と式の変哲も無い生活で普通に生きるのだろう。
だから精々一コマ、一文節程度でささやかな幸せを表現して自分の物語は終わり。
退院する幹也を迎えに行って普通の会話の中で物語は終わるはずだった。
しかしそれは裏切られ、突然このような殺し合いになったのだ。
そんな状況では戦闘モードに入れないというか、闘志という物がどうも沸きあがってこない。

「最後の一人にならないと駄目っていってたが……不味いな。戦う気がどうも起こらない。どうするかなこれから」

式はこの状況と自身の精神の状況を鑑みるに少しばかりの危機感も無くは無いが、それでも今後の方針を決めかねていた。
だが、そんな式にもようやく少しばかりのささやかな刺激が訪れた。
木がぶつかり倒れる大きな音。
轟音である。
今は深夜であり、虫の鳴き声も聞こえない中でその轟音は当然周囲に響き渡り、式の耳にも届いたのだ。

「…………はあ、何の騒ぎだよ」

式は渋々ながらその音の方へと向かい歩きだす。
音は決して小さくは無く、距離はそれほど遠くは無い。
それに加えて、式の身体能力は決して低くない。
本人はゆっくり歩くつもりでも、かなり早く音の発生源へと辿り着く。

式が歩き出して数分。
そこでは、二人の男女が剣を構えながら向かい合っていた。
両者ともに強い闘志を見せている。

「なんだもう始まってるのか。気が早すぎないか……」

式は適当な大きい樹木にもたれかかりながら腕を組んで様子を見守る事にする。


****

予想に反する観戦者が出現したが、グリフィスとセシリーはそれに気付く様子は無い。
互いに隙を見せないように向かい合っている。

実戦の経験値とパワーではグリフィスに分がある。
しかし純粋な技術、太刀筋の速さとキレではセシリーも負けてはいない。
故にグリフィスは先手を取って、セシリーが動く前に仕留める必要がある。
だが、先ほどの先制は未遂に終わり、今は向かい合っている。
セシリーの剣は業物なのだろう。
自身の剣とぶつかれば、剣が折れるのは自分の側。
グリフィスは今までの経験則からそれは分かっている。

(恐らく相手はオレの剣の破壊を狙っている。彼女からは殺気が感じられない。殺さずにオレを無力化させるつもりか?
だが、ならば………それを逆に狙おう)

グリフィスは先手を取って動く。
無論セシリーもそれを待っていた。

(来た!相手の剣にこちらの剣をぶつけ破壊、そのまま剣の腹で相手の顎を弾いて私の勝ちだ!)

セシリーは相手の剣の軌道に自身の軌道を合わせる。
完璧な一致。
セシリーの狙いは成功。
だが、それはグリフィスの狙い通りでもある。

(互いの剣が重なった瞬間、剣を放棄し相手の首を手刀で打つ。それで勝負は終わりだ)

グリフィスの狙いは剣を破壊させた直後の隙。
絶対的に零に近付いた間合い、相手の剣が自分の身体に届く前に相手の首を手で打つ。
冷静に相手と自分の力差を見切った上での策。
だがそれは、互いに予想外の横槍によって遮られる。

「っ!?」
「わっ!?」

グリフィスとセシリー。
両者の剣が重なり合う刹那の手前。
その一瞬。
両者の眼前をある物が横切る。
それに思わず、両者は身体を引く。
真横からの闖入者。
それに二人は再度間合いを離しながら、物が飛来した方向を向く。

「お前ら何殺し合いしてんだよっ!あんなふざけた野郎の言いなりになるなんてバカかよ!」

そこにいた男は二人を大きな声で怒鳴り上げた。


**

時間は数分前にまき戻る。
才人は一人、森を歩いていた。
そして突如として聞こえた大きな音に導かれ、その現場へと急行した。
現場では二人の男女がにらみ合っていた。
剣を構えてのにらみ合い。
それはすぐにでも殺し合いに発展しそうだった。
いや、状況を考えれば既に始まっているともいえた。

(何だよ。まだ始まったばかりじゃねーか。何やってんだよ)

才人の心には怒りが込みあがってきた。
せっかく殺し合いに逆らうのを決意した矢先にいきなり殺し合いをするものを目撃したのだ。
ほとんど逆ギレだが、それでも才人はかなり怒っていた。
だがそんな中で二人は一気に間合いをつめたのだ。
今正に剣が交差しようとしている。

(くそっ、いきなり殺しあうんじゃねーよ!)

才人は地面に会った小石を拾い、二人に向かって投げつける。
石は二人の眼前を通過し、結果的に剣の交差は止められた。
そして、二人は自分の方に視線をやった際、才人は感情のままに声を荒げた。

「お前ら何殺し合いしてんだよっ!あんなふざけた野郎の言いなりになるなんてバカかよ!」

真っ直ぐな感情の吐露。
だが、それは二人にとっては無粋な横槍に過ぎない。

「邪魔をするのか。貴様は」

グリフィスは怒りの視線を向ける。
だが、才人も負けじと剣を構える。

「殺し合いとかふざけんな!俺は絶対に認めねーぞ」
「ほう。ならば止めてみるか」

グリフィスは狙いをセシリーから才人へと代える。
だがそれはセシリーが許さない。

「おいグリフィスと言ったか。あの者の横槍は許せぬが、まだお前の相手は私だ。勝手に中断するな」

セシリーはグリフィスに対し、剣の構えはといていない。
才人もグリフィスに対して強い戦意を見せている。
この状況。下手をすると2対1に近い状況になっているようにも思える。
そのような不利な状況ではグリフィスの次の行動は決まっていた。

「ふう、もういい。興が削がれた。続きはまた今度だ」

グリフィスはそれだけ言うと、剣を納め、戦闘中断を宣言した。

「一方的だな。何のつもりだ」
「理由など一つ。邪魔が入った。そしてこの場でこれ以上やっても、新たな邪魔者も入りそうなのでは」

グリフィスはそういいながら木にもたれかかっている式に目を向ける。
才人を見つけた際に、反対側にいる式も気配で感じ取っていたのだ。

「なんだ見つかったのか。でも俺は別に横槍も漁夫の利を狙うつもりも無いんだが」
「俺の気持ちの問題だ」

それだけ言い残し、グリフィスは背を向けて森の深遠の影へと姿を消していく。

「……やれやれ、なら俺も行くよ。これ以上ここにいても仕方が無いからな」

式も戦闘が終われば用は無いとばかりに、森の影へと姿を消していく。
そしてその場に残ったのはセシリーと才人の二人のみ。

「……俺も行く。じゃあ」
「待てっ!貴様は残れ。無粋にも決闘の横槍を入れてそれで去れると思うな」
「……殺し合いは駄目だ」

時間が置かれ、少しばかり落ち着いたのか、才人は前よりも落ち着いた声でやはり自分の主張を出す。
だが、セシリーはキョトンとした表情を見せる。

「お前は何を言っているんだ。私はあいつを止めようとしただけだ。殺そうなどとしていない」
「なっ」

才人は絶句する。
自分の空気を読んでいない行動に少しばかり赤面してしまう。

「つまりお前は勘違いで無粋な行動をした間男というわけだ」
「………………」

才人は思わずその場にしゃがむ。

(カッコつけて登場して間男かよ。冒頭でも俺カッコ良いって感じのモノローグ入ってるのに………シリアス路線で
登場したのに………間男って!)

「うわああああぁぁぁぁぁっっっ!!!」

思わず、自分の空回りと恥ずかしさに叫んでしまう。
過去の厨二病的行動を思い出してのた打ち回るような感じで叫ぶ男の姿がそこにはあった。

【F-5 森林 中部 一日目 深夜】

【セシリー・キャンベル@聖剣の刀鍛冶】
【状態】少しの疲労
【装備】エクスカリバー@Fate/stay night
【道具】支給品一式 ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:殺し合いをとめる。
1:何だこの間男(平賀才人)は?
2:グリフィスと決着をつける。

【平賀才人@ゼロの使い魔】
【状態】健康
【装備】剣(現時点での詳細は不明)
【道具】支給品一式 ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:殺し合いを止める
1:やべえ、恥ずかしい
2:殺し合いを阻止する方法を考える。

[備考]
登場時期は7巻で死亡後、蘇生される直後
ただし、ガンダールヴの刻印は継続されています。

【F-5 森林 北部 一日目 深夜】

【グリフィス@ベルセルク】
【状態】少しの疲労
【装備】ロングソード@ファイナルファンタジーⅤ
【道具】支給品 ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:ガッツを俺の物にする。
1:ガッツを見つける。
2:ガッツと闘い、倒して俺の物にする。

[備考]
登場時期は12巻~13巻辺りでガッツに敗北~拷問される直前のどこか。

【F-5 森林 南部 一日目 深夜】

【両儀式@空の境界】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品 剣(詳細不明) ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:元の世界へと帰る。
1:とりあえずここから帰る方法を探す。

[備考]
登場時期は殺人考察後編
白純里緒の一件が終わり、退院する幹也を迎えに行く直前。



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001:戦鬼、再び…… 時系列順 003:激突! 竜の騎士!!

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GAME START セシリー・キャンベル 029:本当の願い/不屈の意志
GAME START 平賀才人
GAME START グリフィス 044:夢追う鷹は刃を隠す
GAME START 両儀式 025:魔剣混沌