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戦鬼、再び……◆k7QIZZkXNs



ロロノア・ゾロの夢は世界一の剣豪になることだ。
そのための手っ取り早い手段はやはり強い剣士、海賊と戦うことで、事実今までずっとそうして強くなってきた。
たいていの相手には勝ってきた彼だが、あるとき立ち塞がった世界一の大剣豪には全力を尽くしたものの力及ばず。
敗北したが生き永らえたゾロはさらなる力を求めるようになる。



「どうすっかなぁ……ルフィたちはいねーようだが」

夜の森の中、緑髪をがりがりと掻く男が一人。
耳に三対のピアス、腹には腹巻、腕に黒の手拭い、そして腰には一振りの剣。
海賊「麦わらの一味」が一人、ロロノア・ゾロ。通称「海賊狩りのゾロ」。
1億2000万ベリーの賞金首は、さすがにこの状況に戸惑わずにはいられなかった。

いつの間にか首に巻かれていた金属の首輪に触れながらゾロは考える。
先ほどまでいた場所、ロワと名乗った女がフレンなる金髪の青年を殺したところには自分以外にも数多くの人間がいた。
その中には、百戦錬磨のゾロであってもまだ浅いと感じるほどに、強烈な剣気を放っているものが数名いた。
そう――あの「鷹の目のミホーク」にすら匹敵しかねないような、そんな化け物が複数も。
あの場にいたすべての化け物たちを喰えば、あるいは短時間でミホークに並ぶ強さを手に入れることができる。

もちろん逆にそうでない者、明らかにこいつは簡単に斬れると思った者もいた。
ゾロ的にはそんな腑抜けに用はない。ゾロは自分より弱いやつを斬ることに意味を見出せないからだ。
殺戮を楽しむ気風を持っているわけでもない。
なんだったらあのロワとかいう女に歯向かってみるのもいいかもしれない。
そのためには首輪を何とかしなければならないが……。

「まあ、考えるのは後でいいか。目の前に強え剣士がいる、ならすることは一つだ……」

ゾロは座り込んだいた岩から腰を上げ、抜剣した。
使い慣れた刀ではない。というか、それは刀ですらなかった。
両刃の洋剣、真紅の刀身は揺らめく炎のように波打ち、確かな熱を感じさせる。
豪奢な装飾がなされた鍔元は儀礼用かと思ったが、中々どうして造りはしっかりしている。
まぎれもなく戦闘用の剣――銘をフレイムタン、炎の魔力を封じ込めた一刀である。

「なぁ、あんたもそう思うだろ?」

その剣を、ゾロはおもむろに背後へと突き付けた。
殺気を隠すこともなく立っていたのは、黒い肌に革のロングコートを纏った幽鬼のような男。
そいつは自身の背丈ほどもある大剣を肩に担ぎ、視線はまっすぐにゾロを刺していた。

「いいねえ、やる気マンマンって顔だ。俺もあんたみたいなやつのほうがやりやすいぜ」
「……ニンゲンよ、俺と戦うか?」

男はゾロに問いかける。
が、じりじりと間合いを計る爪先を見れば、問いはしてもすでにその気になっていることは明白だ。
その僅かな所作で敵は並々ならぬ剣士と見たゾロは、剣を一旦地に突き刺して腕の手拭いを取る。

「ああ。だが少し待ってくれ」

躊躇無く答える。強い剣士を前にして退く道理などない。
気合を入れるため、手拭いを拡げ頭へと巻きつけた。
デイバッグに入っていたランタンを地面に置き、視界に困らないようにするゾロ。

「……おし、やるか」

フレイムタンを手にする。一刀流はあまり得意ではないが、だからといって逃げるのは剣士の誇りが許さない。
その言葉を皮切りにロングコートの男も剣を構える。

「……来い、ニンゲン」
「人間人間とうるせえな、てめえ魚人かなんかか? とてもそうは見えねえが……」

ゾロの軽口に答えず、男は一歩を踏み出した――そして、二歩目でゾロの眼前に到達した。
すでに剣は振りかぶられている。

「うおっ!?」

ゾロが瞠目する。距離は目算にして二十歩はあった。それをただの一瞬でゼロにする脚力たるや人間業ではない。
瀑布のように落下する大剣を前に、一瞬で動揺を封じ込めて剣を旋回させる。

「一刀流・刀狼流し!」

速さはあるが、何の騙しもない直線の太刀筋。見切るに苦は無く、合わせるのも容易。
高速で動く大剣に横合いから剣を当て軌道を逸らす。
刀身を滑っていく質量にぞっとする重さと膂力を感じながらも、十分な荷重を得てゾロの剣は加速する。
居合い、あるいはデコピンの要領でフレイムタンが奔る。敵の力を利用した攻防一体の剣。

「――ッ!」

必殺の一刀は、男が自ら前に体を投げ出すことで回避された。
迫る刃に自分から突っ込むなど、よほど肝が据わっていなければできはしない。
色の無かった男の瞳に輝きが灯る。ギラギラと燃え盛るような、興奮の色が。、
向こうが後方に退いていれば追撃ができたが、息遣いが聞こえるほどに密着した間合いではそうもいかない。
ゾロが伸ばしきった腕を戻すより先に、男の拳打がゾロの腹を抉る。
後退。その隙に大剣を拾われる。

「……一刀流・龍巻き!」

畳み掛けられる前にゾロの剣が閃いた。
後退した勢いを加味して旋回、風車のように廻る。
手にした剣も追従し、風を従えまとめて放つ――それが三刀流・龍巻き。
あいにく剣が一本のため本来の威力とは比べ物にならない。が、この状況を切り抜けるには十分に過ぎた。
フレイムタンの剣身から炎が立ち昇り、風と交じり合い爆風となって殺到する。
追撃を仕掛けんとした男の足並みが乱れ、ゾロはその稼いだ一瞬で体勢を整えた。

距離を置いて向かい合う。炎が引火したか、木々が数本が炎上しているおかげで夜の暗闇はすでに消え去っていた。
この間は男の間合いの内だと、ゾロは顔には出さず呻いた。
どうやら敵はかつて対峙した強敵CP9のような技を持っているらしい。
剃――地面を瞬間的に10回以上も踏み付け、溜めた力で爆発的に加速。まさに消えたように移動する技。
ルフィもできるようになったらしいが、あいにくゾロには無理な芸当だった。

「……やるな、ニンゲンの剣士よ。凌がれるとは思わなかった」
「へっ、敵に褒められてもな。あんたこそ、俺の剣をかわしたじゃないか」

殴られた腹をさする。一瞬前に自ら後方へ跳んでいたのでほとんどダメージはない。
だが殴られたときの手触りから察したものがある。

「あんた人間じゃないな。悪魔の実の能力者か? さしずめ体を鋼鉄にするとか、そんなやつだろ」

人体の感触ではありえない硬い拳。
さながら鋼鉄のハンマーで殴られたような重さを感じていた。

「悪魔の実など知らんな。だが問いには答えよう。俺の名はブーメラン。字は『同胞殺し』……魔族の一柱にして異端なる者」
「魔族……だと?」
「鋼の体に水銀の血。貴様らヒトの天敵にして、永劫の仇敵」

男――ブーメランは大剣を握る右半身を引いた。
先ほどと同じく、停止状態から一瞬にして最高速へと到達するための極端な前傾姿勢。
たとえ銃火に晒されようと剣持つ腕だけは傷つけない、防御を捨てた構え。

「さあ、ニンゲン……もっとだ。貴様の力はそんなものではないのだろう?」
「人間、じゃねえ。俺はゾロ、ロロノア・ゾロだ。冥土の土産に覚えときな」

ゾロもまた構える。
敵が人間であろうとなかろうと関係はない。
剣を避けたということは当たれば斬れる。
鋼鉄の体とはいえ倒せない存在ではなく、ミホークほどの圧力も感じない。
だが強敵であることに変わりはない。つまり成長するための絶好の試し斬り相手。

三刀がなくとも勝算はある。
手にした剣は魔剣の類であるらしく、意志を込めれば炎が噴き出すことを知った。
刀ではないため居合い――アラバスタでの戦いで会得した一刀流居合・獅子歌歌を繰り出すことは難しい。
が、代わりにこの剣ならではの技がある。
対する敵の大剣は、やたらと頑丈で殺傷範囲も広いがそれだけだ。
幾多の刀を扱ってきたゾロの眼にはそれが変哲もない鋼の塊であると知れた。
警戒すべきは剣ではなくそれを操るこの男、ブーメラン――。

「一刀流・牛針!」

男が動いてからでは遅い。身体能力で勝る相手に後手は不利。
ゆえに、ゾロは自ら仕掛ける。
男のお株を奪う高速の突進、速度が最高潮に達したとき繰り出される全力の突き。
さしものブーメランも虚を突かれ大剣を防御のために構える。
弾かれ、ブーメランの肩口を僅かに逸れてフライムタンが疾駆。刃は届かない――が、炎は届く。
至近で発生した高熱に煽られ、ブーメランが片腕で顔を覆い、距離を取るために跳躍した。
ゾロは追わず、剣を引き戻し勢いのままに旋回。剣を矢に、体を弓に見立て空中のブーメランを狙う。

「一刀流――」

ブーメランもこれが罠だと気づく。
無謀な突進はブーメランを身動きの取れない空中に追いやり、隙の大きい大砲をぶつけるための布石。
手にした獲物が使い慣れた大型ブーメランならこの状態からでも反撃は出来た。
だが頑丈さだけが売りの鋼の大剣でそんな精密な投剣は不可能だ。
覚悟を決め、ブーメランは身構える。

「――炎魔・三十六煩悩鳳!」

『飛ぶ斬撃』煩悩鳳に、フレイムタンの炎を合わせた即興の奥義。
斬撃は巨大な炎刃となり疾駆する。
未だ滞空するブーメランに回避する術はない。
魔族といえどブーメランは近接戦闘に特化したタイプ。
魔力に秀でているわけでもなく、特殊な兵装を装備しているわけでもない。
人と同じ四肢を持ち、ヒトと同じ武器を振るい、ヒトと同じ技を使って戦う。
故に、今の場で彼が選べる行動もまた、ヒトと同じものでしかありえない。
右腕を突き出し体を捻るブーメラン。その構えは奇しくもゾロが寸前で見せた構えと似ていて――

「ヌウウ――」

一刀流・龍巻き――その回転の動きと、酷似していた。
束ねられた風が炎刃へと吹き荒れる。
ゾロの撃ったそれと比べれば明らかに弱い。抵抗もなく吹き散らされる。
だが、ブーメランの狙いはそんなものではない。
戦場において選ぶべきは常に真っ向勝負――全霊の剣を前にしたなら、正面から打ち破ってこそ至高の悦楽を得られるのだから。
ブーメランの体は独楽のように回転を続けている。

「――オアアアアアアアァッ!」

目前へと迫った炎魔・三十六煩悩鳳へ、ブーメランは回転の勢いを載せた大剣を叩き落とした。
飛ぶ斬撃というならば、当然斬撃にて迎撃は可能。
魔族の身体能力に十分な回転を加え、超重量の剣を振るう。
その威力――、

「俺の煩悩鳳を、ぶち抜いただと……!?」

炎刃は砕かれ、火の粉となって舞い散る。
入れ替わりに落下していくブーメラン。
窮地を凌いだとはいえ、全身に傷を負いロングコートもあちこちが焼け焦げていた。
だがブーメランは怯まず、笑う――これこそが求めた死線、そして越えて行く境地ッ!
着地し、すかさず走り出すブーメラン。
振り下ろされた大剣とフライムタンが火花を立てて噛み合った。

「てめえ、俺の技を……!」
「今、俺が……刹那に垣間見たのは、死地への顎か? ク、ククク……ハハッ、ハーハッハッハッ!」

刃が頬を削るほどに接近する距離にあって、ブーメランは哄笑する。

「なにがおかしい!」
「俺が恐怖を覚えたかッ!? そして俺に刻んだか――ニンゲンよッ!!」

その胸を満たすものは恐怖――そしてそれを遥かに凌駕する歓喜。

「これだ、俺はこれを求めていた……!」

ゾロの蹴りがブーメランの腹に決まり、力が流れた一瞬を突いて飛び退る。
ブーメランは追わず、剣先をゾロの額にピタリと構え身を撓める。

「弱く脆きニンゲンが意志の力以て技を練り上げ、鍛え、一振りの刃となり、鋼鉄すらも貫く力となる……その強さ、見事だ。
 貴様の一刀一刀が痛みとして、証としてこの身に刻まれ、心を満たしていく――」

静かな口調とは裏腹に、ブーメランが発する鬼気は際限なく高まっていく。
ゾロは確信する。次に来るのは間違いなくこの男の本気であると。
フレイムタンを握る腕に汗が伝う。優勢であるのは未ださしたる戦傷もないゾロのはず、なのに。
ブーメランから感じる圧力には寸毫の衰えもなく、少しでも気を緩めれば一気に呑み込まれるとゾロの本能が警鐘を鳴らす。

「だが――まだ、足りん。まだ俺は渇いている……貴様もそうだろう?」

問われ、ゾロは首肯する。
そう、ゾロもブーメランもまだ戦える。ならば戦う、それが剣士の性であるがゆえに。

「ああ……その通りだ。まだ俺は満足しちゃいねえ――だからッ!」
「――ゆえにッ! 今一度、我らが刃にて命運を切り結ぼうぞッ!」

二人、同時に駆け出した。
ゾロが剣を振り上げる。

「一刀流――」
「遅いッ!」

技を繰り出す刹那、飛び込んできたブーメランの大剣が足元を狙う。
シャドウスティッチ――技の出がかりを狙うことで行動不能に追い込む戦技。
止むを得ず放とうとしていた技を急停止、跳躍して大剣を回避したゾロ。
その横っ面にブーメランの爪先がめり込んだ。

「っが……!?」

右腕で振り切った大剣の重量でブーメランの体が引っ張られ、遠心力を乗せた左足を放り出したのだ。
弾けたようにゾロの頭部が揺れる。高速で激突した鋼鉄は容易く剣士の見当識を奪い去った。
一回転した大剣が頭上へと振り上げられ、視線定まらぬゾロの脳天へと落ちていく。

(――――――まだ、だッ!)

その、瞬間。
必殺のコンボ、ブーメラン・ダイナミックが急遽止められた――ブーメランの意志によって。
理由は、ゾロから立ち昇るオーラ。意識が半ば失われていながらも、ゾロの魂から発する闘気は衰えはしない。
その鬼気が像を結ぶ――三面六手の鬼神、阿修羅の像を。

「むッ……!」

阿修羅が手にする六爪の刀を、一挙にブーメランへ向けて疾駆させる。
ブーメランをして反応を許さない電光石火の剣。
貫かれる――否、その剣はブーメランを傷つけることなくすり抜けていく。

「幻影だとッ!?」
「二刀流――」

ブーメランが阿修羅に気を取られた一瞬で、ゾロは意識を取り戻した。
高まった鬼気を逆手に握った二刀へ込める。
右腕のフレイムタンと、左腕のその鞘へ。

「――犀回!」

本来三刀で放つ龍巻き、その二刀版といえる技。
斬るのではなく風を生み出すだけならば、剣ではなくともことは足りる。
フレイムタンの炎が風と混合され爆風を生み出し、その加速を後押しした。
狙いはブーメラン――ではない。
ゾロは自らの足元へと技を放った。
旋風がゾロの体を僅かに持ち上げ、重力から解き放たれた一瞬を逃さず体を振って後方へと風を逃がす。
ロケットのようにゾロの体が射出された。
突き進む先に、棒立ちになったブーメランがいる。

「こいつで……終いだ……!」
「いいだろう、来いッ!」

魔族も望むところだとばかりに駆け出した。
用済みになった鞘を放り出し、剃に劣らぬ速度でブーメランに迫る。
ゾロが手にする剣はすでに赤く灼熱していた。
右腕に全身の力を集める――左腕で右腕を強く強く握り締める。
眼を閉じ、精神を研ぎ澄ませるゾロ。
イメージするのは最速にして最強の一刀。

(あの鷹の目の、一撃のような――)

カッと眼を見開く。
ブーメランが大剣を振りかぶっているのが見える。

(関係ねえ、やつより先に斬り抜けるだけだ――!)

「一刀流――」

フレイムタンがその名の如く燃え上がる。
尾を引く炎、さながらその様は竜のようで――。

「砕け散れ、ニンゲンッ!」
「――飛竜、火焔ッ!」

交差。
激突。
離別。

二人の影は一瞬間絡まり合い、唐突に離れ行く。
ひらり、ひらり。中間点に残ったのはゾロの腹に巻かれていた腹巻の切れ端。

チン――と、鍔鳴りの音。
剣を収めた者は一人。
その名は、

「見事だ、ニンゲン――いいや、ロロノア・ゾロ」

ブーメランが膝をつく。
高熱の剣により刻まれた横一文字。そこから噴き出す水銀の血が森を汚していく。

「その名も、その剣も。この傷とともに俺の内に深く確かに刻まれた……」

ゾロは、静かにその言葉を聴く。
放り出していた鞘に剣を収めた。
もう、必要ない。

「――眠れ、強き剣士よ。俺は貴様を忘れん」

ゾロが倒れ伏す。
赤い池が拡がる。
ブーメラン。
魔族の処刑執行者が、ただ一人両の足で立ち尽くしていた。

「ちっ……負け、ちまった、か……すまねえ、な……船長」

肩から腰にかけて深く斬り裂かれた海賊狩りの顔は血の気を失っていた。
血とともに生命が流れ出していく。
その様を眺めるようにブーメランが傍らに立った。

「どうだ、満足……したか?」
「礼を言う。たとえ一時とはいえ、俺の渇きは癒された」
「はっ……欲深いやつだな。あれで満足……できないなら……あんた、ロクな死に方……しないぜ」
「かもしれんな。だが……戦に倒れるなら本望。貴様もそうなのだろう?」
「はは、違えねえ……」

薄く笑い、ゾロは鞘に収めた剣を突き出した。

「持っていきな……それが勝ったやつの……権利だ」
「……ああ」

ゾロが差し出したフレイムタンを、ブーメランが受け取った。
その瞬間、まさに最期の力だったのだろう。ゾロの腕が力なく落ちて、目蓋が閉じられる。

「じゃあな……あの世ってとこで……あんたが来るのを……待ってるぜ」
「フッ……いずれ、必ず。腕を磨いて待っているがいい」
「ああ……楽、しみ、だ……」

その言葉を最後に海賊狩りは絶息した。
見送ったブーメランは、託されたフレイムタンを腰に挿し踵を返す。
ゾロの一撃が撒き散らした炎は周囲に引火し、そこはすでに炎の庭と化している。
荼毘に付す必要もないな――そんなことを考え、ブーメランは戦場を後にした。



【ロロノア・ゾロ@ONE PIECE  死亡】



「持てるすべての力を尽くし、己が身命を賭して優劣を競うとは、どこまで甘美で狂おしいのだ……。
 ああ、だがやはり俺の渇きは満たされていない。だからもっと、もっとだ……」

この場には相棒たる魔狼ルシエドはいない。精神レベルで繋がっているはずのリンクが断たれている。
ニンゲンでも魔族でもない女に招かれた場所で見回したが、決着をつけると約したファルガイアのニンゲンたちもいないようだ。
だが絆を紡いで魔族を追い詰めたあのニンゲンたちに勝るとも劣らない強者が何人もいるのを感じていた。
さきほど戦った剣士もその一人だ。
心躍る戦の匂いがそこかしこで薫る。
この場はまさにブーメランにとって辿り着くべくして辿り着いた場所。
魔族の長に裏切られ切り捨てられ、刺客の刃で討ち果たされたはずの身が行き着いたのは、まさに天国から見放された世界。

「さあ、ニンゲンッ! 誰でもいい、いつでも構わん。俺のこの身に牙を突き立てて見せろッ!
 俺は逃げも隠れもせん――真っ向から受け止めてやるッ!
 そう――この胸の渇きを満たす思いは、限界を超えた向こうにこそあるのだからッ!」

甦った戦鬼は駆けていく。
ロワと名乗った女の言うことなどどうでもいい。
必要なものは敵だ。それも強ければ強いほどいい。
渇きを満たす出会いを、その身に終焉をもたらす死地を求めて、戦鬼はただ、駆ける――。





【C-3 森林地帯 一日目 深夜】

【ブーメラン@ワイルドアームズ アルターコード:F】
 【状態】胸に深い裂傷、疲労(小)
 【装備】ガッツの剣@ベルセルク
 【道具】支給品×2、ランダムアイテム×2、フレイムタン@FF5
 【思考】基本:ニンゲンと戦う
  1:次の相手を探す
 【備考】
  ※ガッツの剣はドラゴン殺しではなく、百人斬りをしたときのものです。




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