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仲間◆k7QIZZkXNs



 近づいてくる気配に気付き、アーチャーはゆっくりと立ち上がった。
 未だ傷ついた勇者は目覚めていない。
 昏々と眠るダイにちらりと視線を遣り、動かすのはまだ無理だと判断してアーチャーは一人屋外へと忍び出た。

 感じた気配はまっすぐ今いる診療所へと向かってくる。治療手段の確保は誰に取っても死活問題、当然と言えば当然だが。
 一つ所に留まっていたのは愚策だったかも知れない。それでもダイの状態を鑑みれば、その判断は正しかったと言えるだろう。
 まだ距離がある内に、アーチャーは自身の戦力を確認する。

 携えるのは一振りの日本刀。だがそれがただの刀でないことは錬鉄の英雄たるアーチャーの目を以てせずともすぐにわかった。
 なんせ、柄を持って地面に落とせばそれだけで刀身が根元まで埋まってしまうのだ。
 切れ味が良い、という次元ではない。触れた物全てを抵抗無く斬り裂く、刀剣としての極地と言える刀であった。

(鋭さや摩擦で斬っているのではない……刃によって物体の分子構造を破壊している。こんな刀を創る者がいるとは、な)

 古今あらゆる刀剣を目にし、手にし、複製してきたアーチャーに取り、それは久しく覚えていない驚きだった。
 英霊として過去・未来へ果ての無い闘争に召し上げられた身であれど、このようなちぐはぐな刀は見た事が無い。
 刀の形状をしていながらもその本質は外見にそぐわない超絶の技術で織り成されている。
 宝具という訳でもない。刀からは一切の神秘が感じられない。
 だがしかし、殺傷力という一点のみに置いて、その刀はあるいは宝具にすらも匹敵し得る力を有している――そう思わせる。

 最強の剣士。
 その『一』を見出す闘いと言うならば、演者達が用いる剣もまた最強ではなくてはならないと言う事か。
 五十二名もの剣士を拉致し、更にはこのような刀まで用意したロワの存在が改めて脅威に感じられた。


 が、それはともかく。この刀が武器として第一級の業物であることは疑いない事実。
 しかしアーチャーが得手とするのは短刀の二刀流であり、長物も扱えない訳ではないがセイバーのようにとまではいかない。
 魔術を用いれば剣を複製する事は可能だが、先のセイバーとの一戦でアーチャーは己の能力に翳りがあるのを知覚していた。
 フルンディング――剣を矢として撃ち出す弓兵の一手。
 その使い慣れた得手の魔術ですら、はっきりと身体に残るレベルの疲労として魔力を吸い上げられた。
 どうやらサーヴァントの身体能力及び魔力に何らかの細工をしているのだろう。
 本来、一般的な人間にサーヴァントを傷つける事は不可能。ならば殺し合いなど成立するはずがなく、そこにはサーヴァントの虐殺があるだけだ。
 が、ダイとの戦いでセイバーは確かに傷を負っていた。それは人とも思えぬダイの力も一因だろうが、それだけではないはず。
 おそらく、誰が相手だろうとこの場では条件は同じという事だ。

 斬られれば死ぬ。
 それが剣士に取り、唯一にして絶対の真理。

 つまり敗戦は許されないと言う事だ。尤も、それは今更考えるまでも無い、日頃から慣れ親しんだごく当たり前な事実でしかないが。
 能力を万全に発揮できるのであれば、得体の知れない刀に頼る必要もないのだが、そうも言ってはいられない。
 いつでも刀を抜き放てるように
 つらつらと思考を流す内に、視界の中に細く長い影。
 銀の長髪を背中に流す長身の男が、気を失っているらしい男性を肩に担いで片手に立っていた。

 翡翠の瞳に射抜かれる。自然、身体が緊張状態に入る。
 その男は一見して戦士として完成された肉体を持っているとわかる。痩身ながら成人男性を一人担いでここまで歩いてきて、息一つ乱していない。
 銀髪の男はまず担いでいた鳶色の髪の男を放り出し、ゆっくりと佩いていた刀の柄に手を置く。
 その動きに呼応してアーチャーも刀に手をかけるが、

(……?)

 熱い物に触れたかのように反射的に手を離す。
 先ほど刀を検分した時にはなかった違和感――唐突に芽生えた、目の前の男を斬りたいという欲求を、強烈な自制で以て押し潰す。
 瞬時にその欲求の源がその刀にあるとアーチャーは看破した。
 アーチャーにはさほど効果の無い精神的な揺さぶりだったが、もしこれが戦闘中だったらどうか。
 高揚の中に密かに滑り込んでくる斬殺への誘惑は、戦意の中に紛れておいそれと気付ける物ではないだろう。




「お前もこれと似たような刀を与えられた、か」

 一瞬、相手に隙を見せてしまった迂闊を呪うが、どうやら銀髪の男はそのアーチャーの所作を見て敵意は無いと判断したようだった。

「ああ、そうだ。仕掛けられない限りは、私から手を出す事はない」
「どこかで聞いたような台詞だ」

 銀髪の男は苦笑し、刀から手を外す。

「俺はセフィロス。そいつはロイドとか言うらしい」
「私はアーチャーと呼んでくれ」
「アーチャー……弓兵か? そうは見えんが」
「よく言われる。が、それ以外に名乗る名も無いのでな」

 どうでも良さそうに男――セフィロスが首肯する。
 とりあえずは戦わずに済みそうだ。しかし警戒は解かず、アーチャーは視線で倒れている男――ロイドを指し示す。

「彼は?」

 後ろ手に縛られたロイドは、気を失ってこそいるものの目立った外傷は無い。
 アーチャーの眼から見るに、ロイド自身もセフィロスと同じく戦闘者としての身体を誇っている。
 両の腕に均等に筋肉が乗っており、利き腕がどちらか判別できない。
 両腕をどちらも同じ精密さで扱う者――アーチャーと同じく二刀流の使い手か。
 自身、セイバー、そしてセイバーと渡り合っていたダイの例から見るに、やはりこのロイドなる男もここにいる以上は一流の剣士と見るべき。
 どういう経緯でこうなったかは知らないが、もしそのロイドを必要以上に傷つけずに取り押さえたのだとしたら、セフィロスは相当の手練という事だ。

「先ほど、襲われた。と言っても、この男の意思かどうかは怪しいところだが」
「どういう事だ?」
「この刀だ」

 セフィロスが腰の刀を少しだけ引き抜く。
 垣間見えた刀身の色は、毒々しい黒。だけでなく、どこか禍々しい気配をも立ち昇らせる。
 チン、と刀が納められる。毒気も瞬時に掻き消えた。




「この刀は使い手を支配するようだ。現に今も、お前を斬れとがなり立ててきた」

 冗談めかした口調。そこには、俺は支配されてはいない――という確信を感じる。
 ちょうど先程のアーチャーと同じだろう。もしかすると、セフィロスもあの瞬間に刀を抜こうとして思い留まったのかも知れない。


「それは奇遇だな。私も同じような刀を持っている」
「だからお前に興味を持った。ロイドと違い、その囁きを跳ね退けたようだからな」

 セフィロスが放り出していた鳶色の男を再び担ぐ。
 片手を塞ぎ重荷を背負う。わかりやすい、敵意は無いという証明。

「なるほど。詳しく話を聞きたいが、立ち話もあるまい。ついて来てくれ。その男の手当てもせねばならんだろう」

 そう言って、セフィロスをダイのいる診療所へと誘う。
 道中、不意打ちを警戒していたが、セフィロスが仕掛けてくる事は無かった。

 診療所内。ダイの横のベッドにロイドを横たえる。
 と言っても、拘束は解いていない。一度乱心したのなら、目覚めても正常に戻っているかどうかはわからないからだ。
 椅子に腰かけはせず、アーチャーとセフィロスはそれまであったお互いの事を話す。
 アーチャーはセイバーとダイの交戦、そして聖杯戦争の大まかな経緯。自身の素性は省いた。
 セフィロスは黒い剣士と銀髪の女との遭遇戦、そしてロイドとの出会い。神羅カンパニーについて、そしてロイドから聞いた話も。

「並行世界というやつか。にわかには信じがたいな」
「だがそう考えるのが一番自然だ。あのロワという存在も含めてな」

 沈思するセフィロスを見やり、アーチャーもまた確信を深める。
 これは形こそ違えど聖杯戦争に極めて近しい戦いである。
 あのセイバーが王道を捨てたのは驚きだが、そういった者はやはり数多く出て来るのだろう。
 人の命に頓着する剣士の方が珍しい。大半は己が利を、そして生還を最重要視するはずだから。

「セフィロス、君はどうする気だ? 最後の一人を目指すか?」
「帰還する方法がそれしか無いと言うなら、手段の一つではある。だが、まだそれを判断する時期ではない」
「と言うと?」
「情報が足りん。更に言うなら勝算も低い。腕に自信はあるが、あの黒い剣士のような奴ばかり相手にしていては身が持たん」



 ひとまず手を組めそうではあるが、もし無理だと判断すれば手を切られる。
 現実的な所は自分と似ているなと、アーチャーは苦笑した。

(扱いにくそうな男だ)

 だが、理想ばかり掲げるような者よりかはまだ付き合いやすそうだとも思う。
 セフィロスが寄りかかっていた壁から身を起こした。くるりと身を翻し、戸口へと向かう。

「俺が行く。そいつらを看ていろ」

 ぶっきらぼうにセフィロスが言う。
 南方から聞こえてきた、野獣のような叫び。あるいは慟哭か。
 この街の中で誰かが戦っているらしい。

「こいつを渡しておく。俺にはもう無用の物だ」
「これは……」

 セフィロスから手渡されたのは、アーチャー自身の愛刀、干将・莫揶だった。
 投影した覚えのない、しかし手に馴染む硬質の感触。紛れもない己が刀だ。

「しかし……いいのか? 君の刀は」
「ロイドと一緒にしないでもらいたいな。己を見失わなければどうという事は無い」

 言い捨て、毒刀を手にセフィロスは行く。
 アーチャーも外に出て遠くなる影を見送る。今はまだ動けない。せめてダイかロイドのどちらかが目覚めるまでは。

「う……」

 室内からくぐもった呻き声。
 一体どちらが目覚めたか。アーチャーはさてどうやって説明したものかと息を吐きつつ扉を閉じた。





【F-3 市街地・診療所内/一日目/黎明】


【アーチャー@Fate/stay night】
【状態】健康 魔力消費(小)
【装備】赤の聖骸布、干将・莫揶@Fate/stay night
【道具】支給品、斬刀『鈍』、ランダムアイテム(個数内容ともに不明)、医療品
【思考】基本:犠牲を減らす為に最適な行動を取る。
 1:ダイとロイドの意識が戻るのを待つ。
 2:セフィロスの帰りを待つ。
【備考】
受肉した肉体なので、物理攻撃の無効化・霊体化などは出来ません。

【ダイ@DRAGON QUEST-ダイの大冒険-】
【状態】気絶 疲労(小) 左腕喪失(応急処置済み)
【装備】ブレイブブレイド@ファイナルファンタジーⅤ
【道具】支給品 ランダムアイテム(個数内容ともに不明) 医療品
【思考】基本:元の世界へと戻り、大魔王を倒す。
1:この戦いを止める。
【備考】
 ブレイブブレイド@ファイナルファンタジーⅤは持ち主が逃げるたびに攻撃力が落ちていきます。

【ロイド・アーヴィング@テイルズオブシンフォニア ラタトスクの騎士】
【状態】刀の『毒』に犯されている、気絶
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:殺し合いを打破する
 1:…………
【備考】
 ※『 ラタトスクの騎士』本編終了後より参戦
 ※毒刀の影響を受けていますが、刀を手放しても効果が持続するかは不明。


【F-3 市街地/一日目/黎明】

【セフィロス@ファイナルファンタジーⅦ】
【状態】健康
【装備】毒刀『鍍』@刀語
【道具】支給品、折れたレイピア
【思考】基本:専守防衛
 1:生き残る。
 2:声がした地点へ向かい、様子を見る。
 3:ロイドが目覚めたら話をする。刀の影響が残っているなら……。
【備考】
 ※ソルジャー時代からの参加。
 ※今のところ毒刀の影響を受けていません。




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034:英雄交差点 セフィロス 000:[[]]
034:英雄交差点 ロイド 000:[[]]
030:考察(人それを深読みと言う) アーチャー 000:[[]]
030:考察(人それを深読みと言う) ダイ 000:[[]]