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人がいた。
英霊がいた。
魔人がいた。
聖人がいた。
人の形をした何かがいた。

暗闇の中で、彼らは息を潜め―――否、潜めざるを得ず。
一体何が起こっているのか、理解している者がいるのかどうか?
そもそも、周りに自分以外の人間がいる事すら気付けないのだろうか。
全ての感覚を奪われ、指一本動かせずに、声一つ出せずに、彼らはただ考えていた。

....................................
果たして、この暗闇の向こうにいるのは、何者なのか……?

周囲の人波に気付く者はいなかったかも知れない。
しかし、たった一つ、晴れない暗闇の奥に、何かの気配を"知って"いた。

声が響く。

「未だ若き伝説たちよ……ようこそ、我が円卓の果て、我が榮道の畔に」

それは暗闇の中にゆらり、と浮かび上がっていた。
誰かが思う。
貴様は一体、何者だ、と。

「余は実在。余は架空。余は、無貌の顔を持つ持たざる王。遥けき詩より生まれし者。
 剣聖、剣神、あらゆる剣を捧げられし我が名は――――アーサー・ペンドラゴンなれば」

その名を知るものも、知らざる者も、息を呑んだ。
なるほど、その声からは剣に縁深き王を名乗るに十分な威厳が在った。

「諸君らの剣を、我に捧げよ。伝説の終焉の日は近く、我が円卓の穴は大きい。
 さあ―――存分に力を奮い、剣を揮え。殺戮の饗宴(デスゲーム)の名の下に」



暗闇が晴れる。
だが誰も、周囲に犇めく者達に注意は払えなかった。
彼らの視線を釘付けにしていたのは、宙に浮かぶ王と、その周囲を回る巨大な円卓。
数人の騎士が座につき、それより多い数の騎士が、円卓から首を釣って、床に足をつけずに絶命していた。

「伝説は劣化し、歪曲し、絶滅する定め。語る者も、伝うる者も、説く者もいずれ滅びる運命ゆえに」

王は語る。円卓に空いた、耐え難い穴を埋めるため、貴公らの中で最強の剣士を決める、と。
若き―――語られて間もない、未だ赤子と言ってもいい伝説たちは、その言葉に往々の反応を示す。
彼らとて、剣を握り、剣に命を懸ける者。戦う事自体に依存はないが―――戦う相手が誰でもいい、
などと思っている者は、そう多くはなかった。憤懣する若人達を前に、アーサー王がため息をつく。

「若く、雄雄しい伝説たちよ―――余は、疲れている。本当に疲れているのだ。手間をかけさせないでおくれ」

王が、腰から抜き放った、何の変哲もない剣をクイ、と手首で揺らす。
その剣の造形はなんら特別な物ではなかったが、"架空世界に実在した期間"において、
この場に集められた全ての剣士の想像を超越する、"剣"の起源旧き一振り―――超旧剣(エクスカリバー)。
空間は一瞬で断絶され、円卓から吊り上げられていた騎士の一人が、王の話を聞いていた剣士に成り代わる。
吊るされた男の名は、黄金の鎧を纏うウルクの王の一貌――――英雄王ギルガメッシュ。
魂の質量も、所有する剣の数も、アーサー王の言葉に対する反感も、全てにおいて最大だった男。
外傷なく、恐らく痛みすらなく絶命した英雄王の姿が、残った者達の心をざわめかせる。
ここまで華麗に、剣で人間の命を奪えるものなのか?、と。
伝説がここに一つ消え、反抗が許されないと残った全ての伝説の心に刻み込まれた。

「"存在しなければならない"、という使命の重さ―――童たちに理解できるとは思わぬが」

だが、それはファンタジー(架空)が辿る明白なる王道。
旧き王に見初められた剣士たちは、一切の反論と行動を許されず、押し付けられた荷物と剣を離せずに、
やがて闇の中に消えていく。殺し合いの舞台へと、数多の剣となって。

「――――――余は、待とう。唸る獣を侍らせながら、騎士の無聊を癒しながら。
 埋まるべき円卓が埋まるのを、待ち続けよう―――……。」

かく語られた王が、再び闇に消える。
捧げる剣を既に持たぬ騎士たちも、血と泥に塗れた円卓も。

さあ、始めよう。
剣で殺し、剣で生かし、剣で奪い、剣で与え、剣を信じ、剣に認められ、剣の主が、剣に滅ぼされる物語を。
ファンタジーが汚れる様を、しっかとその目に焼き付けよう。
その末路に残るのは、果たして忠義深き騎士か、怨憎極まる亡霊か。

―――剣は、既に振り上げられた。



【主催者:アーサー・ペンドラゴン@アーサー王伝説】
【見せしめ:ギルガメッシュ@Fate/stay night】
【目的:若き伝説の中から、欠けた円卓に入れるに相応しい者を選別する為に彼らを殺し合わせる】