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荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐 ◆LwWiyxpRXQ


強さとは、力がある事ではない。優れている事でもない。
大きい事でも勢いがあることでもない。弱くないとういうことも負けた事を意味しない。
強さとは結局のところ、他の何者との関係の無い、それ自体が独立した概念であり、
それを手にいれようとするならば、
勝利や栄光といった他の全てを犠牲にする事を覚悟しなければならない
                            霧間誠一(-孤独と信念-)


1

不気味に三日月が輝く夜空の下、そこには無骨な橋があった。
流れゆく水の音をBGMにしながら、無機質な石造りの橋の上に立つ二人の人間が居る。
片や落ち着いた雰囲気を持つ初老の男。その腰には二対の剣が刺さっている。
片や鎧兜に身を包んだ鋭い目付きの男。その瞳はまっすぐと敵に向いていた。
彼らの共通点は眼帯をしていることだった。

二人の距離は決して遠くない、かといって近くもない。
剣を交えるには少しだけ、ほんの少しだけ遠い。そんな距離だった。
恐らくどちらかがあと一歩でも踏み出せば、次の瞬間には戦いの火蓋が切って落とされるだろう。

「ふむ、折角拾った命をわざわざ捨てに来たのかね」

最初に口を開いたのは初老の男だった。
厳しい口調で放たれた、明らかな挑発に対してもう片方の男はHA! と吐き捨てるように笑い、険しい眼差しと共に言葉を返す。

「あんたに負けたままにしとくワケにはいかないだろ、King」

そう堂々と告げる男の名は伊達政宗。
相対するは数時間前に邂逅した強敵、キング・ブラッドレイ。
前回見せ付けられた圧倒的な強さを前にしながら、全く臆する様子はなかった。

リンディスと別れて街を出たブラッドレイと、彼を追って北へ向かっていた正宗は再び出会うこととなった。
そして、それが意味することは即ち、闘争。

「下らぬ自尊心に縛られ死を急ぐか」

その言葉と共にブラッドレイは鞘から剣を抜く。
同時に政宗も黒竜を構え、戦闘態勢に入る。

「ゆくぞ、小僧よ」
「奥州筆頭、伊達政宗――推して参る」

そうして二刀と雷鳴の二度目の激突が幕を開ける。
その果てにあるものは――――――


最初の一歩を踏み出したのはどちらだっただろうか。
地面を蹴る音から遅れること0.1秒、キィンと剣と剣のぶつかる甲高い音がそれに重なった。
そして、それから連続して剣がぶつかり合う音が続く。
音と音の間は均等ではなく不規則で、しかし途切れることはない。

政宗が黒竜を振るう。その一撃は鋭く、疾風のようにブラッドレイへと吸い込まれていったが、ブラッドレイはあくまで冷静にそれを受け流す。攻撃がいなされたことを知った政宗は、再度の攻撃に移る――前にブラッドレイが動き、隼の剣を走らせた。

「Shit!」

強引に体勢を変え、政宗は一撃を避ける。ブォン! 耳元を掠めた刃が空を裂き、そんな音を響かせた。回避は成功だ。しかし、ブラッドレイの剣はまだ残っている。もう一つの隼の剣が迫り、政宗はそれを何とか黒竜で受け止める。キィン。高い音。そして、衝撃。

「ふん!」

ただでさえ不完全な体勢だった政宗が一撃を完全に受け止めることなどできる筈もなく、ガードごとそのまま吹っ飛ばされた。追い討ちを掛けるべく動いたブラッドレイだが、防御しきれないと悟った政宗は衝撃の直前、敢えてその身から力を抜き、衝撃に身を任せた。
その結果、ブラッドレイの目測以上に距離が開き、剣は空を切った。
まさに紙一重の回避。そして、攻撃後の一瞬の隙を見逃すことなく、政宗は叫ぶ。

「HA!」

言葉と共に雷撃を打ち込んだ。
稲妻が空間を駆け抜け、爆音と共に衝撃がブラッドレイを襲い、砕かれた橋の破片が舞う。
やったか。政宗は吹き飛んだ身体を素早く立て直しながら、内心でそう呟いた。

「流石の威力だな。雷鳴の錬金術師よ」

だが、煙の中から聞こえた声が、戦闘の終了を否定する。
ぞわり、と政宗の背中を恐怖に酷似した感覚が駆け巡り、考えるよりも速く、本能に従うままに黒竜を構えた。

「だが、私を超えて王を名乗るにはまだ遠いな」

それが政宗の命を救うことになる。放たれた声を認識した時、目の前には既に凶刃が迫っていた。何度聞いたか分からぬ甲高い金属音が響かせながら、何とかそれを防御する。
しかし、ブラッドレイの猛攻は留まることを知らず、次の瞬間には既に二撃目が来ている。
キィンキィンキィンキィンキィンキィン。刃は次々と放たれ、鋭く、強く、そして疾い。
まさに隼のように攻撃は続き、政宗は身を守ることで精一杯だった。

剣の嵐の中、政宗はブラッドレイの顔に違和感を覚えた。眼帯だ。先ほどまで目を覆っていた眼帯がなく、その紅い瞳が晒されている。

(ッ! やっぱ、あの眼。あれがこいつのcrazyな動きを可能にしてやがる)

政宗は思い出す。一度目の戦いの際の驚異的な動きを。
特に眼帯を外した後の、あらゆる物を見切るような動きは圧倒的であり、一度自分は敗北したのだ。
状況は明らかに政宗に不利だった。ブラッドレイの攻撃に対し、政宗は防戦一方であり、次の瞬間には刃が身を切り裂いてもおかしくない。
そして、一度目の戦いで己の身を救ったイナズマはこの場に居ない。
政宗の額に冷たい汗が流れ、しかしそれを拭う余裕などある筈もなく、つぅと流れ落ちた。

「小僧、そのような体たらくで王を志すか」

ブラッドレイは冷たく言い放つ。
対する政宗はニヤリと笑い、ブラッドレイの剣を捌きながら、臆することなく言った。

「独眼竜は伊達じゃねえ、you see?」

そして、動く。守りに徹していた政宗は、その言葉を放つと同時に攻めに転じた。
黒竜を放ち、刃がブラッドレイを捉え、まさにその身を斬ろうとするが――

「自棄になり、勝負を捨てたか」

赤い鮮血が舞った。
ブラッドレイの瞳がその隙を見逃す筈もなく、剣は政宗の左腕を抉っていた。
政宗の全身を痺れるような痛みが駆け巡り、悲痛な声を漏らした。
だが、その顔の笑いが消えてはいない。

「OK, Are You Ready?」
「ぬ……!」

そして、閃光。


3


橋が光に包まれた。
次の瞬間、爆音と共に石造りの橋が崩壊していく。
政宗が雷撃を放ったのはブラッドレイではなかった。仮にブラッドレイを狙っていたとしても易々と避けられていただろう。
狙ったのは橋だ。
それも既に一度雷撃を放った部分、即ちたった今政宗とブラッドレイが居る場を。
結果、爆音と共に橋は砕けることとなる。

「………………」

足場を失ったブラッドレイは、重力から開放される浮遊感を味わいながら険しい視線で周りを見渡した。
辺りは未だ暗く、加えて舞う土煙、視界は決して良いとは言えず、橋に戻ることは至難の技だろう。
しかし、水に落ちる訳にはいかない。それは致命的な隙になる。
ならば、取るべき道は一つ。

一秒にも満たない思考の末、ブラッドレイは視た。
憤怒のラース。ホムンクルスとして与えられた目を用いて、世界を深く覗く。
あらゆる物が遅く感じられ、崩れ行く橋、宙を舞う石の欠片、空気の流れさえも見切った。ブラッドレイはそこに一つの線を視る。

それからの行動は迅速だった。
足の筋肉を動かし、空中に飛び散っている橋の破片を仮の足場に跳躍する。
一歩、二歩、三歩、四歩。破片から破片へと飛び移り、空を歩いていた。
最強の目が視せた道を辿り、ブラッドレイは再び橋へと戻ろうと――

「HA! やっぱあんたはcrazyだな!」
「ぬ……………!」

声がした。
そこにいたのは黒竜を振りかぶった伊達政宗。
月日に照らされ、奇妙な光を纏った剣を振りかぶっている。

普段のブラッドレイならば難なく避けられただろう。
それどころかそのまま反撃に転じ、それで勝負が決まったかもしれない。
だが、今この状況では無理だ。
今のこの不安定な足場では、動きようがなくその場に留まるしかない。

ブラッドレイの目はあらゆる物を視ることだけで見切ることが出来る。
故にどの道が最も無駄なく橋へ帰るかも分かる。分かってしまう。
だから、今の政宗には分かるのだ。ブラッドレイがどの道を通るかが。

一番無駄のない道に必ずブラッドレイがいる。
大体の位置さえ掴めれば、襲撃は簡単だった。

迫り来る刃を認識したブラッドレイが選んだのは、回避でも防御でもなく反撃。
前も後ろも右も左も行けないのなら、その場に留まるしかない。
故にブラッドレイは政宗を迎え撃つべく、隼の剣を振るう。

時間にすれば1秒にも満たない刹那の空中戦が始まり、剣が交錯する。
勝ったのは―――



政宗は己の身体に衝撃を感じた。
左だ。ブラッドレイの刃が彼の身体を弾き飛ばしていた。
政宗の左腕は一度目の戦いでダメージを受けており、そしてこの戦いの中でも裂傷を負っている。
その負傷が、左腕をほんの僅かに動きを遅らせた。
その隙をブラッドレイは見逃さなかった。

「―――――ッ!」

政宗は声にならない叫びを上げ、自分の攻撃が失敗したことを知る。
とはいえ、その足場の崩れた場からの不安定な太刀筋だったことが幸いして、致命傷には至っていない。
痛みを堪えて、跳躍し何とか橋へと戻る。
途中落ちていくブラッドレイを見つけた。
どうやら橋に戻ることは諦めたらしく、このまま川へ落ちるつもりらしい。
ブラッドレイならばこの高さからのダイブなど容易にやってのけるだろうし、今の政宗の状態では追い討ちを掛けることもないと判断したのだろう。

二度目の戦いは終わり、自分は手負いで相手は無傷。
自分は再び負けたのだ。

「HA!」

自嘲気味に笑い、空を仰いだ。
夜明けが近くなっているのだろう、三日月は今にも落ちようとしていた。


4

バシャ。
そんな音と共にブラッドレイは川から這い出る。
そして、そのまま歩き続けようとした所で――膝を付いた。
その息は荒く体力の消耗を感じさせる。

「やはり年だな……」

そう漏らしながらも動く様子はない。
度重なる連戦、最強の目の酷使はブラッドレイをかなり消耗させていた。
あれ以上長引けば、危なかっただろうとブラッドレイは判断する。
夜明けも近い。しばらくは体力を回復するべきだろう。

膝を付き、しばしの休息を取っていると自分の手に赤い線が浮いていることに気づいた。
それは血だった。どうやら先ほどの退けたと思った空中での一撃は当たっていたらしい。
無論、かすり傷に近い、ブラッドレイからしたら何でもないものであるが、一撃には変わらなかった。

「ふむ………」

今日既に二度戦った青年の顔を思い出しながら、ブラッドレイは一人呟く。
もう一度戦うことになるかもしれない。そう理由もなく思った。


【D-4 川の周辺 一日目 黎明】

【キング・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
【状態】疲労(大) ダメージ(中)
【装備】隼の剣@DQ2、隼の剣@DQ2
【道具】基本支給品×2、ランダムアイテム(個数、内容ともに不明)
【思考】基本:『お父様』の元に帰還するため、勝ち残る。
 1:とりあえず人を探す。
 2:介入してきた主催者への怒り。
3:休息を取る。
【備考】
 ※『最強の眼』を使用している間は徐々に疲労が増加。



【D-4 橋 一日目 黎明】

【伊達政宗@戦国BASARA】
【状態】疲労(大)、左脇腹に裂傷(応急手当て済み) 、左腕に裂傷
【装備】黒竜@戦国BASARA
【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、内容ともに不明)
2:次回放送時に伊達政宗とD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する)
 【思考】基本:主催者の首を獲る。誰だろうと挑まれれば受けて立つ。
 1:島の北側を探索して殺し合いに乗らない参加者や首輪を解除できる者を探す。
 2:次回放送時にイナズマとD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する)
 3:ブラッドレイを倒す。
 4:イナズマにいずれ借りを返す。
【備考】
※橋の一部が崩れましたが、通行に支障はありません。





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