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狂戦士 ◆OnZTQOLVaU



セフィロス、クレアとの戦いを終え、アスカロンを解体していたガッツの前に、新たな人影が現れた。
鞘に入ったままの剣、フランベルジュを肩に担いだ黒髪の青年ユーリ・ローウェルである。
ガッツは少しだけ軽くなったアスカロンを構えた。

「てめえ、あの女の言いなりになるってのか」
「俺は急いでるんだ。さっさと帰りたいんだよ」
「そうか、だったら遠慮はいらないな!」

ユーリはフランベルジュを抜いてガッツへと走り出した。
ガッツはアスカロンを構え、横薙ぎに振るう。

ブゥン!とアスカロンが風を切る。
だがユーリは素早くしゃがみこみ回避していた。

「そんな大振りの攻撃に当たるかよ!」

ユーリがガッツに切りかかる。
ガッツはとっさにアスカロンから左手を放した。

キィン!

甲高い音を鳴らしユーリのフランベルジュは根元あたりをガッツの左手に受け止められた。
鋼鉄の義手と剣が噛み合い火花を散らす。

「くっ、鉄の腕だと!」

勝負あったと思ったユーリはガッツの反射神経と義手に驚いた。
だがガッツもまた、ユーリの意外な力に戦慄していた。

(こいつ、この細い体でなんて力だ!剣先を掴んでたら真っ二つになってたかも知れねぇ)

ガッツとユーリでは体格に大きな差がある。
ユーリも長身だがガッツは更に大きく、さらにドラゴンころしほどの大剣を片手で振るえる筋肉の持ち主でもある。
にも関わらず、ユーリは片腕でガッツとほぼ同レベルの怪力を発揮していた。


(どうする、アスカロンを構える時間はねえ……つっ!?)

義手と繋がった生身の部分に痛みが走った。
切られたかと思ったがそうではなく、ユーリの剣とそれを掴んでいる義手が発熱していたのだ。
炎の魔剣フランベルジュが放つ炎はガッツの鋼鉄の義手へと高熱を伝導し、生身の部分にまで達していた。

「隙だらけだぜ、烈破掌!」

ガッツの気が緩んだ瞬間を逃さずユーリのもう片方の手がガッツの腹へ強烈な掌打を放った。
ガッツはアスカロンから完全に手を離し、右手で防御する。

「ぐおっ!」

どでかいハンマーで殴られたような衝撃がガッツを襲う。
一回り以上も大きいガッツの巨体が、ユーリの一撃で吹き飛んだ。
民家の壁へと激突し、さらに壁を突き破って屋内へと叩き込まれるガッツ。

「がはっ……」

ガッツは血反吐を吐いた。
ユーリの攻撃は頑丈な甲冑を砕いてガッツの肉体にダメージを与えていた。

(ちっ、烙印が反応しないから人間かと思ったが使徒並みの馬鹿力だと?)

ガッツは剣を手放したことを後悔し、立ち上がって辺りを見回す。
手頃な武器はないかと視線を窓の外へ向けたとき、ガッツは絶句した。
そこにはガッツが落としたアスカロンを振りかぶるユーリの姿があったのだ。

「冗談じゃねえ!」

今にも振り下ろされそうなアスカロン。その威力はガッツも十分に知っていた。
両手で顔をふさぎ窓へと飛び込むガッツ。
その一瞬後に、民家はまるで爆撃でも受けたかのように一瞬で粉々に破壊された。
ユーリはアスカロンをただ振り下ろすだけでなく、風の力をまとわせて叩きつけたのだ。
ただでさえすさまじい重量のアスカロンに爆風の衝撃波が加わり、その威力はもはや剣技の域を超えていた。
飛んできた瓦礫に全身を打たれ、ガッツは路上へと叩きつけられた。

「ぐ……」
「勝負あったな」

ガッツの鼻先にユーリの剣が突きつけられた。
アスカロンではなく、ユーリが元々持っていた剣だ。

「お前にどんな理由があるのか俺は知らない。だがロワの言いなりになって人を殺すっていうなら、その前に俺がお前を殺す」
「……その声、どっかで聞いたな。そうだ、あの金髪の……フレンとかいうやつの名前を呼んだのはてめえか」

あのときガッツはロワを使徒、もしくはゴッド・ハンドの一人かと思い大砲で撃つべく機会を伺っていた。
フレン・シーフォが割って入ったことによりその目論見は実行に移されなかったが、もしそうならなければガッツが死んでいただろう。
だからフレンの存在は多少印象に残っていたのだが、ガッツは一体なぜあの金髪の男がフレンという名前だと知っていたのか。
それは誰かが彼をフレンと呼んだからだ。
その声は、今ガッツの目の前にいる男の声とよく似ていた。思い出してみればその後ロワと会話していたのもこの男だったはずだ。
フレンの名前を出すとユーリの決意に満ちた瞳が一瞬泳いだ。

「で、俺を殺してどうするんだ?結局てめえもあのフレンってやつを生き返らせるために最後の一人を目指すんじゃないのか」
「一緒にするな!俺は……俺はあいつを救うために誰かの命を奪ったりはしない!」
「そりゃご立派なこったな。つまりあのフレンってやつはお前にとってその程度の価値しかなかったってわけだ」
「……!」

不敵に笑い吐き捨てるガッツ。怒りのあまりユーリの顔がさっと赤くなる。
不利な状況をわかっていてガッツはあえてユーリを挑発していた。
ユーリは冷静なように見えて実はフレンの死をまだ乗り越えられていない。
戦いに没頭することで目を逸らしているだけだ。鷹の団が壊滅した後のガッツのように。
自分も経験したことのある痛みだから、ガッツはその辛さを知っていた。
だからこそ、ユーリのその傷を抉るのだ。

「知った風なことを……言うなぁっ!」

ユーリはガッツの鼻先に突きつけていた剣を大きく振りかぶった。
そのまま突いていれば死にはしないまでもガッツに残された片目を潰すことくらいはできただろう。
だがフレンの死を愚弄されたと感じたユーリはそれだけでは済まさないと、一刻も早くガッツを殺そうと全力の攻撃を放とうとした。
冷静さを失えば、いくら熟練の剣士だろうといくらでもガッツの付け入る隙があった

(今だ!)

ガッツは転がってユーリの攻撃を回避し、同時にバッグから奥の手を取り出した。
それは先端にフックのついた機械。
遺跡発掘の専門家トレジャーハンター御用達のワイヤーフックである。
持ち手の引き金を引くと、駆動したモーターが先端のフックを押し出した。
フックは瓦礫の中へと突き刺さる。
振り返るとユーリはガッツに止めを刺すべく全身の力を剣に集中させていた。

「絶風刃!」
「遅え!」

風をまとったユーリの剣がガッツを捉える前に、ガッツはワイヤーフックの引き金をもう一度引いた。
するとモーターが唸りを上げてワイヤーを巻き戻す。
その馬力はすさまじく、ガッツの巨体を引っ張って移動させた。
ガッツはそのまま民家へと侵入しアスカロンを拾い上げる。

「逃がすか!」

ユーリが追ってくる。だがガッツにも逃げる気などなかった。
たとえ使途ではないただの人間が相手だろうとガッツは手加減しない。
一度剣を向けたら後はどちらかが死ぬまで全力で戦う。それが剣士だ。

「オオオオオオっ!」

アスカロンを振り回し遠心力をつける。
そのまま、近寄ってくるユーリを狙い……ガッツはアスカロンから手を放した。
たっぷり遠心力のついたアスカロンは回転しながら飛んでいく。
途中にあった民家をすべて破砕しユーリへと迫るアスカロン。

「烈砕衝破!」

なんとユーリはその攻撃を回避せず、迎撃を選んだ。
地面から発生した衝撃波がアスカロンを下から突き上げる。
軸をずらされ、アスカロンはユーリの頭上へと進路を変えて通り過ぎた。

「これでお前は打つ手なしだ!大人しく……」

武器を手放したガッツにもう戦闘力はない。
とどめを刺そうとガッツを睨みつけたユーリの呼吸が止まった。
ガッツはすぐ傍にいたのだ。
すぐ近く……ガッツの鋼鉄の拳が、ユーリの腹へと叩き込まれるほどの距離に。

「が、は……っ!」

ユーリがガッツに使った烈破掌に勝るとも劣らない威力の打撃。
違いはガッツがすさまじい加速を得ていたことだ。

「勝負あったな」

ガッツはユーリが取り落とした剣を拾い、吐血するユーリの背に突き刺した。
ユーリ・ローウェルは心臓を貫かれ、その意識は一瞬で途絶した。
苦しまずすぐに死ねるよう心臓を狙ったのは、ガッツなりの敬意の表しだった。

「名前くらい聞いときゃよかったかな」

ガッツはアスカロンを投げた後、すぐさまワイヤーフックを構えた。
ユーリほどの猛者ならばアスカロンを防ぐかも知れない、その保険として。
アスカロンがユーリを倒せればよし、避けられたらアスカロンへ向けてワイヤーフックを撃つ。

「しかしワイヤーフックか。こいつは使えるな」

アスカロンの総重量は200キロ。ガッツが解体して軽くなったとはいえ、それでも150キロはある。
ガッツは長身だがその肉体は鍛えられ絞られている。
1グラムも余計な脂肪はなく、アスカロンの方が重かった。
だからアスカロンにワイヤーフックを引っ掛けても、移動するのはガッツの方だったのだ。

ユーリのバッグを漁ると、ユーリに支給された剣と道具の説明書きがあった。
剣の名前はフランベルジュ、炎の魔力を持った魔剣。
といってもガッツが振るうには少し軽すぎて物足りない剣だった。
予備には使えるかとフランベルジュを腰に挿し、ガッツはユーリの左手に巻かれたブレスレットへと目を向ける。
それはパワーリストというらしく、つけたものの腕力を増幅する力があるらしい。
ガッツと拮抗するほどの力をユーリに与えたものの正体はこれだった。
さっそくユーリからパワーリストを剥ぎ取って右手へと装着し、アスカロンを持ってみるガッツ。

「……こりゃいいな。さすがに重さを感じなくなるってわけじゃねえが、ドラゴンころしを持ってるときと大して変わらねえ感じだ」

ガッツは上機嫌でアスカロンを担ぎ直した。

「さて、さすがに疲れた。とりあえず休むか……狩りはまた夜になってからだ」

ガッツは休める場所を求めて歩き出した。
朝は魔が弱まる時間。ガッツが唯一剣を置ける時間なのである。




【ユーリ・ローウェル@テイルズオブヴェスペリア 死亡】


【F-2 市街地/一日目/黎明】

【ガッツ@ベルセルク】
【状態】疲労(中)、全身にダメージ(小)
【装備】アスカロン@とある魔術の禁書目録、フランべルジュ@テイルズオブファンタジア
【道具】支給品、ワイヤーフック@ワイルドアームズF、パワーリスト@FF7
【思考】基本:優勝してさっさと帰る
 1:とりあえず 出会った奴は 斬り伏せる
 2:休める場所を探す
【備考】
アスカロンはなんかいろいろやって50kgくらい軽くなったようです
ワイヤーフックは10メートルほど伸びる射出形のフックです。うまく引っ掛けて巻き戻せば高速で移動できます
引っ掛ける対象が固定されておらず、自分より軽いものなら引き寄せることもできます



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