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我刀・ノヴァ◆s4f2srXljQ



志葉丈瑠は侍である。
世を乱す外道を覆滅するため剣を執る、いわば人類の守護者。



クレアはクレイモアである。
人を捕食する妖魔に対抗すべく妖魔の肉から生み出された、いわば同属殺し。



ノヴァは勇者である。
世界を闇に堕とさんとする魔王軍と戦う、人呼んで『北の勇者』。




本来存在する次元の違うその三者が、何の因果か一堂に会す。
人を守り悪を倒す、という点では目的は同じ。

だが何を持って悪と見なすのか。
その基準は三人ともが違うものだった。


  ◆  ◆  ◆


「妖力が……うまく制御できんな」

クレアは銀髪の男と黒い剣士から逃れた後、民家に身を隠し身体の調子を確かめていた。
黒い剣士によって断たれた右腕は回収できていたので、妖力を解放し治癒力を高めるという実にクレイモア的な施術を行おうというのだ。
本来攻撃型に分類されるクレアにとって治療行為はどちらかといえば不得手なのだ。
だが幸か不幸か以前にも同じ経験があったためコツは掴んでいた。
時間さえあれば問題なく繋げられるだろう――と、思っていたのだが。

「たとえ繋がったとしても握力が戻るまでしばらくかかりそうだ……フン、この首輪のせいか?」

体内で妖力をコントロールしようとすれば、首輪のある部位で急に制御が乱れてしまう。
先ほど戦っていた時には感じなかったということは、おそらくこのような治療行為を妨害するための処置なのだろう。
考えてみれば当然だ。
クレアはクレイモアだからこそ四肢の断裂という事態に直面してもその部位さえ損壊していなければ繋げ直すことができる。
もちろんそんな真似は人間にはできない。
人間の中には下位メンバーに匹敵する達人が稀にいるという話だが、そんな例外はあくまで一握りだ。
そう、先ほどの黒い剣士のようなイレギュラーを別にすれば人間がクレイモアと戦うことなどできるはずがない。
この島に集められたものは大半が人間だったと、クレアの嗅覚は看破していた。
クレイモアや妖魔といった超越者に人間が一方的に虐殺されるのを防ぐための処置と考えると妥当ではある。

「限界を超えればあるいはこの首輪とて破壊できるかもしれんが……そうなったときの私は間違いなく覚醒者だな。
 まったく厄介なものを押し付けてくれる……」

クレイモアの体質ゆえ出血多量で動けなくなる、ということはない。血はすでに止まっている。
だが片腕を欠いたままでは身体のバランスが保てず、普段のような動きはできない。
そして右腕で放つ高速剣が封じられたのも痛い。
せめて左腕であれば戦闘力の低下はまだ小さかったのだが。

「腕を繋ぐ間、私はほぼ無防備だ。今の状況では迂闊に隙を見せるのは危険だな……」

なにしろ先ほどの銀髪の妖魔や黒い剣士が追ってくるかもしれない。
双方尋常ではない使い手の上、後者に至っては人間である。
人間を殺すのは禁忌とされているクレイモアに取り、あの剣士は最悪の相手といえた。

「せめて他の戦士が……ミリアやジーンがいれば――っ!?」

呟きの途中で鋭い殺気を感じた。
クレアは腕を抱えたまま窓へと跳躍する。
ガラスを突き破り地面を転がっていく。
その最中、轟音がクレアの耳を劈いた。
数秒前までいた民家が、木っ端のように打ち砕かれたのだ。

「一体何が……?」
「マヒャド!」

事態を把握しようとしたクレアを次に襲ったのは、氷結する地面。
地を這う冷気は瞬く間にクレアの両足を絡め取った。
攻撃されていると気付き剣を抜くクレア。
そのとき、間合いの外から近づいてきた人影があった。

「全身を凍結させるつもりだったが、マヒャドでこの程度の威力しか出ないとは……」

その人影は人間だった。
妖魔の匂いなどまったくない、掛け値なしに純粋な人間の少年だ。
ラキより少し年嵩だろうか。だがその瞳の色は紛れもない戦士の眼光を放っていた。

「だがまあいい。その足ではもうろくに動けまい」
「待て、私にお前と戦う気はない」
「お前になくてもこっちにはある。その暗黒闘気をこの僕が見逃すと思ったか、魔族め!」
「魔族……?」
「この僕に、“北の勇者”ノヴァに討たれることを誇りに思うんだな!」

人間――彼が名乗ったところのノヴァという少年は、何も持っていない腕で空を掴む。
さながら虚空の剣を握り締めるように――否。

「な、何っ……!?」
「僕には剣など与えられなかったが……フッ、むしろ公平というものかな。僕には伝説の武具すらも凌駕するこの力があるのだから!」

ノヴァの手の中に現れた剣。
クレイモアとして長く戦い続けてきたクレアでさえ見たことのない、それはまさに光の剣だった。
あふれる闘気を凝縮し、固定し、剣の形に練成する力こそ、ノヴァの唯一にして最大の武器。
さきほど民家を粉々にしたのもこの闘気剣の一撃だ。
ノヴァの闘気剣は全力で放てば城壁すらも一太刀で切り裂く。
人間の技でありながら、その威力は竜の騎士ダイが放つアバンストラッシュさえも凌駕する。

「さあ、受けてみろ! これが――!」

ノヴァが跳躍する。彼が頭上で掲げた剣が閃光を放った。
夜空に煌めく十字星。
クレアは残った左腕で剣を構えるものの、

(まずい……! あれは受け止められん!)

内心で敗北を確信していた。
よもや人間がここまで強力な技を操るとは。
あれが直撃すればクレイモアとて一溜まりもない。いいや、あるいは覚醒者すらも屠れるのではないか。

「ノーザングランブレェェェドッッ!!」

光が、落ちてくる――クレアはしかし視線だけは逸らさなかった。
たとえ身体を砕かれるとしても、心までは折れはしない。
その抵抗の証として。

だからこそ、クレアは見た。
クレアだけを見据えていたノヴァが、横合いから飛び込んできた赤い影に突き飛ばされたのを。

全力を攻撃に傾けていたため、ノヴァは地面に叩き落されるまで何をされたのか理解できなかった。
そしてこちらはひらり華麗に着地した赤い衣をまとった人物が、クレアの元へ駆け寄り手を差し伸べる。

「大丈夫か?」
「あ……ああ。お前は……?」
「話は後だ、その刀を貸せ」

とその青年はクレアの手から刀を取り上げ、クレアの足を固める氷へと一閃させた。
たちまち氷は砕けて崩れる。かといってクレアの足には傷一つついていない、それは絶妙な力加減で振るわれた一刀だった。
クレアは自由になった身体を確かめ青年から刀を受け取る。

「助かった。私はクレアだ」
「俺は丈瑠。……志葉、丈瑠だ」

志葉、というところで躊躇を見せたが、志葉丈瑠という人物は名乗る。
その手にあるのは何の冗談か柄と鍔だけの刀。
だが不思議と、刀身のない刀を構える姿は様になっていた。

「手を出してから言うのも何だが、人間同士で戦うな。俺達の敵はあのロワという外道だろう」
「む……言っておくが私は襲われた方だ。今回は先に手を出してきたのはあの少年だぞ」
「今回は?」
「……後で説明する。今は」

銀髪の妖魔のときは明らかにクレアから仕掛けたので口ごもってしまう。
だが確かに今はそんな場合ではなかった。
ノヴァが立ち上がってなおも戦意絶えぬ眼差しで睨み付けていたからだ。

「貴様……人間のくせに魔王軍に寝返ったのか!」
「魔王軍? 何を言ってる。俺は外道を倒すシン――」
「ええい、問答無用! この僕の邪魔をするというなら二人まとめて倒すまでだ!」

ノヴァが懐から取り出したのは、ミニチュアサイズの剣だった。
子供のおもちゃにしか見えないそれが、ノヴァの手の中で強烈な光を帯びる。

「くらえっ!」

投擲されたミニチュアの剣は、冗談じみた見た目からは想像もできない速さで丈瑠へと迫る。
横転し回避。剣は後ろで民家の壁に突き立った、かと思えばそれだけに留まらず、壁そのもの一気に打ち砕いた。

「“砕”のモヂカラか……!?」
「僕は闘気を自在に操ることができる。礫を砲弾に変えることなど容易い!」

瞬間、丈瑠のすぐ近くでノヴァの声。
視線を前に戻せばさきほど凍らせた地面を滑ることで高速で近づいてきたノヴァが、闘気剣を叩きつけてきた。
反射的に受け止めようとし――今持っているのが刀身のない刀だと気付いた丈瑠は一も二もなく地を転がって刃から逃れた。
追撃しようとするノヴァ。
だが二の太刀が走る前に、クレアが丈瑠の首根っこを掴み後方へと距離を空けた。

「大丈夫か?」
「ああ、助かった」
「お互い様だ。それより、どうする? 向こうはやる気のようだ」
「止めるしかないだろう。あいつは外道じゃない、人間だ。斬るわけにはいかない。二人がかりなら何とでもなる」
「私と同意見か。それはいいが、いいのか? 私も正確な意味では人間ではないぞ」
「お前からは外道という感じはしない……無論、後で話は聞かせてもらうが。今はあいつを止めることが優先だ」

ノヴァが怒りに燃える目で二人へと向き直る。
丈瑠が逃げるときに放り出していた刀身のない刀を、ノヴァが拾い上げた。

刀身のない刀。
敵を斬るのではなく、己を斬る刀。
己を測る刀
己を試す刀。
己を知る刀。

誠刀・銓。
『誠実さ』に主眼を置いて鍛造された刃なき刀。

丈瑠はこの刀を持って己を見つめ直し、迷いを断ち切った。
刀身がないからこそ、刃の持つ意味を持ち主に問う。
そこから何を見出すのか――それは人によって違う。
丈瑠のように進むべき道を見出した者もいれば、ノヴァのように、

「おおおおおおぉぉぉっ!」

「刀身のない刀」に自らの生命を注ぎ込み、戦う力として活用する者もいる。
自己を過信し、我を通すことこそ善であると信ずる傲慢。
輝きを増した剣が暗闇を激しく切り裂く。

「……あいつには刀身の有無など関係ないようだ」
「触媒があった方がよりあの光の収束率が高まる……厄介だな」

柄を得たことでその分の闘気を刀身形成へと回すことができ、切れ味も上がる。
ノヴァはこの島に集められた者の中でもただ一人、誠刀・銓を四季崎記紀の予想を超えて活用できる人間なのだった。



誠刀・銓改め、我刀・ノヴァ。
無垢なる刃が侍と戦士の前に立ちはだかった。



【G-2/市街/一日目/深夜】

【志葉丈瑠@侍戦隊シンケンジャー】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品、ランダムアイテム(個数内容ともに不明)
【思考】基本:争いを止めるため戦う。
 1:クレアとともにノヴァを止める。
 2:剣が欲しい。


【クレア@CLAYMORE】
【状態】右腕の肘から先を切断
【装備】絶刀・鉋@刀語、右腕
【道具】支給品、ランダムアイテム×1
【思考】基本:妖魔を狩り、この殺し合いの主催者の真意を探る。
 1:丈瑠とともにノヴァに対処。殺すつもりはない。
 2:とりあえず安全なところまでいって右腕を繋げる。


【ノヴァ@ダイの大冒険】
【状態】疲労(小)
【装備】誠刀・銓@刀語
【道具】支給品、ランダムアイテム×1
【思考】基本:『勇者』として『悪』を倒す。
 1:クレアと丈瑠を倒す。
【備考】
 ・この状況を魔王軍の仕業だと思っています。
 ・クレアの妖力を暗黒闘気だと思っています。


 ※レヴァンティン@魔法少女リリカルなのはシリーズ(待機状態)が地面に転がっています。






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004:漂う匂いを追いかけて クレア 042:受け継ぐ者へ(前編)
006:偽りと正当 志葉丈瑠 042:受け継ぐ者へ(前編)