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最強の聖剣◆ClAmicNkI



「今度の世界はどこなんだろう……」
頭に光るちょーちん、肩にはひつじを装備した妙にキラキラ光る衣装の青年はそう呟いた。
最早世界を跨いで移動するのは何回目になるのであろうか。
「きっと今回もどうにかなるさ!でも早く帰らないと美樹ちゃん怒るだろうなぁ」
いつもなら彼女である美樹を救う為に世界間を移動していたが、今回ばかりはどうも違うらしい。
剣の持ち主を選定する為に剣士を集めたと、ロワと名乗る女性は言っていた。
ならば剣士どころか、危なっかしくて刃物も持たせられない美樹が召還される理由は無い。
そんな彼女が安全な場所にいるという安心感が、健太郎の心を落ち着かせていた。
「剣士といえば、きっとランスさんも召還されているに違いない。ランスさんはきっと元気なんだろうなー(非情に空気読めてない)」
奇しくも同時刻、ランスは錆白兵に返り討ちに遭い息絶えていたのだが、健太郎はそんな事知る由もなかった。


「石さん、僕の愚痴を聞いて下さい。美樹ちゃんとのデートに行く途中この世界に無理矢理連れてこられたって愚痴を。
えっ、いつもラブラブ一緒に逃避行という愛のらんでぶーしてるじゃないかって?だからこそ待ち合わせ場所を決めてそこで落ち合うってデートが愉しみだったんですよ!
きっと今頃美樹ちゃんは寂しくてわんわん泣いてるに決まってます。下手すると怒って辺り一面を吹き飛ばしてるかも知れません。
いや、流石にそれは帰る場所がなくなるから困る……いやいやかといって寂しがっていてくれないとそれはそれで複雑な気も……」
運命さえも手繰り寄せる本当の強さを持った剣士を選び出すという儀式。
ロワが言ったようにまるで『ゲーム』の様なファンタジー設定だ。
ゲーム好きで、過去になんどか『剣と魔法のファンタジー世界』に拉致られた経験もある健太郎は、美樹が安全である事もあり今回の事態にも心を浮かせていた。
「っと、ずっと僕ばかり愚痴を話していたね。お礼に石さんの悩みの相談を聞いてあげよう!」
陽気な健太郎が目の前の巨大な石に話しかける。
勿論石は何も話しかけてはこない。
健太郎自身も石の声が聞こえる能力がある訳でもない。
健太郎にどうして石なんかに話しかけるのかと問いかければ、こう答えが返って来るであろう――「話さないといけない気がしたからさ」と。


           ◆           ◆           ◆

太正時代から召還された着物と袴を着こなした少女、真宮寺さくらは隠れながら相手の様子を窺っていた。
取りあえず遠くから見えたモニュメントを目標にこちらに来てみたのだが、近くまできてようやくその正体が理解できた。
縁があまりなくて気がつくのが遅れたが、とんでもなく巨大な西洋の墓である。
大きさは民家二件を縦に積んだ位の大きさであろうか。
巨大すぎて近づき過ぎても、巨大な石としか認識できないであろう墓の近くで、見るからに怪しげな格好をした青年が鼻歌交じりに穴を掘っていた。
墓の近くで穴を掘っているとなれば、それは墓穴であろう。
日本にも土葬という文化は深く根付いており、容易に想像する事ができた。
墓穴を掘っているという事は、誰かを埋めるという事である。
だが目の前の青年からはこれっぽっちも悲痛な感情が見えてこなかった。
つまりは――彼が人を殺してそれを隠蔽する為にわざわざ墓の近くに埋めようとしているのではないか。
「大神さん、勇気を分けてください……」
心の支え、愛する人の名前を呟き少女は腰に差している剣を握りしめた。

「北辰一刀流真宮寺さくら。遅ればせながら、この島の平和を守る為参ります!!」
馬鹿正直に名前と流派を叫びながら少女は、青年に向かい駆けていく。
腰に差した一本の西洋刀の重さを確かめながら、居合いに好ましい位置に剣をもっていく。
西洋刀は本来ならばその重さと丈夫さを利点とし、日本刀とは異なり力任せに殴打し、鎧ごと破壊する事を目的とした武器である。
そんな事は両手で構えないと刃筋すら安定しない程の重量と、刃から柄の部分まで同じ一つの金属から鍛え上げられているという製造法からさくらでも推測できた。
しかし手元に武器はこれしかないのだ。
いつも愛用していた真宮寺家に代々伝わる家宝、霊剣荒鷹はこの場所にない。
ならば自分の持てる技を出し切り、この武器の特性を引き出すしかない。
つまりさくらが選んだ戦術それは――西洋刀の重量を利用し、遠心力を利用し相手を叩き斬るという事。
ステップは遠心力に引っ張られる剣とは反対の方向に踏みしめ、下段から一気に相手を斬り上げる。
さくらの名乗りで健太郎が振り向いた時には、もう西洋刀の刃が健太郎の目前まで迫っていた。
咄嗟に身体を後方に捻り、剣が描くであろう軌跡から脱出しようとした健太郎であったが、さくらの有する剣は物理法則を無視した動きで健太郎に追尾してきた。


――しかし。
「いてっ!何で急に襲いかかってくるんですか!」
重さも速さも乗った一撃必殺の攻撃は、生身の身体によって跳ね返された。
手応えは十二分にあった。
しかし相手にはまるでダメージを与えられていない。
物理法則を無視した展開にしばし呆気に取られていたさくらであったが、とある事実にようやく気がついた。
「す、すいません。あたしてっきり……」
墓の周りに穴が複数個存在するが、死体が一つも無い事に。
「僕が無敵結界持ちだから良かったものの、普通の人だったら死んでたよ」
さくらの振るった剣が当たった場所をさすりながら健太郎は不満を漏らした。
健太郎からしてみればほんの一ダメージ程の痛みであったが、勘違いとはいえ急に襲われたという不満は募る。
「あの……、こんな事言えた立場ではないのでしょうけど、お墓の近くで楽しげに穴を掘ってる方も悪いと思います」
「だってこんな広い草原に一つだけって、お墓が寂しそうじゃないか。どのみちこれから沢山の人は死んでいくのだろうし、僕が穴を掘っておいてあげようと思ってね」
ほら一石二鳥じゃないか、と空気が読めない青年は微笑んだ。


「お墓があるって事は、この島で既に人が死んでるって事なのでしょうか」
「大きいって事は沢山の人を一遍に埋葬する為の慰霊碑に近い物だったのかな」
別に殺し合いにのってる訳ではない事、いつものさくらの早とちりだった事をお互いに説明し合った二人は、目の前の大きな建造物を見上げていた。
「一杯死んでる、つまりこの島での殺し合いは私達が最初って訳でもなかったのですね」
「人が一杯埋まってるとしたら、お墓は一つでも寂しくなかったのか」
どこか話が噛み合わない二人であったが、お互いに悪い人ではないという事は理解できた。
「それにしても無敵結界って凄いのですね」
心配になって傷口を見せて貰ったが、既に痣にもなってない。
無敵結界――それは物理・魔法の種を問わず、またどれほど凶悪な破壊力であろうと、お構いなしに外部からの攻撃の一切を無効化するという反則的なバリアである。
同じく無敵結界を持つ魔王、魔人同士や神や神の同族である悪魔には結界が中和され無効化されたり、リミッターの外れた勇者やカオス、日光といったルールを超越した武器でも無効化されたりはするが、弱点はそれだけである。


しかし健太郎は些細ではあるが重要な矛盾点を見落としていた。
無敵結界の弱点はそれだけである筈なのである。
しかし破邪の血統に属するさくらではあったが、悪魔でも魔王でも勇者でも神でもない歴とした一般人である。
そのさくらに些細とはいえど一ダメージ、確かに与えられたのだ。
物理・魔法の種を問わず、またどれほど凶悪な破壊力であろうと、お構いなしに外部からの攻撃の一切を無効化するという反則的なバリアをも超越する武器。
それは『通常攻撃が必中になり、与えるダメージは一になる』という幻の聖剣。
無敵結界も含めランスの世界は創造神ルドラサウムが全てのルールを管理していた。
だがそれ以外の世界のルールは別に存在したのである。
『何物をも無効化される』という概念と『必ず一ダメージ与える』という概念がぶつかり、後者の世界の概念が勝ったという事実。
即ち無敵結界を持っている魔人であろうとも、この世界では必ずしも不死ではないという事を。

――その最強の剣の名前は聖剣『エクスカリパー』。


【G-7 巨大な墓の下 一日目 深夜】


【小川健太郎@ランスシリーズ】
【状態】一ダメージ程の怪我
【装備】支給品の刀@不明、スコップ
【道具】支給品一式 ランダムアイテム(一つはスコップ)
【思考】基本:なるようになるさ!
1:美樹ちゃんに怒られない内に帰りたい。
2:さくらちゃんはうっかり屋さんだけど悪い人じゃないみたい。

【真宮寺さくら@サクラ大戦】
【状態】健康
【装備】エクスカリパー@FFV
【道具】支給品一式 ランダムアイテム(個数も種類も不明)
【思考】基本:この島の平和は私が守る!
1:大神さん、私に力を!
2:健太郎さんは何を考えてるかわからないけど、悪い人じゃないみたい。




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