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勇者、たつ!◆srgp..gN4g



「おおぉ…! これは……!」

一人の少年が鼻の下を伸ばしていた。
これでもかという程に伸ばしていた。

彼の名はニケ。
どこにでもいる、極々普通の勇者様だ。
わけの分からないまま殺し合いに参加させられたニケは、まず支給品の確認をした。
しかし箱を(鞄を)開けてビックリ。
そこには、際どいポージングをした女性が表紙を飾っている本が入っていたのである。
……いわゆるエロ本だった。


最初はニケも戸惑った。
自分のような純粋で汚れのない子供が、大人の世界に足を踏み入れていいわけがない。
それに、エロ本とお酒とタバコは二十歳になってから、とニケは心に決めていた。
……だが、『押すなよ!』と言われれば押したくなってしまうのが人間なのだ。
ダメ、絶対。と言われると逆にやりたくなってしまうのが人間の性だ。


結局、ニケは見てしまった。
だって仕方ないじゃない、人間なんだもの。



「………ふぅ」

どれだけ時間が経っただろうか。
エロ本を眺めていたニケが、パタンと本を閉じ唐突に立ち上がった。
ちなみに、やましい事はまだ何もしていない。

「少年漫画の主人公にこんなモノ支給するなーーーー!!!!」

そして、エロ本を片手に持って振り上げ地面に叩きつけた。
ツッコミである。
辺り一帯に響き渡る程の大きな大きなツッコミである。

「はあっ…はあっ……ったく、あのロワとかいうねーちゃんは何考えてんだ!
 清楚で優しそうなねーちゃんだなーとか思って見惚れてた結果がこれだよ!
 こんなもん役に立たないだろ常識的に考えて!」


その他にも色々と文句を言いながら、エロ本に背を向けるようにしてニケはどかっと腰を下ろした。
深呼吸をして気分を落ち着かせる。
今はふざけてる場合ではない。
状況を整理しなければならない。

「殺し合いか……。はぁ……ククリと旅をしてる途中だったのになー。
 今ごろアイツ慌ててるだろうな」

魔王ギリを封印してから約一年。
ニケはククリとパーティを組み旅をしていたはずだった。
それなのにいつの間にかこのような殺し合いに参加させられてしまっていた。
突然のニケの失踪に、今ごろククリは慌てふためいているに違いない。

「あのねーちゃんは剣士を集めたって言ってたからな。
 ククリもジュジュもオヤジもたぶんいないだろ。なら、急いで帰らねーとな…」

殺し合いに乗るつもりはない。
人を殺してまで自らの望みを叶えたいとは思わないからだ。
ニケの当面の目標は、この殺し合いから脱出することだ。
なんとしてでもオヤジやジュジュ、そしてククリが待つ元の世界に帰らなければならない。
先ほどから誰か一人忘れている気がするが、きっと気のせいだろう。

「そのためにはまず仲間を作らないとな。オレ一人じゃ脱出手段なんて思いつきそうもないし」

殺し合いに乗った奴に襲われた時のことも考えると、やはり頼れる仲間がほしい。
そう思ったニケは、早速仲間を探しに行こうとしたのだが、すぐに足を止めた。

「って、そうだ。まだ道具を確認し終えてないぞ。武器はないのか武器は」

最初に出てきた物のインパクトが強すぎたせいで、他の道具を確認するのを忘れていた。
まさか、支給品がエロ本のみなわけがないだろう。
これから仲間を探して歩き回らなければならない。
となると、最低でも自分の身を守れるだけの武器がほしかった。

「できれば扱いやすい小振りの剣がいいんだけどな。
 でもまあ、武器があればよしとするか。背に腹は代えられねーし」

とか言いつつも、心の中では短剣が支給されてることを願いながらニケは鞄を漁った。

「うおっ!? 重……いや長えよ!!」

ニケに支給されたのは短剣ではなく、2メートルほどの黒い長刀だった。
思わずツッコんでしまう。

『夜』
世界最強の剣士ミホークが愛用していた最上大業物の黒刀である。

先端へと少しずつ反り返っていく刀身をもったその刀は、見ようによっては十字架のようにも見える。
自分の身長よりも長い刀をニケはなんとか構えてみせた。
だが足元は覚束なく腕もプルプルと震えている。

「ふ、振れねーぞ……」

重量はそれほどではないのだが、あまりに長すぎてニケにはその刀を振るうことができなかった。
ましてや、この刀を持ったまま動き回ることなどできそうにもない。
屈強は戦士ならこの刀を使いこなすことができるのだろうが、ニケにとってこの刀は文字どおり無用の長物だ。
体が小さく桁外れの筋力があるわけではないニケにとっては最悪といってよいだろう。

素早さという盗賊のメリットがなくなってしまうため、ニケは刀をしまった。
2メートルを超す刀が鞄の中に入っていく様が冗談にしか見えなかったが、あえてそこにはツッコまない。
大人の事情というものがあるのだろう。
版権キャラの件も然り。

「オヤジなら……いや、やめとこう」

キタキタ親父がこの刀を尻に挟んで戦うという気持ちの悪い想像をしてしまった自分を嫌悪した。
彼なら本当にやってしまいそうなのが怖い。

「!! 待てよ、まさかオヤジも呼ばれてるのか!? 剣士じゃないけど盗賊のオレも呼ばれてるしな…もしかしたら……
 ってか盗賊呼ぶって人選ミスだろ!!」

心細さを隠すように、ニケはツッコミを続ける。
内心では、ニケも怖がっているのだ。
世界を救った勇者であるとはいえ、ニケはまだまだ子供だ。
これからどうなるのか不安で不安で仕方がない。
虚勢を張っていなければ、心が圧し潰されそうだった。

「……でも、そんな事言ってられねーよな」

使える武器も防具もない。
装備は貧弱……というか何もないけれど。
それでも、ビクビクと怯えて何もしないのは嫌だ。

今自分にできる事を精一杯やりたい。
そう思ったニケは辺りを見回し、あるモノに目を向けた。

「そうだ! これも、こうすれば使えるんじゃないか!?」

そう言ってニケが手に取ったのは、先ほど投げ捨てたエロ本だ。
するとニケは、それを服の中に忍び込ませる。
何ということでしょう。
全く使い道がないと思っていたエロ本は、即席の防具へと早変わりしてしまいました。

「わりと厚さがあったからな。これで少しは安心だろ」

これなら、腹部へのダメージを少しは減らせそうではある。
こうして、刀を鞄にしまいエロ本を装備した奇妙な勇者が誕生した。


【C-4/川沿いの平原/一日目/深夜】

【ニケ@魔法陣グルグル】
【状態】健康
【装備】スケベ本@テイルズオブファンタジア
【道具】基本支給品、夜@ONE PIECE
【思考】基本:この殺し合いから脱出したい。
 1:頼れる仲間をみつける。どこへ向かうかは次の書き手さんに任せます。
※参戦時期は魔王ギリを封印し、ククリと旅を始めてから1年経った頃。レベルも上がっている。


『夜@ONE PIECE』
ミホークが使っていた黒い長刀。
ミホークの身長が198センチで、それより長いので2メートルちょいの長さがあると思われる。

『スケベ本@テイルズオブファンタジア』
内容はその名の通り。
大した防御力はないかもしれない。




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