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中の人なんていませんよ◆s4f2srXljQ



「なんということだ……」

深夜のファミレスにて、一人の剣士が頭を抱えていた。
少女といって差し支えない年齢の女流剣士は、柄だけの剣、ライトセーバーをじっと見つめる。

「殺し合いだと? あの女、一体何者だ?」

殺し合い。
幾人もの剣士が斬り合い、最後の一人だけが生き残れる。
言葉にしてみれば単純だが、いざその場に立ってみると、重圧が胸を締め付ける。
剣士には、理由なくして人を斬れる者と、理由がなければ人を斬れない者がいる。
少女、桜咲刹那は後者だった。
彼女にとって剣とは、あくまで主君の為に振るうものであり、自己の所有物ではない。
仕える主の命以外で、剣を振るうことなど許されないと思っていた。

「だが……ここでは、否応無しに剣を振るわねばなるまい」

生きて帰る。自分の命は主にのみ捧げられるのだ。
信愛する主君の下に帰らなくては、と刹那の目が細まる。
非情に徹する事は、剣士であるのならば容易いこと。
だが―――本当にいいのだろうか。
この地に集う者たちが絶つべき魔ばかりであるとは考えづらい。
生き残るために、善良な人間を斬り捨てるなど言語道断。
自分の行動が神鳴流の名を汚すなど、刹那にとっては耐え難い恥辱である。
いやそれ以前に、かって一本の道具(カタナ)だった頃の自分ならともかく、
今の幸せを選んだ自分が、そんな冷酷な思考回路を維持できるのか。
迷いを捨てきれず、苦悶する彼女の耳に、ファミレスのドアが開く音が届く。

「誰だ!」

とっさにライトセーバーを構え、入り口を睨み付ける。
が、そこにいたのは殺気など微塵もない、白い学生服を着た青年だ。
気を緩めずに何者だ、と問う刹那に、青年は「静です」と名乗った。
刹那が静の腰に目をやる。目を見張る程の長さの日本刀を帯刀していた。


(……剣士か)

端正な顔立ちの青年は、未だ敵対感情を一切見せずに微笑んでいる。
腹に一物抱えているのか、ただの能天気な馬鹿か……。
刹那は見極めるため、ひとまず手近な席に座るよう促す。

「それはいいが」

「?」

「君も同じテーブルに着きなさい。それが礼儀という物だよ」




静と名乗った青年は、実に物静かで凛とした、秋風を感じさせるような人間だった。
彼の人となりを知ってからは、刹那としては無思慮に剣を向けた事に恥じいるばかりである。
一言詫びをいれ、現状の確認をテキパキと行う刹那を、静もまた清純な人物と認めたように見つめていた。

「では……シズさん。貴方もこの騒動の発端に心当たりはないのですね」

「ああ。まあ……頭に直接送られてきたルールから、動機や目的は理解しているが」

それは、刹那も同じ事であった。
この殺し合いの概要は剣士を争わせ、ロワという女が仕える剣の持ち主を決める――との事らしい。
故にこの場には剣士しかいないと考えていいだろう。

(……明日菜さんがいないとも限らないか?)

刹那は、自分の友人で最近メキメキと剣の実力を上げている一人の少女の顔を思い浮かべた。
生粋の剣士とは言えないかもしれないが、魔法世界でも通用するレベルの実力が十分にある人間だ。

(もしくはあの月詠や、ラカンさんが参加しているかもしれないな)

「……あそこで、知り合いを見かけたのかい?」

知り合いや敵を思い浮かべる刹那の怪訝な顔に気付いたのか、静が声をかけた。
最初にロワが参加者たちを集めて語りかけた時、刹那は突然の事態で彼女の話を聞くのが精一杯だった。
一方の静は冷静に周囲の人間を見定め、知り合いがいない事を確認していたらしい。
刹那が思い浮かべた者たちの事を話すと、静は目を閉じ、しばらく考え込むようなそぶりを見せてから、

「……それらしい人物はいなかったように思える。断言はできないが」

と、答え。
それを聞いてほっと息をつく刹那に、静は少し驚いたような声を出した。


「桜咲さんは、優しいんだね。こんな状況に追い込まれているというのに、他人の心配をしていたのかい?」

「や……優しいというよりは、甘いのかもしれません。いえ、甘くなったのではないかと……思い悩んでいます」



落ち着いて見ると、静はかなりのハンサムだ。
美丈夫を前に僅かな照れを見せながら、刹那が返答する。
自分は幸せの味を知ってしまった。だから、剣士として弱く、甘くなったのではないか……?
照れを覚えるような感情の機微もまた、刹那という人間が剣士から少女へと変わった事の証左であった。
本来、このような事を容易く人に打ち明ける刹那ではないが、ただ整った顔立ちというだけでなく、
学生服を着ていながら紳士の気品を感じさせるというかお前留年してるだろ的なオーラを出す静が、そうさせたのだ。

「成る程。君を一目見たとき、まるで研がれた抜き身の刃のようだと感じたのだが、どうやら誤解だったようだ」

「面目ありません……」

殺し合いの場まで来て、自分は一体何を言っているのか。
このような甘い心でどこを向き、何をする? ただの人間となってしまった自分に何が出来る?
刹那は自分が余りに意志薄弱になった事に、強い苛みを覚えていた。
だが。

「何を落ち込む必要があるんだい?」

「え?」

うつむく刹那に、静が暖かい声をかける。
それは、意外にも、肯定の言葉だった。

「私にも、自分が本当の自分ではないのではないか、などと思い悩んでいた時期があった」

「シズさんも……ですか」

「ああ。平和に生きている自分が、本当は人を殺す術だけに長けた、復讐の為に生きていた人間ではないか、
 とある学園で過ごしている、恵まれた"今"を楽しむ資格などないのではないかと―――」

「でもね、桜咲さん。そんな私に―――こんな言葉を教えてくれた人がいたんだ」

静は少しはにかみながら、刹那に諳んじた後輩の少女の言葉を教える。

『たとえ自分がどんな生活をしていても、自分を、自分のことを好きでいる限り、"その自分は良い自分だ"』

『そして今の私たちは、今の私たちにできる楽しいことと、自分のためになる事をすればいいと思います』

きっと、よほど心に残っていた言葉なのだろう。
静は反芻するようにその言葉の余韻に、自然と眉を上げていた。
刹那も、目を見開いてその言葉の真意を探る。



「君は変わったのかもしれない。だがそれはきっと、君の為になる事だったのだろうと、私は思うよ。
 その証拠は、そうだな―――君は、自然に笑顔を作れるようになってはいないかな?」

「……その、通りですね。今の自分の事は……好きです」

静の言う自然な笑顔を作り、刹那は気付いた。
主君と仰ぐ少女と、友達のように笑い合える……そんな自分が、大好きだと。
幸せを手放せないのは、それを甘受する自分を肯定しているからだ。
自分の気持ちと向き合い、しっかと肯定し尽す事で生まれる強さが、確かに彼女の体には宿っていた。
それは自分の意思に流されるだけの月詠の強さとも、
かっての自分、自分の思いを否定し、押し殺していた刹那の強さとも違う強さだ。

「君が出来る、君の為になる事―――それは、何だい?」

「ロワを倒します。そして、お嬢様の元に戻り―――そ、その。色々と」

「70点。もっと素直になった方がいいな、桜咲さん。正義の少女としては、ね……」

「あう」

たらりと汗をかいた刹那が、慌てて言葉の方向を修正し、「お嬢様を守る!」的な事を言う。
静は苦笑しながらも、そろそろ外に出て他の参加者と接触しよう、と提案する。

「こんな色気のない場所じゃ、デートにもならないからね」

「で、出る前に少し、顔を洗ってきます」

冗談交じりの静の言葉に顔を真っ赤にしながら、刹那はファミレスに備え付けられた洗面所に向かう。
蛇口を捻ると、僅かだが水が出始めた。顔を洗いながら、刹那は最初に静に出会えてよかった、と思っていた。

(シズさん……立派な人だ。私が自分の事で一杯一杯だったというのに、あんなに落ち着いていて……
 私の迷いを払ってくれた。あの人と一緒なら、この馬鹿げた殺し合いも止められるかもしれない!)

心機一転、決意を固めながら顔をタオルで拭う刹那。
だが、次の瞬間。思考の一瞬の隙をつくように、その音は店内に鳴り響いていた。

「……なんだ!?」

ガラスが割れるような音。
刹那は戸惑いつつも、ライトセーバーに気を送り、金色の刀身を出現させる。

「シズさん―――!」

十分に注意しながら洗面所を抜け、店内に戻ると、そこには―――。








「……カラス?」

バッサバッサと、ファミレスの質素な店内を覆い尽くすように、鴉の群れが飛空していた。
一体何が起こったのか……見れば、ガラス張りの壁が割れ、外に通じているではないか。

「誰かが侵入したのか……シズさ、ん、は……」

先ほどまで静が座っていた席に目をやる刹那の思考と言葉が同時に固まる。

そこには、静の代わりに変態が座っていた。
変態は頭の上になにやらおぞましい表情をした生き物の首を乗せていた(この生物の名はギップル)。
変態は頭の上に、狐の耳のようなものをも乗せていた。
それは片方だけではあったが、在るべき右耳の部分は黄色い羽で補っていた。
変態は顔の上半分を、「不忍」と大きく縦書きした、ヒビの入った面で覆っていた。
変態は上半身だけを、胸が大きく開いた、蠱惑的なメイド服で包んでいた。
変態は下半身の前半分だけを、腰蓑でガードしていた(紐で辛うじてずり落ちないようだ)。

その変態は、変態と呼ぶにも異形すぎた。嫌らしく、鮮明で、全部乗せで、そして何よりグロテスクだった。

それはまさしく超☆変態だった。

「ピンチだな!」

「何者だ、貴様ーーーーっ!?」

ガビーーーーン、と背景に大文字を出しながら困憊する刹那。
変態はおもむろにテーブルの上に上ると、そんな刹那を見下ろして大仰に名乗り始める。

「正義の少女がピンチのとき―――」

メイド服をたなびかせながら身をよじり、犯罪ギリギリなポーズを決める変態。下半身背部スッポンポン!

「今、一人の騎士が天空の彼方より舞い降りる!」

突如、ファミレスの店内に強力な風が吹き荒れた。
刹那のスカートが揺れ、テーブルが震え、椅子がなぎ倒された。(震度で言うと2か3くらい)
そして――――バタバタとはためく腰蓑の向こう側に見えてはいけない何かをチラ見せしながら、変態が名乗った。

「我が名は――――純白の正義の騎士!サモエド仮面!BLACK!Rァーーーッ!Xェッ!」

純白じゃなくね? との刹那の心のツッコミは当然届かず、所々黒い変態、サモエド仮面はテーブルから飛び上がる。
着地は見事に決まり、腰に手をついて刹那に向き直るサモエド仮面。



(……いや、向き直られてもっ!?)

「どうやら私に聞きたい事があるらしいな! お嬢せう、お名前を教えてくれたら君の質問に答えよう」

ぽかーんとしていた刹那に朗らかに交渉を持ちかけるサモエド仮面。
刹那は正気を取り戻し、何とかサモエド仮面に対応しようと、まじまじとその痴態を見つめる。
よく考えたら色々と聞きたい事はある。
静は何処に行ったのか、何故静の刀を持っているのか(腰蓑に挟んでいる)等など。
この存在テロに名前を教えるのはいやだったが、渋々言葉を返した。

「桜咲、刹那だ。貴様、シズさんをどこに―――」

「私の格好かい? ああ、君の考えている通りだ。普段の服装は没収されてしまったのでな! 私の支給品、
 『色んなアレのアイテムを順番にディバックに詰めてたら一個足りなくなって、仕方ないので欠損品をまとめて
  1セットにした、クーリングオフ不可ですがなにか?』を見繕い、このスタイリッシュな姿になったと言う訳さ!
 この支給品は壊れている、使い物にならないよと思ったが、どんな物でもリサイクルはできるのだよ?」

「そんな事は聞いていない! というか、壊れているのは貴様の頭だ!」

「では、何だというのだ、せっちゃん」

「あ?」

「せっちゃん」

「……」

「どうしたの? せっちゃん。お腹痛いの?」

「……何故私をそんな風に呼ぶ」

「静くんの事だったな。外から見ていたのだが、彼は怪しい人物にさらわれてしまったのだ。
 この刀はここに落ちていたのさ。ほら、あそこが割れているだろう? かなり強引に連れ去られてしまったようだな」


会話がいまいち成立しない事に苛立ちを覚えながらも、刹那は目を丸くする。

(シズさんが攫われただと……? 本当なら、すぐに追いかけねば……だが、この男の言う事はまるで信用できない!)

当然の結論を出し、サモエド仮面が静を殺して店内に隠した可能性が最も高いと踏む刹那。
何かと妙な動きで近づきながら声をかけてくるサモエド仮面を完全に無視して、店内をくまなく探す。
だが、静はおろか、争った痕跡さえ見つけられない。連れ去られたというのは、本当なのだろうか。
ならば自分の迷いを払ってくれた人間を、見捨てるわけには行かない。


「……シズさん、今助けに行きます!」

「私も行くぞ!」

「来るな! だいたい貴様、攫われた瞬間を見て助けなかったというなら賊の仲間ではないのか!?」

「仕方なかったのだ、着替え中だったから」

「……」

刹那は、サモエド仮面の相手をするのをやめた。
よく見ると、髪形、声、体格などからこの変態が誰かに似ているような気もしたが、
全て感じなかった事にした。自分の為になる事以外は考えない、考えない。
夜の闇を駆ける二人の足音が響き、サモエド仮面の歓喜の声が轟く。

「正義のためーーーっ!正義のため、せっちゃんとサモちゃんがおなり、御成りィィィィィッ!!!
 就いてこい……もっと就いてこい!」

「……」

前方をケツ丸出しで走り、見えてはいけない物をブランブラン揺らしながら自分のスピードを凌駕するサモエド仮面。

刹那は、サモエド仮面を認識するのをやめた。


【E-7 市街/一日目/深夜】

【桜咲刹那@魔法先生ネギま!】
【状態】健康 若干困惑
【装備】ライトセーバー@スターウォーズ
【道具】支給品 ランダムアイテム×1
【思考】基本:ロワを倒し、元の世界に帰還する
1:さらわれたというシズさんを助ける
2:サモエド仮面は無視、だがとりあえず今は着いて行く
【備考】ライトセーバーは、ネギま世界の『気』でも刀身を構成できるようです。
    他の世界のスキルでも同様に使えるかどうかは、後の書き手さんにお任せします

【静@学園キノ】
【状態】サモエド仮面(偽)
【装備】正宗@ファイナルファンタジーⅦ
【道具】支給品 『色んなアレ(略)セット 
【思考】基本:不明
1:不明

【支給品紹介】

『色んなアレのアイテムを順番にディバックに詰めてたら一個足りなくなって、
 仕方ないので欠損品をまとめて1セットにした、クーリングオフ不可ですがなにか?』

ロワがせっせと支給品の準備をしていたときに、ランダムアイテムが一つ足りない事に気付き、
やむを得ず回収中に壊れて使い物にならなくなったアイテムをまとめて詰め込んだハズレ支給品の山。

ギップル@魔方陣グルグル:青春物的な意味でクサい空気を感じると飛んでくる精霊。欠損箇所:首から下
キツネのコスプレセット@魔法先生ネギま!:ネギが学祭で装着した狐のコスプレ。欠損箇所:左耳以外全て
チョコボ@ファイナルファンタジータクティクス:モンスターの一種。仲間にすると乗れる。欠損箇所:羽一本以外全て
左右田右衛門左衛門の仮面@刀語:「不忍」と大きく縦書きされた仮面。欠損箇所:ヒビあり
堕天使エロメイドコスプレセット@とある魔術の禁書目録:堕天使メイドの上位Ver。欠損箇所:下半身部分
キタキタ親父の腰蓑@魔方陣グルグル:キタキタ親父が身に着けていた腰蓑。欠損箇所:後ろ半分

上記で1セット。



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