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OP ◆Wf0eUCE.vg


「よくぞ集まった、三千世界に名を轟かす偉大なる剣士たちよ。
 私は大神官ハーゴン。君らはこれより、鍛え上げたその腕を振るい、己が最強を存分に証明するがいい」


始まりは謳うような言葉だった。

セフィロスとの決着つけハイウィンドで帰還する途中、何時の間に眠っていたのか。
意識を取り戻し目を覚ました場所は、巨大な祭壇の上だった。
体を動かそうとするが、両腕両足は手錠のような何かで拘束されて思うように身動きが取れない。
それでも、足の拘束は若干の余裕があるようなので、立ち上がるだけならば支障はなさそうだ。
うまく身をよじり立ち上がると、辺りを見渡す。
辺りは暗く、頼りは祭壇の四方に灯された心許なく揺らめく松明の紅い灯のみである。
祭壇の各所には髑髏が配され、まるで悪魔信仰を掲げる黒魔術の儀式台のようにも思える。
その周囲には詳細こそわからないが、幾多の人影が見える。
そして、おどろおどろしい祭壇の中心には先ほどの言葉を放った大神官を名乗る男が両腕を広げている。

「突然の事態で混乱しているものも少なからずいるだろう。
 君たちには私の儀式に少し協力してもらいたいだけだ。なに、やることは簡単だ先ほども言った通り、ただ己が最強を証明してもらえばいい。
 端的にいえば、他のすべてを皆殺しにし、ただ一人となるまで殺し合うのだ!」

殺し合い不穏な、いや、あるいはこの悪魔じみた祭壇にふさわしい言葉。
ざわめきの走る群衆。
その中から、一人の蒼い青年が叫んだ。

「儀式だと!? ハーゴン! …………貴様っ。貴様はまた、あの破壊神を蘇らせるつもりかっ!?」

叫びをあげた青年の顔を見て、ハーゴンはニヤリと口の端を釣り上げた。
懐かしい友に出会ったように、あるいは憎むべき仇敵に出会ったように。

「破壊神? それは違うなぁロラン。
 貴様に破壊される程度の破壊神など我が信仰には足りえぬ。
 私が求めるのは破壊神を超えた究極の神だ」

「究極の、神?」

「そう、神だ!
 戦いという名の祈りを捧げよ。生という名の渇望を捧げよ。死という名の絶望を捧げよ。そして全ての生と死を捧げよ。
 貴様らの全ては神を召喚せしめる贄となるのだ!」

「貴様…………ッ」

ギリッと、青年が砕ける強さで奥歯をかみしめる。

「おっと。いらぬ動きはせぬ方がよいぞ、ロラン。他のものも同じく、抵抗など無意味だ」

ハーゴンは言う。
確かに、武器は奪われている上、拘束されている状況ではどうしようもない。
だが、完全に動きを封じられているわけではない。
戦おうと思えば素手で戦えるものもいるだろう。
だというのに、あのハーゴンの確信にも似た自信はどこから来るのか。

「おい、ジジイ」

冷やかな声がした。
蒼い青年のものではない。
ハーゴンのものでもない。

「お前らの話なんぞ、どうでもいいし、どういうPSIでこの俺を連れてきたかは知らないが。
 俺はこれでもいろいろと忙しいんだよ、さっさと帰せよ死にたくなければ」

声の方向にいたのは、奇妙なカブトを被った黒衣の男だった。
まるで、触れるものすべてを切り裂く刃の様な男だ。
その視線を真正面から受けながらも、ハーゴンの余裕は崩れない。

「おや? 話を聞いていなかったのかな?
 元の世界に戻りたくば、最後の一人になるまで殺しあえと言ったはずだが。
 そして貴様に私を殺すことはできない。絶対にな」

ワザとらしく見下すようなハーゴンの言葉。
男はその言葉を受けてハッ、と吐き捨てるように笑う。

「いいなお前、面白いよ」

パキン。という音。
見れば、男の手の中には有るはずのない刀が握られており、その刃が両腕両足を封じる拘束をり裂いていた。

「――――特に、こんな程度で俺を封じたと、本気で思ってるところが」

そう言った男が尋常ではない速度で動く。
その身のこなしは人のものとは思えない。

「そんなに欲しけりゃお前が味わえよ、絶望ってやつを」

漆黒の男が剣を振りかぶった。
彼我の距離は約二十メートル。
どう見ても剣の間合いではない。
だが、そんなことは知らぬと、男は横薙ぎに刀を振り抜いた。

それと同時に、男の手にした刀身が、ズルリと伸びた。

伸びた刃は、そのまま祭壇に構える男の首を狩らんと、"その軌跡にいた群衆を切り裂きながら"、一直線に伸びる。
その一撃をハーゴンは見た目にそぐわぬ素早い動きで悠々と躱した。

対照的に、突然、斬撃を打ち込まれた、群衆たちは様々だった。
不意打ちじみた一撃に反応した数名は拘束されながらも身を躱した。
だが反応の遅れた数名は、その首を地面へと落とした。

………………。

おい。

死んだぞ。

人が死んだぞ。

物のついでのように、人が、死んだぞ。

その事実を気にかけるでもなく、
周りの被害など気にせずに、黒衣の男は戦いを続け、返す刃で再度ハーゴンを切りつけた。

祭壇ごと切り落とす勢いで振り抜かれたその余波で、また、誰かの悲鳴が聞こえた。
血の臭いがひどい。
阿鼻驚嘆の地獄だった。

「ちっ。かったりィな。さっさと死ねよ、お前」

思うように攻撃が当たらない苛立ちに舌を打つと、男の手の刀が消える。
戦意を無くしたのか、などと思うものはいない。
その表情から、男が諦めたのではない事は誰の目にもわかった。

「――――――毘沙門・叢」

次の瞬間、出現する。
刀。
刀。
刀。
刀。刀。刀。
刀刀刀刀刀。
刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀。
刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀。
刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀。
刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀。
刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀刀。

宙に浮かぶは、視界を埋め尽くすほどに敷き詰められた、無数の刀。
何のことはない、男が攻め手を単体攻撃から範囲攻撃に切り替えただけの話だ。

この無数の刀をどう使うつもりかは知らないが、こんなもの使われたら被害はこれまでの比ではないことくらいはたやすく理解できる。
そしてこの男はそんなことを歯牙にもかけないということも、この場にいる誰もが嫌というほど理解していた。
そう、祭壇に佇む大神官も含めて。
ここにきて初めてハーゴンがその表情から余裕というものを消した。

「やれやれ。多少の戯れであれば目をつむってやってもよかったのだが。さすがにおいたがすぎるな。
 これ以上無駄に駒を減らされては困る。多少惜しいかしかたあるまい」

僅かに口惜しそうなハーゴンの声。
応えるように宙に浮かんだ刀が震え、泣き声のような音を放つ。

「―――――死ね」

指揮者のように男が全てに破壊をもたらす合図を送る
中に浮かぶ刀たちの振動は頂点まで極まり、

次の瞬間”攻撃をした黒衣の男の首が”天高くへと吹き飛んだ。

ボトリと、首が地面に落ちて、中に浮かんだ無数の刀は光の粒子になってかき消える。
僅かに遅れ、残されたからだが力なく横たわる。

「諸君。見ての通りだ、理解できたかな?
 何度も言うように抵抗は無意味だ、君たちの命は文字通り私の手中にある。
 私の意思一つで君たちの首はこのように、体と泣き分かれることになるのだ」

ハーゴンの自信の理由がこれだった。
奴は本当にこの場にいる人間すべての命を握る仕掛けを打ってあったのだ。

「さて、それよりもルール説明が途中だったか、続きを始めるとしようか、」

「待て! 怪我人がいる、早く治療しないと、このままでは死んでしまう」

勇敢にも赤髪の少女騎士が声を上げた。
声の方を見れば、少女の足共には片腕を失い痛みに喘いでいる男の影があった。
それを見てハーゴンは思案するように顎に手を当てた。

「ふむ。確かに、今の些事で負傷したものも少なからずおるようだな。
 確かに、開始前からいらぬハンデを抱えての戦いなど不平等。私もそのまま戦えなど酷なことは言わん」

そう言って慈悲深く大神官が笑う。
ゾッとするような冷たい笑みだった。

「よかろう。特別に負傷者には我が神の名のもとに救済を与えよう」

大神官が救いを下す。
次の瞬間、腕を失い呻きをあげていた男の首が吹き飛んだ。

「…………あ…………っ」

「さあ。これで”負傷者”はいないな?
 他にいれば今のうちに言っておけ、同じく救いをくれてやろう」

返り血を浴びた少女は言葉を失い。
その光景に他の誰も何も言わない。

その様子に満足したのか。
ハーゴンは周囲を見渡し転がる死体を数え始めた。

「ひい、ふう、みい……ふむ。これで合わせて十名ほど駒が減ってしまったか。
 まあよい。あんな程度の一撃にも反応できぬ雑魚が消えたと思えば、むしろ好都合。
 足りぬ人数は新たに見繕うとしよう」

「この儀式では、6時間毎に放送を行う。
 そこでは、連絡事項とその間に脱落した死者を発表、そして追加ルールの発表を行う。
 そのルールに従わぬものはそいらに転がるモノどもと同じ末路をたどることになるが、心配するな。
 そんなに難しいルールを追加するつもりはない、当面はな」

「舞台はここではなくとある小島を用意した。
 貴様らを縛る拘束は舞台に着けばすぐにとこう。
 そして貴様らの持っていた武器はすでに全て没収済みだが、没収物は後で支給品としてランダムに武器を配布する、その中に、貴様らの愛刀が含まれているだろう。
 地図と名簿も全員に支給予定だが、名簿に関しては若干の修正が必要になったのでな、追加分は第一放送で発表することにしよう」

「終了条件は舞台上の生存者が一人になること。優勝者には我が神がどのような願いでも聞き遂げてくれるであろう!」

「さあ、ルールは以上だ。次に目が覚めたときは会場となる舞台の上だろう。
 三千世界より集まりし剣士たちよ。その力を存分に振るい己が最強を証明するがいい」

大神官が始まりの言葉を繰り返す。
その声を聞きながら、オレの意識は再び闇に落ちた。

【ジュナス@PSYREN -サイレン- 死亡】
【残り42名 + 10名】

【主催者 ハーゴン@ドラゴンクエストⅡ】

【ファンタジー剣士バトルロワイヤル 開幕】