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白い世界の上に剣士達が立っていた。
いや、白というよりは色がないのかもしれない。
辺りを見渡しても地平線まで人影以外のモノがなく、
それ以前に彼ら自身の目そのものが何かを捉えることを許されないような。
形を得ることを許されていないような。
自分が何を踏みしめて立っているのかを理解するのも…………
突然、一人の青年が声を上げる。

「ダオス!」

その場にいる全員がその声でようやくソレに気づいた。
玉座を陣取ったまま、然し対峙する皆を威圧するに足る
風格をまとった異界の王がいることを。
少年の声に答えないまま、金の王は立ち上がり歩み始める。

「お前たちには殺し合いをしてもらう」

突拍子もない発言、彼の言葉の真意を呑み込めていないような者達。
そのまま話を続けようとした王を止めたのは、完全に気配を消し
彼の背後をとった幼き忍びであった。

彼女は空気があるのかもわからなくなるような場で大蝦蟇を召喚し炎を噴きかける。
一瞬の間を必要とする最強の技。それが産み出す隙を背後に回ることで帳消しにする。
彼女の技と同時に先の青年剣士が駆け、獅子の闘気を彼にぶつける。
穴が見当たらないほどの見事なコンビネーション。
だがそれを受ける王――ダオスはどちらの攻撃をものともしない。
闘気が打ちつけられたことは意に介さず、豪火は届くことなく空間に溶ける。
ダオスの指が忍者の首、更に言えばそこに付いている首輪を指す。
それと同時にあどけなさと
彼女の定めが課す冷静さを持った忍びの、すずの顔が爆散する。
飛び散る肉、炭となった骨、蒸発していきながらも僅かに服を汚す脳漿。
顔があった場所からそれらが散らばる。
顔というより正確には首から上。つまりは首輪から上ということになるだろうか。




だがそんなことを判断するよりも若き剣士、クレスにとっては
目の前で仲間の命が喪われたということの方が遥かに重要だった。


咆哮が体中を駆け巡りクレスの喉を震わせる。


「何故、如何にしてここに喚ばれたのかもわからず」

ダオスが指を鳴らすと彼以外のもの全ての前に突如として剣とディバッグが現れた。
その彼への憎しみが体を動かすクレス。
だが……ここにいる全員に言えることだが彼は剣士。
剣により敵を殺すことが日常の世界で生き抜いてきた人間。
目の前に現れた剣に触れ、殺す際に支障をきたすような
細工が施されていないことを確認すると迷わず抜き放ちダオスに斬りかかる。

「どうやって帰るのかすらもわからないお前達が」

斬りかかるクレスを止めることはない。何故か。
今のダオスには彼の攻撃が意味を成さないからだ。
いくつもの技を出しても、数十もの奥義を出してもダオスの体には傷ひとつつかない。

「反抗すること、叶うと思うな」

彼の言葉に耳を貸さず、遥か上空に飛び、
時空剣技に相応しい次元を切り裂く技を繰り出す。
だがそれすらもダオスの体には傷ひとつつけることをしない。




「な、何故だ!」


「お前たちは異能の力がある程度まで制限されている。
  そして、ここまで見ていればわかるだろうが私にはいかなる攻撃も効かない。
  それがどういうことか。理解できるはずだ」

その言葉に呼応するかのように彼ら、
ここに喚ばれた戦士達の背後にあった巨大な扉が開きだす。

「反抗の無意味さはわかっただろう。ではルールの説明をする。
  お前達は今から行くところで殺し合いをすることになる。
  禁止エリアと喚ばれる場所に行くと、先程見たような爆発が例外なくお前達を襲う。
  最後の一人になったものは故郷への帰還と己が望みを叶える力を与えてやる。」

開いた扉から無数の手が湧き出て
ゲームの参加者に任命された者達の体をディバッグや剣ごと掴む。
引き離そうとする者も多いがそれらに篭められているあまりの力に負けてしまう。

「禁止エリアの追加は定期放送で知らせることになっている。
  その他のルールはディバッグにあるルールブックで確認しろ」

組みつかれた無数の手が参加者たちを扉の中へと引きずり込もとする。
徐々に扉の奥へ攫われる参加者達。
それを確認するとダオスはゆっくりと言葉を紡ぐ

「世界の真理は等価交換だ。一を得るためには一を失う。
  世界を守るためには他の世界を犠牲にせねばならない。
  愛する人を、忠義を誓った主を守るためには自らの全てを犠牲にしなければならない」




次々に扉の奥に吸い込まれる参加者達。それを気にすることもなくダオスは続ける。

「忘れるな。己の願いを叶え、望むモノを得るのはお前達自身だ。
復讐のために殺せ。女のために殺せ。故郷のために殺せ。
温もりを得るために斬れ。帰るために斬れ。勝つために斬れ。
他者の命を代償に夢を叶えろ。それをするのはお前達だけだ。
お前達の願いを継ぐことは、誰にもできないことを心に刻め!
今、ここに、バトルロワイアルの開始を宣言する!!」

僅かにしか残っていない参加者。
彼らがそれほど抗うことが出来るのは強さ故か、思い故か、怒り故か。
彼らが勇者や王であるが故か。だがその抵抗も遂には折れ虚ろの中へと落ちていく。

「ダオス!!」

そんな中でも時空剣士、クレス・アルベインは怒りと憎しみで満ちた瞳でダオスを睨みつける。

「忘れるな、僕は何があろうと必ずお前をっ……」

しかし、最後まで話すことは叶わず。彼もまた、扉の手に屈して終わった。



全ての参加者がいなくなったところでダオスは独り立つ。
そんな彼の目に止まったのは忍の死体に群がる手。
首の無い死体へ静かに歩みよる。
それでも手の動きは止まらない、
無くした魂を惜しむかのようにもはや血もでない躰から離れることを辞めない。
その手を無造作に焼失させると、ダオスは彼女のディバッグを無造作に扉へと投げ捨てる。
それを機に閉じていく扉。
それには眼をくれず、彼は先程自分がいた玉座に腰掛けているモノと幾つか言葉を交わす。
白い、色の消失したような世界。音もなく地平線もなく。
在ると確かに言えるのは眩い二つの金色のみ。
先のモノとは反対側に現れていた巨大な扉に向かって、
一つの金は歩を進める。
開く扉からは彼の帰還を待ちわびるかのように無数の手が出迎える。
そうして閉じた扉。
そこに残っているのは一つの死体と――――


【藤林すず@テイルズオブファンタジア 死亡】
【バトルロワイアル 開始】