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**人間だもの◆cBHS.HrQeo 平賀才人は優しき人間である。 犠牲を厭い、犠牲に愛する人間が宛がわれるならば、己を犠牲する人間だ。 その優しき性根に併せ、神の左手、ガンダールヴの印をその左手に秘めており、困難を乗り越える力を身につけている。 だがそれをひけらかすこともせず、親しき者はそんな彼を身分の差を越えて扱い、慕い、接する。 まさに理想的な人間だろう。 だが欠点があるとすれば、良くも悪くもサイトの行動原理が「愛する人間」にあるということだ。 朝焼けが広がる頃、草原地帯を歩む彼の顔が晴れぬのもそのためである。 彼は迷い続けていた。 ロワから受信したメール。 “本当の願いは優勝すれば叶う。何も得ずに死にたくはないだろう?”という一文。 彼は理由は無いがセシリーには送られていないと確信していた。 だがその根拠の無い確信は自らの全てを見透かされているような気分にさせた。 日本のそれなりに豊かな学生としての日常を捨て、異世界ハルケギニアに飛ばされ、 使い魔として生きることになった自分の背景も事情も。 そして彼は「if」を考え始めた。 もしも平賀サイトが殺し合いに乗ったならばという「if」 彼の脳裏に過ぎったのは、一人目の仲間、セシリー・キャンベルである。 (セシリーはこんなこと絶対おもわねえだろうな……) あの正義感の塊のような少女。 この殺し合いに乗った実力者グリフィスすら止めようとした彼女である。 今頃、反逆せんと意気込んでいるだろう。 短時間しか話せなかったが信頼するに値する人物。 しかし優勝するということは彼女すら、今差している刀で――――――――― 「……やめだやめだ」 はぁ、と深くため息をついた。 単独行に伴う緊張で短時間ながら疲れているのかもしれないとサイトは思った。 こんなことを想像して、良い事なんて無い。 考え方を変えて携帯をとりだし、ロワからのメールを再度開く。 人の弱みにつけこむ忌々しいメールを見つめ、『返信』を押した。 (こっちからも送れるか……?) このメールがロワ自身によって送信されたものという確証はない。 しかし、もしも送信されたならば。 それは独自の交渉ツールを得たことになる。 交渉によって、このゲームから脱出する難易度を下げることができれば。 例えば、報酬も神の力を持つ剣を得るという権利も放棄し、ロワが指定する人数、もしくは人を殺すことができれば帰してくれるとか。 駄目で元々と自らを戒めつつ、サイトはそんな淡い期待を抱いた。 だからだろうか、目先の餌に釣られ警戒が疎かになっていたのは。 文字を入力しようとしたその時、サイトの目が大きく見開かれた。 その位置から離れるため、サイトの体が弾かれた様に左に飛んだ。 ガンダールブとして、戦士としての嗅覚がサイトを飛ばせた。 しかし遅い。 彼が反応するよりも数瞬早く、襲撃者は踏み込み、右へと切り払っていた。 サイトが動きに遅れて視界の片隅に剣戟を視認したときには、 切り口から血を撒き散らしながら携帯電話を持っていた右腕が宙を一回転していた。 続けての一閃。 サイトはこれをかわした。というよりも襲撃者が外したというべきか。 根元から片腕を失い、うまくバランスを取ることができず転倒したサイトの動きを計算できなかったのだ。 7万の軍勢を相手どった時も腕を失えど戦い続けた経験を持つサイトだが、それは事前に覚悟していたため。 今回は死角から不意の一撃であり、その差は大きい。 それでも偶然ながら襲撃者の足元に潜り込んだサイトは、無我夢中で右足を前方の脅威の腹部につきだした。 バキ その音はサイトの予想とは違った。 人間の柔らかい腹部を蹴った感触ではなく、むしろ物を蹴ったような感触。 しかも予想以上に軽く、蹴っただけで吹っ飛んだ。 そうして足元にいたので見えなかった全体像も、蹴られて後退した為見えた。 「なんだよ……こいつは……」 ギーシュやフーケが練成したゴーレムなどを撃破してきたサイトでも驚嘆を禁じえなかった。 その姿はあらゆる人々の終着点である死の象徴、骸骨。 あるいは右腕を奪われたサイトには命を刈り取りにきた死神にも見えた。 周囲への注意が散漫だった後悔と、傷口より零れ落ちる鮮血、切られた後になってからやってくる苦痛、 そして近づいてくる物言わぬ死神は彼に冷静さを取り戻す余裕すら与えなかった。 (剣を……剣をとらねえと!) サイトが刀の柄を握ると骸骨が用心したように反応を示した。 サイトは震えが止まらなかった。 尻餅をついた体勢では不利ということで、立ち上がるために刀の柄を離そうとしても、吸い付いた様に離れることは無い。 「近づくな……!俺に近づくなぁ!!!!!!」 7万の軍勢を前にしても勇猛果敢に立ち向かった男が、恐れを顔に浮かべる。 7万の軍勢といっても、彼らは自分と違って魔術が使え、ルーンなど無いが確かに同じ人間だった。 だが目の前の者は違う、別次元の存在であった。 サイトに歩み寄る死の恐怖、一度経験したものとは性質が違う。 何も為せず、迷いを抱いたまま、無意味な死を遂げる事への恐怖。 意思に反し和道一文字は抜けなかった。 ――――――――スィ~~~~~~ すると襲撃者はサイトの眼前で剣を動かし始めた。 サイトは突然のことで唖然として、前後左右に動くそれを目で追うしかできなかった。 頭がついていってないのだ。 動作を終えると襲撃者はサイトの脇を通り過ぎた。 その足取りは軽い。それがどれほどサイトを刺激したかは言うまでも無かろう。 刀で背後の死神を断て!! 左手のルーンがサイトを鼓舞するように光る。 だがサイトにはそれを実行することができなかった。 死神を見つめていた筈の視界が一転し、気づけば空を見ていたからだ。 ―――――――――スゥゥ 立ち止まったブルックが剣を鞘に収め始めた。 「…鼻歌三丁…」 サイトとブルックには根幹で共有する部分がある。 人を殺すことを良しとしないこと。 戻るべき場所を有すること。 そのために殺し合いに乗るか考えたこと。 しかし、大きな違いもまた存在した。 サイトはセシリー・キャンベルを殺すことすらイメージできず ブルックは鳳凰寺風を実際にその手に掛けた。 そんな二人の出会いは偶然であった。 しかしこの結果は必然であった。 平賀サイトの敗因は迷いを断ち切れぬ「人間」であったから。 ブルックの勝因は迷いを断ち切った「死神」であったから。 迷いのために彼は全てにおいて後手に回ってしまったのだ。 矢筈切り!!!!!!!!!!!! &color(red){【平賀才人@ゼロの使い魔 死亡】 } ◇ ◇ ◇ ブルックがサイトを見かけたのは偶然だった。 違うことに気を取られているのか、つけられている事にすら気づかぬ少年。 初めは誘われているのか、とブルックは用心し疑ったが、彼の注意が右手に集中していると分かれば思い切り良く近づいた。 近づききった頃にようやく反応を示したが、遅い。 命を奪うことはできなかったが、右腕を奪い、終始ペースを保ちながら殺すことができた。 「喋らずに戦ってみましたが、調子が出ないですね……」 ブルックは今回、試みに声を漏らすことなく、戦った。 声を出して戦えばブルック自身の戦意も高まり、敵を恐れさせることができる。 それらの効果を捨て、あえて声を出さず戦うことで、相手に混乱をもたらした。 これは彼の外見をあってのことである。 風との接触で自分の外見の特異性を思い知らされた。 なるほど、死と隣り合わせの場に放り込まれ、これほど好ましくない外見をしている者もおるまい。 クレス・アルベインのようにあらゆるタイプのモンスターと戦いなれている人間でなければ 場合によってはブルックを人間から乖離した脅威として見なすこともありうる。 何よりも忘れてはならないことに奇襲の成功。 死角からの一撃で右腕を切り落としたことで、戦力を大幅に削ぐ事に成功した。 これが無ければ、どうなっていたか分からない。 何も言わぬことによる混乱、彼特有の外見と突然襲撃を受けたことでのパニック。 これらの要因あっての今回の結果なのだ。 「これは……」 ブルックは戦利品の回収を始めた。 最初に手にとったのは腰に差された、結局一度も抜かれることの無かった刀、和道一文字。仲間の愛刀である。 それを複雑な面持ちで回収したブルックは、サイトの支給品一式、謎の鍵、首輪、加えてサイトから衣服を奪った。 首輪も衣服も何かに使えるかもしれない。 デイパックはどうなっているのか、重量を感じさせず入れ放題であることだし、あるに越したことは無いだろう。 「これはなんでしょう……?」 次にサイトの腕が飛んだ際に零れ落ちた携帯電話をブルックは手に取った。 サイトが死ぬ原因ともなった携帯電話だが、ブルックの世界には存在しないため操作方法が良く分からない。 結局、今は保留ということでデイパックに入れた。 「にしても疲れましたね、休憩しますか……」 ブルックは首を回し、音を鳴らした。 短時間で2人。十分すぎるスコアである。 とはいえ、ギリギリであった。 風を殺せたことも、クレスから逃げられたことも、サイトへの奇襲が成功したことも。 彼の身体のみならず精神を疲弊させるには十分だったのだ。 「まだまだ死ぬわけにはいきませんからね……」 これだけ殺したのだから、しばらくは人目につかないところで休もう。 そう考え、去るブルックの頭上には時の経過に従って太陽が昇り、草原を照らす。 その草原の中、全てを奪われた悲しき使い魔の死骸があった。 【F-4/草原/一日目/黎明】 【ブルック@ONE PIECE】 【状態】 健康、疲労(大)  【装備】 ドラゴントゥース@テイルズオブファンタジア 【道具】支給品×2 和道一文字 謎の鍵 携帯電話  首輪 平賀才人の衣服 【思考】基本:生き延びて約束を果たす   1: 優勝して元の世界に帰る   2: 休む  [備考]   ※参戦時期はスリラーバークで影を取り戻した直後です ---- |BACK||NEXT| |031:[[悪意の風]]|投下順|033:[[隼の邂逅]]| |029:[[本当の願い/不屈の意志]]|時系列順|033:[[隼の邂逅]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |022:[[骸骨の踊り]]|ブルック|:[[]]| |029:[[本当の願い/不屈の意志]]|平賀才人|&color(red){GAME OVER}| ----
**人間だもの◆cBHS.HrQeo 平賀才人は優しき人間である。 犠牲を厭い、犠牲に愛する人間が宛がわれるならば、己を犠牲する人間だ。 その優しき性根に併せ、神の左手、ガンダールヴの印をその左手に秘めており、困難を乗り越える力を身につけている。 だがそれをひけらかすこともせず、親しき者はそんな彼を身分の差を越えて扱い、慕い、接する。 まさに理想的な人間だろう。 だが欠点があるとすれば、良くも悪くもサイトの行動原理が「愛する人間」にあるということだ。 朝焼けが広がる頃、草原地帯を歩む彼の顔が晴れぬのもそのためである。 彼は迷い続けていた。 ロワから受信したメール。 “本当の願いは優勝すれば叶う。何も得ずに死にたくはないだろう?”という一文。 彼は理由は無いがセシリーには送られていないと確信していた。 だがその根拠の無い確信は自らの全てを見透かされているような気分にさせた。 日本のそれなりに豊かな学生としての日常を捨て、異世界ハルケギニアに飛ばされ、 使い魔として生きることになった自分の背景も事情も。 そして彼は「if」を考え始めた。 もしも平賀サイトが殺し合いに乗ったならばという「if」 彼の脳裏に過ぎったのは、一人目の仲間、セシリー・キャンベルである。 (セシリーはこんなこと絶対おもわねえだろうな……) あの正義感の塊のような少女。 この殺し合いに乗った実力者グリフィスすら止めようとした彼女である。 今頃、反逆せんと意気込んでいるだろう。 短時間しか話せなかったが信頼するに値する人物。 しかし優勝するということは彼女すら、今差している刀で――――――――― 「……やめだやめだ」 はぁ、と深くため息をついた。 単独行に伴う緊張で短時間ながら疲れているのかもしれないとサイトは思った。 こんなことを想像して、良い事なんて無い。 考え方を変えて携帯をとりだし、ロワからのメールを再度開く。 人の弱みにつけこむ忌々しいメールを見つめ、『返信』を押した。 (こっちからも送れるか……?) このメールがロワ自身によって送信されたものという確証はない。 しかし、もしも送信されたならば。 それは独自の交渉ツールを得たことになる。 交渉によって、このゲームから脱出する難易度を下げることができれば。 例えば、報酬も神の力を持つ剣を得るという権利も放棄し、ロワが指定する人数、もしくは人を殺すことができれば帰してくれるとか。 駄目で元々と自らを戒めつつ、サイトはそんな淡い期待を抱いた。 だからだろうか、目先の餌に釣られ警戒が疎かになっていたのは。 文字を入力しようとしたその時、サイトの目が大きく見開かれた。 その位置から離れるため、サイトの体が弾かれた様に左に飛んだ。 ガンダールブとして、戦士としての嗅覚がサイトを飛ばせた。 しかし遅い。 彼が反応するよりも数瞬早く、襲撃者は踏み込み、右へと切り払っていた。 サイトが動きに遅れて視界の片隅に剣戟を視認したときには、 切り口から血を撒き散らしながら携帯電話を持っていた右腕が宙を一回転していた。 続けての一閃。 サイトはこれをかわした。というよりも襲撃者が外したというべきか。 根元から片腕を失い、うまくバランスを取ることができず転倒したサイトの動きを計算できなかったのだ。 7万の軍勢を相手どった時も腕を失えど戦い続けた経験を持つサイトだが、それは事前に覚悟していたため。 今回は死角から不意の一撃であり、その差は大きい。 それでも偶然ながら襲撃者の足元に潜り込んだサイトは、無我夢中で右足を前方の脅威の腹部につきだした。 バキ その音はサイトの予想とは違った。 人間の柔らかい腹部を蹴った感触ではなく、むしろ物を蹴ったような感触。 しかも予想以上に軽く、蹴っただけで吹っ飛んだ。 そうして足元にいたので見えなかった全体像も、蹴られて後退した為見えた。 「なんだよ……こいつは……」 ギーシュやフーケが練成したゴーレムなどを撃破してきたサイトでも驚嘆を禁じえなかった。 その姿はあらゆる人々の終着点である死の象徴、骸骨。 あるいは右腕を奪われたサイトには命を刈り取りにきた死神にも見えた。 周囲への注意が散漫だった後悔と、傷口より零れ落ちる鮮血、切られた後になってからやってくる苦痛、 そして近づいてくる物言わぬ死神は彼に冷静さを取り戻す余裕すら与えなかった。 (剣を……剣をとらねえと!) サイトが刀の柄を握ると骸骨が用心したように反応を示した。 サイトは震えが止まらなかった。 尻餅をついた体勢では不利ということで、立ち上がるために刀の柄を離そうとしても、吸い付いた様に離れることは無い。 「近づくな……!俺に近づくなぁ!!!!!!」 7万の軍勢を前にしても勇猛果敢に立ち向かった男が、恐れを顔に浮かべる。 7万の軍勢といっても、彼らは自分と違って魔術が使え、ルーンなど無いが確かに同じ人間だった。 だが目の前の者は違う、別次元の存在であった。 サイトに歩み寄る死の恐怖、一度経験したものとは性質が違う。 何も為せず、迷いを抱いたまま、無意味な死を遂げる事への恐怖。 意思に反し和道一文字は抜けなかった。 ――――――――スィ~~~~~~ すると襲撃者はサイトの眼前で剣を動かし始めた。 サイトは突然のことで唖然として、前後左右に動くそれを目で追うしかできなかった。 頭がついていってないのだ。 動作を終えると襲撃者はサイトの脇を通り過ぎた。 その足取りは軽い。それがどれほどサイトを刺激したかは言うまでも無かろう。 刀で背後の死神を断て!! 左手のルーンがサイトを鼓舞するように光る。 だがサイトにはそれを実行することができなかった。 死神を見つめていた筈の視界が一転し、気づけば空を見ていたからだ。 ―――――――――スゥゥ 立ち止まったブルックが剣を鞘に収め始めた。 「…鼻歌三丁…」 サイトとブルックには根幹で共有する部分がある。 人を殺すことを良しとしないこと。 戻るべき場所を有すること。 そのために殺し合いに乗るか考えたこと。 しかし、大きな違いもまた存在した。 サイトはセシリー・キャンベルを殺すことすらイメージできず ブルックは鳳凰寺風を実際にその手に掛けた。 そんな二人の出会いは偶然であった。 しかしこの結果は必然であった。 平賀サイトの敗因は迷いを断ち切れぬ「人間」であったから。 ブルックの勝因は迷いを断ち切った「死神」であったから。 迷いのために彼は全てにおいて後手に回ってしまったのだ。 矢筈切り!!!!!!!!!!!! &color(red){【平賀才人@ゼロの使い魔 死亡】 } ◇ ◇ ◇ ブルックがサイトを見かけたのは偶然だった。 違うことに気を取られているのか、つけられている事にすら気づかぬ少年。 初めは誘われているのか、とブルックは用心し疑ったが、彼の注意が右手に集中していると分かれば思い切り良く近づいた。 近づききった頃にようやく反応を示したが、遅い。 命を奪うことはできなかったが、右腕を奪い、終始ペースを保ちながら殺すことができた。 「喋らずに戦ってみましたが、調子が出ないですね……」 ブルックは今回、試みに声を漏らすことなく、戦った。 声を出して戦えばブルック自身の戦意も高まり、敵を恐れさせることができる。 それらの効果を捨て、あえて声を出さず戦うことで、相手に混乱をもたらした。 これは彼の外見をあってのことである。 風との接触で自分の外見の特異性を思い知らされた。 なるほど、死と隣り合わせの場に放り込まれ、これほど好ましくない外見をしている者もおるまい。 クレス・アルベインのようにあらゆるタイプのモンスターと戦いなれている人間でなければ 場合によってはブルックを人間から乖離した脅威として見なすこともありうる。 何よりも忘れてはならないことに奇襲の成功。 死角からの一撃で右腕を切り落としたことで、戦力を大幅に削ぐ事に成功した。 これが無ければ、どうなっていたか分からない。 何も言わぬことによる混乱、彼特有の外見と突然襲撃を受けたことでのパニック。 これらの要因あっての今回の結果なのだ。 「これは……」 ブルックは戦利品の回収を始めた。 最初に手にとったのは腰に差された、結局一度も抜かれることの無かった刀、和道一文字。仲間の愛刀である。 それを複雑な面持ちで回収したブルックは、サイトの支給品一式、謎の鍵、首輪、加えてサイトから衣服を奪った。 首輪も衣服も何かに使えるかもしれない。 デイパックはどうなっているのか、重量を感じさせず入れ放題であることだし、あるに越したことは無いだろう。 「これはなんでしょう……?」 次にサイトの腕が飛んだ際に零れ落ちた携帯電話をブルックは手に取った。 サイトが死ぬ原因ともなった携帯電話だが、ブルックの世界には存在しないため操作方法が良く分からない。 結局、今は保留ということでデイパックに入れた。 「にしても疲れましたね、休憩しますか……」 ブルックは首を回し、音を鳴らした。 短時間で2人。十分すぎるスコアである。 とはいえ、ギリギリであった。 風を殺せたことも、クレスから逃げられたことも、サイトへの奇襲が成功したことも。 彼の身体のみならず精神を疲弊させるには十分だったのだ。 「まだまだ死ぬわけにはいきませんからね……」 これだけ殺したのだから、しばらくは人目につかないところで休もう。 そう考え、去るブルックの頭上には時の経過に従って太陽が昇り、草原を照らす。 その草原の中、全てを奪われた悲しき使い魔の死骸があった。 【F-4/草原/一日目/黎明】 【ブルック@ONE PIECE】 【状態】 健康、疲労(大)  【装備】 ドラゴントゥース@テイルズオブファンタジア 【道具】支給品×2 和道一文字 謎の鍵 携帯電話  首輪 平賀才人の衣服 【思考】基本:生き延びて約束を果たす   1: 優勝して元の世界に帰る   2: 休む  [備考]   ※参戦時期はスリラーバークで影を取り戻した直後です ---- |BACK||NEXT| |031:[[悪意の風]]|投下順|033:[[隼の邂逅]]| |029:[[本当の願い/不屈の意志]]|時系列順|033:[[隼の邂逅]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |022:[[骸骨の踊り]]|ブルック|044:[[夢追う鷹は刃を隠す]]| |029:[[本当の願い/不屈の意志]]|平賀才人|&color(red){GAME OVER}| ----

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