「本当の願い/不屈の意志」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

本当の願い/不屈の意志」(2010/09/04 (土) 14:37:24) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

**本当の願い/不屈の意志◆Ops2L0916M 「はぁ……俺ってかっこわりい……」 才人は大きな木に背を向けて体育座りをしていた。 その縮こまった姿は哀れさを醸し出している。 「勘違いで無粋な行動をした間男って……やばい泣きそうだ」 間男。妻のある男が他の女性と肉体関係を結ぶこと。 このケースの場合、セシリーとグリフィスの戦いを邪魔したことからそう呼ばれてしまったのだが。 「俺は純粋だぁ……ルイズ一筋だぁ……そりゃあ少しは場の流れでふらふらしたこともあったけどよぉ」 違う部分で思い当たるフシがあったのだろうか、すごくへこんでいる。 「鬱だ……」 「ったく、いつまで落ち込んでるんだ。確かに間男なのは否めないが助けに入ってくれたことにはその、何だ……感謝しているぞ」 最初の気負いはどこへ行ったのだろうか、すっかり沈んでしまっている才人。 そこにそっぽを向きながらセシリーは話しかける。 顔が少し赤いのは気のせいか、まあ才人は全くセシリーの方を見ていないので気づくことはない。 「そうかぁ……サンキューな、セシリー。何時までもグダっても始まらねーや」 「その意気だ、ほらさっさと情報交換をするぞ」 そして才人はセシリーの方へのそのそと寄って向かいに座る。 「さてと、じゃあサイト。お前は私達の前に誰か参加者と会ってないか?」 「いーや、会ってねーよ。セシリーは?」 「私が会ったのはあの場にいた者達だけだ。それ以外は誰も」 才人とセシリーは今まで会った者の情報を紙にまとめた。 容姿、戦ってみた者に限っては実際の強さはどのくらいか、見た感じ危険か危険でないかなどを書き込む。 その内に話は互いの強さの話になる。 「お前はどうなんだ、サイト。どのくらい強いんだ?」 「俺?そんな大したことねーよ。七万の軍勢を足止めもできなかったしな。  一人じゃ無謀にも程があった」 「ぇ!!!おいサイトもう一度言ってくれ、よく聞こえなかった」 「だから七万の軍勢すら足止めできなかったってことだよ。情けねえ……」 「まさか一人でか?」 「ああ、一人でだ」 唖然とするセシリー、あっけらかんに言う才人。 しばらく無言の時が過ぎる。 「ま、まあいい。サイトお前の得物は何だ?」 「俺はこれだ。日本刀ってやつさ」 そう言って才人が見せたのは白塗の鞘の日本刀。 和道一文字。ロロノア・ゾロが持つ大業物21工の一振りである。 「ほう、すごいな。見ただけで名刀とわかる。私の持つこの剣も負けてはいないがこれもまたすばらしい!」 眼をキラキラさせてセシリーは和道一文字を見つめる。 図らずもこの殺し合いで一番の笑顔であった。 「後で幾らでも見せてやるし触らせてやるから落ち着けって。よし、次だ。こいつをセシリーにやるよ」 ポンと才人がセシリーの手に差し出したのは携帯電話。色はセシリーの髪と同じく赤だ。 「おいこいつは何だ?見たところ何の役にも立ちそうにないが……」 「ああそっか、分かんなくて当然だよな。そいつは携帯電話って言って離れた場所からでも連絡を取れたりする道具なんだ。 俺は刀の他には俺は携帯電話が二つ支給されたみたいだからさ、片方をセシリーにと思ってな。 後でそれの操作方法を教えるよ。ほら、俺が使うやつはこれだ」 「ほう、そいつはすごいものだな。だがしかし、」 才人はデイバッグから青色の携帯電話を取り出す。 赤の携帯電話と同じタイプだ。 そして携帯電話を渡されたセシリーは何か考えこむような表情をしていた。 「どうした?何か問題でもあったか?」 「いや、もらってばかりだと悪い気がする。私ばっかりが得しては不公平だ。 私にも支給されていた物があるからそいつをやろう」 セシリーが出したのは一見何の変哲もない鍵。 「もしかすると何かに役に立つかもしれんからな。このけーたいでんわとやらとは吊り合わないと思うが受け取ってくれ」 「わかった。もしかすると何か重要な物を開ける為に使うかもしれないし」 才人は鍵を受け取りズボンのポケットに仕舞う。 「よし、仲間も見つけたことだしこの殺し合いを止めることだって不可能じゃないはずだ!!  見てろよ、ロワ!!必ずお前のところまでたどり着いてやるからな!!!」 セシリーの大胆な発言に才人はひやひやする。 才人とてこの殺し合いの転覆を狙っているがセシリーには思わずびっくりした。 (……こんな大っぴらに反逆を宣言して大丈夫なんだろうか。こーゆー発言とか盗聴されていたらやば……!?) 才人の顔が青くなる。今までほんの少しも考えなかったことが頭に浮かぶ。 (俺のバカ野郎!!!どうして気づかなかったんだ!!あの女の子が首輪の爆弾以外何も仕掛けていないなんてある訳ねーだろ!!!!!!) 才人の頭の中では幾つもの考えが回っている。 盗聴器。それか盗撮器。どちらか、いやどちらもこの首輪に仕掛られていてもおかしくはない。 この二つをつけることで参加者をほぼ監視することが出来るはずだ。 (それにあの女の子だけが敵じゃねーかもしれねーし、まだ他にも誰かいる可能性だってあるんだ。 何が殺し合いに反逆するだ、あいつらの掌の上で無様に踊らされてるだけじゃねーか……!) 思考のピースが揃っていく。結論として、自分達は泳がされているということに気がついた才人は憤慨を顕にする。 何も知らないただの道化で会ったならばどれほど幸せであれただろうか。 でももう知ってしまったし、気づいてしまった。後戻りなど出来るはずもない。 「セシリーちょっといいか?」 ひとまずは出来ることから始めていこう。                ◆ 『つまり大事なことは筆談でしろと?』 『ああ、盗撮に関してはどうしようもないかもしれねーけど盗聴はこれで防げるはずだ』 二人は支給された紙で筆談を行っていた。才人が盗聴、盗撮の可能性について言及したためだ。 『首輪の解除方法や明確な脱出方法を相談する場合は筆談をした方がいい』 『わかった。他の参加者と会ったらそのことを伝えよう』 『ああ、頼むよ』 筆談についての論議が終わった二人が次に相談したのがセシリーの先程の発言。 ロワに反抗するという明確な意志を声に表したのに首輪の反応がない。 そのことについて疑問に思ったのだ。 『なぜ何も起きないだろうな。ひょっとして盗聴も盗撮も行ってないんじゃないか』 『そんな甘いことは多分ねーよ。大方踊らされてるだけだ。だから、ロワが油断してるかもしれない今がチャンスだ。 隙をついて首輪の解除方法を早く探さないと』 『けーたいでの連絡はどうする?さっき教えてもらっためーるというものを使っていいのか?』 『主催者の手が回ってるかもしれねーから、大事なことはこうやって直接筆談するべきだ。  これから合流しようとか誰々が危険かとかぐらいなら大丈夫だと思うけどな』 そして二人はメモをデイバックにしまう。相談すべきことは全て相談した。 後は、この情報を他の参加者に伝えることが優先される。 「よし、では行くか。私は北東の町のほうへ向かおうと思う」 「じゃあ俺は西の街だな」 別行動をすることは最初から決まっていた。 もしもの時も携帯電話で連絡を取れるのでデメリットは余りない。 むしろ盗聴と盗撮の可能性を他の参加者に伝える、首輪の解除方法や脱出方法を探すのには手分けして島を回った方が効率がいいと判断した。 「では、生きて再び会おうサイト。死ぬなよ」 「そっちこそ。ヘマするなよ」 「私を誰だと思っている。これでも腕に自信があるんだ、そう簡単に命をとられはしないさ」 「ああ。じゃあな」 そうして二人は別々の方向へ歩き始めた。 【F-5 森林 中部 一日目 黎明】 【セシリー・キャンベル@聖剣の刀鍛冶】 【状態】健康 【装備】エクスカリバー@Fate/stay night 【道具】支給品一式 、赤の携帯電話 【思考】基本:殺し合いをとめる。 1:北東の町へ向かう 2:首輪の解除方法、脱出方法を探す。 3:出会った仲間には盗撮、盗聴の危険性を伝える。 4:グリフィスと決着をつける。 ※携帯電話について才人から教わりました。通話、メールはできます。  カメラ、ムービー撮影まで教わったのかは不明。 ※ランダム支給品は何かの鍵です。 (行ったか……こんな序盤から仲間を作ることができて俺はラッキーだったのかもしれねーな) セシリーと別れて数分後、才人は足を止めた。そしてポケットの中から青の携帯電話を取り出してピコピコと操作する。 (何だ、メールか。セシリーの奴早くも何かあったのかよ) 画面に写すのはEメールメニューの受信ボックス。 ボタンを押して開いたのは一通のメール。このメールは元からこの携帯に入っていたものだ。 送信者の名前は。 (このメールは何だよ、ロワ!) 送信者の名前の部分にはロワと明示されていた。 才人は眉をしかめて文面を見つめる。 (この文面も何だよ、“本当の願いは優勝すれば叶う。何も得ずに死にたくはないだろう?”って。  俺の本当の願いって何言ってやがる…… 今の俺の願いは殺し合いの打破だ。それ以外に何もない……とは言い切れねーか) 才人はいきなりこのようなメールを送られて動揺しているのだろうか、頭を抱えている。 顔はしかめっ面となり、いつものおちゃらけた顔は見る影もない。 (ルイズのところに帰る……) ルイズが待つあの世界への帰還。才人はもう一度ルイズに会いたいのだろうか。 当然、会いたいに決まっている。 でもその願いを叶えるためにはこの殺し合いで優勝しなければならない。 だが殺し合いの否定を才人は最初に考えたのだ。心のなかで啖呵を切り、ロワ諸共打ち砕くと決めた。 覆すはずがない。 (人を殺してまで優勝して願いを叶えるなんてしたくない。でも、俺はもう一度会いたい。ルイズに!何も得ずに死ぬなんざ嫌だ!) 才人の目から一筋の涙が零れた。優勝したら大切な人とまた会えて笑いあえる。 不確かな脱出方法よりも優勝の方が生きて帰れる可能性が高いかもしれない。 そもそもロワが願いを叶えてくれるかどうかすら定かではない。でも完全な嘘とも言い切れ無い。 そのことがこれからの方針を揺り動かす。 「畜生、頭がグチャグチャだ。自分でも何考えてんだかわかんねー。 俺はこの殺し合いには乗らないんだ……乗ってたまるか……!」 その言葉は前ほどの覇気はなく、苦し紛れの一言に聞こえた。 【F-5 森林 中部 一日目 黎明】 【平賀才人@ゼロの使い魔】 【状態】健康、強い迷い 【装備】 和道一文字@ONE PIECE 【道具】支給品一式 青の携帯電話、何かの鍵 【思考】基本:殺し合いを止める?それとも…… 1: 本当の願い…… 2:西の街へ向かう。 3:殺し合いを阻止する方法を考える。 4:首輪の解除方法、脱出方法を探す。 5:出会った仲間には盗撮、盗聴の危険性を伝える。 ※ランダム支給品は携帯電話二つです。 ---- |BACK||NEXT| |028:[[サムライ]]|投下順|030:[[考察(人それを深読みと言う)]]| |027:[[彼女の理由]]|時系列順|032:[[人間だもの]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |002:[[最後の悪あがき/愛情か友情か憎しみか/騎士の誇りを胸に/とある魔眼の殺人鬼]]|セシリー|:[[]]| |~|才人|032:[[人間だもの]]| ----
**本当の願い/不屈の意志◆Ops2L0916M 「はぁ……俺ってかっこわりい……」 才人は大きな木に背を向けて体育座りをしていた。 その縮こまった姿は哀れさを醸し出している。 「勘違いで無粋な行動をした間男って……やばい泣きそうだ」 間男。妻のある男が他の女性と肉体関係を結ぶこと。 このケースの場合、セシリーとグリフィスの戦いを邪魔したことからそう呼ばれてしまったのだが。 「俺は純粋だぁ……ルイズ一筋だぁ……そりゃあ少しは場の流れでふらふらしたこともあったけどよぉ」 違う部分で思い当たるフシがあったのだろうか、すごくへこんでいる。 「鬱だ……」 「ったく、いつまで落ち込んでるんだ。確かに間男なのは否めないが助けに入ってくれたことにはその、何だ……感謝しているぞ」 最初の気負いはどこへ行ったのだろうか、すっかり沈んでしまっている才人。 そこにそっぽを向きながらセシリーは話しかける。 顔が少し赤いのは気のせいか、まあ才人は全くセシリーの方を見ていないので気づくことはない。 「そうかぁ……サンキューな、セシリー。何時までもグダっても始まらねーや」 「その意気だ、ほらさっさと情報交換をするぞ」 そして才人はセシリーの方へのそのそと寄って向かいに座る。 「さてと、じゃあサイト。お前は私達の前に誰か参加者と会ってないか?」 「いーや、会ってねーよ。セシリーは?」 「私が会ったのはあの場にいた者達だけだ。それ以外は誰も」 才人とセシリーは今まで会った者の情報を紙にまとめた。 容姿、戦ってみた者に限っては実際の強さはどのくらいか、見た感じ危険か危険でないかなどを書き込む。 その内に話は互いの強さの話になる。 「お前はどうなんだ、サイト。どのくらい強いんだ?」 「俺?そんな大したことねーよ。七万の軍勢を足止めもできなかったしな。  一人じゃ無謀にも程があった」 「ぇ!!!おいサイトもう一度言ってくれ、よく聞こえなかった」 「だから七万の軍勢すら足止めできなかったってことだよ。情けねえ……」 「まさか一人でか?」 「ああ、一人でだ」 唖然とするセシリー、あっけらかんに言う才人。 しばらく無言の時が過ぎる。 「ま、まあいい。サイトお前の得物は何だ?」 「俺はこれだ。日本刀ってやつさ」 そう言って才人が見せたのは白塗の鞘の日本刀。 和道一文字。ロロノア・ゾロが持つ大業物21工の一振りである。 「ほう、すごいな。見ただけで名刀とわかる。私の持つこの剣も負けてはいないがこれもまたすばらしい!」 眼をキラキラさせてセシリーは和道一文字を見つめる。 図らずもこの殺し合いで一番の笑顔であった。 「後で幾らでも見せてやるし触らせてやるから落ち着けって。よし、次だ。こいつをセシリーにやるよ」 ポンと才人がセシリーの手に差し出したのは携帯電話。色はセシリーの髪と同じく赤だ。 「おいこいつは何だ?見たところ何の役にも立ちそうにないが……」 「ああそっか、分かんなくて当然だよな。そいつは携帯電話って言って離れた場所からでも連絡を取れたりする道具なんだ。 俺は刀の他には俺は携帯電話が二つ支給されたみたいだからさ、片方をセシリーにと思ってな。 後でそれの操作方法を教えるよ。ほら、俺が使うやつはこれだ」 「ほう、そいつはすごいものだな。だがしかし、」 才人はデイバッグから青色の携帯電話を取り出す。 赤の携帯電話と同じタイプだ。 そして携帯電話を渡されたセシリーは何か考えこむような表情をしていた。 「どうした?何か問題でもあったか?」 「いや、もらってばかりだと悪い気がする。私ばっかりが得しては不公平だ。 私にも支給されていた物があるからそいつをやろう」 セシリーが出したのは一見何の変哲もない鍵。 「もしかすると何かに役に立つかもしれんからな。このけーたいでんわとやらとは吊り合わないと思うが受け取ってくれ」 「わかった。もしかすると何か重要な物を開ける為に使うかもしれないし」 才人は鍵を受け取りズボンのポケットに仕舞う。 「よし、仲間も見つけたことだしこの殺し合いを止めることだって不可能じゃないはずだ!!  見てろよ、ロワ!!必ずお前のところまでたどり着いてやるからな!!!」 セシリーの大胆な発言に才人はひやひやする。 才人とてこの殺し合いの転覆を狙っているがセシリーには思わずびっくりした。 (……こんな大っぴらに反逆を宣言して大丈夫なんだろうか。こーゆー発言とか盗聴されていたらやば……!?) 才人の顔が青くなる。今までほんの少しも考えなかったことが頭に浮かぶ。 (俺のバカ野郎!!!どうして気づかなかったんだ!!あの女の子が首輪の爆弾以外何も仕掛けていないなんてある訳ねーだろ!!!!!!) 才人の頭の中では幾つもの考えが回っている。 盗聴器。それか盗撮器。どちらか、いやどちらもこの首輪に仕掛られていてもおかしくはない。 この二つをつけることで参加者をほぼ監視することが出来るはずだ。 (それにあの女の子だけが敵じゃねーかもしれねーし、まだ他にも誰かいる可能性だってあるんだ。 何が殺し合いに反逆するだ、あいつらの掌の上で無様に踊らされてるだけじゃねーか……!) 思考のピースが揃っていく。結論として、自分達は泳がされているということに気がついた才人は憤慨を顕にする。 何も知らないただの道化で会ったならばどれほど幸せであれただろうか。 でももう知ってしまったし、気づいてしまった。後戻りなど出来るはずもない。 「セシリーちょっといいか?」 ひとまずは出来ることから始めていこう。                ◆ 『つまり大事なことは筆談でしろと?』 『ああ、盗撮に関してはどうしようもないかもしれねーけど盗聴はこれで防げるはずだ』 二人は支給された紙で筆談を行っていた。才人が盗聴、盗撮の可能性について言及したためだ。 『首輪の解除方法や明確な脱出方法を相談する場合は筆談をした方がいい』 『わかった。他の参加者と会ったらそのことを伝えよう』 『ああ、頼むよ』 筆談についての論議が終わった二人が次に相談したのがセシリーの先程の発言。 ロワに反抗するという明確な意志を声に表したのに首輪の反応がない。 そのことについて疑問に思ったのだ。 『なぜ何も起きないだろうな。ひょっとして盗聴も盗撮も行ってないんじゃないか』 『そんな甘いことは多分ねーよ。大方踊らされてるだけだ。だから、ロワが油断してるかもしれない今がチャンスだ。 隙をついて首輪の解除方法を早く探さないと』 『けーたいでの連絡はどうする?さっき教えてもらっためーるというものを使っていいのか?』 『主催者の手が回ってるかもしれねーから、大事なことはこうやって直接筆談するべきだ。  これから合流しようとか誰々が危険かとかぐらいなら大丈夫だと思うけどな』 そして二人はメモをデイバックにしまう。相談すべきことは全て相談した。 後は、この情報を他の参加者に伝えることが優先される。 「よし、では行くか。私は北東の町のほうへ向かおうと思う」 「じゃあ俺は西の街だな」 別行動をすることは最初から決まっていた。 もしもの時も携帯電話で連絡を取れるのでデメリットは余りない。 むしろ盗聴と盗撮の可能性を他の参加者に伝える、首輪の解除方法や脱出方法を探すのには手分けして島を回った方が効率がいいと判断した。 「では、生きて再び会おうサイト。死ぬなよ」 「そっちこそ。ヘマするなよ」 「私を誰だと思っている。これでも腕に自信があるんだ、そう簡単に命をとられはしないさ」 「ああ。じゃあな」 そうして二人は別々の方向へ歩き始めた。 【F-5 森林 中部 一日目 黎明】 【セシリー・キャンベル@聖剣の刀鍛冶】 【状態】健康 【装備】エクスカリバー@Fate/stay night 【道具】支給品一式 、赤の携帯電話 【思考】基本:殺し合いをとめる。 1:北東の町へ向かう 2:首輪の解除方法、脱出方法を探す。 3:出会った仲間には盗撮、盗聴の危険性を伝える。 4:グリフィスと決着をつける。 ※携帯電話について才人から教わりました。通話、メールはできます。  カメラ、ムービー撮影まで教わったのかは不明。 ※ランダム支給品は何かの鍵です。 (行ったか……こんな序盤から仲間を作ることができて俺はラッキーだったのかもしれねーな) セシリーと別れて数分後、才人は足を止めた。そしてポケットの中から青の携帯電話を取り出してピコピコと操作する。 (何だ、メールか。セシリーの奴早くも何かあったのかよ) 画面に写すのはEメールメニューの受信ボックス。 ボタンを押して開いたのは一通のメール。このメールは元からこの携帯に入っていたものだ。 送信者の名前は。 (このメールは何だよ、ロワ!) 送信者の名前の部分にはロワと明示されていた。 才人は眉をしかめて文面を見つめる。 (この文面も何だよ、“本当の願いは優勝すれば叶う。何も得ずに死にたくはないだろう?”って。  俺の本当の願いって何言ってやがる…… 今の俺の願いは殺し合いの打破だ。それ以外に何もない……とは言い切れねーか) 才人はいきなりこのようなメールを送られて動揺しているのだろうか、頭を抱えている。 顔はしかめっ面となり、いつものおちゃらけた顔は見る影もない。 (ルイズのところに帰る……) ルイズが待つあの世界への帰還。才人はもう一度ルイズに会いたいのだろうか。 当然、会いたいに決まっている。 でもその願いを叶えるためにはこの殺し合いで優勝しなければならない。 だが殺し合いの否定を才人は最初に考えたのだ。心のなかで啖呵を切り、ロワ諸共打ち砕くと決めた。 覆すはずがない。 (人を殺してまで優勝して願いを叶えるなんてしたくない。でも、俺はもう一度会いたい。ルイズに!何も得ずに死ぬなんざ嫌だ!) 才人の目から一筋の涙が零れた。優勝したら大切な人とまた会えて笑いあえる。 不確かな脱出方法よりも優勝の方が生きて帰れる可能性が高いかもしれない。 そもそもロワが願いを叶えてくれるかどうかすら定かではない。でも完全な嘘とも言い切れ無い。 そのことがこれからの方針を揺り動かす。 「畜生、頭がグチャグチャだ。自分でも何考えてんだかわかんねー。 俺はこの殺し合いには乗らないんだ……乗ってたまるか……!」 その言葉は前ほどの覇気はなく、苦し紛れの一言に聞こえた。 【F-5 森林 中部 一日目 黎明】 【平賀才人@ゼロの使い魔】 【状態】健康、強い迷い 【装備】 和道一文字@ONE PIECE 【道具】支給品一式 青の携帯電話、何かの鍵 【思考】基本:殺し合いを止める?それとも…… 1: 本当の願い…… 2:西の街へ向かう。 3:殺し合いを阻止する方法を考える。 4:首輪の解除方法、脱出方法を探す。 5:出会った仲間には盗撮、盗聴の危険性を伝える。 ※ランダム支給品は携帯電話二つです。 ---- |BACK||NEXT| |028:[[サムライ]]|投下順|030:[[考察(人それを深読みと言う)]]| |027:[[彼女の理由]]|時系列順|032:[[人間だもの]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |002:[[最後の悪あがき/愛情か友情か憎しみか/騎士の誇りを胸に/とある魔眼の殺人鬼]]|セシリー|039:[[聖剣の少女騎士]]| |~|才人|032:[[人間だもの]]| ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: