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封印の剣」(2011/12/18 (日) 01:33:45) の最新版変更点

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**封印の剣◆WoLFzcfcE. アグリアス・オークスは騎士である。 ルザリア聖近衛騎士団に属し、その剣は王女オヴェリア・アトカーシャに捧げられている。 彼女と王女の関わりは深く、アグリアスは職務ではなく自身の忠義を以て王女を護るべく剣を振るってきた。 放浪の末に主と離れても、その心はいつも王女の身を案じていた。 彼女は信頼できる友と共にイヴァリースを蝕む者たちとの決戦に臨んでいたはずだった。 その戦いの先にこそ求める平和があり、ひいては主の安寧にも繋がると信じて。 記憶が確かならば、自分は魔法都市ガリランドで宿を取っていたはずだ。 しかし今、アグリアスが立っている場所はどことも知れない建物の中だった。 最初は夢でも見ているのかと思った。 だが、ロワと名乗る女から伝えられた戦乱の匂い、死の宣告。 そしてフレンなる金髪の青年が無残な死を遂げるのを見て、尋常な事態ではないと悟った。 あの場でまず彼女がしたのは声を潜め周囲を見渡したこと。 辺りには自分と同じく殺し合いに巻き込まれたであろう数十名の人間の姿があった。 一行のリーダーであるラムザ・ベオルブ、銃使いムスタディオ、部下であるアリシアとラヴィアン、古参の傭兵ラッド。 神殿騎士メリアドール、ハンターであるベイオウーフ、その恋人レーゼ、ラファとマラークの兄妹に、チョコボのボコ。 幸いにも彼らの姿はなく、ほっと胸を撫で下ろした。 ムスタディオやレーゼなどはともかく、ラムザやメリアドール、それに部下二人などはこの場に招かれていてもおかしくはなかったからだ。 だが――幸か不幸か、自分一人でもなかった。 パーティの主力として活躍していた剣聖シドルファス・オルランドゥ、そして謎の男クラウドの姿を彼女は確かに認めていた。 特にシドがいてくれたことは心強い。 あらゆる剣技に精通し単騎で戦場を支配するあの剣聖ならば、こんな殺し合いなど決して許さず争いを止めるために動いているだろう。 クラウドは正直なところ掴みどころがない人物である。 だが、何度も戦場を共に駆けていく内に信頼の置ける男であるということはわかっていた。 彼女は自分の限界を知っている。 剣の腕に自信はある。が、どう逆立ちしても剣聖には及ばない。 統率力や判断力ではラムザに適うはずもなく、魔法もその道専門の使い手ほどでもない。 人間が一人でできることなどたかが知れている。 むしろ一つ一つは弱いその力を束ねることで、彼女たちは人間を超えた存在であるルカヴィを何度も退けてきたのだ。 そう、選ぶべきは殺し合いではなく元凶の打倒。 ロワという女を倒し、速やかにイヴァリースに帰還することこそ、騎士として彼女が進む道だ。 当面は二人との合流を目的に動くべきか。 その道中で望まぬ戦いを強いられた者がいれば救ってみせる。 かつてラムザがそうしたように、己を偽ることなく己の信ずる道を行けば、必ず道は開けるはず。 「……誰だ!?」 そのとき、アグリアスの耳にかすかな物音が聞こえた。 反射的に手にしていた刀を抜刀し、そちらへと向き直る。 刀の銘は九字兼定。握りの部分に九字を刻んだ名刀である。 本来彼女が使うのは両刃の騎士剣なので、刀はどちらかといえば不得手だ。 だがこの刀からは並々ならぬ魔力を感じる。 聖剣技のパワーにも問題なく答えてくれると抜刀した瞬間に確信した。 「わっ、待て待て! 人がいるとは思わなかったんだ!」 そこでは全身を侍のような装備で固めた人物が、物陰から窺うようにアグリアスを見ていた。 まじまじとアグリアスの姿を見つめた後、おそるおそる近寄ってくる。 「お前……人間か? モンスターじゃないよな?」 「何を言っている? 人間に決まっているだろう」 アグリアスがそう言うと、鎧男は緊張の糸が切れたかのように膝から崩れ落ち、滂沱の涙を流し始めた。 突然の奇行に驚いたが、刀を構える腕は下ろさない。 「ああ、良かった! やっと化け物じゃないやつと会えた!」 「だから何を言っている! お前は一体誰だ!」 「おっと、自己紹介がまだだったな! 俺はギルガメッシュだ!」 涙の跡など一瞬で消えた。 立ち直りの早い男と思いつつも、その物腰は確実に武人のそれだった。 ギルガメッシュの背中にある大剣を睨み、アグリアスは警戒を緩めない。 「私はアグリアス・オークスという。それで……ギルガメッシュよ。どうする気だ?」 「は? どうするとは?」 「とぼけるな! 貴様は殺し合いに乗っているのかと聞いている!」 「殺し合い……いや待て待て! 俺はそんなことをする気はない!」 そこまで言うとやっと事態を認識したか、ギルガメッシュは慌てて手を振って戦意はないとアピールした。 彼は背中から剣を外し、地面に置く。 それを見てアグリアスは安心するより先に訝しんだ。 「……お前、殺し合いに乗る気がないのは結構だが、無防備にもほどがあるぞ。私がお前を殺す気だったらどうする気だったんだ」 「えっ!? そうなのか!?」 「違う! ……違うが、危機感が足りないと言ってるんだ」 刀を納めるアグリアス。 ギルガメッシュはほっと息をつき、床にどっしりと腰を下ろした。 「いやなんつーかさ、俺ここに来るまでさんざん化け物に追っかけられてたんだよ。  だからもう戦いは懲り懲りって言うか……とにかくしばらくゆっくりしたいなー、なんて思ったり」 「ゆっくりできる状況だとでも思っているのか?」 ギルガメッシュは相当楽天的……悪く言えばバカだった。 その分腹に含むものはないだろうと、アグリアスにしては辛めの評価をつけた。 「珍しい剣はほしいが、自分から奪うような真似はしねえよ。人間にもすげー強いやつがいるし。  ……ああ、最初にいた場所でも化け物みたいな気配を出してるのが何人かいたぜ。あんなのは相手にしたくねえなぁ」 「ふむ、なら私についてこないか? 私はあのロワという女を倒してこの島から脱出するつもりだ」 「脱出って……そんなことできるのか? 勝ち残るより難しいんじゃないのか」 「私とお前だけならそうだろうが、他にも同じ目的を持つものはいるだろう。そういった者と合流し、殺し合いを破綻させるんだ。  何より、この場には剣聖がいる。彼ならどんな達人が相手だろうと決して遅れは取らないだろう」 「はあ……じゃあ、とりあえずはあんたについてくよ。他にあてもないしな」 なんとも軽いやり取りの末、ギルガメッシュはアグリアスと同行することになった。 闘いたくないとは言ったが死にたくもないようで、自衛程度なら協力してくれるという。 とりあえず外に出るかと、アグリアスたちは建物の中を移動していく。 やがて一際大きなホールに出る――我知らず息を呑んだ。 そこは一言で表すなら剣の墓標。 円形のテーブルにぐるりと剣が突き立っている。その数――12本。 その光景を眼にした瞬間ギルガメッシュが歓声を上げて駆け寄っていった。 「うおおっ、こいつはすげえ!」 「おい、迂闊に近づくな!」 ギルガメッシュがそびえる剣の一本に手を掛け、引き抜こうとした。 「よっと……ん? この……ふぬぬ! うおおおおお……だぁっ! な、んだこれ! どうやっても抜けないぞ!」 だが、剣は求めに答えない。 明らかにアグリアスの倍はありそうな膂力を以てしても剣はびくともしていなかった。 往生際悪く剣に挑みかかっていくギルガメッシュは放っておいて、アグリアスはテーブルの一角へと歩み寄った。 そこには石板があり、文字が刻まれている。 「こ、これは……!?」 その石板にはこうあった。          我ら 約されし戦に備え 盟約のもと 眠りにつこう                  汝 力を求めるならば             来たるべき刻 再び我らを手にするがよい          汝が真なる剣士ならば 我らは汝の願いに応えよう ――と。 「どういうことだ? 眠りにつく……封印されているのか?」 呟きに、石板は黙して応えない。 だが想像はつく。これらはおそらく、剣を失った者への救済措置なのだ。 新たな剣を手に、最後の一人となるまで闘い抜け――と、どうせそんなところだろう。 来たるべき刻、というのは放送のことだろうか。 真なる剣士ならば、これがわからない。何か資格があるのだろうか。 アグリアスは剣を抜こうと奮闘するギルガメッシュを見やる。あいつに資格はなさそうだ、と思いながらも嘆息した。 これは必ずしもアグリアスたちに利する要素ではない。 刀剣というものは使い込めば劣化する。一握りの名剣魔剣を除き、基本的には消耗品なのだ。 もし殺し合いに乗った者がこの地で新たな力を得れば、必ず惨劇を生む。 殺し合いはますます加速するだろう。あるいはそれが狙いか。 並び立つ剣はどれも一目でわかる業物ばかり。 これらが野に解き放たれればどれだけの血が流されるか――想像するだに気が重い。 「だが、今抜けないのでは対処のしようもない。また後で戻ってきてみるか……」 思考を切り替え、アグリアスは未練がましく負け惜しみを言うギルガメッシュを引っ張って出口へと向かう。 今はシドとクラウドを見つけるほうが先だ。 遺跡を一歩出ると、夜闇が二人の前に広がった。 先行きは暗い――あの剣たちがもたらす未来図を思うと、さらに。 だが、諦めるわけにはいかない。 元の世界で仲間が、そして護るべき主がアグリアスの力を必要としているのだから。 意を決して歩き出す。 騎士の苦難の一日が始まる―― ] 【C-7/遺跡内部/一日目/深夜】 【アグリアス・オークス@ファイナルファンタジータクティクス】 【状態】健康 【装備】九字兼定@空の境界 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 【思考】基本:ロワを打倒して元の世界に帰還する。  1:シド、クラウドと合流する。  2:ギルガメッシュ……信用できるのか?  3:遺跡の剣が気になる。 【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジー5】 【状態】健康 【装備】アルテマウェポン@ファイナルファンタジー7 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 【思考】基本:剣はほしいが殺し合いはあまりしたくない。  1:とりあえずアグリアスに同行する。  2:バッツに会ったらどうしよう。  3:遺跡にあった剣がほしい。 【備考】  ※次元の狭間を彷徨っているっときからの参加です。  ※外見はギルガメッシュチェンジ前のもの。 ※C-7の遺跡には12本の剣が封印されており、放送ごとに四本の封印が解かれます。 ※一人が持ち出せる剣は一振りのみです。 ※剣を抜くには何かしらの条件があるかもしれません。 ---- |BACK||NEXT| |020:[[闇に輝く光]]|投下順|022:[[骸骨の踊り]]| |020:[[闇に輝く光]]|時系列順|023:[[願果(ねがいのはて)]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |&color(blue){GAME START}|アグリアス・オークス|046:[[朝焼けに間に合わない]]| |&color(blue){GAME START}|ギルガメッシュ|046:[[朝焼けに間に合わない]]| ----
**封印の剣◆WoLFzcfcE. アグリアス・オークスは騎士である。 ルザリア聖近衛騎士団に属し、その剣は王女オヴェリア・アトカーシャに捧げられている。 彼女と王女の関わりは深く、アグリアスは職務ではなく自身の忠義を以て王女を護るべく剣を振るってきた。 放浪の末に主と離れても、その心はいつも王女の身を案じていた。 彼女は信頼できる友と共にイヴァリースを蝕む者たちとの決戦に臨んでいたはずだった。 その戦いの先にこそ求める平和があり、ひいては主の安寧にも繋がると信じて。 記憶が確かならば、自分は魔法都市ガリランドで宿を取っていたはずだ。 しかし今、アグリアスが立っている場所はどことも知れない建物の中だった。 最初は夢でも見ているのかと思った。 だが、ロワと名乗る女から伝えられた戦乱の匂い、死の宣告。 そしてフレンなる金髪の青年が無残な死を遂げるのを見て、尋常な事態ではないと悟った。 あの場でまず彼女がしたのは声を潜め周囲を見渡したこと。 辺りには自分と同じく殺し合いに巻き込まれたであろう数十名の人間の姿があった。 一行のリーダーであるラムザ・ベオルブ、銃使いムスタディオ、部下であるアリシアとラヴィアン、古参の傭兵ラッド。 神殿騎士メリアドール、ハンターであるベイオウーフ、その恋人レーゼ、ラファとマラークの兄妹に、チョコボのボコ。 幸いにも彼らの姿はなく、ほっと胸を撫で下ろした。 ムスタディオやレーゼなどはともかく、ラムザやメリアドール、それに部下二人などはこの場に招かれていてもおかしくはなかったからだ。 だが――幸か不幸か、自分一人でもなかった。 パーティの主力として活躍していた剣聖シドルファス・オルランドゥ、そして謎の男クラウドの姿を彼女は確かに認めていた。 特にシドがいてくれたことは心強い。 あらゆる剣技に精通し単騎で戦場を支配するあの剣聖ならば、こんな殺し合いなど決して許さず争いを止めるために動いているだろう。 クラウドは正直なところ掴みどころがない人物である。 だが、何度も戦場を共に駆けていく内に信頼の置ける男であるということはわかっていた。 彼女は自分の限界を知っている。 剣の腕に自信はある。が、どう逆立ちしても剣聖には及ばない。 統率力や判断力ではラムザに適うはずもなく、魔法もその道専門の使い手ほどでもない。 人間が一人でできることなどたかが知れている。 むしろ一つ一つは弱いその力を束ねることで、彼女たちは人間を超えた存在であるルカヴィを何度も退けてきたのだ。 そう、選ぶべきは殺し合いではなく元凶の打倒。 ロワという女を倒し、速やかにイヴァリースに帰還することこそ、騎士として彼女が進む道だ。 当面は二人との合流を目的に動くべきか。 その道中で望まぬ戦いを強いられた者がいれば救ってみせる。 かつてラムザがそうしたように、己を偽ることなく己の信ずる道を行けば、必ず道は開けるはず。 「……誰だ!?」 そのとき、アグリアスの耳にかすかな物音が聞こえた。 反射的に手にしていた刀を抜刀し、そちらへと向き直る。 刀の銘は九字兼定。握りの部分に九字を刻んだ名刀である。 本来彼女が使うのは両刃の騎士剣なので、刀はどちらかといえば不得手だ。 だがこの刀からは並々ならぬ魔力を感じる。 聖剣技のパワーにも問題なく答えてくれると抜刀した瞬間に確信した。 「わっ、待て待て! 人がいるとは思わなかったんだ!」 そこでは全身を侍のような装備で固めた人物が、物陰から窺うようにアグリアスを見ていた。 まじまじとアグリアスの姿を見つめた後、おそるおそる近寄ってくる。 「お前……人間か? モンスターじゃないよな?」 「何を言っている? 人間に決まっているだろう」 アグリアスがそう言うと、鎧男は緊張の糸が切れたかのように膝から崩れ落ち、滂沱の涙を流し始めた。 突然の奇行に驚いたが、刀を構える腕は下ろさない。 「ああ、良かった! やっと化け物じゃないやつと会えた!」 「だから何を言っている! お前は一体誰だ!」 「おっと、自己紹介がまだだったな! 俺はギルガメッシュだ!」 涙の跡など一瞬で消えた。 立ち直りの早い男と思いつつも、その物腰は確実に武人のそれだった。 ギルガメッシュの背中にある大剣を睨み、アグリアスは警戒を緩めない。 「私はアグリアス・オークスという。それで……ギルガメッシュよ。どうする気だ?」 「は? どうするとは?」 「とぼけるな! 貴様は殺し合いに乗っているのかと聞いている!」 「殺し合い……いや待て待て! 俺はそんなことをする気はない!」 そこまで言うとやっと事態を認識したか、ギルガメッシュは慌てて手を振って戦意はないとアピールした。 彼は背中から剣を外し、地面に置く。 それを見てアグリアスは安心するより先に訝しんだ。 「……お前、殺し合いに乗る気がないのは結構だが、無防備にもほどがあるぞ。私がお前を殺す気だったらどうする気だったんだ」 「えっ!? そうなのか!?」 「違う! ……違うが、危機感が足りないと言ってるんだ」 刀を納めるアグリアス。 ギルガメッシュはほっと息をつき、床にどっしりと腰を下ろした。 「いやなんつーかさ、俺ここに来るまでさんざん化け物に追っかけられてたんだよ。  だからもう戦いは懲り懲りって言うか……とにかくしばらくゆっくりしたいなー、なんて思ったり」 「ゆっくりできる状況だとでも思っているのか?」 ギルガメッシュは相当楽天的……悪く言えばバカだった。 その分腹に含むものはないだろうと、アグリアスにしては辛めの評価をつけた。 「珍しい剣はほしいが、自分から奪うような真似はしねえよ。人間にもすげー強いやつがいるし。  ……ああ、最初にいた場所でも化け物みたいな気配を出してるのが何人かいたぜ。あんなのは相手にしたくねえなぁ」 「ふむ、なら私についてこないか? 私はあのロワという女を倒してこの島から脱出するつもりだ」 「脱出って……そんなことできるのか? 勝ち残るより難しいんじゃないのか」 「私とお前だけならそうだろうが、他にも同じ目的を持つものはいるだろう。そういった者と合流し、殺し合いを破綻させるんだ。  何より、この場には剣聖がいる。彼ならどんな達人が相手だろうと決して遅れは取らないだろう」 「はあ……じゃあ、とりあえずはあんたについてくよ。他にあてもないしな」 なんとも軽いやり取りの末、ギルガメッシュはアグリアスと同行することになった。 闘いたくないとは言ったが死にたくもないようで、自衛程度なら協力してくれるという。 とりあえず外に出るかと、アグリアスたちは建物の中を移動していく。 やがて一際大きなホールに出る――我知らず息を呑んだ。 そこは一言で表すなら剣の墓標。 円形のテーブルにぐるりと剣が突き立っている。その数――12本。 その光景を眼にした瞬間ギルガメッシュが歓声を上げて駆け寄っていった。 「うおおっ、こいつはすげえ!」 「おい、迂闊に近づくな!」 ギルガメッシュがそびえる剣の一本に手を掛け、引き抜こうとした。 「よっと……ん? この……ふぬぬ! うおおおおお……だぁっ! な、んだこれ! どうやっても抜けないぞ!」 だが、剣は求めに答えない。 明らかにアグリアスの倍はありそうな膂力を以てしても剣はびくともしていなかった。 往生際悪く剣に挑みかかっていくギルガメッシュは放っておいて、アグリアスはテーブルの一角へと歩み寄った。 そこには石板があり、文字が刻まれている。 「こ、これは……!?」 その石板にはこうあった。          我ら 約されし戦に備え 盟約のもと 眠りにつこう                  汝 力を求めるならば             来たるべき刻 再び我らを手にするがよい          汝が真なる剣士ならば 我らは汝の願いに応えよう ――と。 「どういうことだ? 眠りにつく……封印されているのか?」 呟きに、石板は黙して応えない。 だが想像はつく。これらはおそらく、剣を失った者への救済措置なのだ。 新たな剣を手に、最後の一人となるまで闘い抜け――と、どうせそんなところだろう。 来たるべき刻、というのは放送のことだろうか。 真なる剣士ならば、これがわからない。何か資格があるのだろうか。 アグリアスは剣を抜こうと奮闘するギルガメッシュを見やる。あいつに資格はなさそうだ、と思いながらも嘆息した。 これは必ずしもアグリアスたちに利する要素ではない。 刀剣というものは使い込めば劣化する。一握りの名剣魔剣を除き、基本的には消耗品なのだ。 もし殺し合いに乗った者がこの地で新たな力を得れば、必ず惨劇を生む。 殺し合いはますます加速するだろう。あるいはそれが狙いか。 並び立つ剣はどれも一目でわかる業物ばかり。 これらが野に解き放たれればどれだけの血が流されるか――想像するだに気が重い。 「だが、今抜けないのでは対処のしようもない。また後で戻ってきてみるか……」 思考を切り替え、アグリアスは未練がましく負け惜しみを言うギルガメッシュを引っ張って出口へと向かう。 今はシドとクラウドを見つけるほうが先だ。 遺跡を一歩出ると、夜闇が二人の前に広がった。 先行きは暗い――あの剣たちがもたらす未来図を思うと、さらに。 だが、諦めるわけにはいかない。 元の世界で仲間が、そして護るべき主がアグリアスの力を必要としているのだから。 意を決して歩き出す。 騎士の苦難の一日が始まる―― 【C-7/遺跡内部/一日目/深夜】 【アグリアス・オークス@ファイナルファンタジータクティクス】 【状態】健康 【装備】九字兼定@空の境界 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 【思考】基本:ロワを打倒して元の世界に帰還する。  1:シド、クラウドと合流する。  2:ギルガメッシュ……信用できるのか?  3:遺跡の剣が気になる。 【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジー5】 【状態】健康 【装備】アルテマウェポン@ファイナルファンタジー7 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 【思考】基本:剣はほしいが殺し合いはあまりしたくない。  1:とりあえずアグリアスに同行する。  2:バッツに会ったらどうしよう。  3:遺跡にあった剣がほしい。 【備考】  ※次元の狭間を彷徨っているっときからの参加です。  ※外見はギルガメッシュチェンジ前のもの。 ※C-7の遺跡には12本の剣が封印されており、放送ごとに四本の封印が解かれます。 ※一人が持ち出せる剣は一振りのみです。 ※剣を抜くには何かしらの条件があるかもしれません。 ---- |BACK||NEXT| |020:[[闇に輝く光]]|投下順|022:[[骸骨の踊り]]| |020:[[闇に輝く光]]|時系列順|023:[[願果(ねがいのはて)]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |&color(blue){GAME START}|アグリアス・オークス|046:[[朝焼けに間に合わない]]| |&color(blue){GAME START}|ギルガメッシュ|046:[[朝焼けに間に合わない]]| ----

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