~第三章~チャプター1

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――今宵は星が瞬く静かな夜。 天空には何度か見た事のある白く淡い月と、額縁の中に散りばめられた様な星空が…。 それを徒、見つめている一つの影…。 …天空に輝く蒼き星と、静かな風にその影は身を任せていた…。    -ここはとある遺跡-  …今は丁度午後11時を回っている…。  …遺跡の中で一人座り込み、星空を睨む様に見つめる大きな瞳…。  何処か悲しい表情で、顔を下に埋める…。  …私は、何故ここに閉じ込められている?  …私は何かしてはいけない事をしたのか?  …目覚めた時には既に此処に居た…。  …出ようにも、強い結界で…阻まれて、出る事が出来ない…。  埋めた顔を少し上げ、辺りを見回す…。  …私は、また一人になってしまったのかな…?  …ううん、違う…。ただ寝過ごしただけだ…。  …それで、きっと皆が居ないんだ…。明日にはきっと来てくれる筈…。  そう思い、立ち上がる小柄な影…。  …だけど、誰も来なかった。  …そう誰も来てはくれない。…何故なんだろう?  朝が来ても、昼になっても、また夜が来ても…誰も来てくれない。…どうして?  …少し影が薄くなる。  …どうして、来てくれないの?…私は忘れられたの?  …これじゃ、昔と同じ…。  …遠い昔の、…忘れたい記憶と…同じ…。  …また一人になっちゃったのかな?  ゆっくり重い腰を上げ、天空を見つめる…。  星が静かに瞬く、何も聴こえない…。近くには生き物すら鳴いてなかった…。  …此処から、出たい。…出たいよ。  結界の張られてる場所に手をそっと伸ばした…。  バチッと弾かれてしまう…。  …何で?…何で、私だけが!?  何度も結界に挑む。…手が火傷しても、止めはしない。  …でも、結界は相当強かった。…そう簡単には破れない。  …どうして?…どうして、誰も来ないの?…何故私を閉じ込めるの?  …少しずつ、その影が黒く染まり出す…。  …もう嫌だ。  …もう一人は嫌だ。…一人になんて、なりたくない。  …一人になるくらいなら、私は…。  …足元に黒い影が迫って来る。  そう思い、結界に突っ込もうとしたその時、ふと声が聴こえた…!?  …低く、穏やかな声が…?  「…そんなに其処から出たいのかい?」  …え?…誰か居るの!?  誰かが私に問い掛けてきた。  「…出たいのなら、出してあげても好いけど…?」  …その声の主は私を出してくれると言う。  「…でも、出すには条件があるけどね?」  …出すには条件がある?…条件付きか…くっ。  「…条件さえ、飲んでくれれば…直に出してあげるよ。」  …条件を飲めば?…出れるのか!?…でも、条件とは一体何だろう?  私は少し悩んでいた…。  条件を飲めば出れる…。けど、その条件が何なのかに不安を覚える。  「…好いの?…此処、出たいんでしょ?それとも、ずっと此処に一人で居るつもりかい?」  …出たい。…今直ぐ出たい此処から。  「…さぁ、出ようよ。此処から…ね?」  その誘惑に…、私は…乗ってしまう…。  そして…、私は条件を飲んで、外へ出た。  「…どうだい?外の空気は??」  「…とっても、澄んでいる。…解放された感じがする。」  …外に出た事で…、その影の本来の姿が…、天空から射す光で映し出された。  …紅き波打つ髪に逆立つアホ毛。  …天空に輝く星を、移す鏡の様な切れ長で大きな瞳。  …さっきまで暗くて見えなかった、…透き通る白い肌。  「…外はやっぱり、気持ちが好い。」  …私は、外の空気を沢山吸って、先程解放してくれた声の主に目をやる。  「…では。約束通り、条件を飲んで貰うからね?」  「…分かった。…その条件、飲みます。」  …その条件とは?  …私が『宇宙の審判官』になり、『星の王族戦争』を見守ると言う条件だった。  …それとその事は誰にも言わない事、そして…。  …此処へは二度と、帰れないと言う事である。  「…よし。飲んでくれた様だから、一応おいらの名前を教えて置くよ♪」  「…?名前?」  声の主は名前を教えてくれた。  「…おいらは『木星神ジュピター』って言うんだな。」  「…え?…木星神ジュピター!?」  …聞いた事がある名前だった。  「…君は『ルビエル』だったよね?」  「Σ…ど、どうして!?其れを!?」  …彼は『木星神ジュピター』。…私の事を知ってる口振りだった。  「…そりゃ、知ってるっすよ。…知り合いがよく話してたので。」  「…知り合い?…誰ですか?」  …彼は知り合いが私の事を話していたと言う。…一体誰が?  「…まぁ、それは置いて置いて、そろそろ往こう。」  「あ、はい…。」  …私は彼に付いて往く。  …歩きながら、少し溜息を吐く。  「…ん?…どうしたの?溜息なんかして。」  「…あ、いえ。…少し、悲しい事があって。」  私は彼に少し、胸の内を話した。  「…むむっ。…そうか。」  「…誰も来てくれなかった。…誰一人。」  …私は悲しかった。誰も来てくれない事もそうだが…何よりも恋しかったのに…。  「…そっか。可哀想に…。きっと忘れられちゃったんだね。」  …彼が言うのも一理ある気がした…。  私がきっと何かしてしまって、嫌われたのかも…それで…。  「…そんなの忘れちゃいなよ?…どうせ、もう会う事もないんだし…。」  …私は、少し悩んだ。…でも、来てくれないと言う事はきっとそうなのかも知れない…と。  …そして、私は木星神とその遺跡を後にした。 
  ――今宵は星が瞬く静かな夜。 天空には何度か見た事のある白く淡い月と、額縁の中に散りばめられた様な星空が…。 それを徒、見つめている一つの影…。 …天空に輝く蒼き星と、静かな風にその影は身を任せていた…。    -ここはとある遺跡-  …今は丁度午後11時を回っている…。  …遺跡の中で一人座り込み、星空を睨む様に見つめる大きな瞳…。  何処か悲しい表情で、顔を下に埋める…。  …私は、何故ここに閉じ込められている?  …私は何かしてはいけない事をしたのか?  …目覚めた時には既に此処に居た…。  …出ようにも、強い結界で…阻まれて、出る事が出来ない…。  埋めた顔を少し上げ、辺りを見回す…。  …私は、また一人になってしまったのかな…?  …ううん、違う…。ただ寝過ごしただけだ…。  …それで、きっと皆が居ないんだ…。明日にはきっと来てくれる筈…。  そう思い、立ち上がる小柄な影…。  …だけど、誰も来なかった。  …そう誰も来てはくれない。…何故なんだろう?  朝が来ても、昼になっても、また夜が来ても…誰も来てくれない。…どうして?  …少し影が薄くなる。  …どうして、来てくれないの?…私は忘れられたの?  …これじゃ、昔と同じ…。  …遠い昔の、…忘れたい記憶と…同じ…。  …また一人になっちゃったのかな?  ゆっくり重い腰を上げ、天空を見つめる…。  星が静かに瞬く、何も聴こえない…。近くには生き物すら鳴いてなかった…。  …此処から、出たい。…出たいよ。  結界の張られてる場所に手をそっと伸ばした…。  バチッと弾かれてしまう…。  …何で?…何で、私だけが!?  何度も結界に挑む。…手が火傷しても、止めはしない。  …でも、結界は相当強かった。…そう簡単には破れない。  …どうして?…どうして、誰も来ないの?…何故私を閉じ込めるの?  …少しずつ、その影が黒く染まり出す…。  …もう嫌だ。  …もう一人は嫌だ。…一人になんて、なりたくない。  …一人になるくらいなら、私は…。  …足元に黒い影が迫って来る。  そう思い、結界に突っ込もうとしたその時、ふと声が聴こえた…!?  …低く、穏やかな声が…?  「…そんなに其処から出たいのかい?」  …え?…誰か居るの!?  誰かが私に問い掛けてきた。  「…出たいのなら、出してあげても好いけど…?」  …その声の主は私を出してくれると言う。  「…でも、出すには条件があるけどね?」  …出すには条件がある?…条件付きか…くっ。  「…条件さえ、飲んでくれれば…直に出してあげるよ。」  …条件を飲めば?…出れるのか!?…でも、条件とは一体何だろう?  私は少し悩んでいた…。  条件を飲めば出れる…。けど、その条件が何なのかに不安を覚える。  「…好いの?…此処、出たいんでしょ?それとも、ずっと此処に一人で居るつもりかい?」  …出たい。…今直ぐ出たい此処から。  「…さぁ、出ようよ。此処から…ね?」  その誘惑に…、私は…乗ってしまう…。  そして…、私は条件を飲んで、外へ出た。  「…どうだい?外の空気は??」  「…とっても、澄んでいる。…解放された感じがする。」  …外に出た事で…、その影の本来の姿が…、天空から射す光で映し出された。  …紅き波打つ髪に逆立つアホ毛。  …天空に輝く星を、移す鏡の様な切れ長で大きな瞳。  …さっきまで暗くて見えなかった、…透き通る白い肌。  「…外はやっぱり、気持ちが好い。」  …私は、外の空気を沢山吸って、先程解放してくれた声の主に目をやる。  「…では。約束通り、条件を飲んで貰うからね?」  「…分かった。…その条件、飲みます。」  …その条件とは?  …私が『宇宙の審判官』になり、『星の王族戦争』を見守ると言う条件だった。  …それとその事は誰にも言わない事、そして…。  …此処へは二度と、帰れないと言う事である。  「…よし。飲んでくれた様だから、一応おいらの名前を教えて置くよ♪」  「…?名前?」  声の主は名前を教えてくれた。  「…おいらは『木星神ジュピター』って言うんだな。」  「…え?…木星神ジュピター!?」  …聞いた事がある名前だった。  「…君は『ルビエル』だったよね?」  「Σ…ど、どうして!?其れを!?」  …彼は『木星神ジュピター』。…私の事を知ってる口振りだった。  「…そりゃ、知ってるっすよ。…知り合いがよく話してたので。」  「…知り合い?…誰ですか?」  …彼は知り合いが私の事を話していたと言う。…一体誰が?  「…まぁ、それは置いて置いて、そろそろ往こう。」  「あ、はい…。」  …私は彼に付いて往く。  …歩きながら、少し溜息を吐く。  「…ん?…どうしたの?溜息なんかして。」  「…あ、いえ。…少し、悲しい事があって。」  私は彼に少し、胸の内を話した。  「…むむっ。…そうか。」  「…誰も来てくれなかった。…誰一人。」  …私は悲しかった。誰も来てくれない事もそうだが…何よりも恋しかったのに…。  「…そっか。可哀想に…。きっと忘れられちゃったんだね。」  …彼が言うのも一理ある気がした…。  私がきっと何かしてしまって、嫌われたのかも…それで…。  「…そんなの忘れちゃいなよ?…どうせ、もう会う事もないんだし…。」  …私は、少し悩んだ。…でも、来てくれないと言う事はきっとそうなのかも知れない…と。  …そして、私は木星神と其の遺跡を後にした。 

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