脂質について


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オルガネラの構造シリーズ1.

構造の由来。
構造に必要なもの。
機能と働きについて
重要性
これから何が面白いのか?



ライソソームの特徴的な構造。


(Spring 8 のHPより引用。)

すでに、へろへろだった。場所は、Spring 8。時は、朝の4:00。一体、いつまで、続けるのだろう?もう、10時間近く続けている。室温も同じ。朝も昼かもわからない。一種の混濁状態。実験の辛さも実験によって変わってくる。しかし、Spring 8の中で、昼も夜もわからなく、延々とやり続ける実験は、まさに生き地獄の一つなのだ。山崎パン工場で、延々とベルトコンベアに乗ってくるパンに、ひとつひとつ細工をしていく。あんな地獄のバイトに似た感覚。

俺は、やさしい早川さんに仕事をすべて任せて、数独をやっていた。
「早川さん、こんな実験で一体何がわかるんですか?」
早川さんは、次に測定するサンプルの準備をしていた。
小さな金属でできたセル。ここに脂質のベシクル入った溶液を入れていた。

「脂質がどんな風に並んでいるかがわかるんですよ。」

「つうか、俺、よくX線の原理わかっていないんですけれど。。。」

「まず、X線が試料にぶち当たると。X線っていうのは、波長が1 nmですよね。すると、この波長に近い、規則性をもった構造があると回折や干渉を起こす。そして、干渉縞や回折パターンが、このスクリーンに映し出される。円心状の模様ができるわけですね。この黒い線のパターンが、干渉しているっていうことですね。これから、何がわかるんですか?
いや、さすが上田さん。よくわかっていますね。このピークがありますよね。この試料が周期的構造を持っているということを示しています。つまり、今回は、マルチラメラベシクルを入れていますんで、膜と膜の間の距離を示していることになります。

「この図のqって言うのは、なんですか?」




これは、結果として見やすいように導入されたものとして、考えてください。λ=2π/q なんですよ。だから、今、大体、間隔がq=1じゃないですか?これをこの式にいれると、6.3 nmとでてきますよね。だから、このベシクルは、6.3 nm の間隔のベシクルができているとわかるわけです。
「しかし、これがわかって、いいことがあるんですか?うちら細胞生物学やっているんですよ。細胞の中でこのような構造ないじゃないですか?」

それが、あるんですよ。

えっ?と俺。

上田さん。マルチベシキュラーボディーって知っていますか?細胞の後期エンドソームとリソソームには、マルチベシキュラーボディーって言うのがあるんですよ。エンドソームやリソソームは、細胞でできたゴミを消化する働きをしているのですが、この構造がとても重要なんです。先天的に、脂質を分解できない人間は、このマルチベシキュラーボディーが、異常に膜と膜の間が近づいてしまって、異常マルチラメラボディーって言うのを形成してしまうんです。すると、脂質の分解する場所であるリソソームが正常な働きをすることができなくなってしまい、脂質を分解することができなくて、死んでしまう。だいたい、子供のうちに亡くなってしまうという恐ろしい病気です。ゴーシェ病。ファブリー病などです。この病気、特に、ユダヤ人などに多いんです。ゴーシェ病、ファブリー病などは、原因遺伝子がわかっているんですが、どうしてこのようになってしまうかについての詳細なメカニズムについては、全くわかっていないんです。すこしでも、うちらのやっている研究が、この解明に繋がればよいんですがねぇ。

ライソソームで一発当てられないですかねぇ?と俺。
まあ、学術的な興味としては、LBPAは、ライソソームに多いんですが、LBPAの原材料は、実はミトコンドリアにあるんです。それが、どのように、ライソソームまで運ばれてくるのかについてもわかっていない。膜輸送で運ばれるのか?もしくは、直接ミトコンドリアとライソソームがくっついた時に、運ばれるのか?などいろいろな説があります。もし、これをクリアにできたらnatureに乗りますよ。

あと、やはり病気に関することですよね。今のところ、ゴーシェ病やファブリー病の治療方法は、直接体内に原因遺伝子を打ち込むという対処療法しかないんです。だから、もっと、ライソソームの変形を抑えるような薬を開発することができれば、うはうはですよ。





ライソソームや後期エンドソームは、ゴルジ体などがちぎれてできてくる。最初は、ベシクルが入っていないが、ESCRTタンパク質の働きによって、ベシクルが作られることがわかっている。ライソソームの中は、pHが4,5くらいでとても低い。その溶液の中に小さいベシクルが浮いており、そのベシクルの中は、基本的に細胞質と同じ組成と考えられる。
ライソソームと後期エンドソームの違いは、limiting membraneが形態学的には、何個入っているかで区別するらしい。ライソソームには、変わった脂質が存在している。LBPAだ。LBPAは、細胞全体の数%しか存在しないが、リソソームには、全体の70%を占めている。ちなみに、外膜も中のベシクルも一枚の2重膜(bilayer) LBPAは、内膜にいるが、表か裏かは定かではない。しかし、sandhofは、外側にいるといっている。LBPAがライソソームの特徴的な構造を保っていると考えられている。

酵母の場合は、ライソソームがバキュオラと呼ばれている。同じように同じ働きをしている。しかしながら、LBPAがあるかについては定かではない。