グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
1 基本情報
1.1 地理・経済情勢
- 人口 6140万人(2008)
- 首都 ロンドン(756万人)(2008)
- GDP 12640億ポンド(実質,2009)、一人当たりGDP 43,736(2008)
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
1.2 年表
年台 |
出来事 |
備考 |
1066年 |
イングランド征服 |
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1432年 |
最古の民営水道の記録 |
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1801年 |
現在の国家成立 |
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1979年 |
水道の統合開始 |
~1974年まで |
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
1950年台まで、水道は地方自治体が個別に運営しており事業数も1000以上あったが、1970年代にこれらを段階的に統合するプロセスが進められていたが、1973の水基本法により、10箇所の公共地域水道の制度が確立され,1979年には上下水のみならず水資源まで統合的に管理される体制が整った。1989年、サチャー首相により政府資産の売却が進められ、監視部門はOFWAT等に分離される現在の体制になった。
イングランドと異なり地方自治体による運営が継続され、2002年には3つの事業に統合された後、2005年にサービス部門の業務委託が可能になる法律が整備されて徐々に民活が進んでいる。
もともとは地方議会の管理下にあったが、1973年に北アイルランド環境局に移管され、2007年に政府全株保有の株式会社Northern Ireland Water Limitedに移管された。
2 水資源と水利用
2.1 水資源
年間降水量は、イングランド・ウェールズ地方の1,057mm、スコットランドの1,743mm、北アイルランドの1,274mmとやや幅がある。
地域によるが、全国的にみれば、水道水源は75%が表流水で25%が地下水である。
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
2.3 家庭用水需要
一人一日平均使用水量,イングランド・ウェールズ地方290L/人日,スコットランド430L/人日,北アイルランド410L/人日。
3 水に関する住民意識
3.1 徴収率
料金未納率はイングランド及びウェールズ地方で3%程度。財政的に恵まれない世帯への援助を水道料金で賄なう体系で、最終的な負担はイングランドの場合で年間12ポンド程度。
3.2 料金体系
事業によって異なるが、年間の使用料は、270m3(5人家族×150L、水道メーター有りの場合)使用の計算で、上下水道込で180~420ポンド(2007年)。
旧来は、一般家庭に水道メーターは設置されておらず、不動産価値を規準に料金を算定していた。商業用はメーターによっていた。その後、不動産価値の公表制度がなくなったことをきっかけに新築家屋を中心にメーター制に切り替わりつつあるが、設置率は30%程度(2007年)である。
スコットランドでは現在も資産課税額に比例して課せられる。統合後水道料金は38.5%、下水道料金は143%上昇した。一人暮らしや学生、障がい者には減免措置がある。
北アイルランドではサービス費用は地域税の負担が75%、残りは商工業使用者に賦課されていたが、今後の財政危機に備えるため対策が求められている。
3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
4 水関連の政策・法規制・基準
4.1 政策と計画(policy and plan)
1966年頃から、零細水道や下水道未整備の問題から流域管理のための改革が着手され、1973年~1974年の間に10水系の水管理公社(PWA)に統合された。しかし、民営水道はこの際には統合されずそのまま残る。
4.2 法規制
水道事業の基本規制は1991年のWater Industry actに基づく。
4.3 水行政機関
PWAの設立時に地方行政と水道事業は完全に切り離された。治水事業、環境部門については環境庁が担う。民営水道は25年間のライセンスのもと、水質、経営、環境の各面から審査を受ける。
水道事業の体制は連邦の各国によって異なる。イングランド及びウェールズは10の大規模民営水道が中心となって供給されているが、顧客が水供給会社を選択する制度がある。料金は民営化後20%アップしたがサービスや水処理水準は大幅に向上した。
また事業運営の確実性担保のためには、環境食糧農村事業省(DEFRA)による事業運営者任命と、OFWATによる料金体系への規制を受ける。また、供給水質についてはDWIが、環境水質規準については環境庁が規制を運営する。
5 上下水道事業の実施状況
5.1 上下水道の普及状況
給水普及率は99%、で1970年台にはすでにこれを達成していた。
5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
6 上下水道への援助・民営化
6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
6.3 民営化
英国では、都市部においては古くから水売りを起源とした民営水道が盛んで、最古の民営水道事業は1432年とのことである。それ以外の地域及び下水道は地方公共団体の管轄であった。
1983のIMF融資などの国家財政危機の中でPWAの上下水道部門の民営化、株式公開が行われ、その後完全民営水道が水供給を担う形になった。ただし、その他にも私設水道が一説には50,000箇所あまりも存在している。一部の事業は株式をNPOが買収して再公営にした例もある。
スコットランドでは統合された公営広域水道があるが民営化の予定はない。北アイルyランドも公営である。
7 水技術
(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
出典
※1)Aqualibrium European Water Management between Regulation and Competition 2003 European Commission
※2)水道年鑑 世界の水事情2008
※3)
最終更新:2011年10月06日 12:04