ケニア共和国
Republic of Kenya
1 基本情報
1.1 地理・経済情勢
- 首都:ナイロビ(Nairobi)(約310万人 2009年:ケニア統計局)
- 人口:3,980万人(2009年:世銀) ※1
- 主要産業:(農)コーヒー、紅茶、園芸作物、サイザル麻、綿花、とうもろこし、除虫菊、(工)食品加工、ビール、タバコ、セメント、石油製品、砂糖、(鉱)ソーダ灰、ほたる石 ※1
- GNI:303億米ドル(2010年:世銀)※1
- 一人当たりGNI:760米ドル(2010年:世銀)※1
- 経済成長率:約5%(2010年:世銀)※1
- 成人識字率(1999~2007年、15歳以上の割合):73.6% ※2
- 総就学率(2007年):59.6% ※2
ケニアは概ね北緯4度、南緯4度の間に位置し、まさに赤道直下の国である。1年は雨期と乾期に分かれ、特に雨期は3~6月(大雨期)と7~12月(小雨期)となっている。ケニア国全面積において乾燥・半乾燥(ASAL)地域の占める割合は約83%(49万km2)であり、この地域内に全人口の25%が居住している。※8
1.2 年表
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
2 水資源と水利用
2.1 水資源
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
年間平均降水量:630mm(北部は200mm未満、ケニヤ山では1800mm)※5)
一人あたり水資源量:534m3/年/人(2008年) ※5)
2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
全水使用量の80%は農業用に使われている。上水は17%、工水は3%。※5)
2.3 家庭用水需要
一人あたり水使用量:46L/日 ※6)
3 水に関する住民意識
3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
ケニアの都市では、水道に接続するための費用が月収の6か月分にも相当する場合がある。※6)
3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
4 水関連の政策・法規制・基準
4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
第9次国家開発計画(2002-2008)及び国家貧困削減計画(1999-2015)の中で安全な水の供給拡大を重点分野に掲げ、2015 年までに700 の既存上水道施設の改善に取り組むことを目標としている。※3)
○ケニア・ビジョン2030 ※3)
ケニア・ビジョン2030は、2008 年から2030 年までのケニアの新たな開発計画を示したものであり、同国を2030 年までに全ての国民に高い水準の生活を保証する工業化された中堅国家に転換させることを目的としている。同ビジョンは、5 年ごとに中間計画が作成され、まず2008 年から2012 年までの第1次中間5カ年計画が発表された。水セクターに関する目標は、以下のとおりである。
- この5 年間で都市部における安全で安定した水へのアクセスの割合を90%、地方部における割合を70%とする。
- 無収水率を30%以下のレベルに減少させる。
- 安全な衛生設備へのアクセスを都市部で70%、地方部で65%を達成する。
- 下水道へのアクセスを都市部で40%、地方部で10%を達成する。
○国家水サービス戦略(2007年-2015年)※3)
国家水サービス戦略(National Water Services Strategy 2007-2015)では、以下の目標を掲げている。
①都市部において、ケニア国基準に適合した安全な水への持続的アクセスを増加させる。
- 公共水道における給水率を、2015 年までに60%から80%にする。
- 公共水栓の場合は、住居から最も近い公共水栓での水汲み時間(移動時間を含む)を平均30分間に減少させる。
②地方において、ケニア国基準に適合した安全な水への持続的アクセスを増加させる。
- 公共水道における給水率を、2015 年までに40%から75%にする。
- 公共水栓の場合は、住居から最も近い公共水栓までの距離を2km以下に減少させる。
③ 無収水率(営業ロス+漏水)を、2015 年までに、現在の平均60%から30%に減少させる。
④ 全ての上下水道事業の運営・維持管理費について、2010年までにコスト・リカバリーを達成すること(ただし、貧困層への補助は除く)。
⑤ 汚水集水、処理及び排水施設へのアクセスについて、2015年までに都市部で30%から40%に、また地方部で5%未満から10%に増加させる。
⑥ 浄水施設から発生する排水水質は、関連するケニア国基準(環境管理調整法:Environmental Management and Coordination Act)を満足すること。
⑦ 基礎的衛生施設へのアクセスについて、他の関係省庁、特に衛生分野の主管である保健省と共同で、2015 年までに都市部で55%から77.5%に、また地方部で45%から72.5%に増加させる。
4.2 法規制
4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
2002年に制定された新水法(Water Act)によって、水セクターの改革が実施されている。
○水灌漑省 Ministry of Water and Irrigation (MWI) ※3)
MWI はセクターをリードする機関であり、セクターの方針、政策、法制定に責任を持つ。
- 法律、方針及び戦略の策定、水セクターの調整と指導及び監視と評価
- 全般的な水セクターの投資、計画及び水資源の運用
○水サービス信託基金 Water Services Trust Fund
地方及び都市部における貧困層への上水・衛生施設整備への財政的支援
○全国水保全・用水供給公社 National Water Conservation and Pipeline Cooperation (NWCPC)
ダムの建設、深井戸掘削、水道用水供給
○水資源管理庁 Water Resource Management Authority (WRMA)
- 水資源の計画、管理、保護及び保全
- 水資源の配置、配分、評価及び監視
- 取水許可(water permits)の発行
- 水利権及び許可条件の執行
- 水利権及び許可条件の執行
- 保全及び取水構造の規制
- 流域及び水質の管理
- 水利用の規制と管理
- IWRM (Integrated Water Resources Management)計画との調整
○流域調整委員会 Catchment Area Advisory Committees (CAAC)
流域レベルで水資源問題に関するWRMAへの助言
○水資源利用組合 Water Resource User Association (WRUA)
- 水利用者の特定と登録のための意思決定プロセスにおける関与
- 水配分及び流域管理における協力
- 水資源の監視と情報収集への支援
- 水資源に関する対立の解決と協力的管理
○水サービス規制機関(Water Service Regulatory Board:WASREB)
- 水サービス事業の規制と監視(WSB及びWSP)
- WSBへのライセンス発行とサービス供給契約の承認
- 水サービスに関する基準の設定とガイドラインの整備
- 水道料金に関する交渉
- 比較レポートの発行
○水サービス企業団(WSB)
- 水サービスの効率化及び経済的提供のためのWSPとの契約締結
- 上下水道施設の拡張とリハビリ、投資計画策定及び実施(資産管理)
- 水サービス及び水道料金に関する規則の適用
○水サービス供給公社(Water Service Provider:WSP)
上下水道サービスの提供、消費者と良好な関係と満足度の確保、適切な資産の管理及び規則で設定されたパフォーマンスレベルの達成
5 上下水道事業の実施状況
5.1 上下水道の普及状況
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
改善された水供給へのアクセス率(2006年) 57%(都市:85%、村落:49%)※7
改善された衛生施設へのアクセス率(2006年) 42%(都市:19%、村落:48%)※7
各機関による水供給状況は以下のとおり。*4)
Provider/Supplier |
NO. |
Pop. Served(millions) |
MWI |
628 |
6.1 |
NWCPC |
48 |
3.7 |
Communities |
356 |
|
NGOs |
266 |
|
Self-help |
243 |
4.9(Communities,NGOs含む) |
LAs |
8 |
3.9 |
TOTAL |
1549 |
18.6 |
都市の水道普及率は2007年は37%であったが、2009年は45%に改善。※7)
5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
無収水率は60%。無収水の削減が費用対効果の高い手段として認識されており、2015年までに30%まで削減することを目標としている。
6 上下水道への援助・民営化
6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
乾期における水不足と、質の悪い天然水を利用せざるを得ないことに起因する水因性疾患の発生が問題となっており、特に、マチャコス、キツイ、ムウィンギ、マクエニの4県は、水道に関する状況が劣悪である。このような背景の下、ケニア共和国政府は日本に対し、上記4県における給水施設の整備に必要な施設建設、機材整備のための無償資金協力を要請。日本は、本件協力により調達される機材の活用により、上記4県の水道普及率が現在の約21%から約27%に増加し、住民の保健、衛生環境の向上に加え、社会経済活動が活発化することにより、生活環境改善にも寄与している。更に2009年度には、西部のカプサベット市に浄水場を築造し、配水管を布設するための無償資金協力もしている。※8
6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
7 水技術
(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
出典
最終更新:2011年07月28日 14:44