「84 ベトナム社会主義共和国」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「84 ベトナム社会主義共和国」(2011/07/31 (日) 15:25:21) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*ベトナム社会主義共和国
*Socialist Republic of Viet Nam
----
*1 基本情報
----
*1.1 地理
人口:約8,616万人(2008年)人口増加率:1.1%(対前年比)
首都:ハノイ
*1.2 経済情勢
*1.3 水関連の行政機関
**○保健省(Ministry of Health)
水質基準の設定、都市部・農村部における飲料水の水質監視とコントロール
**○建設省(Ministry of Construction、MoC)
都市部における上下水道サービスを所管。水部門における全体的な責任を負い、地方自治体レベルへの地方分権が進む中、規制当局としての役割を担う
**○農業農村開発省(Ministry of Agriculture and Rural Development)
農村部における上下水道サービスを所管。地方自治体レベルで地方分権が進む中、MoCとともに規制当局としての役割を担う
*1.4 水道事業者
(上水道)
・ベトナムの水道事業は地方自治体が所管しており、運営主体は地方公営企業である。
・近年は経営の効率化などを目的とした株式会社化等の公営企業の民営化も推進されている。
・州所有の水供給会社Water Supply Companies(WSCs)が全国に67社あり、420超の水道を運営している。
(下水道)
**○Urban environmental companies (URENCOs)
・下水道、排水、ごみ処理事業はURENCOsに責任があるとされているが、組織的にも財政的にもWSCsほど安定したものではない
*1.5 上下水道の普及状況
**○普及率※7)
・水道(Proportion of population using an improved drinking water source)
都市部99%
農村部80%
・衛生(Proportion of population using an improved sanitation facility)
都市部92%
農村部50%
**○施設
・600ある地区町村(district towns)のうち、水道管路で給水しているのは約3分の1で、ほとんどの水道ではNRWが約35%と高い。
・ハノイ市やホーチミン市でも管路の状態は酷く、このような状況は水道事業にとって最大の関心事の一つとなっている。
**○水道料金
(上水道)
・1998年以前、水部門のサービスは無料で、そのサービスレベルは低いものであり、1999年に将来的にコストをまかなえるようにするための新しい料金制度が導入された。しかし、料金は依然として低く、コストをカバーできないため多額の補助金に頼っている。料金の徴収率は95%、徴収期間は30日以内である。
(下水道)※9)
・政令67/2003により水道事業体は下水道のある地域において環境保護料金として水道料金の10%を徴収。この料金はPPCに渡り、Urban and Environment Company (URENCO)の運営に当てられており、一般には下水道料金と認識されている。
・比較的大きな都市でしか徴収されていないため、下水道システムと環境保護施設へは過小な投資しか行われていない。
**○ガバナンス
・汚職に関する予備調査では、回答者の90%が汚職の経験があり、役人の33%が進んで賄賂を受け取るという結果であった。
・2005年、国会では反汚職法(Anticorruption Law)と汚職を非難する法律が可決され、役人やその親族は資産を公開するなど、より大きな透明性が求められている。
・汚職との戦いの中心的組織として政府監察団(Government Inspectorate)が設立されている。
**○課題
・低い普及率(特に農村部での衛生)とサービス水準(水質、間歇給水、低圧、NRW)
・公共部門と産業部門からの排水を100%1次処理し、2次処理も積極的に行う必要がある
・水源と配水管網への投資と現在の能力が実際の需要に追いついていない。あるところでは制限が行われる一方、別のところでは過剰な能力がある
・接続料金を都市部の品高層が可能なレベルにまで下げる必要がある(例.ハノイ市では接続料金がたったの0.02ドル)
・料金が不十分、特に下水道料金はもっと実際のサービスにかかるコストを反映させる必要がある
・経営能力が不足している事業体もある
・部門の改革には組織の責任を明確にし、人的資源を増やす必要がある
・新しい衛生に関する法律が求めているのはO&Mコストのみであり、中央政府の下部組織が存在しない中で、サービスにかかるコストと回収できる利益との差に不明確な点がある
・収益が小さいかマイナスにさえなるような都市周辺地域では、WSCsは給水サービスや用水供給に満足せず、建設などの他事業を手がけたがる
・WSCsを所有する地方政府が料金も設定するという状況は、料金を安く設定することと企業利益との間に葛藤を生む
----
*2 水供給の歴史
----
----
*3 水に関する住民意識
----
----
*4 水関連の政策・法規制・基準
----
*4.1 政策
**○2020年都市給水開発指針
・経済成長の拠点として都市開発の推進を重視した” Orientation Plan for Urban Development to 2020”に上下水道に係る政策、計画が策定されている。※1)※3)
・都市部の上水道については2020年までにアクセスを100%にすること、無収水削減等が挙げられている。
・社会経済開発計画”2006 ・2010 Socio ・Economic Development Plan (SEDP)”の下、建設省は政策策定、規制、技術移転の機関へと再編される。
・1998年以前、水道サービスは水準が低いとは言え無料で提供されていた。
・1999年に定額制の料金が導入され、独立採算に向けて移行しつつある。
・第10 回党大会により、民間の事業参入が再び是認されている。
・2009年には、ターゲットを2025年に設定した新開発指針が策定された。2025年を目標年次としているが、この時点の達成目標に向けて、2015年、2020年の短期目標及び指標を設定し、順次整備していくこととしている。※4)
‐2020年までに、普及率90%、給水量を120L/人日、無収水率18%以下(Class4以上の都市)
**○農村給水・衛生環境に関る国家戦略(National Rural Water Supply and Sanitation Strategy, NRWSS)※8)
・村落地域の水供給および衛生に関しては2000年に”Vietnam National Rural Water Supply and Sanitation Strategy up to 2020”を策定し、以下の目標を達成する。
‐2020年までに:
・すべての村落人口に国の水質基準を満足する安全な水を60L/人日以上給水し、すべての人が改善された衛生施設を利用できるようにする。
・情報提供や教育を通じて衛生習慣の普及と良好な衛生環境を実現する。
‐2010年までに:
・85%の村落人口が安全な水を使えるようにする。
・70%の村落人口が改善された衛生施設を利用でき、衛生習慣を身につけるようにする。
*4.2 法規制
**○水道料金の算定方式に関するガイドライン ※9)
・2004年11月、首相による命令を受け、MOCとMOFは水道料金の算定方式に関するガイドラインを関係各省に通達。水の生産費用と給水量(消費量)に基づき平均単価を求め、利益3%を上乗せした価格に顧客別・消費量別の係数を掛け最高料金を算出するもの。消費量別の係数は生活用水に適用され、1ヶ月10m3までは0.8、10-20m3は1.0、20-30m3は1.2、30m3以上は2.0となっている。
・PPCはガイドラインに示された算定方式で料金を算定し、この範囲であれば料金を改訂できる。
・なお、村落給水にはこのような料金体系はなく、地元自治体が施設の運転・維持管理費用に見合う料金を徴収。lただし、少数民族からは徴収していない。
*4.3 基準
・飲料水水質基準については、都市部に対してWHO 基準に適合した保健省水質基準を適用しており、日量500m3 以下の農村に対しては都市部よりも検査項目の少ない基準を適用している。※3)
・水道事業体はMOHのDrinking Water Hygienic Standards(112項目)の水質基準に従っている。農村給水は生活用水水質基準(Domestic Supply Water - Quality Requirements, TCVN5502:2003)によっているが、2010年以降の目標ではNational Standard Clean Waterで給水率を設定しているため、MOHの飲料水水質基準を採用するものとみられる。※9)
・環境関係では、表流水水質基準(Surface Water Quality Standard, TCVN5942:1995)や工業排水水質基準(Industrial Waste Water - Discharge Standards, TCVN5945:2005)がある。※9)
----
*5 上下水道事業への援助・民営化
----
*5.1 援助実績
**○日本からのODA実績
・日本の援助実績)※4)※5)
‐有償:約11,933億円
‐無償:約1,217億円
‐技術協力:約724億円(Jica)
・水道事業については、「南部地域上水道整備計画(円借)」、「北部地下水開発計画(無償)」、「中央高原地域地下水開発計画(無償)」など継続的に実施されている。
・技術協力プロジェクトとしては「上水道技術訓練プロジェクト」がある。
**○二国間援助※6)
・二国間ODAの約74%はアジア地域向けであり、2001-2002年の日本ODA援助国の内、ベトナムは6位である。
・2002年のODA次号の改革に関する措置により、ベトナムに現地レベルのパイロット事業をはじめとして、日本の新しい開発協力の選択肢が示されている。
・日本の貸し付けは自己の戦後復旧の経験に基づいており、債務比率として4%を超える事はなかったが、ベトナムの返済比率は8%となっている。
**○ベトナム現地ODAタスクフォース※6)
*5.2 民営化
・ベトナム政府は、PPP事業などの民間企業の活用について積極的であり、ホーチミン(世界銀行、オランダ政府)、ハノイ(アジア開発銀行)、ダナン(アジア開発銀行)等の事業が計画されている。
・民間資金の対象としては、特に配水管網の改善が優先的である。
・近年は水道料金改革に後押しされ、民間部門の役割は、地区町村での運営、漏水管理、用水供給事業BOTなどで増しつつある。
----
*6 技術条件
----
*6.1 水資源※2)
・都市部において水源は表流水が60%,地下水など。首都ハノイは地下水が豊富でこれを利用した施設整備が行われたが,一部に地盤沈下が顕著となり取水を停止した井戸もある。
・ホーチミン市はサイゴン川など表流水中心だが井戸水を大量に使用しており,塩水化が進行している。
#ref(ハノイ市水源ダム.JPG)
ダ川に聳えるダム photo:Kondo
*6.2 水需要
・都市部においては、一人一日70L/人日のところを120~150L/人日、無収水量率25~40%を目標に整備しているが、需要増加に整備が追いついていない。※2)
・ハノイの負荷率は低下傾向で、2001年には90%を切ったとの観測も。※2)
・ホーチミン市では公的水道で155~178L/人・日、私的水道で66~88L/人・日、年率8%の増加、下水道普及率16%。※2)
・ハイフォン市の漏水は30%程度。※2)
*6.3 水技術
(上水道)
・ベトナム戦争中に更新ができなかったこともあり施設の老朽化が進行した。1985年からのフィンランドによる援助を皮切りに各国が援助をしている。ホーチミン市では2001年現在、直結給水44%で共用水栓なし、24時間給水の普及は75%。※2)
(下水道)
・ベトナムでは衛生確保は私的な問題とみなされており、家庭が腐敗槽等で処理している。都市に汚水処理場はほとんどなく、深刻な汚染を引き起こしている。農村部はいまだに原始的な状況である※1)
・下水道はハノイ、ホーチミン、ハイフォン、ダナン、ハロンなどの大都市の一部に普及しているのみで、これらは分流式であり、下水処理場がある。これらの都市でも下水道が普及していない地域やその他都市では側溝などの排水路に流している。浄化槽も使われているが、し尿を浄化槽に流すのを禁止している都市もあり、排水路の維持管理や汚泥・し尿の汲み取りはURENCO等の機関が実施している。
・近年はClassII都市が下水道の整備を計画しているが、多くは合流式である。
----
*出典
----
※1) ADB, Country Paper Viet Num Asian Water Development Outlook 2007
※2) 世界の水道事情2006
※3) 厚生労働省 平成20年度水道国際貢献推進調査報告書
※4) 平成20年度 水国際貢献推進調査業務報告書 (ta)
※5) 政府開発援助(ODA)国別データブック2008 (ta)
※6)DAC援助審査 日本 開発援助委員会(DAC) OECD 2003
※7) WHO-UNICEF Joint Monitoring Programme for Water Supply & Sanitation
(http://www.wssinfo.org/en/watquery.html)
※8) National rural clean water supply and sanitation strategy up to year 2020
※9)JICAベトナム国中部地区水道事業人材育成プロジェクト事前調査報告書 2006年12月
*ベトナム社会主義共和国
*Socialist Republic of Viet Nam
----
*1 基本情報
----
**1.1 地理・経済情勢
-人口約8,616万人(2008年)人口増加率:1.1%(対前年比)
-首都:ハノイ
-GDP
(その他、基本情報は後日一覧表から一括で転記)
**1.2 年表
|年代|出来事|備考|
|1950年台| | |
(当該国の歴史的経緯と水に関連する主要なイベントの発生時期を記述)
----
*2 水資源と水利用
----
**2.1 水資源※2)
(水資源の豊富さ、雨期と乾期、どのような水源が使われているか、等)
・都市部において水源は表流水が60%,地下水など。首都ハノイは地下水が豊富でこれを利用した施設整備が行われたが,一部に地盤沈下が顕著となり取水を停止した井戸もある。
・ホーチミン市はサイゴン川など表流水中心だが井戸水を大量に使用しており,塩水化が進行している。
#ref(ハノイ市水源ダム.JPG)
ダ川に聳えるダム photo:Kondo
**2.2 水利用
(農業用・工業用・家庭用の配分、廃水の再利用など、水の使われ方の特徴、等)
**2.3 家庭用水需要
(水道の一人一日使用水量やその範囲、都市村落給水の間での違い、等)
・都市部においては、一人一日70L/人日のところを120~150L/人日、無収水量率25~40%を目標に整備しているが、需要増加に整備が追いついていない。※2)
・ハノイの負荷率は低下傾向で、2001年には90%を切ったとの観測も。※2)
・ホーチミン市では公的水道で155~178L/人・日、私的水道で66~88L/人・日、年率8%の増加、下水道普及率16%。※2)
・ハイフォン市の漏水は30%程度。※2)
----
*3 水に関する住民意識
----
**3.1 徴収率
(水道料金の徴収率、あるいは水供給に対してお金を払う気持ちや文化があるかどうか、等)
**3.2 料金体系
(平均的な水量あたり料金、料金の決め方、等)
(上水道)
・1998年以前、水部門のサービスは無料で、そのサービスレベルは低いものであり、1999年に将来的にコストをまかなえるようにするための新しい料金制度が導入された。しかし、料金は依然として低く、コストをカバーできないため多額の補助金に頼っている。料金の徴収率は95%、徴収期間は30日以内である。
(下水道)※9)
・政令67/2003により水道事業体は下水道のある地域において環境保護料金として水道料金の10%を徴収。この料金はPPCに渡り、Urban and Environment Company (URENCO)の運営に当てられており、一般には下水道料金と認識されている。
・比較的大きな都市でしか徴収されていないため、下水道システムと環境保護施設へは過小な投資しか行われていない。
**3.3 水に対する不満・クレーム
(平均的な水ニーズ、特徴的な水に関する意識、等)
----
*4 水関連の政策・法規制・基準
----
**4.1 政策と計画(policy and plan)
(国の開発計画、水セクターのマスタープラン、等)
**○2020年都市給水開発指針
・経済成長の拠点として都市開発の推進を重視した” Orientation Plan for Urban Development to 2020”に上下水道に係る政策、計画が策定されている。※1)※3)
・都市部の上水道については2020年までにアクセスを100%にすること、無収水削減等が挙げられている。
・社会経済開発計画”2006 ・2010 Socio ・Economic Development Plan (SEDP)”の下、建設省は政策策定、規制、技術移転の機関へと再編される。
・1998年以前、水道サービスは水準が低いとは言え無料で提供されていた。
・1999年に定額制の料金が導入され、独立採算に向けて移行しつつある。
・第10 回党大会により、民間の事業参入が再び是認されている。
・2009年には、ターゲットを2025年に設定した新開発指針が策定された。2025年を目標年次としているが、この時点の達成目標に向けて、2015年、2020年の短期目標及び指標を設定し、順次整備していくこととしている。※4)
‐2020年までに、普及率90%、給水量を120L/人日、無収水率18%以下(Class4以上の都市)
**○農村給水・衛生環境に関る国家戦略(National Rural Water Supply and Sanitation Strategy, NRWSS)※8)
・村落地域の水供給および衛生に関しては2000年に”Vietnam National Rural Water Supply and Sanitation Strategy up to 2020”を策定し、以下の目標を達成する。
‐2020年までに:
・すべての村落人口に国の水質基準を満足する安全な水を60L/人日以上給水し、すべての人が改善された衛生施設を利用できるようにする。
・情報提供や教育を通じて衛生習慣の普及と良好な衛生環境を実現する。
‐2010年までに:
・85%の村落人口が安全な水を使えるようにする。
・70%の村落人口が改善された衛生施設を利用でき、衛生習慣を身につけるようにする。
**4.2 法規制
(上水下水などの水関連の個別法、基準のうち環境基準や水質基準)
**○水道料金の算定方式に関するガイドライン ※9)
・2004年11月、首相による命令を受け、MOCとMOFは水道料金の算定方式に関するガイドラインを関係各省に通達。水の生産費用と給水量(消費量)に基づき平均単価を求め、利益3%を上乗せした価格に顧客別・消費量別の係数を掛け最高料金を算出するもの。消費量別の係数は生活用水に適用され、1ヶ月10m3までは0.8、10-20m3は1.0、20-30m3は1.2、30m3以上は2.0となっている。
・PPCはガイドラインに示された算定方式で料金を算定し、この範囲であれば料金を改訂できる。
・なお、村落給水にはこのような料金体系はなく、地元自治体が施設の運転・維持管理費用に見合う料金を徴収。lただし、少数民族からは徴収していない。
**水質基準
・飲料水水質基準については、都市部に対してWHO 基準に適合した保健省水質基準を適用しており、日量500m3 以下の農村に対しては都市部よりも検査項目の少ない基準を適用している。※3)
・水道事業体はMOHのDrinking Water Hygienic Standards(112項目)の水質基準に従っている。農村給水は生活用水水質基準(Domestic Supply Water - Quality Requirements, TCVN5502:2003)によっているが、2010年以降の目標ではNational Standard Clean Waterで給水率を設定しているため、MOHの飲料水水質基準を採用するものとみられる。※9)
・環境関係では、表流水水質基準(Surface Water Quality Standard, TCVN5942:1995)や工業排水水質基準(Industrial Waste Water - Discharge Standards, TCVN5945:2005)がある。※9)
**4.3 水行政機関
(法規制を執行する機関)
**○保健省(Ministry of Health)
水質基準の設定、都市部・農村部における飲料水の水質監視とコントロール
**○建設省(Ministry of Construction、MoC)
都市部における上下水道サービスを所管。水部門における全体的な責任を負い、地方自治体レベルへの地方分権が進む中、規制当局としての役割を担う
**○農業農村開発省(Ministry of Agriculture and Rural Development)
農村部における上下水道サービスを所管。地方自治体レベルで地方分権が進む中、MoCとともに規制当局としての役割を担う
**○水道事業者
(上水道)
・ベトナムの水道事業は地方自治体が所管しており、運営主体は地方公営企業である。
・近年は経営の効率化などを目的とした株式会社化等の公営企業の民営化も推進されている。
・州所有の水供給会社Water Supply Companies(WSCs)が全国に67社あり、420超の水道を運営している。
(下水道)
**○Urban environmental companies (URENCOs)
・下水道、排水、ごみ処理事業はURENCOsに責任があるとされているが、組織的にも財政的にもWSCsほど安定したものではない
----
*5 上下水道事業の実施状況
----
**5.1 上下水道の普及状況※7)
(上下事業の数、当該国における分布状況、普及率、安全な水アクセス率、等)
・水道(Proportion of population using an improved drinking water source)
都市部99%
農村部80%
・衛生(Proportion of population using an improved sanitation facility)
都市部92%
農村部50%
**5.2 その他パフォーマンス
(漏水率、24時間給水の実現度、その他水供給事業の水準を定量的に把握できる数字)
**○施設
・600ある地区町村(district towns)のうち、水道管路で給水しているのは約3分の1で、ほとんどの水道ではNRWが約35%と高い。
・ハノイ市やホーチミン市でも管路の状態は酷く、このような状況は水道事業にとって最大の関心事の一つとなっている。
**○ガバナンス
・汚職に関する予備調査では、回答者の90%が汚職の経験があり、役人の33%が進んで賄賂を受け取るという結果であった。
・2005年、国会では反汚職法(Anticorruption Law)と汚職を非難する法律が可決され、役人やその親族は資産を公開するなど、より大きな透明性が求められている。
・汚職との戦いの中心的組織として政府監察団(Government Inspectorate)が設立されている。
**○課題
・低い普及率(特に農村部での衛生)とサービス水準(水質、間歇給水、低圧、NRW)
・公共部門と産業部門からの排水を100%1次処理し、2次処理も積極的に行う必要がある
・水源と配水管網への投資と現在の能力が実際の需要に追いついていない。あるところでは制限が行われる一方、別のところでは過剰な能力がある
・接続料金を都市部の品高層が可能なレベルにまで下げる必要がある(例.ハノイ市では接続料金がたったの0.02ドル)
・料金が不十分、特に下水道料金はもっと実際のサービスにかかるコストを反映させる必要がある
・経営能力が不足している事業体もある
・部門の改革には組織の責任を明確にし、人的資源を増やす必要がある
・新しい衛生に関する法律が求めているのはO&Mコストのみであり、中央政府の下部組織が存在しない中で、サービスにかかるコストと回収できる利益との差に不明確な点がある
・収益が小さいかマイナスにさえなるような都市周辺地域では、WSCsは給水サービスや用水供給に満足せず、建設などの他事業を手がけたがる
・WSCsを所有する地方政府が料金も設定するという状況は、料金を安く設定することと企業利益との間に葛藤を生む
----
*6 上下水道への援助・民営化
----
**6.1 国内援助
(中央政府から地方事業への援助等)
**6.2 その他の援助
(外国からの援助等)
**○日本からのODA実績
・日本の援助実績)※4)※5)
‐有償:約11,933億円
‐無償:約1,217億円
‐技術協力:約724億円(Jica)
・水道事業については、「南部地域上水道整備計画(円借)」、「北部地下水開発計画(無償)」、「中央高原地域地下水開発計画(無償)」など継続的に実施されている。
・技術協力プロジェクトとしては「上水道技術訓練プロジェクト」がある。
**○二国間援助※6)
・二国間ODAの約74%はアジア地域向けであり、2001-2002年の日本ODA援助国の内、ベトナムは6位である。
・2002年のODA次号の改革に関する措置により、ベトナムに現地レベルのパイロット事業をはじめとして、日本の新しい開発協力の選択肢が示されている。
・日本の貸し付けは自己の戦後復旧の経験に基づいており、債務比率として4%を超える事はなかったが、ベトナムの返済比率は8%となっている。
**○ベトナム現地ODAタスクフォース※6)
**6.3 民営化
(民営化、公民連携の進行状況)
・ベトナム政府は、PPP事業などの民間企業の活用について積極的であり、ホーチミン(世界銀行、オランダ政府)、ハノイ(アジア開発銀行)、ダナン(アジア開発銀行)等の事業が計画されている。
・民間資金の対象としては、特に配水管網の改善が優先的である。
・近年は水道料金改革に後押しされ、民間部門の役割は、地区町村での運営、漏水管理、用水供給事業BOTなどで増しつつある。
----
*7 水技術
----
(どんな技術が使われているか、現場の技術レベルはどうか、技術基準は、その国発祥の技術は、その他おもしろネタ等)
(上水道)
・ベトナム戦争中に更新ができなかったこともあり施設の老朽化が進行した。1985年からのフィンランドによる援助を皮切りに各国が援助をしている。ホーチミン市では2001年現在、直結給水44%で共用水栓なし、24時間給水の普及は75%。※2)
(下水道)
・ベトナムでは衛生確保は私的な問題とみなされており、家庭が腐敗槽等で処理している。都市に汚水処理場はほとんどなく、深刻な汚染を引き起こしている。農村部はいまだに原始的な状況である※1)
・下水道はハノイ、ホーチミン、ハイフォン、ダナン、ハロンなどの大都市の一部に普及しているのみで、これらは分流式であり、下水処理場がある。これらの都市でも下水道が普及していない地域やその他都市では側溝などの排水路に流している。浄化槽も使われているが、し尿を浄化槽に流すのを禁止している都市もあり、排水路の維持管理や汚泥・し尿の汲み取りはURENCO等の機関が実施している。
・近年はClassII都市が下水道の整備を計画しているが、多くは合流式である。
----
*出典
----
※1) ADB, Country Paper Viet Num Asian Water Development Outlook 2007
※2) 世界の水道事情2006
※3) 厚生労働省 平成20年度水道国際貢献推進調査報告書
※4) 平成20年度 水国際貢献推進調査業務報告書 (ta)
※5) 政府開発援助(ODA)国別データブック2008 (ta)
※6)DAC援助審査 日本 開発援助委員会(DAC) OECD 2003
※7) WHO-UNICEF Joint Monitoring Programme for Water Supply & Sanitation
(http://www.wssinfo.org/en/watquery.html)
※8) National rural clean water supply and sanitation strategy up to year 2020
※9)JICAベトナム国中部地区水道事業人材育成プロジェクト事前調査報告書 2006年12月
----
[[水システム国際化研究会 トップページへ>http://www35.atwiki.jp/gwss/pages/1.html]]
----