琉夏「わかった。俺、わかってきた。」 琥一「なにがだ。」 琉夏「デートって歩くことだ。」 〇〇「……どういうこと?」 琉夏「デートって結局さ、ほとんど歩いてるじゃん?」 琥一「くだらねぇ……どうでもいい……」 琉夏「じゃ、コウは今からスキップな? 俺らは歩くからデート。な?」
琥一「ま、こういうのも、悪かねぇな。」 〇〇「なんのこと?」 琥一「散歩だ。波の音、潮風……そういう色んなもんだ。」 琉夏「ポエムだ。コウがポエムだ。」 琥一「ウルセー。いいだろが、たまには。なぁ?」 〇〇「うん。琥一くんは、ロマンチストだね?」 琉夏「あ、ズリィ! 俺にも言って、ロマンチストって。」
琉夏「カクレクマノミだっけ。あれ、いいな。」 〇〇「可愛かったよね?」 琉夏「よし、家で飼おう。デッカイ水槽も買って。いつでも見に来ていいよ?」 〇〇「すごい、本当!?」 琥一「誰が世話すんだ。」 琉夏「え、コウだろ? ねぇ?」 〇〇「ねぇ?」 琥一「一発ずつ殴るぞ?」
琥一「ちっとガキくせぇけどよ、悪かねぇな、水族館は。」 琉夏「いつ来てもいいよ、水族館は。」 〇〇「また行きたいね……」 琥一「そんなもん、来たきゃいつでも連れてきてやる。」 〇〇「本当? やった!」 琉夏「やった! 俺もくっついてこ!」
〇〇「ハァ……」 琥一「〇〇、どした?」 ○○「ちょっと疲れちゃった……」 琥一「だから泳いだら休めって言ったろうが? ほら、シャンとしろ。」 〇〇「はぁい。」 琉夏「…………」 ○○「……? なに、琉夏くん?」 琉夏「仲いいなと思って。まるで……」 〇〇「まるで?」 琉夏「いや……なんかさ、ホントの兄妹みたいだな?」
琉夏「イテテ……ちょっと焼けたかな。」 〇〇「ちゃんと日焼け止めした?」 琉夏「しない。ワイルドだからね。」 〇〇「もう……じゃあ、わたしのスキンケアオイルを……」 琉夏「塗ってくれる?」 琥一「そんな上等なもん、必要ねぇ。調子に乗んな、ルカ。」 琉夏「怖ぇ……」 〇〇(琥一くん……)
琉夏「〇〇ちゃん、寒い。」 〇〇「がんばって、もうちょっとで着くから。」 琉夏「手、ハァーってしてくれたらがんばれる。」 〇〇「もう……」 琥一「ほっとけ、甘えてるだけだ。」 〇〇「でも――」 琥一「手、貸せルカ。俺がやってやる。」 琉夏「いい、自分でやる。」 琥一「な?」
〇〇「うぅ……寒いっ!」 琥一「しょうがねぇな、後ろ歩け、風よけになんだろ?」 〇〇「そうする!」 琉夏「どうせ風よけにもならない痩せっぽちだよ……」 琥一「バカ、つまんねーヤキモチ妬くな。」 琉夏「どうせバカで痩せっぽちでハンサムでクールだよ……」
琉夏「俺さ、プラネタリウムで寝ない方法思いついた。」 〇〇「どうするの?」 琥一「どうせくだらねぇことだろ。」 琉夏「〇〇ちゃん。ときどき、手握って。そうしたら眠らない。暗闇でドッキリって感じで。」 〇〇「もう、琉夏くんは!」 琥一「悪かねぇ……」
琥一「そう言えば、今日の席順だけどよ……」 〇〇「席順?」 琥一「あ、いや……別に、なんでもねぇ。忘れろ。」 琉夏「あ、そっか。」 〇〇「??」 琉夏「俺が真ん中だったから。な、コウ。それで怒ってんだよな?」 琥一「怒ってねぇだろうが! ケンカ売ってんのかコラ。」 〇〇(……琥一くん、怒ってる?)
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