メキシコ湾原油流出事故 ディープウォーター・ホライズン炎上沈没事故
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メキシコ湾原油流出事故 ディープウォーター・ホライズン炎上沈没事故
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メキシコ湾原油流出事故 まとめページ
-ディープウォーターホライゾン沈没事故-
ここは、2010年4月20日に起きた石油掘削リグ炎上事故から始まる原油流出事故について、備忘録も兼ねて、記録を残していくページです。
主に技術的な側面から事故を考察する事を目的としております。
8月24日
私事で多忙でありました事と、新型の蓋の装着で一応の解決を見たことにより、更新を停止しておりました。
井戸上からのスタティックキルも実施されたようで、あとはどのタイミングでリリーフ井戸による作業に踏ん切りをつけるか、という事だけが問題かと思います。
(リリーフ井戸での作業は現在中断中のようですが、最終的には実施するという事になるかと思います)
尚、何度か当ページ内で、その奇妙な発言について取り上げさせて頂いたマシュー・シモンズ氏ですが、8月上旬に自宅の浴槽にて亡くなられたそうです。ご冥福をお祈り申し上げます。
7月23日、最近の状況は以下の通りのようです。
・新型の蓋の設置は完了。海底での流出(漏れ)が無いかの確認のため、圧力を測定中。測定された圧力は、今のところ推定よりもやや低く、部分的な流出漏れが懸念される。
・リリーフ井戸は引き続き掘削中。7月の終わりから8月にはKill Well作業は開始される見込み
・22日に三井石油開発の子会社で米国現地法人の社長がアメリカ議会の公聴会に出席。「経験・実績のあるBPが計画し、「米政府が承認した掘削事業であり」、信頼していた。事故原因が明らかにされるのを待つ」いう趣旨で発言。
http://moeco.co.jp/news/pdf/20100723_Writtenn_Testimony_Japanese.pdf
こちらの記事も詳しいですね。(アナダルコ社長の答弁もあります)
http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-c6c8.html
(アナダルコの社長の答弁は流石、といった感じですね。三井の石井社長の発言は……55
点くらいかと)
・マシュー・シモンズ氏が引き続きいまいちわけのわからない発言を継続中。(数マイル先で12万バーレル/日で流出中だとかなんとか)。彼の親戚・友人の株売買の記録を調査したほうがよいような気がします。
7月16日、BPの公式発表によると、BOP型CAPのバルブは全て無事に閉鎖。油の流出はストップしたとの事です。現在はIntegrity Test(石油開発で、井戸内の耐圧能力テストに使う総称の一つです)を実施中との事。これは閉鎖した状態での井戸内の圧力を測定し、どこかから漏れていないかを確認するテストです(しばしば泥水をポンプで押し込む加圧試験をやるのですが、今回はそれはやらないかと思います)。この情報を元似リリーフ井戸でのKill Well作業の計画を詰める事になるかと思います。
7月15日、すいませんちょっと多忙です。FAQにはクイックに返事はしようとは思っております。
とりあえずは大きな進展についてのコメント。新しいタイプの蓋の設置が報道されていますが、7月15日時点では、初期の報道のトーンと比べるとうまくは行っていないようです。新しい蓋は、まず既存のBOPの上に簡易BOPを乗せ、その上に更に蓋を被せるという構造になっているようです。簡易BOP内部には3つのバルブがついているのですが、このバルブを閉めようとしたところ、Kill lineから(横側についていて、バルブとバルブの間の圧力を測定したり、外側から流体を流し込むのに使うライン)油漏れを検知。一時的にこの簡易BOPと蓋を外して、修理に当たっているようです。つまり現在のところは油はフルポテンシャルで流出中。なかなか上手くは行かないようです。
7月8日、その他の情報ページがいつの間にか充実してきておりました。投稿者の皆様に感謝申し上げます。私の方から検閲のような事や削除は行いませんので、どうぞ今後も自由にお使いください。
内容が増えてきて見づらくなったという場合は、ページ数を増やし、私の判断で時系列なりテーマ毎に整理をするかもしれませんが、その場合にも編集権の変更は行いませんし、あまりに非常識なものでなければ削除も行いません。
6月30日、事故原因のページを大幅修正中。
6月25日、FAQ回答のページに色々追加。事故原因はえらい専門的になってしまいそうなので、どうするか考え中です。
6月20日、FAQ回答のページに、二件追加。事故原因については、もう暫くお待ちください。
6月17日、FAQ回答のページに「事故原因について(未完成)」「リリーフ井戸について」「保険について」を追加
(6.15)事故から1カ月半以上が過ぎ、ようやくこの事故に関しての日本語の情報も増えてきました。一方で、事故当時の状況についての証言は、ひとまず出尽くした感があります。核心部分に繋がり得る情報は、恐らく公式なレポートの作成までは控えられるのではないでしょうか。当ページは事故原因への考察の一助として作成をしておりましたが、今後はその公式レポートが出るのを待つ状況になるかと思います。
この事故に関する情報量もかなり膨大になりました。一方で、ここをご覧になる皆さんがどういう点を疑問に思っているのかが、気になってきました。そこで、質問ページを設置してみました。タイムリーな回答は保障できませんが、御質問に対して私なりに調べて、適宜回答させて頂こうかと考えております(クオリティは保障致しませんが)。何時まで続けられるかは判りませんが、気になる事があれば、[[FAQ投稿]]からどうぞ。
6月15日、事故後の推移のページにhttp://www.google.com/crisisresponse/oilspill/ へのリンクを追加。
6月13日、事故原因のページに、井戸の事故時の状況についての図表へのリンクを追加。
6月3日、複数のROVからのビデオを同時に見る為のライブカメラページを追加。但し非常に重たいです。マシンパワーのある方向き?
5月31日、「事故後の推移」のページに、「5,6マイル先に、別のより大きな流出を確認か」の記事へのリンクと、それに対しての解説とコメントを追加。
5月30日、トップ・キル作戦失敗。次の作戦であるLMRP作戦へ移行。
5月25日、海底からの流出への対策ページに情報追加
5月24日、海底のライブビデオへのリンクをトップページと事故後の推移に追加
5月21日、事故後の推移に関するリンク追加。
Written by Shrine_Iyasaka (shrine_iyahiko@excite.co.jp)
技術的な内容に関わらず、まとめに加えてもらいたい事、思いついた事、疑問等御座いましたら、上記のメールアドレスへどうぞ。ご返信は致しませんが、適宜更新内容に反映されるかと。
また、その他情報置き場には制限はかかっておりません。ご自由に情報を置いてください。
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FAQ投稿
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/27.html
質問は以下のコメントフォームからどうぞ。
ウェブ上のニュース記事やブログで書かれていた事等についての質問等は、リンクの記入もお願いいたします。
専門性をある程度持っている石油開発と地球科学に関しての質問に関してはFAQ回答においてお答えいたしますが、それ以外の部分についてはこちらでのクイック回答でご勘弁頂いております。
#pcomment(reply)
意外とログの容量が少ないのですね。急遽、コメント欄をもう一つ追加してみました。以降は下のコメント投稿欄からお願いします。
- テストです。 -- いやひこ (2010-07-01 18:11:45)
- HHさんのケーシングに関する質問、大変重要な質問なのですが、鋼管表面の砂による浸食に関して、十分な情報が見つかっておりません。とりあえずは、「もしも裸孔になっていたら」「裸孔にはなっていなくても、どこかに穴が開いていたら」というシナリオに関して、後々何か書いてみようと思います。 -- いやひこ (2010-07-01 19:17:38)
- ご専門でないことを承知で伺いますが、なぜリグは沈没したのでしょうか。Stabilityを保つLowerHullおよびColumnには大きなダメージがなかったように見えます。あと、ケーシングに何らかの大きなダメージがあれば、不完全なセメンチングも助けて地層圧がケーシングが破壊し、坑井が塞がったりはしないのですか。 -- DHD (2010-07-02 02:29:39)
- 何故リグは沈没したかですか。盲点の質問でした。というのは、原油があふれ出て爆発炎上し続けている状況で浮遊していられる構造物がこの地球上に存在しているとは思っていなかったもので。そうですね、最初の爆発の衝撃では船体への致命的なダメージはなかったかと思います。しかし、エンジン付近での発火が事実であれば、リグの燃料にも引火しますので、火の海です。フロート部分は原則延焼の影響は最低限になるように設計しているとは思いますが、各種のパイプなど鉄が使われている以上、導熱発火(conductive ignition)は至る所で起こるでしょう。その環境下で2日か3日浮遊していたのだから、むしろ、何故2日以上沈まなかったのかを専門の方に聞いてみたかったりもします。お答えになっていないのがお恥ずかしい限りです。 -- いやひこ (2010-07-02 05:38:59)
- 次にケーシングの話。週末でもまとめて書くつもりですが、既に最下部の油層から油が噴出している状況で、井戸が閉じる可能性はありません。単純に井戸内の圧力が、上の地層の圧力より高いからです。油の勢いが十分に弱まるほどに油層の圧力が下がった後であれば、塞がり始める可能性はあります。しかし今の流量を見る限りでは、逆に油が井戸の裸になっている部分から途中の地層を割り開いて、途中の地層に流れこむ、もしくは井戸のケーシングの外側から噴出す方がありえるシナリオです。あまりいいシナリオではありませんが。 -- いやひこ (2010-07-02 05:42:55)
- 仮にこのまま油田が止められなかった場合のシミュレーションを公表しているサイトはないのでしょうか?シャレにならなすぎて公開できないレベルなんでしょうか。。どの位の量の原油が海に溶け込んでも大丈夫なのか・・・最早人間の知恵の及ぶ話ではないのかもしれませんが・・・ -- Coward (2010-07-02 19:30:24)
- 海に出てしまってからの原油の拡散は専門外ですので自信をもってお答えは出来ませんが…。例えば、このニュースを和訳してみるのはいかがでしょう。http://www.ens-newswire.com/ens/jun2010/2010-06-03-02.html キール大学の海洋研究というのは、名が知られています。彼らの報告は、それなりに信じてみていいんじゃないかと思います。ただし、十分なデータがなければ、「ガービッジイン・ガービッジアウト」という言葉の通り、ごみのようなインプットから出た結論は、ごみであるという原則があります。現時点での信頼性の高いシミュレーション結果というものは、見つからないのではないかと思います。 -- いやひこ (2010-07-02 21:19:35)
- ところで、「事故原因」のページの中の「5つの質問」の解説について、詳細な解説が欲しいという方はいるのでしょうか。その場合は個別ページにして、解説を用意してみようかとも思っています。 -- いやひこ (2010-07-02 22:03:28)
- ほかのところから井戸を作っていき原油をとってしまうのはむりなのでしょうか?すこしでも流出量は減らないのでしょうか? -- 名無しさん (2010-07-03 22:23:48)
- 髪の>毛を集めて作ったマットで、油を吸着させて除去する -- 名無しさん (2010-07-03 22:32:09)
- 間違えました。髪の毛集めるよりは着古しのウール製品のほうが集まりそう。 -- 名無しさん (2010-07-03 22:33:47)
- 名無しさんの「ほかのところから井戸を作る」について。はいその通りです。近くからくみ上げれば圧が減ります。昔のリリーフ井戸はそうやっていました。FAQ回答ページのリリーフ井戸の説明のページをご参照ください -- いやひこ (2010-07-04 02:30:19)
- ウール製品について。着古しの、というのはポイントかもしれませんね。重要なのは、どれだけ油を選択的に吸着するかですし、一度油まみれになった吸着剤は現実的には燃やして処理するよりなさそうなので、数が稼げた方がいいかもしれません。ウールがどれだけ単体の性能で髪の毛製のネットより優れているかは、ちょっとわかりません。面目ない。 -- 名無しさん (2010-07-04 03:11:07)
- 台湾製大型原油回収船について詳細がわかりましたらよろしくお願いします -- 派遣社員 (2010-07-05 08:06:35)
- 中和剤として使用されている薬剤の毒性が高いと言う話を聞きました。 -- 名無しさん (2010-07-06 21:34:02)
- 途中送信してしまいました。 -- 名無しさん (2010-07-06 21:34:28)
- また・・・orz この薬剤の毒性や考えられる影響などご存知のことがありましたら教えていただきたいです。 -- 名無しさん (2010-07-06 21:35:31)
- すいません、分散剤に関しては専門知識を有しておりません…。一つ知っているのは、エクソンバルディーズ号の原油流出事件で、この薬剤と同じシリーズの製品を使っている事です。そういう意味では、実績のある薬剤です。しかし、石油開発のスペシャリスト達にも、この類の薬剤のリスキングを正確に出来る人間はほとんどいませんから、適切ではない薬剤を選んでしまっている可能性はあります。 -- いやひこ (2010-07-07 22:28:20)
- 原油回収船に関して。これまた専門外ですが、http://www.cnn.co.jp/usa/AIC201007040010.htmlのニュースを見た所感だけ。一日辺りの処理量50万バーレルという数値をどう理解するかがキーかと思います(心臓のように循環とかいうのは、混合流体のプロセシングでは普通の事なので)。 私は正直いって、油が50万バーレルではなく、50万バーレルの油交じりの海水を処理できる、という読み方が正しい気がしています。何故かといいますと、既存の石油生産施設でさえ、一日の油に混じった海水の処理能力は数万バーレルがいいところです。しかもそれは、パイプに入ってお行儀よく流れ込んでくる油と水の混合物に対して。海面にうすーく広がってる油に対しては、よりいっそう難しいのではと思います。 -- いやひこ (2010-07-07 22:36:01)
- コメントありがとうございます。同じ印象をもってます。海底1500メートルから流出してる1日1000万リットルの原油が海中で拡散し海面に到達した初期の時点でいったいどれくらいの面積拡がるものでしょうか。 -- 派遣社員 (2010-07-08 09:13:39)
- 難しいご質問です。面積について考察するには、海中でトラップされてしまう原油成分がどれだけあるかと、原油の油膜はどの程度の厚さになるかという情報が最低限必要です。例えばこちらのページhttp://www.pcs.gr.jp/doc/jmousse/mousemechanism.htm#OLE_LINK6の情報によりますと、イラニアンヘビーの原油が流出した場合、その油膜の厚さは時間経過にしたがって薄くなる、という調査結果があるそうです。流出直後(100秒後)では3ミリ、しかし一万秒(3時間弱でしょうか)では0.1ミリと、30倍もの差があります。この厚さは拡散モデルによるという事なので、平面上でどれだけの密度を持って油が浮上してきたか、つまり油の分散と、海流による移流的な拡散も考慮に入れなければなりません。 -- いやひこ (2010-07-08 15:45:34)
- て、長々と能書きを書いてしまいましたが、ご質問に対してお答えするとしますと、100m3程度の重い油でさえ10数分で1mm以下の厚さにまで薄くなるということは、より軽く滑らかなメキシコ湾の油であればより薄くなる事が予想されます。仮に初期の油膜の厚さが1mmだとします。現在の海中への流出量が25000バーレル(50000バーレル噴出して25000バーレル回収)とすると、1日2キロ四方(4000万平方メートル)という事になります。ところが実際には1500mもの水塊の中での分散と海流の影響、波、風による攪拌が伴いますので、……20キロ四方(厚さ0.01mm以下)くらいには拡がってしまうのではないかと思います。 -- いやひこ (2010-07-08 15:47:33)
- ただし、上記の計算はどんぶり勘定もいいところなので、あまり信じないでください。スケールのイメージはだいたいこれくらいというご理解でよろしくお願いいたします。 -- いやひこ (2010-07-08 15:51:10)
- あれ、私書き間違えてますね?2キロ四方は400万平方メートルですね。25000バーレルは4000立米なので、その後の計算自体はあってるかと思います。どんぶり勘定は変わりませんが。 -- いやひこ (2010-07-09 16:00:41)
- BP社がフタの取り付けに成功したようですね。意外に簡単にやってました。 -- 派遣社員 (2010-07-14 11:08:22)
- とりあえず検査は延期のようですね。怪しい感じです。 -- トルマリンゴ (2010-07-15 03:53:55)
- すいません、ちょっと忙しい状況です。さて、新しい蓋というか…これは、蓋と呼ぶにはかなり大掛かりな装置ですね。事故からもうすぐ3ヶ月ですが、おそらくデザイン製造に使えたのは2ヶ月程度だったかと思うと、これはかなりスゴイものです。http://www.nytimes.com/interactive/2010/05/25/us/20100525-topkill-diagram.html?ref=us 説明にもありますが、これは簡易版のBOPともいえるものです。ごく普通のBOPでさえ、発注してから受け取るまでは半年以上はかかるものを、特注のオリジナルデザインで仕上げているというのは脅威です。これがしっかり機能するようであれば、深海掘削に関する新しい技術がリアルタイムで確立されたに等しい事であり、不謹慎ではありますが少し興奮しております。 -- いやひこ (2010-07-15 15:45:13)
- BPのライブビデオ横の説明によると、内部のバルブがしっかり機能していないんで、修理作業中のようですね。井戸からも退かしたように見えます。やはりそう簡単にはいきませんか…。 -- いやひこ (2010-07-15 15:56:15)
- やはり水漏れを止めるのは元栓をするしかないようですね。 -- 派遣社員 (2010-07-19 15:59:41)
- すみません、7月3日「ほかの場所から井戸を掘って圧力を抜くのはだめなのか」という質問がありました。FAQ回答のリリーフ井戸のところをご覧ください。昔のリリーフ井戸はそういう方法もとっていました。 -- いやひこ (2010-07-23 16:42:03)
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コメント/FAQ投稿
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/29.html
-テストです - いやひこ 2010-06-15 17:16:03
--レス - いやひこ 2010-06-15 17:16:20
-もう一度テストを - いやひこ2 2010-06-15 17:16:13
-事故の原因をわかりやすく言うとどうなるのでしょうか?このページも日本のBPのサイトも見ましたが正直よくわかりません私は全く畑違いな人間で英語力も無い人間 - 光清 2010-06-17 15:46:51
-なので、さっぱりです。3箇所から流出?しているようですが、パイプが途中から消失したのなら、その部分から全量がでるのではないのでしょうか?そもそも今海底でパイプがどういう状態になっているのかさっぱりわかりません。質問できる場所を作って下さって感謝します。よろしくお願いします。 - 光清 2010-06-17 15:54:15
--現在回答を作成中です。しばしお待ちを。ところで、このコメントフォームの文字数制限ってそんなに厳しいものでしたか?ちょっとテストしてみますね。AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA - いやひこ 2010-06-17 20:23:06
---公聴会の資料が見つかったので、それを踏まえた回答を準備中ですが、なかなか大変そうです。わかりやすい解説という意味では、最初の10行ですね。 - いやひこ 2010-06-18 18:43:17
-リリーフ井戸について分かりやすく説明して下さい。まっすぐ垂直に井戸を掘るのも難しそうなのに,横から掘ってピンポイントで噴出箇所にたどり着くのでしょうか?GPSもなくどうやって? - kichan 2010-06-17 23:16:04
-BPの2兆円補償ファンドが話題になってますが,こういう大規模工事の場合,何らかの保険に入っているのでは? - kichan 2010-06-17 23:20:40
--ご質問に対し、回答を作成いたしました。FAQ回答ページよりご参照ください。 - いやひこ 2010-06-18 18:51:43
-ハリケーンの影響が気になるところです - 派遣社員 2010-06-18 20:00:41
-三井物産の子会社が10%の権益を持っているということですがこういう場合にBPはちゃんと物産に相談しているのでしょうか。BPは法的に必要以上のものを約束しているように思えます。 - 投資家 2010-06-20 21:17:51
-アスファルト火山の頂上に穴を開けた可能性はないですか - 無機質石油命 2010-06-22 06:26:35
-噴出してる量がどんどん増えてるように見えるのですが‥気のせいでしょうか - 名無しさん 2010-06-22 19:07:51
-Corexit 9500の毒性てどういったものですか - 名無しさん 2010-06-23 03:26:52
--恐れていた質問が…。化学、ましてや毒性学は全くの専門外でして、ネットで見た以上の情報・知識を有しておりません。どこかいいまとめや、信頼性が高そうな情報を見つけた場合にはリンクを置かせて頂こうと思いますが、私がきっちりと説明するのは難しそうです。ご容赦ください。 - いやひこ 2010-06-24 13:14:46
-流出量の多さ、海底1600メートルでの作業、誰も止められない気がします - 派遣社員 2010-06-24 08:40:52
-高圧、そしてその圧をコントロールしないままの噴出ゆえ、ケーシングの摩耗気になります。通常の数十倍の速度で摩耗しそうですが? - HH 2010-06-26 07:18:02
-責任の所在が気になっています。そもそも権益の定義ってどんなものでしょうか?油田はリース契約されているとのことですが、結局誰が持ち主なのでしょう? - 投資家A 2010-06-26 17:49:12
-スレ主様 youtube.com/watch?v=yt70C35zLWc&feature=player_embedded の元シェル石油の会長のコメントについてはどう思われますか? - 投資家B 2010-06-26 21:49:35
--HHさんのケーシングの話にも絡んでいますね。細かい解説はしませんが、マットシモンズがブリリアントという部分以外では、この元シェル会長の発言は順当なものだと思います。 - いやひこ 2010-06-26 22:57:01
-いろいろ情報を集めてみたのですが、海底下部のケーシングどうも部分的にいっちゃってるんじゃないかと。それでTopKillの際作業を試みたらあちこちの亀裂から原油が流出し慌ててStop。そのため現在なるべく下部から塞げるように作業中なのだと考えてます。一番ヤバイのはその作業が完了するまで現在のケーシングが保つのかどうか。摩耗しちゃってボーリングされた穴だけになるのゾッとします。 - HH 2010-06-27 11:50:35
-ちょっと今週末はちゃんとした回答を用意する時間が無いので、返信で失礼します。ケーシングが削れている可能性は十分にあります。鋼材の強度についての専門的知見は持ち合わせていませんが、油層直上辺りはかなり削られているのではと思います。それと、BOPの手前辺りも怪しいかと思います。 TOP KILLの見切りが早かった事からそういった心配が出るのは当然ですし、私もその可能性は十分にあると思います。ですが、流石にリリーフ井戸が到達するまでに裸孔になってしまうというのは無さそう、という個人的な感想だけ述べておきます。残念ながら技術的に「ありえない」と言えるだけの知見と情報は無いもので…。 - いやひこ 2010-06-27 18:22:15
-8月完成予定のリリーフ井戸がうまくいかなかった場合核爆弾使用の可能性はあるでしょうか? - 派遣社員 2010-06-28 22:40:46
-限りなくゼロです。正直、リリーフ井戸がターゲットに到達する前に核オプションの話がメディアで出てくる事が理解できない話なのです。HHさんの投稿にてシェルの元会長が言ってるように、メキシコ湾の岩塩層がこれでずたずたにでもなれば、もう本当に何も出来なくなります。リリーフ井戸に関しては、既に投稿済みのFAQ回答をご覧ください。 - いやひこ 2010-06-29 19:53:32
-噴出口径より短い制御棒(制御ワイヤー)を数本~数十本船上より海底に垂らしてロボットアームをにて噴出口に誘導する方法はどうでしょうか。 - 派遣社員 2010-07-01 08:22:36
--噴出坑径より細い鉄棒か何かを噴出口に次から次へと充填して流出を止める、というアイデアでよろしいでしょうか? - いやひこ 2010-07-01 16:09:29
-www35.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/21.html BOP 初出時にブローアウト・ プリベンター(Blowout preventer、BOP、防噴装置)と追記希望。 - 名無しさん 2010-07-01 09:43:59
-はいそうです。船上から連続性を持たせた鋼線を次々に噴出坑下数十メートル挿入充填させるという考えです。 - 派遣社員 2010-07-01 17:40:48
-海底の地盤に亀裂が走っていてそこからも多数漏れてるとの情報がありますが本当でしょうか?これは塞ぐのは不可能では? - DH 2010-07-02 08:48:31
--その情報、まともな情報源からは一つも出てきていないんですよ。核を使えと騒いでいるマット・シモンズと、ロシアのゴシップ誌10キロ近くにわたって割れてるというのははっきりいって信じられません。というか、その噂のロシアの研究者達が調査したかどうかさえ怪しい話です。 断言しますが、メキシコ湾で起きた事故で、ロシア人を呼ぶ必要がないんです。呼びたくないとかではなく、メキシコ湾に関するエキスパートはアメリカに揃っていますから、呼ぶ必要が本当に、まったく無いんです。1ミリも。ミールのマニピュレータを今回の事故用に改造しているという情報でもあれば別ですが。何れにせよ、油除去の支援さえもこの間まで断っていたのに、調査をさせたなんて信じられませんし、その報告がクレムリンに提出されて、その内容を終末系ゴシップ誌が把握してるなんてのは、ジョークにしか聞こえません。 - いやひこ 2010-07-02 18:37:45
--あっと、大事な事を忘れていました。海底に割れ目が走るリスクは、あります。これは間違いなくありますが、1 - いやひこ 2010-07-02 18:51:48
---、それにしても割れ目はまず数百メートル、または1キロ以内に集中すると思います。何れにせよ、海底の亀裂の話は、気をつけなければならない大きなリスクですが、現在起こっていると判断するにはあまりに胡散臭い情報しかないというのが現状です。 - いやひこ 2010-07-02 19:01:22
-なぜ日本のマスコミはこの事件を大きく詳細に取り上げないのでしょうか - え 2010-07-03 02:31:53
--えー…この質問に対して答えられる専門性は私は持っておりません…。事故当時は、石油開発に関する知識を持つ記者がいないので事の重要性がわかってなかった、と思っていたのですが…。んー、そうですね。強いて言えば、ニュースにしても読者の食いつきが悪かったのかもしれませんね。某ちゃんねるでもそれほど活発に話題になってるようでもないそうですし。後は、どうなんでしょう。日本の企業も関わってる分、報道しづらいのかどうなのか。私では素人以上の発想は出てこないので、お答えは難しいところです。 - いやひこ 2010-07-03 16:48:45
-ほかのところから井戸を作っていき原油をとってしまうのはむりなのでしょうか?すこしでも流出量は減らないのでしょうか? - 名無しさん 2010-07-03 22:22:50
-最近、ニュースで噴出圧力が想像を遥かに超える20,000から70,000psi(通常1500psiだそうです)だという噂があるということを聞いたのですが、もしこれが事実だとすると、流出は止められなくなるなど問題は出てくるでしょうか? - 名無しさん 2010-07-04 12:52:00
--ソースはリンゼイ・ウィリアムス氏の発言ですね。圧力の話は大嘘です。今回の井戸の底の圧力は約14000psiです。20000psiというならこの深度帯でありえますが、70000というのはジョークの域です。地層が鉄(もの凄く思い物質)ででも出来ていなければ、そんな圧力にはなりません。通常1500psiというのも、何時の時代の話でしょう。おそらく陸上掘削ばかりやっていた時代でしょう。今の海上掘削では5,000、6000psiを超えるのは普通にありますし、9000、10000psiだって珍しくはありません。リンゼイ氏はジャーナリストとなっていますが、牧師さんです。取材力はあるかもしれませんが、彼自信に情報を精査する能力はあまり無いようです。 - いやひこ 2010-07-04 15:16:00
-メキシコ湾の海底の岩塩層が壊れるために原子力爆弾の使用はだめとされていますが、このままでは、岩塩層そのものがゆっくりではありますが、海水によって溶けて破壊されるのではありませんか? - たけ 2010-07-09 16:47:32
--まず、今回の井戸が岩塩層を掘りぬいているかについての確かな情報はありませんが、メキシコ湾ではかなり頻繁に岩塩層がある、という事を先に申して起きます。さて岩塩層が、溶けるかどうかですが、その点はあまり心配はいりません。まず、今噴出しているのは油で、海水ではありません。現状、井戸の中に海水が入りこむ余地はありません。そもそも、岩塩相が海底深くに埋まる前は、もっと多くの海水に数百万年と晒されてきたものです。また、岩塩層があるような深度の地層内の水は塩分濃度が高いので、岩塩を溶かし辛いのです。原油の噴出が続くと、岩塩相の表面が削られることは起こりますが、その点では他の地層と変わりはありません。 もう少し言いますと、岩塩層があるからだめというよりは、岩塩層があるから一層だめ、といった方が言いかと思います。核爆弾作戦は、最後の手段で準備するのは構いませんが、リリーフ井戸の結果を待ちましょう。うまくすれば7月中に結果が出るかもしれません。 - いやひこ 2010-07-09 18:36:00
-原油って電気で着火できるんですか? - うえす 2010-07-09 18:20:51
--原油自体を発火させるのは、実は意外と温度が必要です。しかし、地上に出た原油のほとんどからは、凄い勢いでガスが分離します。また、噴出している状況ですから、まさにエンジンルーム内状態です。着火は簡単でしょう。引火点や発火点という単語で調べてみてください。手抜きな回答でめんぼくない。 - いやひこ 2010-07-09 18:42:03
-なんか漏れが激増していないですか? - たろう 2010-07-15 10:27:14
--今は何の蓋も載っていない状況だからと言うのもありますが…この油田、相当大きな油田だったようですね。トータルの流量としては激増というほどの変化は起きてないのでは、と思います。日量35000から50000…いや、60000バーレルの間なんじゃないでしょうか。 - いやひこ 2010-07-15 23:16:17
2010-07-15T23:16:17+09:00
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事故後の推移
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/23.html
**こちらのページには事故後の様々な状況の変化を記載するつもりでいましたが、政治的、経済的、環境的な様々な問題が絡み合う状況となり、とても更新が間に合わなくなりました。そこで、WEB上で見つけた秀逸なまとめをしている方々のサイトへのリンクを置く場所として使わせて頂きます。
Civilian Watchdog in Japan (福田平冶様)
主にアメリカ政府の関係機関の対応とその背景について記載されております。
http://blog.goo.ne.jp/fukuhei_2006/e/3b0e0b8e043c7aefd5d8b66eca7b6867?fm=rss
北の国から猫と二人で想う事(Ryu&CatFu様)
事故後の経過が非常にわかりやすく纏められています。
http://nappi10.spaces.live.com/blog/cns!39E8451829AE7F4!21549.entry
(注:全体的に非常によくまとまっているのですが、6月30日の「噂」を並べている部分については、非常に不確かな情報が混ざっています)
US Department of EnergyのDeepwater horizon専門ページです。技術的な情報が主体で、各種機材のデザイン等が記載されています。
http://www.energy.gov/open/oilspilldata.htm
現在の油の拡大状況についての情報を地図上に示すページです。
http://www.google.com/crisisresponse/oilspill/
当事故に関する最新の情報と、情報ソースへのリンクが含まれております。
http://www.d8externalaffairs.com/go/site/2931/
現在の流出の状況(ライブビデオ)
http://www.bp.com/liveassets/bp_internet/globalbp/globalbp_uk_english/homepage/STAGING/local_assets/bp_homepage/html/rov_stream.html
**(一部の「疑わしい」情報についてのコメント)
***事故現場から5,6マイル離れた地点で、別の流出を確認?
http://www.georgewashington2.blogspot.com/2010/05/prominent-oil-industry-insider-theres.html
(情報内容の確認中ですが、解説を加えます。
地層というものは、一定以上の圧力が加わると割れてしまう。この圧力をFracture Pressureという。この値は基本的に浅ければ浅いほど低い、つまり割れやすい。もしも、井戸内部の破損、不十分なセメント等が原因で井戸内にある鉄管(ケーシング)の裏側に油が回り、そこを通って浅層まで油が上昇してしまった場合、地層を割り開いて海底まで油が流出する可能性は、確かに存在する。
しかし、僅か1ヶ月で、数マイル遠くから噴出するというのはWiki作成者にとってはピンと来ない話ではある(数100m先ならば十分にありうる)。
Wiki作成者としては、「通り道」になりうる浅層の砂層の存在と、その形状と広がりについての情報が無い限り、現時点では以下のように考える。
・大きな水の塊(例えば湖や湾、もちろん海も)の場合、表面と中層、低層の流れの向きや強さが違うことはよくある。メキシコ湾の海流は流速が大きく、かつ複雑なことは有名である。
・油は基本的には比重は水より低いが、それは主成分がメタンであるから。ガスが遊離し、水と混合する環境では重質成分が分離することが起こりうる(かもしれない)。また、メタンが海水に溶け込むため、もしもメタンを検知対照としたデータをベースにして議論した場合、広域に油が拡散しているという数値が出てくる可能性はある。
・以上から、流出した油の中の重質成分の微量が分離したもの、またはメタンが溶けこんだ海水が、湾内の底層流や中層流によって別方向へと伸びているものが発見されたと推測する。もしも現在の流出箇所と同じように油が漏れているのであれば、海面での広がりが確認されていないのは不自然である(注:この点は記事を再確認しなければいけないので、断言できない) )
(解説の補足。この情報を話しているマシュー・シモンズ氏はピークオイル論者の一人で、著名な石油経済アナリストである。つまり、氏には石油開発に関する技術的な知見は、無い。横にニコラス・ポッジ氏(サウジアラムコの元パイプラインエンジニア)がいるので、多少の信憑性はあるかと思い検証をしてみた次第である)
いずれにせよ、海面上で視認される以上に、油は拡散している可能性は高い。
&counter(total)
2010-07-08T18:52:43+09:00
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海底からの流出への対策
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/21.html
(暫定版。BOP(Blow out preventer,暴噴防止装置)の構造や掘削手法についての詳細な解説は後日追加予定)
現場の状況については、初期に発表された以下の図が分かりやすい。
#image(http://119110.up.seesaa.net/image/beneaththeoilslickjpg-26ae69ad5b2d305c_large.jpg)
**沈没当時の状況(図の説明)
・Deepwater Horizonが沈没し、地下と海上を繋ぐ油とガスの噴出経路となっていたRiserとDrill Pipeが外れ、海底に横たわっている。
本来、BOPはフェイルセーフ構造になっており、リグからのコントロール(電気的、圧力的な独立したライン)を失えば、自動的に井戸元を遮断するように出来ている。しかし、この事故では、それが機能していない。
・井戸元の周りを、ROVが取り囲んでいる。遠隔操作で動くこのROVによってBOPを直接作動させ、井戸元からの流出を止めようとしたが、これは失敗。何故かBOPは以前として機能しない。
・油は合計三箇所から流出を続けている。この図が正確であるとすると、Riserの上端、その手前の折れた部分、そして井戸根元付近の三箇所から流出中。BPのプレスリリースに寄れば、後にこの内の一ヶ所を、ROVによって閉じることに成功。流出箇所は二箇所へ)
・図中左側、別のSemi-sub型リグDevelopment Driller Ⅲが、リリーフ井(Relief Well)を掘削している。この井戸は、横川から油が噴出している油層に直接掘り込み、セメントを圧入して流出を抑えるというもの。既に掘削を開始しているが、ターゲットに到達するまでは60日から90日かかる見通し。
====
**流出停止作戦
・リリーフ井戸
暴噴に対する対策としての、基本中の基本にして、もっとも信頼性の高い作戦。
暴噴中の井戸に側面から別の井戸を掘り込み、高密度の泥水(でいすい)を流し込んで、油を押さえ込む。その後、セメントを圧入し、まさに根元で「栓」をする。
欠点は、実行までにかかる時間。BPは既にリリーフ井戸の掘削を始めているが、作戦完了までには掘削開始から少なくとも2ヶ月、おそらく3ヶ月はかかってしまうこと。(なお、BPは予備として、もう一本のリリーフ井戸も計画している。これは非常に珍しい。なお、掘削にかかる費用は、井戸1本あたり1日数千万円(場合によっては1億円)である))
・BOP作動作戦
・巨大「囲い」作戦
高さ12メートル、重さ100トンの巨大な鉄とコンクリートで出来た「囲い」を、海底の油の流出箇所に被せ、箱の上部に接続したRiserから、原油を海上の貯蔵・処理タンカーまで誘導する作戦。
しかし、箱内に原油内のメタンが水と反応して結晶化したメタンハイドレートが溜まり、排出口が詰まってしまった。更に浮力で囲いが浮き上がってしまって、失敗。
(考察。失敗原因は、メタンハイドレートの影響を小さくみていたこと、デハイドレイターであるエチルグリコールやメタノールの注入ラインを用意するなどのハイドレート防止策を行っていなかったことと考えられる)
・シルクハット作戦
上述の「囲い」作戦よりも大幅に小型な(高さ1.5m、直径1.2m、重さ2トン)、シルクハット型の装置を海底に下ろし、油を海上へと誘導する作戦。今回は、デハイドレイターの注入口も備えている。内部から水を排除するシステムを備えている。
BPのコメントによると、5月11日夜より降下作業を開始、13日には成果が分かる見込み。結果失敗。
http://www.cnn.co.jp/usa/AIC201005120015.html
(考察。海水を排除するという事は、つまり海底の管から吹き出る油の圧力を、この小さなシルクハットがまともに受けることを意味している。流出地点から「吹き飛ばされる」可能性があるため、何らかの重しを追加でつける機構があるかどうか、気がかりである。)
・パイプ挿管作戦 (riser insertion tube tool)
&blanklink(BP公式ページ中の説明){http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=9033657&contentId=7062142}
漏れ出しているライザーの端から、その半分程度の直径の管を入れ、その管から海上の処理施設に油をくみ上げる作戦。圧力を完全に引き受けるわけではないのでパイプの破裂や、吹き飛ばされる心配がなく、海水との混合が制限される上にデハイドレイター(ハイドレート防止剤)のメタノールラインも備え付けている。欠点は、完全には油を抑える事は出来ない事。
結果として、この作戦は成功。流出する油の一部分を回収出来るようになった。しかし、LMRP作戦への移行に従い、ライザーパイプは根元で切断。この作戦は廃棄された。
***しかし、回収するうちに、油の流出量は当初の推定の5000バーレルを上回ることが判明。(なぜなら、回収されている油が既に5000バーレル以上になっている)
・トップ・キル作戦(Top Kill)(Junk-Shot作戦)
&blanklink(BP公式ページ中の説明){http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=9033657&contentId=7062095}
BOP内へサブラインからアクセス(圧力テスト用ライン?)し、そこからまず"Junk"(タイヤ片やゴルフボールのようなもの)を注入。
(恐らく、高粘性、高密度の流体も同時に圧入する)。これによってBOP内に栓を作り、その後セメントを注入して流出を止める方法。
(解説。リリーフ井戸の前にこの流出を止める方法としては、確かに有望。但し、リスクがある。油を井戸元で止めてしまうため、その真下の部分に圧力が集中し、もしも破損があれば、新しい流出箇所を作り出しかねない。その場合、現在行っている挿管作戦は、無意味となり、流出量はかえって増大する可能性がある)
5月27日ごろから作業が続いていたが、5月30日時点で、BPはTop Killは失敗と発表。LMRP作戦へと移行。
・LMRP Cap作戦(Lower Marine Riser Package Cap)
BOPの上部でライザーを切断。洋上からそこへライザーを降ろし、接続。油を海上へ逃がす作戦。
6月5日時点で、設置は完了。ただし、完全密閉はかなわず。油は引き続きかなりの流量が海中に放出されている。BPの報告では、日10000バーレル近くが回収されており、この流量を15000バーレル程度まで増加させるプランとのこと。
6月14日、BPの公式発表では一日15420バーレルの油と、3320万立方フィートのガスを回収(ガスはその後海上で燃焼済)していると報告。一応の成功としている。今後汲み上げ量を増加する方法を検討・実施するとのこと。現在、流出している油の日流量(回収される油も含む)は20000バーレルから40000バーレルと推定されている。
概要へのリンク
http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=9033657&contentId=7062491
切断手順
http://ime.nu/www.bp.com/liveassets/bp_internet/globalbp/globalbp_uk_english/incident_response/STAGING/local_assets/downloads_pdfs/Riser_Removal_large.jpg
(解説(5月末段階)。海水との混合が起こらぬように接続するため、ハイドレートの生成を抑制できる。しかし、ライザー上部を切断してしまうため、油の流出量は一時的に増大する。BPの見込みでは20%程度の増大ということであるが、多少楽観的な数値に感じる。まず、ライザーパイプとドリルパイプと油との摩擦で圧力損失が生じ、油の勢いは弱まる。それとは別に油の粘り気を示す粘性という数値があるが、これは温度が低くなるほど低下する。海底という低温環境にあったことでパイプ内の熱は奪われ、油は多少なりとも流れづらくなっていたはずである。それを取り除いてしまう為、個人的な推測では流量は2倍近くになる可能性もある。そして、もしこの作戦が失敗した場合、その流量の増大は継続することになる)
(その他、ゴシップレベルの話)
・核爆弾作戦
海底で核爆弾を爆発させ、井戸元を衝撃で崩壊させ、油の流出を防ぐという計画。
(解説。限りなく妄想(1)に近い話。
井戸にはケーシングという鉄管が入っている。そして、この鉄管が、推定1300気圧(2)という地下から上がってきた油(海底近くまで上がってきても、おそらく700気圧以上を保っていると思われる)から、海底近くの緩い地層を守っている。もしもこの鉄管にヒビが入って割れた場合、噴出した油の高圧力で海底近くの岩盤に裂け目が生じ、そこから流れ出た油が泥の中を通って流出。油の出口を限定できない為、リリーフ井戸以外のあらゆる作戦で油漏れを止めることが出来なくなる。)
(1):最近(7月8日)核デバイス使用についてのコメントや、ロシアでの実績が紹介されていますので、少し補足を。この作戦で流出が止まる可能性が無いから「妄想」と書いたのではなくて、この作戦がここで使われる事が現時点では「妄想」という意味で書いております。理由はシンプルで、リリーフ井戸でのアプローチが全て失敗しない限りは検討にも値しないからであり、また、リリーフ井戸は何れかの方法で、成果を出す見込みが相当に高いからです。それに加えて申しますと、上述したように、失敗時のリスクが大きすぎます。
もう一つ気になることは、旧ソ連では確かにこの作戦での実績はある、という事ですが、現在も石油開発を極めて活発に進めているロシアが、どうしてこの核爆発による暴噴対策プロジェクトを終了させたかを考えますと、やはり現実的なオプションとは思えません。なお、ロシアが「原油の回収率を向上させる為に」核を利用した地下刺激を行ったという「噂」は、ある程度石油開発に関った人間は一度は耳にした事がある話、…というゴシップレベルの情報も追記しておきます。
(2):6月中旬に公開された資料に寄ると、油層の圧力は1000気圧弱でした。メキシコ湾の異常高圧を考慮にいれて推測しましたが、このエリアではそれほどでもなかったようです。
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2010-07-08T16:00:39+09:00
1278572439
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その他の情報報告ページ
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/31.html
ご自由に情報を置いてください。
**三井石油開発に対する訴訟動向
***三井石油開など:米原油流出事故の訴訟87件、賠償額集計困難-日経 - Bloomberg.co.jp
[[http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920013&sid=aJ0KcLjO1oLY>http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920013&sid=aJ0KcLjO1oLY]]
この記事の元ソースは日経新聞の報道で、6月18日時点で提起されている訴訟の件数は以下とのこと。
三井石油開発に6件
同社の米国子会社に3件
事故が起きた油田鉱区の権益を持つ孫会社に73件
米国三井物産に5件
以下を見ると、上記「米国子会社」はMOEX USA Corporation、「孫会社」はMOEX Offshore 2007 LLCとなります。
北米 | プロジェクト | 三井石油開発 MOECO
[[http://www.moeco.co.jp/project/usa.html>http://www.moeco.co.jp/project/usa.html]]
>三井石油開発の100%子会社であるMOEX USA Corporationは、その100%子会社であるMOEX Offshore 2007 LLCを通じて、米国メキシコ湾大水深域探鉱鉱区Mississippi Canyon 252の権益を10%保有しております。
***BPが三井石油開発に負担要請 原油流出で97億円 2010/07/03 12:30 【共同通信】
[[http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070301000296.html>http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070301000296.html]]
具体的な負担請求の動きが出始めたようです。
>【ニューヨーク共同】米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾での原油流出事故に関して、英石油大手BPが、権益の一部を持つ三井物産の子会社三井石油開発に対して事故の処理費用の一部として約1億1160万ドル(約97億円)の負担を求めていることが3日分かった。米メディアが伝えた。
>海底油田について、BPが65%、三井石油開発が10%を持つ。BPが米議会に対して提出した書類で、BPが三井石油開発に負担を要請したことが明らかになった。
**BP原油流出後の姑息な火消し戦略
ニューズウィーク日本版
[[http://newsweekjapan.jp/stories/us/2010/05/post-1278.php>http://newsweekjapan.jp/stories/us/2010/05/post-1278.php]]
難しいのは分かりますが原油の流出量の見積りが大きく増加するのを不審に感じていました。
上記の記事によると、流出量に比例して賠償金が大きくなる背景があったようで、これならBP社の公式発表数値が常に実態より下回る傾向になるのは理解できます(それで良い訳ではありませんが)。以下、上記記事からの引用です。
>BPが原油の流出規模を小さく言おうとするのも無理はない。事故以来、BPの株価は19%も下落。アメリカの水質浄化法によれば、BPは現在伝えられているよりもはるかに多い賠償金を支払わされる可能性がある。
>この法律では「石油や有害物質を出す沖合の施設」を稼働させている企業は、流出した石油1バレルあたり1000ドル(今回のケースでは1日あたりの合計7000万ドル)を上限に賠償責任を負うと定められている。
>だが同法には、事故前に「はなはだしい怠慢」があった場合には賠償額を1日あたり3000ドルまで増額するという規定もある(つまり1日につき2億1000万ドルということだ)。
**メキシコ湾の原油流出はこれから何年も続く
[[http://rockway.blog.shinobi.jp/Entry/395/>http://rockway.blog.shinobi.jp/Entry/395/]]
[[原文は>http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=19660]]
技術的な事は分かりませんが、非常に悲観的な見通しが語られています。以下のように、公式に予想されている損害賠償額(100億ドルレベル)よりも遥かに深刻な被害をもたらすリスクが指摘されています(少なくとも1兆ドル)。
>オバマ氏と大統領官邸のベテランスタッフ、サラザー内務長官はBPの重役であるトニー・ヘイワード氏と共に、石油災害によって影響を受けた者たちから出される7500万ドルから100億ドル以上に上る損害賠償請求に蓋をする法律制定で動いている。
>しかしながら、マドセン氏により伝えられた推定額は、この災害は実際のところ少なくとも1兆ドルになる、と見られているという。この推定額は早急にこの流出が制御されねば「アメリカ沿岸全体を破壊するかもしれない」と語るクチェロフ教授の悲観的な見方を支持するようことになる。
しかも、今回の問題は他の3万もの石油掘削施設にも発生するリスクがあるとも。
>マドセン氏は、チェイニーの以前の会社のハリバートン社と内務省のMMSの「犯罪的癒着」状態と描写している、そして似たような災害の可能性が他の同じ遮断弁を使用している3万の石油掘削施設に存在していると語っている。
また、今回の事故に関して環境保護団体の目立った動きがないのは、実はBP社がそれらの団体の大スポンサーになっているからだという指摘もあります。
>グリーンピースとか、ネイチャー・コンサーベンシー、シエラ・クラブその他の環境保護団体のこの全くの沈黙は、石油業界、とりわけBPに繋がる資金の流れに繋がる。指導的な環境保護団体は、石油会社が「環境にやさしい顔」を持つ「石油を超えた」会社の新しいブランドとしてリメイクするために、BPからかなりの献金を受けてきた。
>「世界で最もパワフルな環境保護団体」であると言われてきたネイチャー・コンサーベンシーは、BP社がこの団体にこの数年間で1000万ドル以上の資金を与えた後、BPを国際指導者評議会の議席を与えたのである。
2010-07-04T17:05:07+09:00
1278230707
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「噴出している量がどんどん増大しているように見えるのですが…」
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/40.html
「噴出している量がどんどん増大しているように見えるのですが…」(6.22 名無しさんからの質問)
噴出量に関しては、当初BPは一日1000バーレル、続いて5000バーレルと推定していました。一方でNOAAや、他の研究者は12000から19000バーレル、また最大で70000バーレルなど、様々な推測が生まれました。現在の流出量予測は、1日50000バーレルと言われていますが、正確な数値は誰にもわかりません。
さて、流出量ですが、ビデオの映像から流量を予測するのはとても難しい事です。キャップにぶつかって巻き上がった油は、より流量を多く見せてしまう事でしょう。また原油から遊離したガスも噴出しています。その難しさを踏まえて言いますと……はい、私も増えているように見えます。
普通、油が流出するほど井戸の底の圧力は下がりますから、流出量は減って行きます。但し、それは「綺麗に仕上げた井戸」の場合です。今回の井戸は、底部や上部にセメントやシールを入れ、更に井戸上部にBOPが置かれ、更にその先にドリルパイプとライザーパイプがついていました。これら全ては、油の流出を妨げる「栓」の役割を担っていました。
しかし、ドリルパイプとライザーパイプは、LMRP Cap作戦で除去されてしまいました。海底に長さ1000m以上に渡って横たわっていたこれらの鉄管は、油の温度を冷やす事によって多少なりとも粘性(ねばり具合の事。お皿洗いにお湯を使うと水の切れがいいのは、水の粘性は、お湯のほうが冷水よりも低い、つまりさらさらだからです)が強くなり、それが鉄管と油との間の摩擦によるエネルギー損失を引き起こし、結果的に油を流れづらくしていたと推測されます。
それに加えて、この井戸からは油とガスがかなりのスピードで吹き出しています。おそらくは、砂も一緒に吐き出している事でしょう。すると、高速で動く砂は、セメントや、井戸内の鉄の管をガリガリと削り、油の通り道を拡張し、流れやすくしてしまいます。結果として、井戸は次第に、そのフルポテンシャルに近い流出量で、油を吐き出すようになるという次第です。
ライザーとドリルパイプは退かさないほうがいいのでは、と思っていたのですが、その通りだったかもしれません。今更どうにもなりませんが。
以上です。
&counter(total)
2010-07-03T18:08:20+09:00
1278148100
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事故原因
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/22.html
(6月30日、現在編集中)
事故原因の説明は、以下の流れで行おうと思います。
・井戸の掘り方の基本の説明
・事故当時、どのような作業が行われていたかの説明
・何故暴噴(Blow out)が引き起こされたかへの考察
**石油の井戸の掘り方
では、深海掘削の方法を説明する為、大型研究船「ちきゅう」を例に使いましょう。この船は、科学調査船としては世界で始めて、石油開発に使われる「ライザー掘削」を採用した船です。(ちなみに、ちきゅうは、サンプル採取などの科学調査用としては石油開発施設より優れた部分もあります)
#image(http://www.scopenet.or.jp/main/products/scopenet/vol24/wn/image/wn_g01.jpg)
(http://www.scopenet.or.jp/main/products/scopenet/vol24/wn/wn1.html 様より拝借)
噴出防止装置と書かれているものが、話題になっているBOPです。事故後に海底に横たわっていたパイプは、この図の中のライザーパイプと、ドリルパイプの事です。図では少し判り辛いですが、ライザーパイプはBOPまでしか繋がっておらず、地下には伸びていません。以降は、ケーシングという鉄の管が埋められています。
井戸を掘るときには、この二つのパイプの間を循環する、「泥水(でいすい)」というものでコントロールする事がキーとなります。
この泥水はたいした優れもので、「その重さで、地層から吹き出そうとする油やガスを抑え込む機能」「熱を持ったビット(ドリルのこと)を冷やす機能」「堀屑を船の上にまで運んで、井戸の中を綺麗に保つ機能」「井戸の壁に泥の膜(マッドケーキと言います)を形成し、井戸を内側からある程度支える機能」等、多種多様な役割を果たします。
***色々書きましたが、ここでは「井戸の中というのは、泥水というものを使って高圧を保っていなければ、ガスや油が地層から入り込んできて、暴噴してしまう」という事だけ覚えてくだされば十分です。
次は、井戸の中がどういう構造になっているかについて説明します。
数千メートルもの深さを掘る分けですから、補強をしてやらなければ井戸は壊れてしまいます。この補強に入れるのが、ケーシングとライナーと呼ばれる鉄の管です。最初は太いものを、そして段々と細いものを入れて、何重にも井戸を補強していきます。
事故を起こしたリグの持ち主で操業者でもあるトランスオーシャンの報告資料を見てみましょう。これは、事故直前の井戸の様子です。
#image(http://www35.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pub/WellFigure.JPG )
(http://energycommerce.house.gov/documents/20100614/Transocean.DWH.Internal.Investigation.Update.Interim.Report.June.8.2010.pdf 11ページ)
参考図を見てお気づきかと思いますが、ケーシングとケーシングの間に、アニュラスという隙間が出来ています。この部分は、適宜『セメント』によって埋めます。この部分がしっかりと埋まっていなければ、何時ガスや油が隙間を通って海底へ、そして地上へ上がってもおかしくはない状況が生まれるわけです。
***ここでは、「セメントというものがしっかり入っていないと、油やガスは地上へ噴出してしまう事になりうる」という事が肝となります。
井戸の掘り方については、以上で十分かと思います。それでは、事故当時の話へと移ります。
**事故当時、何が起きていたか
事故の発生は2010年4月20、21時50分頃でした。その直前、井戸では何が行われていたのかを見ていきましょう。
この井戸は油の集積(存在)を確認する為の探掘井(Exploration Well)であり、かつ将来的に油を生産する井戸(Production Well)に転用するという、Keeperという井戸でした。無事に油の存在を確認し、井戸は一時的に閉じる(Temporally Plug and Abandonedされる)過程にありました。一番最後に入れるProduction Casingの設置も終わり、セメント作業も終了。後は、セメントがしっかり効いていて、井戸の中が地層からしっかりと隔離されているかを確認し、最後に井戸元からBOPをどかせるだけ、というところまで来ていました。
事故の5時間前の、夕方5時頃、この井戸はNegative Pressure Test(減圧テスト)というテストを開始しました。これは、井戸内の圧力を低くする事によって、地層と井戸がセメントやシールによってしっかり隔離されているかを確認するテストです。上記の図の中に、海水が入っているのが見えます。これは、井戸内を泥水より軽い海水に置き換える事によって、地層と井戸内との圧力差を大きくする為です。
テストは一見順調に進んでいたようですが、ここに問題がありました。&blanklink(2010年5月25日付けの下院エネルギー商業委員会からの報告){http://energycommerce.house.gov/documents/20100525/Memo.BP.Internal.Investigation.pdf}に寄ると、
「予想された流体のリターン量は5バーレル(約800リットル)であったのに対して、実際にはその3倍の15バーレル(約2400リットル)のリターンがあり、これは井戸の中に何かが入り込んだ(つまり油やガス)事を示唆している」
「今後のテスト計画を議論している最中、Kill Line(1)にて1400Psi(ポンド/平方インチ。100気圧弱)の圧力上昇があったが、これを圧抜きしてしまった。その間、(2)ドリルパイプ内部の圧力は1400Psiのまま(この行動が、井戸内の圧力の状況の誤判断に繋がったと推測されます)。後にBPの調査員はこれを「基本的なミス」と指摘している」
(1) KILL LineとはBOPに備え付けられている泥水等を注入する高圧に対応したライン。このような、ライザー内を循環する以外のルートがある事で、様々なテストに対応できる。Top Kill作戦ではこの部分から泥水を送り、6月下旬からはこのラインも使って油の回収を行っている)
(2)ドリルパイプとは、上図の中央、DPと書かれた細い管。先端にドリルをつけて下ろす事に使われる事からこう呼ばれている。
その後、BPは井戸の中を更に海水で置き換えるプロセスへ進むことを決定。この判断の詳細はわかりません。「テスト結果に満足した」という情報がありますから、問題なしと判断して「Sheen Test」へ移ったようです。このテストは、井戸内の流体が静止しているかどうかを確認するテストです。
しかし、井戸からの流体のリターンは続きます。井戸内が不安定である事が確認されました。この間リグでどのような対策が取られていたかの詳細は不明です。やがてガスの噴出が起こり、井戸が暴噴。この井戸の油のGOR(ガスオイルレイシオ。地底から出てきた油から、どれだけのガスが遊離するかを示す数値)はおよそ3000 scf/bbl.簡単に言えば出てきた油の500倍以上の体積のガスが拡散します。ガスはおそらくリグのディーゼルエンジンに引火し、爆発。リグは炎上しました。
**何故暴噴(Blow out)が引き起こされたか
&blanklink( 2010年6月14日付けの”5つの質問”){http://energycommerce.house.gov/documents/20100525/Memo.BP.Internal.Investigation.pdf}を参照して、事故原因に繋がったと思われる要因を考察していきます。
(この質問の関連資料を見たい方は、&blanklink(こちらからどうぞ){http://energycommerce.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=2043:chairmen-send-letter-to-bp-ceo-prior-to-hearing&catid=122:media-advisories&Itemid=55
}こちらからどうぞ。
5つの質問とは、以下のようなものです。
・Q1 何故、ガスの流出に対してのバリアーが少ない井戸デザインを採用したのか
・Q2 何故、セメント作業において、セメントが不均質に入る事を防ぐための「セントラライザー(Centralizer)」を十分な数使わなかったのか。
・Q3 何故、セメント結果を検査する為の「セメントボンドログ」を行わなかったのか
・Q4 何故、ガスが含まれているかもしれない泥水を、十分に事前に循環しておかなかったのか
・Q5 何故、圧力テストを行う前に、井戸元(Wellhead)をロックダウンスリーブ(Lockdown Sleeve)で保護しておかなかったのか。
この5つの質問状は、成程事故原因として可能性のあるポイントをよく抑えていると思います。技術的な説明を細かく書くと長くなりますので、資料内の情報を簡単に纏めます。
***Q1に関して
BPは、最終的に上の図で示したように、Production Casing(井戸の底から上までを繋ぐ一連の鉄管)を挿管しました。これは、掘る前の計画通りであり、政府側の監督機関である&strong(){MMSも承認していました。}
ですが、掘ってみたところ問題が発覚、社内資料では「ライナーとタイバック」という組み合わせに変更したほうが安全性が高いので、変更すべきだ、という提案が上がっていました。
しかし、この「ライナーとタイバック案」は、ちょうどいい鉄管の在庫がないという理由で却下されました。また、この事を相談するメールには、「ケーシングを直接のほうが、時間を節約できる」という趣旨の事も書かれていました。
Q2
&counter(total)
(後々説明に使うかもしれない資料へのリンクや文章を保管しています)
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=1006_out_k_us_deepwater_horizon%2epdf&id=3591
http://www.theoildrum.com/node/6462
http://energycommerce.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=1997:hearing-on-inquiry-into-the-deepwater-horizon-gulf-coast-oil-spill&catid=133:subcommittee-on-oversight-and-investigations&Itemid=73
6月下旬現在で判ってる事を簡単にだけ記載します。
***BPは当初予定していたケーシング(鉄管。それも、井戸の上まで繋げるもの)に代わって、ライナー(井戸の途中だけを繋ぐ鉄管)とタイバック(ライナーの上に繋げる鉄管)の組み合わせを使う事を検討していた。理由は、ライナーとタイバックにした方が、セメントを使う箇所が増え、油層と地上との間に余分にバリアーを設置出来るから。また、ケーシングの裏側に流体を回す際の圧力を制限でき、地層が割れるリスクを低減できるから。しかし、ちょうどよい鉄管の調達が困難であったため、結局は当初のケーシング案を採用。
***井戸底部、油層の直情の地層は割れやすい事がわかっていた。井戸を完成させる為には、セメントをそこに流し込み、井戸と油層・地層をしっかり隔離する事が必要であった。セメント作業を担当するハリバートン社のエンジニアは、その地層の割れ易さを考慮して、21個のセントライザーという器具をつけることを提案。しかしBP側は取り付け作業に要する時間を理由に、これを却下。セントライザーは7個になった。このセントライザーは、井戸内に挿入する鉄管(ケーシング)を中央に置くのみならず、セメントの流れる速度を制御する役割も持っていた。
(結果的にこの判断で地層が割れたかどうかの証拠は、まだ見つかっていない)
***井戸内がしっかり隔離されているかを調べる減圧テスト(Negative Pressure Test)の結果、圧力の上昇が計測された。減圧した圧力が回復するという事は、どこかから(それはつまり地層から)圧力が供給されていることを示す。そしてその圧力の供給は、油ガスが井戸に入り込んだ事を示唆する。だが、BPはこれを油ガスの進入と判断しなかった。
(致命的な判断ミスなのだが、このプロセスの詳細はまだ未確認)
***減圧テスト後、井戸上部のバルブ(おそらくBOP)を開放。井戸内に入り込んでいたガスが上昇し、地上で爆発。引火元は確定していないがリグのディーゼルエンジンではとの説がある。
***爆発直前、BOPを閉じる(中を通っているパイプを切断して締める)よう操作したが、何故かBOPはパイプを切断出来ず。BOP自体はフェイルセーフ機構になっており、リグから圧力、または信号を送って「開かせて」以内限り自動的に閉まるはずなのだが、閉まらない。
(この原因はいまだ不明。作業の仮定の中で、どうしてもBOPでも切断出来ない部分が通る事もあるが、圧力テストの最中にその部分がBOP内を通っているというのは、作業設計の大きなミスである)
以下の図はイメージです。少し古い情報ですが、ご参照ください。
http://media.nola.com/news_impact/other/oil-cause-050710.pdf
資料の山
http://www.drillscience.com/bp/
&counter(total)
2010-07-01T22:54:57+09:00
1277992497
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噴出口径より細い制御棒(制御ワイヤー)を数本~数十本船上より海底に垂らしてロボットアームをにて噴出口に誘導する方法はどうでしょうか。
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/43.html
「噴出口径より細い制御棒(制御ワイヤー)を数本~数十本船上より海底に垂らしてロボットアームをにて噴出口に誘導する方法はどうでしょうか。」(6.30 派遣社員さんからの質問)
石油開発の技術として実績のない技術に関しての回答は避けるべきかと思ったのですが、他の場所でも同様な解決方法が投稿されているのを見かけてもいますので、「想像力」を働かせて回答してみます。(それ故、工学的には突っ込みどころが多いかもしれません。ご容赦ください)
さて、この方法、幾つか複合的な問題があります。
・その1 流出量から見て、井戸内のダメージが心配になる時期に来ている。油を上で止める方法は、井戸への負担が大きく避けたい
・その2 長さ1500mともなると、挿入する細い棒はたわむ。(むしろ、ロボットで誘導できる程度にたわんでくれなければ、挿管出来ない)。1500mの長さのたわんだ棒を、推定500気圧近くで溢れているところに充填していくのは非常に困難
・その3 鉄棒の断面形状はおそらく円形になると思われるが、その場合&blanklink(円充填の性質上){http://ja.wikipedia.org/wiki/球充填#.E5.86.86.E5.85.85.E5.A1.AB}、理想的に詰め込んでも10%の隙間がある。現実的には20%近くの隙間が出来ると思われる。油自体、地下のだいたい30から15%くらいの隙間の開いた岩から吹き出しているものなので、かなりの流量が維持されてしまう。
・その4 この作戦をすると、現在稼働中のLMRP Capによる回収は出来ない
・その5 仮に理想的な充填をし、更になんらかの隙間を充填する方法で油の出口を塞いだとしても、BOPの出口の部分の断面積は、少なくとも900平方センチメートル以上。という事は、この細い鉄棒の集合体は下から450トン以上の力で押される事となる。海上からたわんだ状態で下りてきている以上、この力は鉄管(または鉄ワイヤー)の軸に対してある程度の角度をもって加えられる事になるため、おそらく耐えられない。
思いつく限りでは、以上のような問題があります。もちろん、1500m級のワイヤーの製造方法、運搬方法、そして挿管にかかる時間と、ハリケーンの最中にどうするかなどの問題も残っていますので、残念ながら効果的な対策とは言えないのではと思います。
2010-07-01T19:12:35+09:00
1277979155
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FAQ回答
https://w.atwiki.jp/gomdwhtragedy/pages/30.html
質問への回答はここに並べて行こうかと思います。
[[「事故の原因をわかりやすく言うとどうなるのでしょうか?そもそも今海底でパイプがどういう状態になっているのかさっぱりわかりません」]]
[[「リリーフ井戸について分かりやすく説明して下さい。横から掘ってピンポイントで噴出箇所にたどり着くのでしょうか?GPSもなくどうやって?]]
[[「BPの2兆円補償ファンドが話題になってますが,こういう大規模工事の場合,何らかの保険に入っているのでは?」]]
[[「ハリケーンの影響が心配です」]]
[[「三井物産の子会社が10%の権益を持っているわけですが、BPと物産はちゃんと話し合っているのか。BPは法的に必要以上の約束をしているのでは」]]
[[「BOPが機能しなかったと言う事だが、そんな不良品状態のBOPをつけたままで作業をして、大丈夫?」]]
[[「アスファルト火山の頂上に穴を開けた可能性はないですか」]]
[[「噴出している量がどんどん増大しているように見えるのですが…」]]
[[「深さ1マイルの深海にこの流出量…誰にもこの流出を止められない気がしますが…」]]
[[「責任の所在が気になっています。そもそも権益の定義ってどんなものでしょうか?油田はリース契約されているとのことですが、結局誰が持ち主なのでしょう?」]]
[[噴出口径より細い制御棒(制御ワイヤー)を数本~数十本船上より海底に垂らしてロボットアームをにて噴出口に誘導する方法はどうでしょうか。]]
&counter()
2010-07-01T18:52:55+09:00
1277977975