噴出口径より細い制御棒(制御ワイヤー)を数本~数十本船上より海底に垂らしてロボットアームをにて噴出口に誘導する方法はどうでしょうか。

「噴出口径より細い制御棒(制御ワイヤー)を数本~数十本船上より海底に垂らしてロボットアームをにて噴出口に誘導する方法はどうでしょうか。」(6.30 派遣社員さんからの質問)

 石油開発の技術として実績のない技術に関しての回答は避けるべきかと思ったのですが、他の場所でも同様な解決方法が投稿されているのを見かけてもいますので、「想像力」を働かせて回答してみます。(それ故、工学的には突っ込みどころが多いかもしれません。ご容赦ください)

 さて、この方法、幾つか複合的な問題があります。

  • その1 流出量から見て、井戸内のダメージが心配になる時期に来ている。油を上で止める方法は、井戸への負担が大きく避けたい

  • その2 長さ1500mともなると、挿入する細い棒はたわむ。(むしろ、ロボットで誘導できる程度にたわんでくれなければ、挿管出来ない)。1500mの長さのたわんだ棒を、推定500気圧近くで溢れているところに充填していくのは非常に困難

  • その3 鉄棒の断面形状はおそらく円形になると思われるが、その場合円充填の性質上、理想的に詰め込んでも10%の隙間がある。現実的には20%近くの隙間が出来ると思われる。油自体、地下のだいたい30から15%くらいの隙間の開いた岩から吹き出しているものなので、かなりの流量が維持されてしまう。

  • その4 この作戦をすると、現在稼働中のLMRP Capによる回収は出来ない

  • その5 仮に理想的な充填をし、更になんらかの隙間を充填する方法で油の出口を塞いだとしても、BOPの出口の部分の断面積は、少なくとも900平方センチメートル以上。という事は、この細い鉄棒の集合体は下から450トン以上の力で押される事となる。海上からたわんだ状態で下りてきている以上、この力は鉄管(または鉄ワイヤー)の軸に対してある程度の角度をもって加えられる事になるため、おそらく耐えられない。

 思いつく限りでは、以上のような問題があります。もちろん、1500m級のワイヤーの製造方法、運搬方法、そして挿管にかかる時間と、ハリケーンの最中にどうするかなどの問題も残っていますので、残念ながら効果的な対策とは言えないのではと思います。
最終更新:2010年07月01日 19:12
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