「BPの2兆円補償ファンドが話題になってますが,こういう大規模工事の場合,何らかの保険に入っているのでは?」

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「BPの2兆円補償ファンドが話題になってますが,こういう大規模工事の場合,何らかの保険に入っているのでは?」」(2010/06/18 (金) 21:04:11) の最新版変更点

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(6.17 kichanさんからの質問)  ご推察の通り、通常掘削作業や、石油の生産を行う場合、保険への加入が義務付けられています。(国によって違いますので、断言は出来ませんが)  今回の事故では、私が調べた範囲では、パートナーのアナダルコは約1億8000万ドルの保険に、三井石油開発は4500万ドルの保険に加入しているようです。これらは、油の除去費用と、第三者への賠償費用を両方合わせた金額です。例えば三井は3000万ドルが除去費用分、1500万ドルが第三者賠償分です。  ではBPは、といいますと、彼らは保険はかけているとは言っても、自己保険(Self-Insured)で掘削を行っていました。十分なキャッシュはBPグループとして所持しているので、保険をかける必要はない、という事です。  これは一理ある話で、例えば三井は権益10%、BPは65%ですから、妥当な保険額は6.5倍の3億ドル。3億ドル程度の保険なら、いざとなったら自分で払う。保険の掛け金を払うのは馬鹿らしい。という事になります。裏を返せば、それだけBPは財務的に健全、強固なグループであった、という事です。  さて、今話題になっている200億ドルの特別勘定(エスクロー勘定)ですが、この意味を理解するには、米国の油濁法(1990)について触れなければなりません。油濁法には、「油の除去に対しては無制限の負担」を定め、第三者への賠償については上限として7500万ドルとしています。つまり、BPはこの法律を盾にとれば、エスクロー勘定の200億ドルの使途は油の除去費用に限り、BPはそれを適切に支払っている、とつっぱねる事も「理屈の上では」可能でした。しかし、そうはしませんでした。今回の事故を受けてこの7500万ドルの上限は変更される見込みですが、BPは油濁法上の賠償には拘らず、必要な賠償を行うという自己の発言を裏付けてみせたとも言えます。  さて、BPの保険の話に戻ります。今回BPは、「この井戸の掘削」に関しては、自己保険でしたが、「なんらかの事故によるグループ全体への損害」に関しての保険に入っていたかどうかは、今のところ情報を得ておりません。保険商品というのは、保険会社のアイデアによって無限に存在する為、BPのような大企業であれば、そのような保険をかけていたとしても不思議ではありません。  そのような保険をかけていた場合、BPグループとしては幾らかの保険料を得ることは可能かもしれません。しかし、保険会社としても今回のような規模の損害は想定していなかったことでしょうから、交渉は難航するのではないでしょうか。  最後に、私見を一つ。事故原因については、やはりBPが最大の責任者(加害者と言っていいでしょう)ですし、今までの流出対策も成功しているとは言えません。ですが、この賠償への対応、対策の公表やリアルタイムでの作業状況のライブビデオの設置等は、評価してもいいのではないでしょうか。近年見てきた大企業の不祥事(それもリアルタイム性の強い不祥事)の中では、出色の対応だと感じます。油漏れに関する検索ワードの購入などという話も目にしましたが、まるで「終末思想」のようなとんでもない記事を見かけてきた以上、BPの対策ページへの誘導はそんなに悪い事でもない気もしています。…などという事を言うと、お叱りを受けるかもしれませんが。 余談でした。 &counter(total)
(6.17 kichanさんからの質問)  ご推察の通り、通常掘削作業や、石油の生産を行う場合、保険への加入が義務付けられています。(国によって違いますので、断言は出来ませんが)  今回の事故では、私が調べた範囲では、パートナーのアナダルコは約1億8000万ドルの保険に、三井石油開発は4500万ドルの保険に加入しているようです。これらは、油の除去費用と、第三者への賠償費用を両方合わせた金額です。例えば三井は3000万ドルが除去費用分、1500万ドルが第三者賠償分です。  ではBPは、といいますと、彼らは保険はかけているとは言っても、自己保険(Self-Insured)で掘削を行っていました。十分なキャッシュはBPグループとして所持しているので、保険をかける必要はない、という事です。  これは一理ある話で、例えば三井は権益10%、BPは65%ですから、妥当な保険額は6.5倍の3億ドル。3億ドル程度の保険なら、いざとなったら自分で払う。保険の掛け金を払うのは馬鹿らしい。という事になります。裏を返せば、それだけBPは財務的に健全、強固なグループであった、という事です。しかし、今回の事故は想定された規模を遥かに超えていました。リグが爆発炎上して沈没、更にBOPが機能しない為に油がだだ漏れになる事は、流石に想定していなかったという事でしょう。  さて、今話題になっている200億ドルの特別勘定(エスクロー勘定)ですが、この意味を理解するには、米国の油濁法(1990)について触れなければなりません。油濁法には、「油の除去に対しては無制限の負担」を定め、第三者への賠償については上限として7500万ドルとしています。つまり、BPはこの法律を盾にとれば、エスクロー勘定の200億ドルの使途は油の除去費用に限り、BPはそれを適切に支払っている、とつっぱねる事も「理屈の上では」可能でした。しかし、そうはしませんでした。今回の事故を受けてこの7500万ドルの上限は変更される見込みですが、BPは油濁法上の賠償には拘らず、必要な賠償を行うという自己の発言を裏付けてみせたとも言えます。  さて、BPの保険の話に戻ります。今回BPは、「この井戸の掘削」に関しては、自己保険でしたが、「なんらかの事故によるグループ全体への損害」に関しての保険に入っていたかどうかは、今のところ情報を得ておりません。保険商品というのは、保険会社のアイデアによって無限に存在する為、BPのような大企業であれば、そのような保険をかけていたとしても不思議ではありません。  そのような保険をかけていた場合、BPグループとしては幾らかの保険料を得ることは可能かもしれません。しかし、保険会社としても今回のような規模の損害は想定していなかったことでしょうから、交渉は難航するのではないでしょうか。  最後に、私見を一つ。事故原因については、やはりBPが最大の責任者(加害者と言っていいでしょう)ですし、今までの流出対策も成功しているとは言えません。ですが、この賠償への対応、対策の公表やリアルタイムでの作業状況のライブビデオの設置等は、評価してもいいのではないでしょうか。近年見てきた大企業の不祥事(それもリアルタイム性の強い不祥事)の中では、出色の対応だと感じます。油漏れに関する検索ワードの購入などという話も目にしましたが、まるで「終末思想」のようなとんでもない記事を見かけてきた以上、BPの対策ページへの誘導はそんなに悪い事でもない気もしています。…などという事を言うと、お叱りを受けるかもしれませんが。 余談でした。 &counter(total)

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