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丼4

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「大丈夫ですわ。ほな、持ち上げてくんなはれ」
 しゃがんでいる坊さんの首元に跨るジョンが、肩車で自分を上げるように頼んでいる。
 彼は温泉に入っているのに、水泳帽をかぶるわ、浮き輪をつけるわ、海水パンツを履いて泳ぐわでマナー違反の固まりだ。その上小型HDDビデオカメラを片手で持ち、浴場を撮影するつもりでいる。
 男湯にいるサイキックリサーチ野郎Aチームは、高い柵に隔たれた女湯と呼ばれる神秘の園で起こる心霊現象を、余すことなく撮影しようと試行錯誤していた。
 野郎チームで背が高い坊さんとリンさんが、風呂桶の金字塔に登ったが覗ける高さに達しなかった。
 仕方ないので、一番体が小さくて軽いジョンを坊さんが肩車して撮影させることにした。
 足場の、逆さに置かれた桶は木製だが、意外と丈夫に出来ていて男二人分の重量にしっかりと耐えている。
 風呂桶ピラミッド頂上にいる坊さんは、滑って落ちないように慎重に、しゃがんだ体制からバランスをとりながらゆっくりと立ち上がる。坊さんに担がれたジョンの頭の高さは、ようやく柵を越した。
「O.Kですわ。湯気が立ち込めてはりますが、見えんことあらへん」
 ジョンは眼下に広がる秘密の花園の情景を語る。
「麻衣と原さんはいるか?」
 ピラミッドから少し離れたところで、ナルは腕組みをして冷静に尋ねる。
「おっぱいはどっちが大きい? 真砂子か? 麻衣か?」
 地元ではおっぱい職人で通っている坊さんは興味津々。一番軽いといっても男のジョンを持ち上げて不満たらたらのはずだが、おっぱいパワー全開の彼にそんな様子はなかった。
「私の計算では、原さんの方が3cmほど大きい、となっています。しかし実際に見てみないと……」
 いつそんな計算をしていたのだろうか、リンさんは。ここにもおっぱいに人生をささげた男がいる。
「わては、手に収まるぐらい小ぶりのほうがええですわ。あ、おりました! 奥のほうで人影が二つ! おそらく彼女たちや思います。せやけど、あかん、あかんわ~! 遠すぎてわてには見えへん!」
「ほ、ほんまかいなーーーー!?」
 衝撃の事実にジョン以外の三人も思わず関西弁になってしまった。
「ズ、ズームだ! 光学、デジタル、どちらでも構わん! カメラのズーム機能を使うんだ!!」
 どっしりと構えていたチームリーダーのナルが、急に声を荒げて指示を出す。
「そ、そうやった! このカメラ、ズームがあったんやわ! 光学ズーム10倍や~~!! ポチっとな」
 モニターはタッチパネル式になっていて、ジョンはそこに表示されている「ズーム」のボタンを押した。
「バッテリーと残り録画時間は大丈夫だろうな!?」
 坊さんは、どこか作戦に穴がないか心配する。覗きネタのオチはだいたいこんなものだ。
「問題あらへん! ハイビジョン画質(1080i)であと10時間、バッテリーも十分ありますがな!」
 機械音とともにカメラの先っぽが二つの小さな人影がある方向へ伸びていく。
「ようし! 撮影に成功したら、俺と麻衣の長女、法子(予定)の運動会でそのメーカ製カメラを使うぜ!」
 実はすでに子供の名前を、三人目まで考えている坊さんであった。
「わての場合ミドルネームも考えんとあかんわ。どれどれモニターには……」
 ジョンがズームで撮ったお目当ての女体を、液晶モニターで見ようとすると――

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