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第一話

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 その日は風が強くて、珍しくリンの前髪がなびき、普段覆われている右目が見えた。

「右目の色、違うのね」
「…それが?」
「前髪上げちゃえばいいのに、それはそれで結構カッコイイと思うんだけど」

 返答もなく機材の調製を始めたリンを後目に私は祈祷の準備に取りかかった。

 私の頭の事だから、数時間後にはリンの右目の色がなんだったかなんて忘れてしまうだろう。

 そう、それだけのことで終わるはずだった。


―――――聖なる侵入―1――――



 今回の事件はおすがりできる樹があったため、綾子の土壇場で幕を閉じた。

 手が空いていたのと、データ回収のため、メンバー全員で綾子の祈祷を見守っていた。

 目を丸くして見ていた安原は、撤収作業をしつつ麻衣に感想をこぼし始めた。
「いやあ僕、初めて松崎さんの浄霊を見たんですが…すごかったとしか」
「でしょーあたしも最初見た時びっくりしたもん!おじいちゃんでてる!おじいちゃんでてる!って」
「皆さんの中で一番派手な浄霊を行うのは松崎さんだったんですねぇ」
「おいおい少年、浄霊は見た目の派手さでやるようなもんじゃねえよ。なぁ綾子…」


「綾子?」

 大木の根元にうずくまっている綾子に、3人の間に不穏な空気が漂い始める。
「麻衣、少年は撤収続けてて…」
 二人を促すと、滝川は綾子の元に駆け寄った。

「綾子、おい大丈夫か」
「・・・・・・・・だ、いじょうぶ・・・少し・・・休んだら・・・行くから」
「そうか、撤収終わったらまた声かけるから、休んでろ」

 後ろ髪引かれるように立ち去る滝川を後目に、
 綾子は辱めに唇を噛んで耐えていた。

(よかった、ぼーずには見えていない)
 綾子の目には、大木の幹から触手のように伸びる枝葉が自分の体を這いずり回る様を映し出されていた。



「ぅ…くっ」
 綾子にとって、この行為は初めてではない、すがれる樹があった場合の、おおよそ二分の一程度の確率で受けることだった。
 吉見家の際は運が良かっと綾子は思う。

 力を借りた代償に、巫女はその体を供物として差し出す――
(わかってる…わかってる…でも…)
(せめて、みんながいなくなってから…)

 綾子の羞恥を感じ取ったのか、嬉々として枝葉は綾子を貪る。

 全身を覆い、縄のように締め付ける枝もあれば、さわさわと羽ぼうきのように綾子の敏感な所を撫でる葉もいた、彼らの共通点は「容赦がない事」。

 充血した花弁を伝って滴り落ちる蜜をすすって、枝はしなやかさと柔軟性を持ち、綾子に更なる苦痛を与える―――
「…ッひっ…ひっ」 
 枝はぬめりを利用し、綾子の肉さやから肉芽をつまみ出すと葉の裏側の産毛部分で擦り始めた。
「ぉっ…いや…ゆる…し…て…んっ」
 噛んでいた唇が切れ、血がにじむ

「麻衣ー、そのコードはこっちのコンテナに詰めてくれ」
「しまっちゃったよー!先に言ってよ」
 遠くでナル達の声が聞こえる
(耐えなきゃ…気づかれちゃう…)

 キリキリと音がする――― 
 枝同士が寄り合い、さらに太い固まりになってゆく。先がほどけ、綾子の秘芯をねぶって快感を助長させる。

(お願い…せめて、撤収が終わるまで待って…)
(お願い…きて…かきまわして)
 羞恥と本能がせめぎ合う、そんな綾子の心情はおかまいなしに、熱い固まりは綾子の花びらを割ってずぶずぶと侵入してくる。

(ああっ)
 綾子は困惑した、耳を澄ませばメンバーの会話が聞こえる中での情事を受け入れている自分に。
 声をかみ殺していられるのも時間の問題だろう、枝葉は綾子の性感帯を全て支配している。
逃げれば執拗に責めるし、求めれば焦らして更なる服従を要求してくる。

(もうだめだ)
 固まりが子宮口に届く寸前、綾子は理性を手放し――――――――――――


「綾子!おいってば綾子!大丈夫か!」



 滝川が綾子の肩を揺さぶると、綾子に絡んでいた枝葉は一斉に綾子から離れ、見えなくなってしまった。

「…あ…あっ大丈夫よ、心配しないで先に行ってて」

「ばかたれ!何が大丈夫だ、唇かみ殺して出血までしやがって、危なくなったら俺達を呼べよ、何のための仲間なんだ?」

「ご、ごめん」

「…?なんか顔熱っぽいぞ、風邪か」

 滝川はじぶんの額を予告もなく綾子の額にくっつけた

「!!!!」

 滝川の息づかいや鼓動、体臭を感じ取り、芯からずくりと蜜がこぼれる。

(卑しい…私ってば)

「少しあるな、今日はベースに泊まってろ」
 そう言うと綾子の膝を持ち上げ担ぎ上げた
「やっちょっ離れてってば、くそぼーず!」

「首に手まわさねーとおちるぞ病人」
 綾子の非難をよそに、滝川はベースに向かって歩き始めた。

 大木を見下ろせる高台の位置にセットしたカメラを撤去し、リンは坂を下りてゆく。

「・・・・・・・」

 その日は風が強く、リンの前髪は終始後ろ側になびいていた。

 普段は見る事がないその双眸は、ただじっと、樹を映していた―――



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