※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

淫夢

目次へ



――――こんな事になるなら、ちゃんとナルの言う事聞いとくんだった……―――
朦朧とした意識の中であたしはそんな事を考えていた。


プロローグ

それは一人の訪問者から始まった。
あたしは谷山麻衣。十七歳。知っての通り、心霊現象の調査員なんて変わったバイトをしている。
阿川さん親子の事件も解決して二ヶ月。今は十二月で、世の中はクリスマス商戦真っ只中だ。
まあ、私には関係ないけどね、来年は灰色の受験生だし…と、事務所の机で黙々と宿題に励んでいたところオフィスのドアが開く音がして顔を上げる。
なんだかひどく疲れたような、顔色の悪そうな中年の男性が所在無さ気にキョロキョロと辺りを見回している。
「どういったご用件ですか。」
「こちらでは心霊現象の類を取り扱っていると聞いて来たんですが…」
「はい、ご依頼でしたらまず私がお話を伺わせて頂きます。」
「えっ……と貴方がですか?」
「ええ、私が一旦話を伺って、その上で上司の判断を仰ぐ様な形になってるんです。」
あたしが若いから不審に思ってるのかな。その人はためらいがちに言った。
「あの………どなたか男の方はいらっしゃらないんですか。」
むか、女のあたしじゃ駄目だってのか!
「心配しなくても大丈夫ですよ。話を聞くのは慣れてますから。」
「いや、そういう事ではなく………」
むむっ、じゃあどういう事だというのか。彼と押し問答をしていると所長室からナルが出て来た。
「どうしたんですか、谷山さん。」
「……君は?」
「僕はここの所長ですが。」
答えたナルに彼はすごい勢いで畳み掛ける。
「おかしな事が続いて困ってるんです。お話だけでも聞いてもらえないでしょうか。」
だからあたしが聞くっていってるだろうが――!
「この谷山がお話を伺ってからと言う事になっているので…」
「その…女性の方にはちょっと……」
冷たく切り捨てようとするナルに男性はそう言いよどむ。
男女差別だ―。ナル、何とか言ってやってよ!
ところが、ナルは少し考え込むようにしてから
「そうですか、では僕がこちらで話を伺わせて頂きます。」
と男性と二人で所長室に入っていってしまった。
なにぃ――!いつもは話を受けるのだって渋る癖に―――!!とあたしが一人憤慨しているうちに
なんだか話はあれよあれよと言う間に進んでしまったらしく、明日からそのおっさんの家に調査(一日目は聞き込みだけらしいが)に行く事になった……らしい。
らしい…というのは、あたしには詳しい説明をしてもらえなかったせいだ。

「なにそれ、どういう事!?」
「大きな声を出すな、だからお前はいつも通り事務所で待機してればいいと言ってるだろ。」
「どうして今回に限って、あたしが除け者なわけ!!納得の行く説明をしてよ!!!」
ハァ――とナルが深いため息をつく。ため息つきたいのはこっちだっての!
リンさんとぼーさんが困ったような顔をしている。
そう、今回はぼーさんにあたしの代わりをしてもらうから、あたしは調査に来なくていいというのだ。
「きちんとお金貰ってるんだし、事務だけじゃなく調査だって手伝うよ。」
「雇い主が必要ないと言ってるんだが。」
そう言われて言葉に詰まってしまう。う―――、あたし事務じゃなく調査員なのに――!
「まあ麻衣、落ち着けよ。今回の件は色々ややこしいんだ。ナル坊はお前さんの心配してんだよ。」
何だよ、それ―。心配って言われたって、こっちには何の心配なのかも分からないんですけど。納得行かな―い。ぼーさんめ、ファンだからってナルの肩持っちゃって!
「ナルを信用しろって。」
「ぼーさんの言った通り、今回の調査は麻衣には危険なんだ。だから来なくていい、分かったな。」
そう言い切られて、言葉を挟む余地も無い。それにしたって理由を説明してくれたっていいのに。結局そのまま、男共はあたしを残して調査に出発してしまった。
なんであたしだけ蚊帳の外なんだよ――――――!!!

調査開始二日目の夕暮れ、麻衣が依頼人宅に訪れた。
応接間に作られたベースには大量の機材が設置されており、ナルとリンはその前に陣取っていた。
「一日振り、調子はどう?」
二人に声をかけるが、反応は冷たいものだった。
「お前、来るなと言ったろう。」
ナルの声は明らかに不機嫌そうだ。
「来なくてもいいとは言ったけど、来るなとは言わなかったよ。もう事務所の方は終わったし。」
迷惑そうに迎えられ、麻衣はむくれ気味で言う。
「何しに来た?とっとと帰れ。」
「書類を持って来たんです―。森さんから電話で急ぎだって言われてさ、ぼーさんは?」
「夕食の買出しに行ってる。」
「ふーん。ねえ、どう?霊の仕業なの?」
「今のところお前に話すような事は何も無い。お前がここにいても何もする事はないし、早く帰るんだな。」
「そうですよ。もう暗いんだから、早くお帰りなさい。」
珍しく無口なリンまで声を上げる。
「そんな邪魔者扱いしなくても…もー、言われなくても帰りますよ―だ。ナルの秘密主義!」
(全く何なの、あの態度!あの自信過剰のナルシストめ!!)
散々な対応に腹を立てて帰ろうと、依頼人邸の玄関の扉を出た時、不意に庭の片隅で何かが蠢くのが目に入った。
(何だろう?)思って視線をそちらに向けた瞬間、いきなりすごい勢いで何かに足を引き摺られる。驚いて声を上げようとした麻衣の口を別の何かが覆う。
(何!?誰かいるの!!?)
しかし自分の背中には冷たい地面の感触だけで、何が起こっているのか分からずパニックに陥る。あっという間に庭の片隅まで引き摺られてきた麻衣の見たものは、大型犬程の大きさの奇妙な形をした生物だった。

(何、コレ!!?)
黒い毛に覆われたようなグロテスクな物体が茂みの中で呼吸するように息づいている。その生物から出ている長い触手のような物が麻衣の左足を捉え、口を塞いでいるのだった。
異様さに麻衣の心は恐怖する。横に転んだ状態から起き上がろうと、体を動かすと瞬時に自由だった両手と右足にもべとついた触手が絡み付いてくる。
(―――ッ!!何なの、コイツ!?あたしをどうしようっての?!)
どうにか逃れようともがくが、どす黒い触手はますますきつく巻き付いてきて身動きが取れなくなる。
(――気持ち悪い!!)
ぬめぬめとした感触に身の毛がよだつ。
「――ンウゥッ!!?」
突然コートの中に別の触手が入り込んできた。ナマコのような感触の物体が服の上から体中を這いずり回る。怪物の不気味な行動に全身が鳥肌立つ。
「――――――………ッ!!?!!」
湿り気を帯びた触手が服の中に侵入する。
(嫌だ!!止めて…………止めてよ!!)
渾身の力を込めて振り払おうとしても、相手はビクともしない。
(ナル、気付いて……お願い!!)
家の中のナル達に助けを求めるが、状況は一向に好くならない。
この家の庭は手入れをしていないのか、草がぼうぼうに生い茂っていて、麻衣のいる場所は大きな木の陰になっている。ベースに設置された監視カメラからは映らないようになっているのだろう。
化物の本体から更に二本の触手が伸びて来て、麻衣の身体をまさぐり始める。あまりの非現実的な展開に麻衣はこれがいつもの夢なのではないかと思おうとした。自分は気付かないうちに眠ってしまったのだ、こんな事が現実に起こるはずが無い。夢なら覚めてくれ、とそう願った。
そんな麻衣を嘲笑うかのように、無遠慮に一本の触手がパンツの中に入り込む。
(イヤ!!何すんのよ、変態!!!!)
緊張に身を硬くする。表面から液体を分泌しているのか、ぬるつく触手が麻衣の股間に伸びる。脚を閉じようとしても両足に巻きついた触手がそれを許さない。冷酷な侵入者はうっすらと毛の生えた亀裂に到達し、入り口を探り出した。
(いや、何してるの?!!)
経験の無い麻衣にもそいつがこれから何をしようとしているのか理解できた。触手の先端が麻衣の女穴に押し当てられて、背筋が凍りつく。
(離して!!止めてよ!!止めて!!!)
最後の力を振り絞って抵抗するが、自分の身体なのにちっとも思う通りにならない。
(……ジーン!!助けて、ジーン!!!)
麻衣の脳裏にナルと瓜二つの優しい瞳をした少年の姿が浮かぶ。
夢だったらいつも最後にはジーンが来てくれるのに―――――願いも空しく残酷にも無情な器物が麻衣を貫いた。

ビクビクと脈打つ棒状の物が自分の中に出入りするのを麻衣は呆然とした気持ちで眺めていた。あまりの気持ち悪さに頭がぐらぐらする。
入れられた瞬間に強烈な痛みを感じたが、後はまるで下腹部が麻痺したかのように何も感じられない。麻衣がショックで心を閉ざしているせいか、それとも触手の分泌している液体のせいか―――

麻衣だって年頃の女の子である。
白馬に乗った王子様が、とは言わなくても、いつか好きな人と……と自分の初体験を心密かに思い描いていた。
(……あたし、汚れちゃった…………)
悲しみと絶望感で胸が一杯になる。
ふとジーンの笑顔を思い出す。いつもは心が暖かくなる彼の笑顔にも麻衣の心は冷たいままだ。知らず知らず涙が流れる。
(もうどうでもいい―――――――)
前向きな麻衣らしくもなく、考える事を放棄して怪物のなすがままに身を任せた。


どれくらい時間が経っただろう。
実際はそれ程でもないかもしれないが、ふと麻衣は下半身に違和感を覚えた。
最初は気のせいかと思ったが、触手が出し入れを繰り返す度にその感覚は大きくなっていく。それが快感だと気付くのにさして時間はかからなかったが、それを認めるのは受け入れ難かった。
(――いやっ―――嫌だ、こんなの……!!!)
必死で否定しようとするが、身体は紛う事無く反応している。触手が内壁と擦れ合う度、甘い痺れが麻衣の体中に広がっていく。冷えていた体が急速に熱を帯びていくのが分かる。
(………嫌だ、こんなヤツに……誰かっ!!ナル、リンさん、ぼーさん!!!)
買出しにいったという滝川はまだ戻らないのだろうか。悔しくて先程とは違う意味で涙が止まらない。そんな麻衣の気持ちなどお構い無しに、化物はその触手を動かし突き上げてくる。
麻衣は身体の中心が触手の出した粘液だけではなく濡れていくのを感じた。一旦火の点いてしまった身体は止まらない。身動きの取れない状態で否応無く麻衣は限界に追い上げられていく。
(―――イヤ!――イッちゃう!!――――――)
もう少しで達するかという時、急に怪物の動きが止まり、身体の拘束が緩くなる。

ぼーさんが助けに来る   リンさんが助けに来る

目次へ