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第三話

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「…ぼーさんと……一緒………」
呟く麻衣の声にすでに怯えの色はない。
滝川が、まだ涙の跡が乾ききらない麻衣の頬にそっと手のひらで触れる。これまで麻衣が知っていた彼の手と
何ひとつ変わらない、その温度と優しい感触に、麻衣が心の底から安堵してほぅ、とひとつ息を吐き、そして
力を抜くようにゆるゆると目を閉じるのを、滝川は愉悦の思いで見つめる。

「なあ…麻衣は、俺と一緒にいるの…嫌?」
滝川の囁くような問いに、何の怯えも抵抗もなく、麻衣はふるふると首を振る。
「ううん…そんなことない………ぼーさんと一緒にいたい……」

滝川は、あえて『一緒にいる』という言葉を使って麻衣に語りかける。
麻衣にとって、滝川の存在はかけがえのないものだ。それは今までも、これからも決して変わらない。
これまでも出逢ってからずっと、彼と麻衣は『一緒に』いた。そして麻衣は、これからもずっと彼と離れず
『一緒に』いることを心から望んでいる。
だから麻衣にとって、この滝川の願いは何の抵抗もなく受け入れられるものだった。
ただ、麻衣の思うこれまでの『一緒』と、滝川の願うこれからの『一緒』は、本当は明らかに違う。
それを麻衣もおぼろげながら感じ取っているはずだった。
滝川は麻衣の戸惑いをひとつずつ取り除いて、ゆっくりと、けれど確実に彼女を籠絡していく。

「なあ麻衣、俺達の関係って…これから先も、本当は今までと…そんなに大きくは変わらないんだと思う」
「そう…なの?」
不思議そうに瞬く麻衣の瞼に軽くキスをして、滝川は言う。
「うん、だってさ、俺は今までだってずーっと麻衣のことが好きだったし、それはこれから先も何も
 変わらない。ただそれが、今回ちょっと大っぴらに表に出て来ちまっただけで、俺はこれからも
 ずっと麻衣を大事にしたいし、絶対に麻衣を守る」
「うん……」
これまでの滝川が、彼の本当の気持ちに気付かせないようにと、幼い自分に優しさで目隠しをしてくれて
いたことに麻衣は気付く。滝川は何も変わらない。ただ麻衣がそれを知らずにいただけなのだ。
彼がずっと自分を想い、大切に守り慈しんでくれていたことを、麻衣は今あらためてその身で感じる。

「本当は、俺としてはもっと劇的に変えてやりたいんだけどなー。でもさ」
困り顔で少しおどけてから、滝川は仕方ない、という風情で苦笑してみせる。
「俺達、仕事上の関わりで出逢ったわけだけど、俺達の間がどうなろうと、仕事上での立場には何にも
 変化なんてないんだし。俺は坊主で除霊のエキスパート、おまえはSPRのアルバイト。…だろ?」
「…うん…そうだね…」
麻衣は素直に頷く。
「しかもさ、職場内恋愛だーって言ったって、現場に行けば仕事柄イチャイチャしてるような悠長な暇なんか
 間違いなくないだろうし、事務所の中でもなぁ……特別あいつらに秘密にしてコソコソするつもりもないし、
 多分俺そんなことになったらもう、麻衣のこと大っぴらに自慢して歩き回っちゃうと思うけど!
 …でもだからって、あの連中の雰囲気の中で、ふたりでイチャつく勇気……麻衣、おまえ…あるか?」
大真面目な顔で尋ねられ、麻衣はその世にも恐ろしい状況を想像して思わず吹き出してしまう。
「……ぷ…っ!…あははは…っ!……それは…ないね…っ!……ぜったいそんなのムリだよー………」
麻衣が笑い転げると「だろ?」といって滝川は眉をしかめ、盛大に溜息をついた。
「…な?だから、あんまり大げさに考えなくていいぞ、麻衣。」
「そっか……」
滝川がポンポンと頭を撫でてやると、麻衣が「ふふっ」と小さく笑った。
無邪気な微笑みを浮かべる麻衣の目には、これまでと同じように彼を慕い信頼する心が透けて見える。
それを見て、滝川は心中で暗く笑う。
心も身体も運命さえも、麻衣の存在全ては今、滝川の手の上にある。
ようやく得た手中の珠を、決して手放しはしない。
逃げられないように。
もっと、堕としてしまおう。

「麻衣…目、閉じて……」
低く甘い声で誘うように優しく囁いて、滝川は彼女の唇にそっとやわらかくあたたかな温もりを重ねた。

すでに警戒心を解き、心を許した麻衣は彼が誘うままにおとなしく目を閉じて滝川にその身を預ける。
夢の中で毎夜口づけを交わし、この家に来てからもずっとキスされてばかりいる麻衣はすでに正常な判断力を
失っていて、このキスもそれほど特別なことだとは思わず、抵抗することもなくごく自然に受け入れた。

最初触れるだけだったやわらかな口づけは、キスに慣れたふたりの間で瞬く間に熱を帯びて唇と吐息の温度を
急速に上げる。滝川の舌が麻衣の唇の輪郭を確かめるようになぞり、その濡れた感触に促されるようにして
麻衣が唇を僅かに開くと、すぐに彼の舌が滑り込んでくる。このまま受け入れてしまえば口内を侵されると
彼女にもわかっていたが、そのぬるりと甘やかな感触に負けて麻衣は彼のあからさまで不埒な蹂躙を容易く
赦してしまった。無防備な麻衣の舌は付根から舌先までたっぷり舐め回されて、それから彼の舌にねっとりと
絡め取られる。滝川の動きは優しくやわらかではあるものの無遠慮で容赦なく、麻衣はすぐに翻弄されて
呼吸を乱した。
「……ん………ぅ………………ぁ………、ん…………」
息苦しい。本当は思い切り空気を吸い込みたいのかもしれない。けれどどうしても、彼と離れがたい。
麻衣はふたりの唇のほんの僅かな隙間から、かすかな喘ぎを漏らすことしか出来なかった。
溺れるように、酸素の代わりに滝川の舌を求め、絡め合ったままの舌を吸う。
ふたりの唇の隙間から洩れる唾液の水音の淫らさが鼓膜を犯し、麻衣の頭はさらに痺れ蕩けていく。
もっと甘く、もっと深く侵し侵されて、このまま溶けてしまいたい。陶然と麻衣はそう思う。

ーーまずいな、と心中で滝川は苦く呟く。
麻衣を籠絡する手管の筈のキスに、いつの間にか自分自身が溺れ始めている。
麻衣との口づけはあまりに甘やかすぎて、拙いながらも懸命に自分を求める麻衣がどうしようもなく愛しくて、
気付けば滝川も、余裕も自制心も全て無くしてただただ麻衣を貪ることに夢中になってしまいそうだ。
(キスするだけで無我夢中って、童貞でもあるまいし)
こんな調子では先が思いやられると、麻衣と互いの舌を吸い合いながら、心密かに己を嘲嗤う。
けれど、それも無理もないことだと本当は自分でもよくわかっている。
どんなに策を弄して彼女を手に入れても、自分の方がずっと前から深く深く麻衣に溺れているのだから。
夢に見る程恋い焦がれ続け、ようやく手に入れた最愛の少女は、ようやく自分への好意を向け始めたばかり。
決して離れないようにしっかりと繋ぎ止めるには、もっと彼女を虜にする必要がある。

欲しいのは、彼女の全て。滝川の手は彼女を求めてその身体の上を彷徨い始める。
彼女を怯えさせないよう、慎重に。

自分を抱いていた彼の右の手が、背中から肩へ、そして腕へとゆっくり滑っていくのを、麻衣は蕩けた
意識で感じ取る。手のひらと指先のそれぞれが、自分のかたちを確かめるように触れていくその感触は、
安堵するほどあたたかく、けれど時折鳥肌が立つほど狂おしく、それが今の麻衣には痺れるほど幸せな
ことに思えた。
腕の上を滑り降りた滝川の指先が麻衣の指先に触れ、そのまま手の平を重ねてきゅっと握られると、
麻衣は泣き出したくなった。怯えはない。ただ、どうしようもなく幸福だと思った。
自分はこれから彼の手で愛されていくのだ。もう麻衣も、知っている。

ー今すぐ滝川を力いっぱい突き飛ばして彼を拒めばきっと、本当に最後の砦だけは守ることができる。
力ずくで無理矢理奪われることはないだろうと、滝川の暗い想いを知らない麻衣は思う。
今彼に全てを捧げてしまったら、もっと大きく自分が変わってしまう予感がある。本当は、少し怖い。
けれど、そうすることが出来ない。したくない。今彼に優しく撫でられるこの幸福を、失いたくない。
彼から与えられる溺れる程の快楽に、このまま身を委ねていたい。
危険を告げる本能は、けれどそれと同時に彼女を“溺れてしまえ”と唆す。
彼女は一瞬の逡巡をその声に従って捨ててしまった。
ーー全ては、滝川が操るまま。

自分の手を握りしめる滝川の指からふ、と力が抜けて拘束が解かれるのを感じて、麻衣はそれをとても
名残惜しく思ったが、彼の指先が自分の手のひらの上をあやすようにトントンと軽く叩いてからくるりと
撫で、そのまま腕の内側を這い上がっていく感触に、麻衣は痺れた。二の腕の一番やわらかいところを
通って脇の下まで辿り着く指が甘やかにくすぐるのを、麻衣は身を震わせながらも堪える。
夢の中では何故かいつも裸で、だからいつだって直接肌を触れられていた。
けれど服越しに触れられていく感触も、このもどかしさが切なくて心地よい。麻衣は思う。

脇を撫で上げて、腕の付け根まで到達した滝川の手は、今度は麻衣の脇腹を滑り降りる。
彼の親指が麻衣の胸の頂をわざとかすめてから通り過ぎた瞬間、麻衣の胸はそこから甘く痺れる。
麻衣がほんの一瞬の愛撫にも敏感に身体を震わせて、吐息を小さく漏らすのを、薄く目を開けた滝川は
愉悦の思いで眺める。紅潮した頬や瞼が彼女の呼吸に合わせて時折小さく震えるのが愛おしい。
細い指先や、制服の胸元から覗く白い胸元も、すでにうっすらと紅く染まり始めている。
このまま彼女の全ての色を、自分で染めてしまいたい。劣情が滝川の胸を焦がす。

衝動に身を委ねてしまえば、本当はいくらでも性急に麻衣を奪うことが出来る。必死に抗う麻衣の制服を
無理矢理剥ぎ取り、か弱く藻掻くその身体を押さえつけ、泣いて懇願する彼女を力ずくで犯す。
その甘美な想像はとても魅惑的に滝川を誘惑したが、彼はそれをあっさりと放棄した。
いくら強引に身体を奪っても、その手段では彼女の心は永遠に手に入らない。
滝川が望むのは麻衣の『全て』なのだ。
それに彼女をこうして少しずつ堕としていくのは、とても愉しい。
この恍惚を手放すなど愚の骨頂。焦る必要など、何もない。
痛む良心ももう捨てた。けれども彼女を泣かせ苦しめるのは、彼の本意ではない。
本当は、心から愛したいだけだ。
けれど守り慈しむだけでは、もう満たされない。だから奪う。それだけだ。

脇腹や腰骨の上をくすぐるように撫で回して麻衣をさらに震わせてから、滝川のあたたかな手は麻衣の
やわらかな腹をゆっくりと這い上がる。その指先が胸のふくらみに触れて突き当たると、彼の手は
麻衣の胸を下から持ち上げるように掬い取り、そしてやわらかく包み込むように握り締めた。
そのままやわやわと胸を揉まれて、麻衣の身体にじわりと幸福と快感が沁みた。吐息が麻衣の唇から
漏れ出す。吐息を逃してやるかのように、滝川は麻衣の唇をようやく解放した。
初めに触れ合った唇がそっと離れ、それから互いの口内を侵し合った舌が少しずつ解かれる。
名残惜しさを見せつけるように、離れた二人の舌先の間で唾液がつぅ、と糸を引き、そして切れるのを
麻衣は蕩けた瞳でぼんやりと見つめる。
「………やらしいな」
滝川の唇が卑猥な笑みを浮かべる。からかわれている、そうわかって麻衣は何も言えずに顔をさらに
紅潮させた。今きっと自分は、恥ずかしいくらいだらしなくて淫らな顔をしていると、鏡を見ずとも
滝川の表情がそう麻衣に教えている。彼の目を直接見ることが出来ず、麻衣が思わず俯くと、自分の
胸をゆるりと揉んでいる滝川の右手が視界に入り、それがさらに麻衣を困惑させた。


快感と羞恥で朱に染まり、うつむく麻衣の愛らしい顔が、滝川の劣情を煽る。
「麻衣、可愛い………大好き……」
もっと淫らな表情をさせたくて、麻衣の耳にわざと唇を触れさせながら、彼女を支配する声音で囁く。
「ゃ…っ、耳、……だめ……っ」
麻衣の肩が大きくビクッと揺れる。予想通り、相当弱点のようだ。滝川はほくそ笑む。
「……どうして?」
クスクスと笑いながら、滝川は吐息混じりでそのまま囁きかける。
「…ぁっ………しゃべっ、ちゃ、……やだ………」
背筋をゾクゾクとした痺れが奔り抜ける。彼の声は媚薬のようだ。
麻衣が藻掻いて身じろぎするが、滝川は唇をさらに寄せて逃がさない。
「………どうして?教えてくれなきゃ、わかんないだろ?」
わかっているくせに。そう思いながらも麻衣は抗えず白状してしまう。
「……んンっ……なんか、ぼー、さんの…こえ………すごい…きちゃ、う………」
「…ああそっか、ごめんな………じゃあ、喋んなければ、いい…?」
からかうように、滝川は麻衣の耳朶を甘く噛んだ。
「………っ!」
驚いた麻衣は思わず目をぎゅっと閉じる。
滝川は、狼狽える麻衣の耳朶に舌を這わせ、彼女を弄んだ。
「…んっ……みみ……ぁ、よわい、ん……だって…ばぁ…………」
甘えるように訴える麻衣の声が、滝川の鼓膜を心地よく刺激する。
「うん、知ってる」
意地悪く、麻衣を煽る卑猥な声音で麻衣に囁いて、麻衣の耳をちゅっと強く吸った。
「あぁんっ…!………も、や、だぁ………」
麻衣の動揺を愉しみながら、滝川は麻衣の耳朶をたっぷり舐め尽くし、奥に舌を差し入れる。
その濡れた感触に麻衣は愛らしい声で悲鳴に近い喘ぎを上げた。

麻衣が耳をねっとりと責められて息も絶え絶えに喘いでいると、今度はこちらも忘れるなと言わんばかりに
滝川の手が麻衣の胸をきゅっと掴む。やわらかく揉むその合間で、時折胸の先端を爪でひっかくように擦られて、
甘い刺激に下着の中でそこが尖ってくるのが麻衣自身にもわかった。布に擦れる感触が、それをさらに促す。
「麻衣ー、ここ、勃ってきたぞー」
ニヤニヤとしながら滝川がからかう口調で言う。もちろん耳元で囁くように話すのは意地悪からだ。
「……っ!ば、ばか……っ!えっち……っ、ん…っ」
「ほら、もう摘めるくらいになった」
「ひぁ……っ!」
きゅっと摘まれて、麻衣は思わず大きく声を上げてしまう。
「麻衣、これ気持ちいい?」
「……ん……っそんな、こと、言えるわけ、な」
「ちゃんと言って?」
「……や……ぁ………」
「布越しじゃダメか………じゃあ、麻衣がもっと正直になれるように、直接触ろうか」
「…え……」
滝川は、麻衣の制服の裾からするりと手を滑り込ませた。
「……っ!?……あ、ちょ………待って…………ぁ………」
腹を滑った滝川の手は、あっけなく麻衣の胸に辿り着き、白いレースに飾られた清楚な下着の中に潜り込み、
彼女の胸を直接掴む。揉むたびに自分の手の中で形を変える、やわらかい感触とこの上なく滑らかな手触りは、
夢に見たよりも圧倒的に素晴らしく、おそろしいほど魅惑的だった。
下着の中でわずかに汗ばんでいたらしく、麻衣の胸はしっとりと彼の手のひらに吸い付いてくる。
その感触が、まるで自分を所有者と認めてくれているかのようで、滝川は手のひらと五本の指に伝わる
至福をしみじみと噛みしめる。
「あー、本気で理性吹っ飛びそう…」
滝川の口から思わず本音が洩れる。
「麻衣の胸やわらかくてすっごく気持ちいい………麻衣は?」
下着をずらして胸を露出させてから、その先端を親指できゅっと潰すように捏ねる。
「あぅ…っ!」
「………ね、これ、気持ちよくない?」
「…や…だ……」
「………じゃ、これは?」
今度は二本の指で摘み、クリクリと転がすように指の腹で撫でる。
「…んあ…っ、ああぁん………っ」
敏感な頂を弄ばれて、思わず麻衣は甘えるように蕩けた声を洩らしてしまった。
「………ぁ……やだ……」
その声音の予想以上の淫らさと浅ましさに、麻衣は自分でも驚き狼狽える。
「……あたし…………ごめんヘンな声出ちゃった…………」
動揺した麻衣は慌てて手で口を塞ごうとするが、その手首を滝川の左手に掴まれる。

「…じゃ、もっとヘンな声、だそうか」
滝川は、捕まえた麻衣の手に軽く口づけた後、中指の爪先をペロリと舐めて艶然と笑う。
「や…っ、ちょっ……と、何…………あぅ…………やだ………それ…………」
戸惑う麻衣の指先に軽く吸い付くようなキスをして、そのまま中指を唇で咥えてから口の中で舌を這わす。
滝川の舌が指の腹や関節を舐め回す濡れた感触に、ぞくりとして麻衣は抗議の声を上げるが、指を引くことも
出来ずにそのまま彼の唇が卑猥に自分の指を咥えるのを眺めてしまう。
咥えて、舐めて、時折前歯を軽く当てて、吸い付いてーーそれはまるで夢の中で彼に自分が教え込まれた行為の
仕草にとてもよく似ていて、それを見ていると、彼も自分の唇でこんな感触を味わったのだろうか、と想像して
しまい、それはさらに麻衣の羞恥を煽った。
滝川は、そんな麻衣を見透かして微かに笑いながら、麻衣の指をさらに深く咥え込み、指の股を舐めた。
「…っ、も、だめぇ……っ」
妙に恥ずかしい場所を舐められた気がして、麻衣は震える。
「………ん、ここは舐めちゃだめですか」
仕方ないといった風情で麻衣の指を唇から解放して、滝川はからかうように麻衣の目を見つめながら言う。
「じゃあ、どこならいい?」
「…どこ、って……」
滝川は戸惑う麻衣の手を取り、彼女の制服を潜らせて胸に導くと、まだ唾液で濡れた指を麻衣の胸の頂に
ぬるりと擦り付けた。
「ここ、とか、……どう?」
「……やぁ……っ」
そのまま麻衣の濡れた指先で先端を弄ばせながら、滝川が誘うように囁く。
「…な、ぬるぬるして、気持ちいいだろう?」
「…あぁ………」
彼に腕を掴まれているとはいえ、自分の指で自分の胸を触って気持ちよくなってしまうのがとても恥ずかしい。
麻衣はぎゅっと目を瞑ってしまう。
「……ほら、俺なら、もっと気持ちよくしてあげられる」
もうどうしたらいいのかわからないくらい恥ずかしいのに。
「ここも、いっぱい舐めて、いっぱい吸って……」
いやだ、と言わなければいけないはずなのに。
「………だから、な?」
麻衣は、拒めなかった。

滝川の手が制服の胸のリボンを解き、上からひとつずつボタンを外していくのを、麻衣はぼんやりと眺める。
瞬く間に制服の前をはだけられ、麻衣は少し肌寒いと思った。
天気も良く、空調も良く効いていたから、それは彼女の身体が火照っているせいかもしれなかったし、
下着から露出させられた胸の先が外気に晒されたせいかもしれなかった。
ふるり、と小さく震える麻衣の胸に、身を屈めた滝川がそっと顔を寄せ、愛おしむように頬擦りする。
彼のすりすりと動く頬に胸の先端が擦られる快感に悶えながら、麻衣が羞恥の表情を浮かべる。
「んっ…ぁ…やだ……恥ずかしい、よぅ………あんまり、お…きくない、から……見ない、で……」
「いーじゃん。やわらかくて可愛くて、すっごく俺の好み」
「………こういう、………ん……時…かわい……て言われ、るの……微、妙………」
「気にしない気にしない。麻衣はまだ発展途上なの。ていうか俺が可愛いって言ったら可愛いの。
 わかった?………それに」
きゅっと両の手で麻衣の胸の膨らみを握り、滝川は麻衣の瞳を覗くように見上げてにんまりと笑う。
「…もう夢でいっぱい見ちゃったもんねー」
「……っ!!ばか!ばか!ぼーさんのえっち…っ!!」
「はいはい、えっちですよー。何せ、俺はセクハラオヤジですから。可愛ーい麻衣ちゃんが可愛ーい顔で
 恥じらうのを見るのがとっても大好きなんですよー。だから」
胸の谷間にチュッと口づけて、言う。
「いっぱい感じて、麻衣」

「……ああぁ………ぼー、さん……」
強く吸われて、舐められて、甘噛みされて、弄ばれて。麻衣の胸は滝川に蹂躙され続ける。
胸の先端を唇で咥えて、舌先で転がしてやりながら、滝川は麻衣を卑猥に煽る。
「ん……もう、すごいコリコリに硬くなってる……」
「…んぅ…っ!…や、だめ…ぇ………くわえた…まま……話しちゃ…、ダメ………」
「………どう、して?」
麻衣の口からいやらしいことを言わせたくて、答えのわかりきった質問を滝川は麻衣に問う。
「ひぁ…っ、…あ、……感じ、ちゃう………からぁ………」
答えを催促するように、甘く尖った頂を引っ張るように強く吸われ、麻衣は彼の望む答えを返した。
暗い愉悦が胸を支配し、滝川は衝動のままに麻衣を追い詰めていく。
「感じてるんだ?」
「…うん…っ、かんじ、る……っ」
すっかり籠絡されて理性を失った麻衣は、ただただ素直に彼の問いに答え続ける。
本当は麻衣もとても恥ずかしかった。自分を見透かしながら煽る彼の余裕にも少し悔しさを感じている。
けれども彼が望む通りに答えると、何故かその恥ずかしさが甘やかな媚薬のように頭と身体を痺れさせ、
麻衣はその被虐の悦楽に溺れていくのを止めることが出来なかった。
「気持ち、いい?」
「…きもち、いい……っ」
「どんなふうに?」
「………ぁ、……なんか、……ぬるぬる、って……あぁん……むね…ずきずき、する…ぅ……」
快楽に蕩け朦朧とした麻衣の唇から紡ぎ出る言葉はとても拙く、けれどもとても正直で、淫らだ。
「…それから?」
「………ぎゅ、って…ちくび………摘まれる、と……あぅ……」
「摘まれると?」
麻衣の言葉通りに、滝川が頂を強く摘んで弄びながら尋ねる。
「…あぁ……なんか……腰に、くる……っ」
「……腰、」
と言いながら、滝川の左手が麻衣の腰をくすぐるように撫で回す。
「ここに、くるんだ?」
「…うん…っ……背中のなか……ビリビリって……しびれる……みたいになって…………下が、
 ………じわって、あつ、く……はぁ…ん……なって……」
淫らな快楽の促すままに素直に反応する麻衣は、狂おしいほどに愛しく愛らしい。
もっと麻衣を変えてしまおう。滝川は手を伸ばす。

「下ってどこ……かな…………ここ?」
焦らすように、麻衣の腰骨を指先でくるりと撫でる。

「…………………………………………もっと、…………下………」
少し躊躇って、けれど甘やかな誘惑に抗えず麻衣は小さな声で呟くように答えた。

「…ここ?」
クスクスと笑いながら、麻衣の膝頭を撫でる。

「…………ゃ…………違う……」
焦らされて拗ねた目をする麻衣が可愛い。

「じゃ、ここ?」
スカートの中に手を這わせ、白い太腿をやんわりと撫でる。

「……ん……もっと、………上ぇ……」
麻衣が甘えた声で強請るのを、滝川は痺れるような思いで聞いた。
ついに、麻衣が自ら扉を開く。

「ここ、」
そっと指を伸ばして、指先で彼女の下着に触れる。

「……………………そ、こぉ……」

麻衣が初めて自分から滝川に手を伸ばし、甘い声で彼を求めた。

「……ね………ぼーさん、…………さわって?」


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