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第24回 パンデミック・禅

希望崎学園に集う、木下恭介、ライアン、ニートマン軍曹、天芽十七。
明かされた彼らの任務は、命の危険すら伴う壮絶なものであった。
禅寺――2泊3日にも及ぶ体験修行の生存を賭し、4人は足掻く。
相手は禅僧。もはや犠牲者の発生は避け得ぬと見た木下恭介は、
せめて矛先を逸らすべく、スケープゴートの一般生徒の大量拉致を試みる。
必死に抵抗する生徒達の下半身をびちびちびっちで責め腑抜けに変えるも、
あの鏡介と同様の言動では信頼を望むべくもなく、半数が離反。

もう駄目か。俺達はもう、逃げ場のない禅寺で悟るしかない運命なのか。
だがそんな悲観の未来図を打ち破るべく、2番手、王宮戦士ライアンが力を尽くす。
恭介が拉致してきた一般人をその体躯による脅しと雄叫びで囮に変え、逃げる。
身動きできぬ木偶と化し、禅僧の修行により次々と悟り、あるいは死んでいく一般人。
すまぬ。すまぬ――(トルネコを盾に使う程度の)罪悪感に心を蝕まれるライアン。
逃げるしかないのだ。彼らは一日半もの間、ただ逃げ惑う事しかできなかったのだ。

だが、このままで良いのか。禅僧達の理不尽な力……仮にも我々希望崎の魔人が、
より強大な理不尽にただ屈服するのみで良いのか。ニートマン軍曹は吼える。
スキン禅僧どもが、じっくりかわいがってやる――
理不尽には理不尽を。幸い、材料となる廃人共はここにはいくらでもいるのだ。
軍曹の生徒指導により作り出された世紀末モヒカン軍団が、禅寺を襲う。
禅寺は現代美術の醜さだ。寺に放火し、数の力で禅僧を飲み込まんとするモヒカン。
だが禅僧にとってこの末法の世は、まさに千年世紀末と呼んでも過言ではなかった。
核の炎をも生き延びるモヒカン軍団は、悟りを開いた禅僧の第六感の前には成す術もなく、
暗号ヒャッハーを悉く解読され、その半数が死滅するという悲惨な最期を遂げる。
もう終わりか。奴らには何も通用しないのか。俺達はただ悟りを待つしかないのか――

それは違う。一人残った天芽は叫ぶ。
禅僧を超える存在は、私達の目の前にあるではないかと。
禅寺そのもの。理不尽を体現した禅僧達すら捕らえる力を秘めた、鉄鼠の檻。
聞いて驚くなスノーボール。うちの食堂では禅寺が食える――
ならば、喰らってやる。その神聖なる力を私のものに。禅僧を、奴らを倒すために。
封印を解かれる予感に、禅僧も猛る。そうだ。それでいい。早く拙僧達を解放するのじゃ――
禅寺の力を体内に取り込み、真の天使へと変異した天芽。彼女に率いられるモヒカン残党。
最終決戦。しかし――敗北。天芽、完膚なきまでの敗北。
勝てるわけがなかったのだ。仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺す狂気の集団に……
たかが天使を殺さぬ理由など、果たしてどこにあったというのだろうか?

い、いや! 私は悟りたくない! 禅僧になんかなりたくない――!
次第に念仏へと変わっていく天芽の絶叫の断末魔に耳を塞ぐようにして、3人は駆けた。
逃げろ。逃げるんだ。これは退却ではない。後ろへ向かって前進だ。
こんな結末は分かりきっていたのだ。禅寺と禅僧にだけは関わってはならなかったのだ――

麓に下りた3人。だがニートマン軍曹は気付いてしまった……恐るべき異変に。
なんという事だライアン。モヒカンはどうした。何故貴様は、坊主頭なのだ。
ハッハッハッ……何をおっしゃるのでござるか、軍曹殿……
朗らかに答えるライアン。
禅僧なんだから坊主になるのは当たり前でござるよ――
ああ木下恭介。お前だけは、お前だけは違うと言ってくれ。恭介にすがりつく軍曹。
何を言っているんですか、ニートマン軍曹……
いえ。あなたは。
そうか。気付いてしまった。既に自分は……否。拙僧は、もう、
――ニートマン禅僧……?
             ――ひでぇ、禅僧だぜ――

天芽は、禅寺という檻から禅僧を解き放つ事は叶わなかった。
しかし今、ここに新たな4人の禅僧がいる。彼らはもはや、禅寺の外にいるのだ。
末法の世に悟りを広めるために。門徒を増やし、禅の理を示すために。
彼ら4人は檻の中から解き放たれた。
もはや何物にも縛られぬ――禅僧、なのである。

DEAD END and continued on next DANGEROUS...