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*第1話『ホスト達の村』 林間学校に向かう希望崎学園のバスの中で、再び起こってしまった事故。 車内で起こった魔人学生同士の戦闘の余波に巻き込まれ、 生徒の[[黒凪黄里]]と[[結昨日缶]]、そして教師の[[真野五郎]]は、 破壊された窓ガラスと共に、旧大勢湯市を見下ろす崖の上から放り出された。 真下には有害ガスの漂う恐怖の魔界、生存確率0%の大勢湯樹海―― ――しかし彼らが次に目覚めたのは、森に囲まれた小さな農村の民家の中だった。 人を拒むはずの大勢湯樹海の外れに存在する謎の農村…… 彼らを助けたのは、そこの村人の一人であるゲンタであった。 そして目覚めた彼らの傍らでもう一人、この村の人間とも違う隻眼の男が煙草をふかす。 &italic(){「まあワシ等のシマやないとは言えここも夜(ごくどう)の世界やからの。堅気の人間を置いてはいけんわ」} 男の名は魔人ヤクザ、夜魔口組若頭の[[夜魔口魔眼]]。 彼も偶然、生徒達と同じ時期にヤクザの慰安旅行に迷い、この村に流れ着いていたのだ。 幸運と人の親切さに助けられ、絶体絶命の状況から命を拾った3人。 だが、村に留まり傷を治す中で、生徒達と魔眼は、奇妙な事実に気付いた。 日中は扉を閉ざし、日が暮れてから農作業を行う、昼夜逆転の農民達。 しかもその農作物を食べるわけでもなく、口にするものはワンカップ大関だけ―― ……そう。彼らは人間ではなかった。人目を避けるようにして作られたこの村は、 女性を喰らう事を好まない力の弱いホスト達が作った、 上級ホストによる消去を免れるための隠れ家だったのだ。 村での5日間の療養生活の中で生徒の転落の傷も癒え、4人は出発の準備を進める。 しかしその矢先、彼らの元に、血相を変えて飛び込んでくるゲンタ。 &italic(){「ホスト狩りだぁ! 田吾作と茂介がやられた! ホストハンターがこの村を襲ってくるだぁ~!」} そう……下級ホスト達の天敵は上級ホストだけではなかった。 ホストハンター。ホストとの戦闘を生業に報酬を受け取る、ホスト専門の傭兵。 唯一の脱出路、山の中腹に燃え盛る火。突然の強襲だった。 村人には恩がある。直接話をつけるため、魔眼と五郎がホストハンターの説得に向かう。 炎を背負って立つ、一人の青年の姿。炎の影に、二つの眼光だけが冷たく浮かぶ。 &italic(){「おい、止まれ。テメーもホストか……?」} 敵は半人半ホスト(ドンペール)の復讐鬼。 ホスト最大の弱点『爆弾』を使いこなす爆弾使い、復讐鬼[[安出堂フルチ]]! 復讐を動機とするフルチに説得は通用しない。その凶行を前に、魔眼が立ち上がる! &italic(){「ホストハンター!! おどれには仁義ゆうもんがあるんか!!」} 魔人ヤクザ若頭として培われた、絶大な格闘技術で愚直に接近する魔眼! だが、敵もNo.1ホストの血を引く百戦錬磨のホストハンター。 拳銃とグレネードランチャー……彼我の遠距離武装の差が勝敗を分けた! 苛烈な爆撃の前に膝を突く魔眼! だがフルチはその戦闘で、ある事実に気付く。 &italic(){「ホストの気配は感じねぇ……テメェらホストじゃあねぇな!?」} 血の共鳴でホストの気配を感知する、半人半ホスト(ドンペール)のスキル。 &italic(){「じゃあ取引してやるッ! 村まで案内するなら爆殺するのは勘弁してやるぜ!」} しかし彼が持ち出した条件は、やはり一行にとっては受け入れ難いものだった。 安出堂フルチの目的はあくまで村人の皆殺し。全てのホストが復讐対象なのだ。 &italic(){「……殺してもかまわんか?」} 黒凪黄里と結昨日缶が遅れて戦闘の現場に駆けつける中、 炎の中、ゆらり、と一人の男が立ち上がる。社会科教師――真野五郎。 いや、彼はただの魔人教師ではない。かつて魔人公安として多くの魔人を相手取った。 唯一つ、『ナイフ投げ』という異能のみで敵を戦慄せしめた、恐怖の男。 五郎が動く。狙いはただ一つ、全生物共通の急所……頭部! &italic(){「殺す! 殺す! 化物(ホスト)共は皆殺しだ!」} グレネードランチャーによる無差別の爆撃が降り注ぐ。 対して五郎は魔人公安仕込みの観察力と体術でこれを互角以上に凌ぎ、 無謀な攻撃の中に生まれた一瞬の隙で……必殺のナイフを投擲する! 炎の光によって生まれる死角。フルチの頭部にナイフが深く突き刺さる…… いや――浅い。 &italic(){「クッ……こいつ、ナイフ使いか……油断した。頭に食らうとは……」} &italic(){「ここは使うしかないか……! 『あの能力』を……」} これが闇に生きる夜の種族、『ホスト』の再生力―― 持久力に劣る五郎にとっては、敵はあまりにも相性の悪い種族だった。 一瞬動きの鈍った五郎に、すかさず止めを刺しに走るフルチ。 その刹那、振り上げられた手を掴む影があった。 &italic(){「ワシのタマァ取りたけりゃあ軍隊でも連れてこんかい!!」} グレネードの爆撃の前に一度は倒れたはずの……夜魔口魔眼! &italic(){「やってくれるぜヤクザ野郎がッ!テメーからブチ殺してやるッ!」} &italic(){「おうおう言うやないけ!!殺れるモンならやってみィ!!アホンダラァ!!」} 重傷の魔眼に、至近距離からの炸裂弾頭パイルバンカーが迫る……! この一瞬。結昨日缶の怜悧な眼差しは、この機こそを狙っていた! 短絡的なフルチの行動の隙を突き、召喚したガソリン缶をフルチのアナルにぶち込む! ――猟奇メガネ! その本領!! &italic(){「……微動だにしないことをお勧めする」} &italic(){「ら、らめぇ!!!」} 動けば、それは即ち直腸内ガス爆発プレイ。爆弾使いのアナルがガス爆発だ。 恐怖の宣告を前に、みさくら語で喘ぐ安出堂フルチ――勝敗は決した。 そしてフルチのそんな様子を前に、自身の楽しみのためだけに動き出す者がいた。 そいつの名は一行の中で最も危機感のない女、黒凪黄里。 炸裂する精神系魔人能力、妄葬憑依黒凪式! &italic(){「ああっ、らめぇっお姉ひゃんに見られてフルチっ恥ずかしくておちんぽミルク出ひゃうのぉお゛おおっっ!!!」} 安出堂フルチの記憶の中にある姉、安出堂ライミの姿を自身と入れ替える事により、 精神の平衡を失ったフルチを完全に一行の下に従える事に成功した黄里。 全ての障害は取り除いた……残るはこの村を出る事のみ。 ――4人を取り巻く運命は、そこまで甘くなかった。 麓からこちらに近づく、無数の炎の明かり。松明を掲げた村人達…… 手に手に農具を構え、フルチを含む5人を取り囲んだ村人達は叫ぶ。 これからこいつらを叩き殺す―― &italic(){「なんじゃいワレ」「……ふん、はめられたのか?」} 村人が敵に回ったのか? 一体何が起こっているのか……!? &italic(){「おうおう、なんのつもりや?ワシ等になんぞ恨みでもあるんかい?」} 進み出た魔眼の問いに、彼らを取り囲む村長……[[いかろす耕三]]は答える。 &italic(){「君達がそのホストハンターを村に招きいれたんじゃあないのか?」} &italic(){「そうでもなければ、我々のような力の弱いホストの存在にそいつが感づいた理由が説明できないだろう!」} 言いがかりに反論する4人。しかし平和的だったはずの村人達は聞く耳を持たない。 &italic(){「どちらにしろ、この里を知る君達には……消えてもらう!」} 議論は通じない。そう判断するや否や、即座に動いた男がいた。結昨日缶! 50名からなる下級ホスト達をベビーパウダーの煙幕で牽制、 奴隷化した安出堂フルチで身を守り、農具による無数の傷を受けながらも…… 魔人能力で下級ホストを巻き込んで統制する本体、いかろす耕三へと到達する! &italic(){「バカな!?止めろォォッ!!」} ズボォッ! いかろす耕三のアナルに、頭から突っ込まれる&color(red){''安出堂フルチ!!!''} 前代未聞の猟奇的攻撃を前に、半死半生となり悶える村長、いかろす耕三。 だが……彼も、この異常事態の元凶ではない。 &italic(){「んんっ、フルチ感じゅちゃってっっ!! ああ゛あ゛あっ、村から感じてるのお゛お゛おおっ!!」} &italic(){「すっごいホストがあ゛ぁっ! 店長クラスのホストが村にいてっフルチ感じちゃってるのぉぉぉぉぉぉぉぉ―――っ!!」} 奇声と共に喘ぎながら強大なホストの存在を知らせるフルチ。 いかろす耕三や村人を遥かに超える力の上級ホストが……村の中にいる! 村長の撃破に混乱する村人達をよそに、包囲の開いた村の方向へと駆ける。 村に戻り、まだ正気を保っていたゲンタと合流する一行。 「店長クラスのホストならば、自分より格の低いホストを支配できる」―― ゲンタは、ホストという種の宿命……絶対の上下関係の存在を口にする。 &italic(){「そこまでだな。ククク……捕らえてきてるじゃあねぇか、ホストハンターをよ……」} 背後からの声。これまでの村人ホストではない。[[邪ホスト]]…… ホストハンターの引渡しを要求する邪ホストを前に、ゲンタの表情が一変する。 &italic(){「下級ホストは上級ホストの命令に逆らえないだ……ホストの上下関係は絶対だべ……」} &italic(){「…………グガアアアァァァァッ!!!」} 村のどこかに潜む、店長クラスのホストの思念による支配を受けたのか。 邪ホストと共に、凶暴化した[[ゲンタ]]が一行を挟み撃ちにする! 恐らく、邪ホストは黒幕の配下。しかし善良なゲンタを傷つけるわけにはいかない……! 2人を相手取り、元魔人公安の真野五郎が格闘戦を繰り広げる。 人質を取られているに等しい困難な状況の中、五郎のナイフ術が邪ホストの手足の腱を切断。 挟み撃ちを切り抜けた後、邪ホストを村外れの水車小屋へと拉致、拷問を開始する。 &italic(){「ひぃぃ! 言います言います! お、俺らの上に居るのは……」} &italic(){「『ケフィア』の[[AITさん]]です……!」} ――ついに明かされた黒幕の名……かつての石松町の支配者、''『KEPHIA』のAIT!!'' AITは石松町の抗争に破れた後、ホスト達の村で他の上級ホストから身を隠し、 ホスト支配のスキルによって、村人達を人知れず自らの配下に変えていた…… そして、ホストハンターの襲撃にも、彼の裏からの手引きがあった。 情報に誘い出された安出堂フルチは、上級ホストAITの気配を察知する―― それを魔人達とぶつけ合わせ、双方が弱ったところでAITが止めを刺し、 フルチから、No.1ホストの血統安出堂一族の力を吸い尽くし、復権を果たす。 AITの卑劣な計画が明らかになったその時、フルチが大きく喘いだ。 &italic(){「居るうっぅ゛ぅっいますのぉぉっ!! 小屋の外ぉっ おぁっ、外に出てるのぉっ! たくさん邪ホストが小屋の外に出てえへぇっっ!!」} &italic(){「店長とホストの気配が取り囲んでいましゅのぉぉ゛ぉ゛ぉぉぉおっっ!!」} 水車小屋の外……黒幕AITは既に、邪ホストと共に一行の包囲を完了していた!! &italic(){「ほう。あっちからお出迎えかいな」「探す手間が省けたな」}―― しかし彼らも、ただ翻弄されるばかりではない。逆襲の構えだ。 事件の黒幕を始末し、この村から生還する……! それが彼ら全員の目的なのだ! &italic(){「ムカつくねん、奴ら!勝手に石松町のトップを決めるような勝負始めやがって!!」} &italic(){「あの女ホストも……! 遼介(熊)とかぬかす熊も……安出堂の血の力で全員潰したるわ!!」} 身勝手な野望を叫ぶAITに、夜魔口魔眼の怒りが爆発する! &italic(){「AITとか言うボケはどいつや?!! ……ぶっ殺す!!」} その場にいたアキカンを踏み潰し、真正面から邪ホストの軍勢と対峙する魔人ヤクザ。 &italic(){「ワレもこうなりたァないんやったら、舐めた口聞いとったらあかんど!!」} &italic(){「余所者のヤクザごときがぁっ! そんなシャバい脅しでこのAITがびびると思っとんのかい!!」} &italic(){「ほな死ねや!!」} &italic(){「うおおおぉっ兄貴ッ! 俺達も助太刀しまっせー!」} 魔眼に続き、子分ゾンビが、真野五郎が、そして安出堂フルチが動く!! それを迎え撃つ大量の邪ホスト達が、AITへの到達を阻む――しかし! 魔眼の片目が光を放つ! 魔眼「V死ね魔」――威圧力によって形成される、Vシネマ空間! &italic(){「な、何や!? こんな雑魚ホスト共の村、お前らかてどうでもええやろ!? 農民なんてどうなろうと知らん顔すんやろがあっ!! 」} 凄まじい圧力を前に、動揺を隠せないAIT。そのため、彼は気付けなかった。 彼の横に、既に安出堂フルチが回りこんでいた事を。 そして彼がこの一瞬……卑劣なホストへの憎悪で正気を取り戻していた事を! &italic(){「ホストは……殺す!!」} 反応したときにはもう遅い。魔眼の銃弾がAITの動きを止め……! &italic(){&bold(){「オラアアッ!!」}} ――フルチの強烈な蹴りが炸裂する! &color(red){''安出堂ライミ――!?''} その気迫に、かつて自分を一撃の下に放逐した女ホストの面影を幻視するAIT。そこに。 &italic(){&bold(){「クズがぁっ!!」}} ――心臓に突き刺さる魔眼の手刀! &color(blue){&bold(){Say yahさん――!?}} この流れ。そして男らしさと攻撃方法。伝説のホストと同じ……ならば次は。 &bold(){&italic(){「ウオオオ――ッ!!」}} ――この熊の如き咆哮と鉄拳は、まさか……! &color(green){''遼介(熊)――!!!!!''} ―――― AITは(いつの間にか全国中継されていた)カメラの前で、 フルチ、魔眼、五郎の3連コンボによる公開処刑の制裁に斃れた。 &italic(){「ありがとうごぜえますだ、ありがとうごぜえますだ」}―― AITの支配力の消失で、村人もゲンタも、いかろす耕三も正気に戻り……フルチは姿を消した。 再び村は下級ホストだけの村になった。パワーバランスが正されたのだ。 (村長は缶の激しいアナル責めが癖になってしまったようだが……) 倒した邪ホストの財布から、ちゃっかり現金を漁るタフさを見せる黄里。 一方、猟奇メガネの缶はAITのヤバいクスリをゲットしていた。 &italic(){「ほなウチの組のシマでホストやりたいヤツはオオサカに来いや」}…… 魔眼の誘いに、ゲンタは首を振る。 &italic(){「いや……オレ達は今までどおり、この村で農作業をして暮らしていくだ」} &italic(){「この村なら、女を食らうのが好きでねえオレ達でも生きていける……AITのような上級ホストに支配される事もねえだ」} ここはホスト達の隠れ里。力を持たない下級ホスト達の村…… &italic(){「結局旅行の目的地はどっちや!!ボケェ!!」} &italic(){「……やれやれ、早く帰って缶でも愛でるか」} &italic(){「修学旅行より面白かったから私らちょう得したんじゃね?」} &italic(){「さて、俺は帰ってから林間学校を来年から止めるように提言しなくちゃな」} こうして、彼らの不思議な体験は終わった。 ホストの村を救った4人は、何事もなく日常に帰っていくだろう。 そして下級ホストの村も、これからも誰にも知られずに…… 深い森の中で、ひっそりと隠れている事だろう。 &color(green){Session Clear.} 第1話 終 ----
*第1話『ホスト達の村』 林間学校に向かう希望崎学園のバスの中で、再び起こってしまった事故。 車内で起こった魔人学生同士の戦闘の余波に巻き込まれ、 生徒の[[黒凪黄里]]と[[結昨日缶]]、そして教師の[[真野五郎]]は、 破壊された窓ガラスと共に、旧大勢湯市を見下ろす崖の上から放り出された。 真下には有害ガスの漂う恐怖の魔界、生存確率0%の大勢湯樹海―― ――しかし彼らが次に目覚めたのは、森に囲まれた小さな農村の民家の中だった。 人を拒むはずの大勢湯樹海の外れに存在する謎の農村…… 彼らを助けたのは、そこの村人の一人であるゲンタであった。 そして目覚めた彼らの傍らでもう一人、この村の人間とも違う隻眼の男が煙草をふかす。 &italic(){「まあワシ等のシマやないとは言えここも夜(ごくどう)の世界やからの。堅気の人間を置いてはいけんわ」} 男の名は魔人ヤクザ、夜魔口組若頭の[[夜魔口魔眼]]。 彼も偶然、生徒達と同じ時期にヤクザの慰安旅行に迷い、この村に流れ着いていたのだ。 幸運と人の親切さに助けられ、絶体絶命の状況から命を拾った3人。 だが、村に留まり傷を治す中で、生徒達と魔眼は、奇妙な事実に気付いた。 日中は扉を閉ざし、日が暮れてから農作業を行う、昼夜逆転の農民達。 しかもその農作物を食べるわけでもなく、口にするものはワンカップ大関だけ―― ……そう。彼らは人間ではなかった。人目を避けるようにして作られたこの村は、 女性を喰らう事を好まない力の弱いホスト達が作った、 上級ホストによる消去を免れるための隠れ家だったのだ。 村での5日間の療養生活の中で生徒の転落の傷も癒え、4人は出発の準備を進める。 しかしその矢先、彼らの元に、血相を変えて飛び込んでくるゲンタ。 &italic(){「ホスト狩りだぁ! 田吾作と茂介がやられた! ホストハンターがこの村を襲ってくるだぁ~!」} そう……下級ホスト達の天敵は上級ホストだけではなかった。 ホストハンター。ホストとの戦闘を生業に報酬を受け取る、ホスト専門の傭兵。 唯一の脱出路、山の中腹に燃え盛る火。突然の強襲だった。 村人には恩がある。直接話をつけるため、魔眼と五郎がホストハンターの説得に向かう。 炎を背負って立つ、一人の青年の姿。炎の影に、二つの眼光だけが冷たく浮かぶ。 &italic(){「おい、止まれ。テメーもホストか……?」} 敵は半人半ホスト(ドンペール)の復讐鬼。 ホスト最大の弱点『爆弾』を使いこなす爆弾使い、復讐鬼[[安出堂フルチ]]! 復讐を動機とするフルチに説得は通用しない。その凶行を前に、魔眼が立ち上がる! &italic(){「ホストハンター!! おどれには仁義ゆうもんがあるんか!!」} 魔人ヤクザ若頭として培われた、絶大な格闘技術で愚直に接近する魔眼! だが、敵もNo.1ホストの血を引く百戦錬磨のホストハンター。 拳銃とグレネードランチャー……彼我の遠距離武装の差が勝敗を分けた! 苛烈な爆撃の前に膝を突く魔眼! だがフルチはその戦闘で、ある事実に気付く。 &italic(){「ホストの気配は感じねぇ……テメェらホストじゃあねぇな!?」} 血の共鳴でホストの気配を感知する、半人半ホスト(ドンペール)のスキル。 &italic(){「じゃあ取引してやるッ! 村まで案内するなら爆殺するのは勘弁してやるぜ!」} しかし彼が持ち出した条件は、やはり一行にとっては受け入れ難いものだった。 安出堂フルチの目的はあくまで村人の皆殺し。全てのホストが復讐対象なのだ。 &italic(){「……殺してもかまわんか?」} 黒凪黄里と結昨日缶が遅れて戦闘の現場に駆けつける中、 炎の中、ゆらり、と一人の男が立ち上がる。社会科教師――真野五郎。 いや、彼はただの魔人教師ではない。かつて魔人公安として多くの魔人を相手取った。 唯一つ、『ナイフ投げ』という異能のみで敵を戦慄せしめた、恐怖の男。 五郎が動く。狙いはただ一つ、全生物共通の急所……頭部! &italic(){「殺す! 殺す! 化物(ホスト)共は皆殺しだ!」} グレネードランチャーによる無差別の爆撃が降り注ぐ。 対して五郎は魔人公安仕込みの観察力と体術でこれを互角以上に凌ぎ、 無謀な攻撃の中に生まれた一瞬の隙で……必殺のナイフを投擲する! 炎の光によって生まれる死角。フルチの頭部にナイフが深く突き刺さる…… いや――浅い。 &italic(){「クッ……こいつ、ナイフ使いか……油断した。頭に食らうとは……」} &italic(){「ここは使うしかないか……! 『あの能力』を……」} これが闇に生きる夜の種族、『ホスト』の再生力―― 持久力に劣る五郎にとっては、敵はあまりにも相性の悪い種族だった。 一瞬動きの鈍った五郎に、すかさず止めを刺しに走るフルチ。 その刹那、振り上げられた手を掴む影があった。 &italic(){「ワシのタマァ取りたけりゃあ軍隊でも連れてこんかい!!」} グレネードの爆撃の前に一度は倒れたはずの……夜魔口魔眼! &italic(){「やってくれるぜヤクザ野郎がッ!テメーからブチ殺してやるッ!」} &italic(){「おうおう言うやないけ!!殺れるモンならやってみィ!!アホンダラァ!!」} 重傷の魔眼に、至近距離からの炸裂弾頭パイルバンカーが迫る……! この一瞬。結昨日缶の怜悧な眼差しは、この機こそを狙っていた! 短絡的なフルチの行動の隙を突き、召喚したガソリン缶をフルチのアナルにぶち込む! ――猟奇メガネ! その本領!! &italic(){「……微動だにしないことをお勧めする」} &italic(){「ら、らめぇ!!!」} 動けば、それは即ち直腸内ガス爆発プレイ。爆弾使いのアナルがガス爆発だ。 恐怖の宣告を前に、みさくら語で喘ぐ安出堂フルチ――勝敗は決した。 そしてフルチのそんな様子を前に、自身の楽しみのためだけに動き出す者がいた。 そいつの名は一行の中で最も危機感のない女、黒凪黄里。 炸裂する精神系魔人能力、妄葬憑依黒凪式! &italic(){「ああっ、らめぇっお姉ひゃんに見られてフルチっ恥ずかしくておちんぽミルク出ひゃうのぉお゛おおっっ!!!」} 安出堂フルチの記憶の中にある姉、安出堂ライミの姿を自身と入れ替える事により、 精神の平衡を失ったフルチを完全に一行の下に従える事に成功した黄里。 全ての障害は取り除いた……残るはこの村を出る事のみ。 ――4人を取り巻く運命は、そこまで甘くなかった。 麓からこちらに近づく、無数の炎の明かり。松明を掲げた[[村人達>村人ホスト]]…… 手に手に農具を構え、フルチを含む5人を取り囲んだ村人達は叫ぶ。 これからこいつらを叩き殺す―― &italic(){「なんじゃいワレ」「……ふん、はめられたのか?」} 村人が敵に回ったのか? 一体何が起こっているのか……!? &italic(){「おうおう、なんのつもりや?ワシ等になんぞ恨みでもあるんかい?」} 進み出た魔眼の問いに、彼らを取り囲む村長……[[いかろす耕三]]は答える。 &italic(){「君達がそのホストハンターを村に招きいれたんじゃあないのか?」} &italic(){「そうでもなければ、我々のような力の弱いホストの存在にそいつが感づいた理由が説明できないだろう!」} 言いがかりに反論する4人。しかし平和的だったはずの村人達は聞く耳を持たない。 &italic(){「どちらにしろ、この里を知る君達には……消えてもらう!」} 議論は通じない。そう判断するや否や、即座に動いた男がいた。結昨日缶! 50名からなる下級ホスト達をベビーパウダーの煙幕で牽制、 奴隷化した安出堂フルチで身を守り、農具による無数の傷を受けながらも…… 魔人能力で下級ホストを巻き込んで統制する本体、いかろす耕三へと到達する! &italic(){「バカな!?止めろォォッ!!」} ズボォッ! いかろす耕三のアナルに、頭から突っ込まれる&color(red){''安出堂フルチ!!!''} 前代未聞の猟奇的攻撃を前に、半死半生となり悶える村長、いかろす耕三。 だが……彼も、この異常事態の元凶ではない。 &italic(){「んんっ、フルチ感じゅちゃってっっ!! ああ゛あ゛あっ、村から感じてるのお゛お゛おおっ!!」} &italic(){「すっごいホストがあ゛ぁっ! 店長クラスのホストが村にいてっフルチ感じちゃってるのぉぉぉぉぉぉぉぉ―――っ!!」} 奇声と共に喘ぎながら強大なホストの存在を知らせるフルチ。 いかろす耕三や村人を遥かに超える力の上級ホストが……村の中にいる! 村長の撃破に混乱する村人達をよそに、包囲の開いた村の方向へと駆ける。 村に戻り、まだ正気を保っていたゲンタと合流する一行。 「店長クラスのホストならば、自分より格の低いホストを支配できる」―― ゲンタは、ホストという種の宿命……絶対の上下関係の存在を口にする。 &italic(){「そこまでだな。ククク……捕らえてきてるじゃあねぇか、ホストハンターをよ……」} 背後からの声。これまでの村人ホストではない。[[邪ホスト]]…… ホストハンターの引渡しを要求する邪ホストを前に、ゲンタの表情が一変する。 &italic(){「下級ホストは上級ホストの命令に逆らえないだ……ホストの上下関係は絶対だべ……」} &italic(){「…………グガアアアァァァァッ!!!」} 村のどこかに潜む、店長クラスのホストの思念による支配を受けたのか。 邪ホストと共に、凶暴化した[[ゲンタ]]が一行を挟み撃ちにする! 恐らく、邪ホストは黒幕の配下。しかし善良なゲンタを傷つけるわけにはいかない……! 2人を相手取り、元魔人公安の真野五郎が格闘戦を繰り広げる。 人質を取られているに等しい困難な状況の中、五郎のナイフ術が邪ホストの手足の腱を切断。 挟み撃ちを切り抜けた後、邪ホストを村外れの水車小屋へと拉致、拷問を開始する。 &italic(){「ひぃぃ! 言います言います! お、俺らの上に居るのは……」} &italic(){「『ケフィア』の[[AITさん]]です……!」} ――ついに明かされた黒幕の名……かつての石松町の支配者、''『KEPHIA』のAIT!!'' AITは石松町の抗争に破れた後、ホスト達の村で他の上級ホストから身を隠し、 ホスト支配のスキルによって、村人達を人知れず自らの配下に変えていた…… そして、ホストハンターの襲撃にも、彼の裏からの手引きがあった。 情報に誘い出された安出堂フルチは、上級ホストAITの気配を察知する―― それを魔人達とぶつけ合わせ、双方が弱ったところでAITが止めを刺し、 フルチから、No.1ホストの血統安出堂一族の力を吸い尽くし、復権を果たす。 AITの卑劣な計画が明らかになったその時、フルチが大きく喘いだ。 &italic(){「居るうっぅ゛ぅっいますのぉぉっ!! 小屋の外ぉっ おぁっ、外に出てるのぉっ! たくさん邪ホストが小屋の外に出てえへぇっっ!!」} &italic(){「店長とホストの気配が取り囲んでいましゅのぉぉ゛ぉ゛ぉぉぉおっっ!!」} 水車小屋の外……黒幕AITは既に、邪ホストと共に一行の包囲を完了していた!! &italic(){「ほう。あっちからお出迎えかいな」「探す手間が省けたな」}―― しかし彼らも、ただ翻弄されるばかりではない。逆襲の構えだ。 事件の黒幕を始末し、この村から生還する……! それが彼ら全員の目的なのだ! &italic(){「ムカつくねん、奴ら!勝手に石松町のトップを決めるような勝負始めやがって!!」} &italic(){「あの女ホストも……! 遼介(熊)とかぬかす熊も……安出堂の血の力で全員潰したるわ!!」} 身勝手な野望を叫ぶAITに、夜魔口魔眼の怒りが爆発する! &italic(){「AITとか言うボケはどいつや?!! ……ぶっ殺す!!」} その場にいたアキカンを踏み潰し、真正面から邪ホストの軍勢と対峙する魔人ヤクザ。 &italic(){「ワレもこうなりたァないんやったら、舐めた口聞いとったらあかんど!!」} &italic(){「余所者のヤクザごときがぁっ! そんなシャバい脅しでこのAITがびびると思っとんのかい!!」} &italic(){「ほな死ねや!!」} &italic(){「うおおおぉっ兄貴ッ! 俺達も助太刀しまっせー!」} 魔眼に続き、子分ゾンビが、真野五郎が、そして安出堂フルチが動く!! それを迎え撃つ大量の邪ホスト達が、AITへの到達を阻む――しかし! 魔眼の片目が光を放つ! 魔眼「V死ね魔」――威圧力によって形成される、Vシネマ空間! &italic(){「な、何や!? こんな雑魚ホスト共の村、お前らかてどうでもええやろ!? 農民なんてどうなろうと知らん顔すんやろがあっ!! 」} 凄まじい圧力を前に、動揺を隠せないAIT。そのため、彼は気付けなかった。 彼の横に、既に安出堂フルチが回りこんでいた事を。 そして彼がこの一瞬……卑劣なホストへの憎悪で正気を取り戻していた事を! &italic(){「ホストは……殺す!!」} 反応したときにはもう遅い。魔眼の銃弾がAITの動きを止め……! &italic(){&bold(){「オラアアッ!!」}} ――フルチの強烈な蹴りが炸裂する! &color(red){''安出堂ライミ――!?''} その気迫に、かつて自分を一撃の下に放逐した女ホストの面影を幻視するAIT。そこに。 &italic(){&bold(){「クズがぁっ!!」}} ――心臓に突き刺さる魔眼の手刀! &color(blue){&bold(){Say yahさん――!?}} この流れ。そして男らしさと攻撃方法。伝説のホストと同じ……ならば次は。 &bold(){&italic(){「ウオオオ――ッ!!」}} ――この熊の如き咆哮と鉄拳は、まさか……! &color(green){''遼介(熊)――!!!!!''} ―――― AITは(いつの間にか全国中継されていた)カメラの前で、 フルチ、魔眼、五郎の3連コンボによる公開処刑の制裁に斃れた。 &italic(){「ありがとうごぜえますだ、ありがとうごぜえますだ」}―― AITの支配力の消失で、村人もゲンタも、いかろす耕三も正気に戻り……フルチは姿を消した。 再び村は下級ホストだけの村になった。パワーバランスが正されたのだ。 (村長は缶の激しいアナル責めが癖になってしまったようだが……) 倒した邪ホストの財布から、ちゃっかり現金を漁るタフさを見せる黄里。 一方、猟奇メガネの缶はAITのヤバいクスリをゲットしていた。 &italic(){「ほなウチの組のシマでホストやりたいヤツはオオサカに来いや」}…… 魔眼の誘いに、ゲンタは首を振る。 &italic(){「いや……オレ達は今までどおり、この村で農作業をして暮らしていくだ」} &italic(){「この村なら、女を食らうのが好きでねえオレ達でも生きていける……AITのような上級ホストに支配される事もねえだ」} ここはホスト達の隠れ里。力を持たない下級ホスト達の村…… &italic(){「結局旅行の目的地はどっちや!!ボケェ!!」} &italic(){「……やれやれ、早く帰って缶でも愛でるか」} &italic(){「修学旅行より面白かったから私らちょう得したんじゃね?」} &italic(){「さて、俺は帰ってから林間学校を来年から止めるように提言しなくちゃな」} こうして、彼らの不思議な体験は終わった。 ホストの村を救った4人は、何事もなく日常に帰っていくだろう。 そして下級ホストの村も、これからも誰にも知られずに…… 深い森の中で、ひっそりと隠れている事だろう。 &color(green){Session Clear.} 第1話 終 ----

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