Falcon4.0 AF マニュアル

ミッション14:20mmキャノン

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 ミッション14:20mmキャノン(空対空)

 このミッションでは20mmキャンノン(機関砲)の射撃方法を解説します。この20mmキャノンはF-104スターファイター戦闘機に搭載するため1960年代に開発されたものであり、今日もなおアメリカ空軍のすべての戦闘機で使用されています。


 ○射撃照準器に関する理論

 機銃は単純な兵器です。引金を絞れば、弾丸は予測可能な軌道を描きながら前方へ向かってまっすぐ発射されます。直進する弾丸は主に重力と抗力という二種類の力によって影響を受けます。いいかえれば、飛翔する弾丸は重力によって地球の中心点へ向かってひっぱられると同時に、また空気分子にぶつかり続けるため銃身を飛び出してから1/1000秒後には減速を始めます。その軌道は簡単な計算で求めることができ、とても予測しやすいものです。自機の運動や銃身の回転、また惑星の配列さえ、それらは取るに足らないことであるかもしくはまったく関係のない要素といえます。

 この理論を複雑にしている何かしらの理由があるのは間違いありませんが、それは射撃側の問題ではありません。空中射撃における複雑な部分とは予測することが難しい要素、つまり敵機の動きなのです。予測可能な弾丸で予測不可能(あるいは少なくとも予測が難しい)目標を射撃するということは、最初複葉機に機銃が搭載されたころから長らくパイロットたちを悩ませつづけてきた問題なのです。

 F-16のような現代戦闘機には、ガンサイトと呼ばれる照準補助機能が備わっています。この照準補助表示はパイロットが目標を打ち落とすのを補助することを目的としてHUD上に表示されます。目標の機動が予測困難であることに変わりはありませんが、この表示を利用することで困難さを最小限度におさえることができます。では、これはどのように動作するのでしょうか? ガンサイトは目標の未来位置(現在位置ではありません)へ向けて射撃するための指針を表示します。つまり、射撃照準器のコンピュータは、機体に搭載されている機関砲弾の初速および射程に基づいた照準データをHUD上に表示するわけです。

 弾丸の特徴は射撃照準の計算にとってひとつの重要な要素でありますが、しかしパイロットに照準の指針を提供するうえで最も大きな要素となるのは目標までの距離です。ちょうどクレーをショットガンで撃ち落す様子を想像してください。もし標的のクレーがはるか遠方にある場合では、ショットガンのペレットがクレーに到達するまでにかかる時間を考慮して、標的前方(移動方向)のさらに先を狙って撃たなければなりません。反対に近くに標的がある場合は、標的のはるか遠くを撃つ必要はありません。このどれだけ目標の前方を狙って撃たなければならないかという距離は「目標の動きに合わせた見越し」あるいは「リード」と呼ばれています。標的に対するリードは空中射撃において最も重要な概念なのです。

 クレーをショットガンで撃つときは、フロントサイト(照星)を覗き込むように銃身を見下ろします。このフロントサイトをみることでショットガンがいまどこを狙っているかを知ることができるのです。しかしこれは命中させるために必要なリード距離を示しているわけではなく、単にどこを狙っているかを示しているに過ぎません。F-16にもガンクロスと呼ばれる似たような表示があります(図14-1で示されているように、5度と10度のピッチラダーの間にある十字型の表示です)。


 図14-1


 ○ガンクロス

 HUD上のガンクロスはショットガンのバレル先端にあるフロントサイト(照星)と同様のものです。F-16のガンクロスは20mm機関砲の砲身の延長線をあらわしています。いいかえれば、ガンクロスは弾丸の射線を示しています。弾丸は最初のうちはガンクロスへむかって飛んでいきます。では、ガンクロスを標的の後ろにあわせて射撃すると命中するのでしょうか? 答えは「ノー」です。それは上述の空中を飛んでいくクレーをショットガンで撃ち落すときと同じ理屈です。標的の後ろに照準をあわせて射撃した場合、発射された弾丸は移動する標的のだいぶ後ろを通過していくことになります。図14-2で示されているように、空中を移動している目標に直接ガンクロスで照準を合わせて射撃すると実際どうなるか試してみてるといいでしょう。果たして命中するでしょうか?

 繰り返しますが答えはノーです。弾丸が元々目標がいた位置に飛んできたころには、目標はすでにほかの位置へ移動してしまったあとでしょう。仮に自機に対して直角に交差するように飛行している目標へ約2500フィートの位置から攻撃を試みたとしましょう。すると弾丸が敵機の位置まで届くのに1.5秒かかるものとし、かつ目標が480ノットで飛行中(接近率:811フィート/秒)であるとすると、ガンクロスを目標に重ねて射撃した弾丸は目標の1216フィート後方に着弾することになります。この例えは大まかに省略されているものですが、なぜガンクロスを直接移動目標に重ねても命中しないのかを端的に説明しています。

 まっすぐに水平飛行している目標(例えばKC-10空中給油機のような)ではどうでしょうか? パイロットならば誰しも輸送機を攻撃してみたい衝動に駆られたことが時折あった筈です。これはプチプチ包装をつぶしたくなると同じように、多くのパイロットに共通する感覚なので恥じることはありません。それはさておいて、もし動かない目標の背後に占拠したのなら、直接目標にガンクロスを重ねて攻撃することができます。この場合考慮すべき要素は重力だけとなります。

 F-16のHUD上のガンサイトは、移動目標の進行方向外側へ正確なリード距離を取った位置に照準を合わせるのを補助するものです。目標に対してリードをとるだけでは20mm機関砲を旋回する目標に命中させることはできません。リードの他にも更に2つ、すなわち射程と機動平面という考慮すべき要素があります。射程については簡単です。つまり目標に弾丸を命中させるためには、自機と敵機との距離が6000フィート以内でなければりません。

 もう一方の要素は機動平面であり、つまり敵機と同じ平面上で旋回を行う必要があるということです。図14-3は目標(敵機)の機動平面を図示しています。もし目標が水平面を変化させた場合、機関砲を命中させるためには自機も水平面を移動させる必要があります。


 図14-2
 図14-3


 なぜそうなるのかを確認するには、前述のクレー射撃の例に戻って考えてみてください。ショットガンでクレーの進行方向外側を狙う際も、ショットガンはクレーと同じ機動平面上を動いていくことになります。ショットガンを縦方向に動かしながら横に向かって飛翔するクレーを撃ち落そうとする光景を想像してもらえれば、それがどれだけ困難なことであるか理解してもらえると思います。

 仮に適切なリード角をとったとしても、クレーに命中させることができるタイミングで射撃するのは極めて困難なことです。これは空中射撃においても同様であるといえます。目標に弾丸を命中させるためには、機関砲を目標の機動平面内で移動させ続けなければなりません。つまり機関砲射撃を成功させるのに必要な3つの要素とは、目標の進行方向外側に銃口をむける(=リード角をとる)、目標を射程内にとらえる、そして目標と同じ機動平面上で機関砲(自機)を動かし続ければならない、ということなのです。


 ○ガンサイト

 以下3種類のガンサイト、すなわちLCOSモード、EEGSモード、そしてスナップシュート・ラインモードは、見越し射撃を補助する目的で用意されています。これから各モードについての説明を進めていきますが、その前にそれぞれのモードの選択方法について触れておきたいと思います。まずHUD上に"EEGS"という表示があらわれるまで[Enter]キーをおしてください。すると右MFD上にガン用の兵装管理システム(SMS)のページが開かれます。もし兵装管理システムのページが開かれない場合は、MFD上に表示されるリスト名を参考にしつつマスターモードOSB(MFD下の左から3つ目のボタン)を押してSMSページを選択してください。そしてMFD左上のマスターモード表示が"GUN"になっていることと、またその隣に表示されるサブモード表示が"EEGS"になっていることを確認してください。



 ・EEGSモード

 EEGS(Enhanced Envelope Gun Sight:発音はイーグズ)は、LOCSモード(下記参照)のいくつかの要素と未来位置照準と呼ばれるものを組み合わせたガンサイトです。未来位置照準とは、弾丸の飛翔時間内に、機動中の目標が取るであろう未来位置を予測する(これは敵パイロットの心を読めない限り非常に困難な作業です)射撃照準です。EEGS(拡張エンベロープ照準)は目標の動きを予知できるわけではありませんが、ほとんど万能の射撃照準といえます。図14-4はEEGSガンサイトの表示例です。

 図14-4

 EEGSの一番の特徴は、そのファンネル(漏斗)型のシンボルです。このシンボルは敵機の機動平面上に自機を並べるのを補助するための簡易指標であり、またリード角を取る上でも重要な指標となります。敵機の両翼端がちょうどファンネルラインに触れているときこそが射撃のタイミングです。つまりこのとき銃口が目標前方の適切な位置を狙っている状態となります。また、ファンネル内に目標を捕らえている間、自機は敵機と水平面上にいるということにもなります。

 どうしてこのファンネルはそんなすぐれた指標となり得るのでしょうか? ファンネルは目標をロックオンしていない状況下においては、ほかのどの照準モードよりも優秀な性能を発揮します。事実、ファンネルはレーダが目標にロックされていようがいまいがちゃんと動作するのです。しかしLCOSモードではそうはいきません。LCOSモードにおいては敵機をロックしない場合、敵機のGと対気速度は自機と同じものとして仮定されます。これだけでも十分調子がよくないことなのですが、さらに悪いことに、レーダがロックされていない状況下では敵機との距離も1500フィートと自動的に仮定されてしまうのです。つまり、ロックオンしていない状態ではLCOSモードはほとんど使い物にならないというわけです(偶然にもちょうど1500フィート離れたところに目標がいれば別ですが)。

 一方、EEGSモードでは、ターゲットの適切な距離を判断するための漏斗型のシンボルが表示されています。先ほども述べましたが、目標の両翼端がちょうどファンネルの間に挟まれている場合、自機は敵機に対して適切な射程を確保しているということを意味しています。しかし翼幅は各機種によって異なるものなのですが、その点はどうなるのでしょうか。初期設定では翼幅は35フィートとして仮定されています。これはF-16(32フィート)とF-15(41フィート)のちょうど間をとった値です。しかし、翼幅の詳しい数値は特に重要なことではないのです。というのも、EEGSファンネルを使って射撃を行う場合、パイロットは断続的に短い間隔で射撃し、そして目標がファンネルのなかを縦に通り過ぎるように攻撃を行うからです。この攻撃方法により、目標の翼幅の違いは大差なくなるわけです(より詳しい攻撃方法については後述します)。しかしながら、アビオニクス類を操作することで仮定する翼長を調整することも可能であり、それについてはこのマニュアル内の別の項目で紹介します。

 ファンネルに加えて、EEGSモードではMRGSライン(Multiple Reference Gun Sight:複数参照ガンサイト)がディスプレイ下部に表示されています。MRGSラインは自機を目標と同じ機動平面上に並べるのを補助するための表示です。EEGSモードにおけるもうひとつの特徴は、目標をロックオンしているときに表示される小さな「+」と「-」の記号です。これらのシンボルは1G(+)と9G(-)のピパー(pipper:HUD上に表示される印のこと)を表わしています。目標のGが9Gの場合は、9Gピパーが正確な射撃の指針となります。しかし通常、目標は1~9Gの間で飛んでいるはずなので、これらピパー間の位置が適切な射撃指標となります。


 ・LCOSモード

 LCOSとはリード算定式光学照準(Lead Computing Optical Sight)を意味しており、図14-5に示されているようなガンサイトです。LCOSのピパーは現時の自機と目標機のパラメータ(対気速度やG、あるいは射程など)が弾丸の飛翔中に変化しないと仮定した場合に、現在機関砲の銃身がどこを狙っているかを示したものです。つまり弾丸が目標へ到達するまでの間、自機と目標機が速度と針路を変更したりしないかぎり、LCOSピパーは正確な指針として動作します。

 図14-5

 こういってしまうと少々魅力に欠けるように聞こえるかもしれませんが、これはすべての射撃動作に共通するものです。ちょっと先ほどのクレー射撃の例を思い出してみてください。仮にクレーの進行方向の先を完璧に狙ってショットガンを撃ったとき、突然強い風が吹いてクレーの進路が俄かに変化してしまったとしましょう。すると、いままで狙っていた地点はすでに正確ではなくなるため、おそらく弾は命中しないでしょう。弾が目標に命中するまでの間に、クレーの進行方向が変わってしまったからです。これはLCOSにおいても同様といえます。弾が空中を飛翔している間、状況が何も変わらないときにのみ、LCOSはその性能を発揮するのです。


 おそらく上述のことだけをみると、LCOSピパーはあまりよい照準指標ではないように思われるかもしれませ。しかしそんなことはありません。20mm機関砲弾の飛翔時間はほぼ0.5~1.5秒ほどです。この時間内に敵機がGや対気速度あるいは機動を変化させないかぎりは、20mm径の鉛玉が敵パイロットの頭蓋骨をきれいに吹き飛ばしてくれる筈です。いくつかの理由のため、この弾丸の雨はそう簡単には回避できないものなのです。

 その第一の理由としては、F-16に搭載されている20mm機関砲は100発/秒という非常に高速な連射速度を有しているからです。また第二に、弾丸の飛翔速度は大変高速だからです。そして第三に、機関砲の弾丸は6ミリラジアンの撒布パターンを有しているからです。これは、つまり、弾丸の80%が1000フィート先で6フィートの円に広がるということです。言い換えれば、F-16の機関砲は、戦闘機サイズの目標に命中させることができるように、いわゆるショットガン・タイプの散弾パターンを持っていることになります。これらの理由により、目標をLCOSピパー内に捉えて射撃すれば、高い確率で命中させることができるわけです。


 ・スナップシュート・ラインモード

 スナップシュート・ラインは、機動目標に対してはあまり効果を発揮できない照準モードです。図14-6はスナップシュート・ラインの表示例です。スナップシュート・ラインは、仮想上の弾道を示す線です(実際に弾を発射しなくても表示されます)。このライン上には0.5秒、1.0秒、1.5秒の各時点での弾丸の通過位置を示したマークが表示されます。さらにこれらのマークに加えて、目標をレーダロックするとライン上にはピパーが表示されます。例えば目標を1500フィートの位置でロックオンしたとし、かつ弾丸がその位置を通過するまでに0.8秒を要すると仮定した場合、ピパーはスナップシュート・ライン上のその距離の位置(つまり0.5秒と1.0秒の間)に表示されます。


 そのため、スナップシュートラインは本質的にガンクロス(自機の銃身)が向いていた方向の履歴を示すものなのです。この「履歴」という言葉はまさにそのとおりの意味であり、すなわちスナップシュート・ラインモードは適切なリード角を取った照準位置を示すものではなく、あくまでも単に銃身がどこを向いていたかの履歴を示すだけのものにすぎません。


 図14-6


○トレーニングミッションの概要

 このトレーニングミッションでは、EEGSモードとLCOSモードを用いた敵機の撃墜方法を学びます。このミッションには複数の目標が同時に登場します。ミッションの目的は、あくまでこれらの敵機をすべて機関砲で撃墜することですが、まずは、1つの目標のみに専念してください。最初の敵機を撃墜した後、ミッションをリセットして別の目標を攻撃してください。


 初期コンディション
 ・対気速度:400ノット
 ・高度:10,000フィート(海抜高度)
 ・スロットル:中程度
 ・状態:ギアアップ、クリーン
 ・武装モード:NAV

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