Falcon4.0 AF マニュアル

ミッション12:ナビゲーションとタイミング

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 ミッション12:ナビゲーションとタイミング

 戦闘機パイロットたる者は、自分の現在位置と目的地を正確に把握しておく必要があります。このトレーニングミッションでは、ナビゲーション情報を表示するアビオニクスの操作について解説していきます。

 INS(Inertial Navigation System)

 F-16が搭載している主要なナビゲーションシステムはリング・レーザージャイロで構成されたINS(慣性航法装置)です。このリング・レーザージャイロは、離陸前の駐機位置に調整されています。駐機位置から機体が移動すると、INSのスタビライザージャイロが機体の移動に合わせて「歳差運動」を行ないます(つまり動きます)。INSではこのジャイロの歳差運動を利用し機体の動きに基づいた新たな位置を常に算出します。またINSの代替にはなりませんが、その働きを助けるものとしてGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)があります。GPSは衛星から受信した電波情報に基づいて機体の位置を算出しています。F-16の場合GPSのデータを直接利用していませんが、敵のジャミング(妨信)などでGPSデータが失われた場合でも、パイロットがINSを利用して引き続きナビゲートできるようにGPSのデータはINSにアップデートされています。しかしINSのみでは必然的に徐々に誤差が発生するため、GPSの更新データが長期間得れない場合は誤差が大きくなってしまいます。あらゆるミッションには一連のステアポイントが設定されており、ステアポイントとはINSに入力されている地勢上のポイント(地点)のことです。

 図12-1

 これらのステアポイントは、パイロットが順番に飛んでいくようにナンバリング(番号がづけ)されています。通常、飛行経路に沿った最初のステアポイントはSteerpoint 2(ステアポイント・ツー)となり、以降は目標地点を経て基地に戻ってくるまでの経路沿いに順番にナンバリングされたステアポイントが設定されています。そして、この基地に設定されたステアポイントがSteerpoint 1となります。パイロットは特定のステアポイントを選択し、そのポイントに導いてくれるステアリング・キューをHUD、HSI、あるいはMFD(Multifunction Displays:多機能ディスプレイ)に表示させることが可能です。


 ○ステアリングキュー

 コクピット計器を使用してステアポイントを変更するには、ICP(Integrated Control Panel:統合制御パネル)上の"MARK (7)"ボタン下にある増/減矢印ボタンを使用します。図12-2は、ICPの矢印ボタン及び右側のDED(Data Entry Display:データ入力ディスプレイ)、またHUD上に表示される主な情報とステアリング・キューを示したものです。ステアポイントを変更するとDED上に表示されているステアポイントの番号が変わります。なお、DED上にステアポイント情報を表示するには、ICPの"STPT (4)"ボタンを押します。

 図12-2

 図12-2では、HUDの右下部分に表示されているステアポイント情報も確認できます。高度計下の"B030.9"という数字は選択しているステアポイントまでの正確な距離をマイルであらわしています(この場合では30.9マイル)。その次の中央の数字は、現在の対気速度で選択しているステアポイントまでに要する時間、ETE(Estimated Time Enroute:予定飛行時間)を分秒で表示しています。一番下の数字は、「>」マークの左側に選択しているステアポイントまでの大まかな距離(マイル)が、右側にステアポイントの番号が表示されています。たとえば、031>03と表示されている場合は、ステアポイント3まで約31マイルの地点を飛行中ということになります。なお[ S ]あるいは[ Shift + S ]を押せばステアポイント番号を選択できます。

 図12-3

 ○選択したステアポインに到着するには

 ステアポイント

 選択したステアポイントまで機体を導くには、HSI、HSD(Horizontal Situation Display:水平状況ディスプレイ)、HUDを参照します。DEDでNAVモードを選択している場合、選択しているステアポイントがHUDの視界範囲内に入った時点でHUD上には菱形のステアリングダイアモンドが現れます。このシンボルは、現在選択しているステアポイント上の地面に固定された状態で表示されているため、接近するにつれてそのステアポイントが設定されている地表上に重なっているように見える筈です。このトレーニングミッションでは、ステアポイントシンボルがステアポイントの1つである橋に重なって見えます。なお、菱形のステアポイントシンボルはNAVモードの他に空対地モード選択時にも表示されます。しかし空対空モードの場合は、AIM-9ミサイルのシーカーヘッドの位置を示すシンボルマークが同じような菱形を使用しており、混乱を防ぐためステアリングダイアモンドは表示されません。ところでHUD表示外にあるステアポイントシンボルはどのように探せばいいでしょうか? その場合は、ステアポイントのシンボルはHUDの外側に出てしまうと、その選択されているステアポイントに一番近い側のHUDの端にはりつくように表示されます。なので、その張り付いてるステアポイントがHUDの中央に動くように機体を操縦してみてください。

 もう1つの、そして最も重要なステアリングキューは小さな円とそこから伸びている線で構成されたタドポール(tadpole:おたまじゃくし)と呼ばれるシンボルです。タドポールはHUD上に表示され、常にパスマーカーと同じ高さに表示されています。パスマーカーがタドポールに重なった場合、機体は選択されているステアポイントに真っ直ぐ向かっていることになります。ただしパスマーカーが機体の飛行方向を示すものであるのに対して、タドポールは2次元の操縦指示しか考慮していません。つまり高度の上昇下降を指示するものではないのです。ステアポイントに正対するとシンボルマークは機体前方のどこかにあり、逆にステアポイントと反対の方向に機体が進んでいると背後に表示されることになります。

 図12-5

 ・HSI(Horizontal Situation Indicator:姿勢儀)
 INSナビゲーションではHUDの他にHSIを参照することもできます(HSIの詳細については前回のトレーニングミッションを参照してください)。再度確認しておきますが、HSIにはINSまたはTACAN用のナビゲーション情報を表示することができます。情報源としてINSを選択した場合、HSIのベアリングポインタ(方位指標)は次のステアポイントの方位を方位盤上で示します。


 ・HSD(Horizontal Situation Display:水平状況ディスプレイ)
 INSのステアリングキューはMFDのHSD(水平状況ディスプレイ)モードでも確認できます。HSDを選択するには2Dコクピットビューで[ 2 ]を押して右MFDを表示してから、MFD底部の右から2番目のボタンを押して画面端に表示されているアビオニクス・マスターモードのリストからHSDを表示します。

 HSDの中央には、HSIと同様に自機を表わす十字シンボルが固定表示されています。また各ステアポイントを結んだ線で飛行ルートが示されています。ステアポイントは円で示され、選択しているステアポイントを表わす円は点滅表示されています。選択しているステアポイントに至る飛行ルートに沿って飛ぶには点滅している円に通じている航路の1つに、機体を表わす十字シンボルが重なるようにしてください。なお、ステアポイントを変更してもHSDには影響ありませんが、HUDのステアリングダイアモンドは当然新しいステアポイントの位置を示します。HSDを見ることでパイロットは飛行ルートを一瞬で把握することができます。またステアポイントの情報を確認する場合にも役立ちます。HSDの表示レンジを縮小するには[ Shift + F11 ]もしくはMFD左の一番上のボタン、拡大するには[ Shift + F12 ]MFD左の上から二番目のボタンを押してください。HSDを使用する際の欠点は、MFDは機上に2つしかなく、通常その内の1つはレーダ情報を確認するために使用しているという点です。したがって、他の重要な情報を確認するには残りの1つのMFDを使わなくてはな
りません。MFDは必要に応じて表示を変更して使用してください。

 図12-6


 ○選訳したステアポイントへ予定時間までに到達するには

 ステアリング・キューは目的地までの方向を示すシンボルであり、時間について考慮されていません。Falcon AFのキャンペーンでは予定時間で目標に到達することが重要となってきます。ミッションを計画する際には、各ステアポイントにETA(Estimated Time of Arrival:予定到着時間)が割り当てられます。目的の場所に目標時刻までに到着できるよう、F-16には複数のディスプレイが用意されています。その1つはDEDに表示されるステアポイント情報です。ICPの"STPT (4)"ボタンを押すと、DEDにはステアポイントに関するデータが表示されます。

 図12-7

 DEDに表示される時間はリアルタイムで時間が経過します。したがってFalcon AFをプレイするときはシミュレータ内の時間に合わせた別の時計を用意することをお勧めします。なお、キャンペーンのミッションでは出撃時間に会わせてシミュレーション時間が早送りされるので、実際に離陸してから時計を合わせるようにしてください。

 もう1つ重要な時間は、選択したステアポイントに到達するまでに要する時間です。この時間はETEと呼ばれており、HUDの右下部分に表示されています。それでは、どうすれば予定時間までにステアポイントに到達できるのでしょうか?

 F-16のHUD上には選択されたステアポイントへ予定時刻までに到達するのに必要な正確な対気速度を表示するキューがあります。またパイロットは他のキューを表示することも可能であり、CRUSページから設定を行うことができます。ICP上のDCS(Data Command Switch:ICP中央下部にある四点式のトグルスイッチ)で"RTN"(リターン)を入力して、STPTモードになっているDEDを初期画面に戻してください。ICPパネルを操作して新しい情報をDEDに表示する際には、毎回このリターン作業が必要になります。ICP上の"CRUS (5)"ボタンを押してCRUSページにアクセスし、DCSの"SEQ"モードを使ってページを移動していきます。それぞれのCRSUページは、各々異なった情報キューを表示することができます。"M_SEL (0)"ボタンを押してCRUSページを選択決定します。一度ページが選択されるとそのページのタイトルがDEDの一番上に表示されます。

 このミッションではCRUSの"TOS"オプションを使うので、CRUSのモードがTOS(Time Over Steerpoint)になっていることを確認してください。もしHUD上に速度計と高度計のテープスケール(縦めもり)を表示するオプションを使用している場合、TOSキューは下の画像のように速度計スケールの右側に表示されます(HUDのオプション変更は[ H ]でおこなえます)。このキューが指す速度(TOS速度)で飛行することで、ステアポイントへ予定時刻に到着することができます。

 画像12-8
 テープスケールを非表示にしている場合は「<」が速度計のデジタル表示の横に並ぶことで、TOS速度での飛行を行うことができます(図12-9は機体の速度が速すぎる状態を示しています)。

 図12-9



 トレーニングミッションの概要

 このミッションは低高度を飛行している状態で開始となります。HSDとHUDを確認しながらナビゲートし、航路上の各ステアポイントに予定時間で到達できるよう訓練を行います。

 初期コンディション
 ・対気速度 :400ノット
 ・高  度 :5,000フィート(対地高度)
 ・スロットル:ほぼミリタリパワー
 ・環境設定 :Mk-82爆弾を6発装備し、ギアアップ状態
 ・兵装モード:NAV




 ○ミッションの手順

 このミッションでは、簡単なナビゲート飛行を行います。スタート時点で機体はステアポイント4を目指しており、HUD上にタドポールとステアリングダイアモンドが表示されています。この2つのステアリングマーカをHUD中央におくようにしながら目的地を目指してください。またHUDに加えてHSD(MFDのオプション)を使って真上から見た予定航路を確認することができます。では以下の手順に従って機体をナビゲートしてみてください。

 1.トレーニングミッションのリストから"12 Nav and Timing"を選択してください。
 2.DEDに"STPT 4"と表示されるまで[ S ]を繰り返し押します。
 3.HUDに表示されているTOS速度で飛行できるようスロットルを調整してください。TOS速度で飛行するには、対気速度スケールの現在の対気速度を示す横線がTOS速度マークと一致するようにスロットルを調整します。なお選択したステアポイントに接近するにつれ、TOS速度マークの動きは敏感になってきます。したがってステアポイントまで3~5マイルの地点に到達したなら、スケールの横線を
TOS速度マークに厳密に合わせる必要はありません。
 4.タドポールがパスマーカに重なるように、左右どちらかにバンクさせてください。すると、ステアリングダイアモンドがHUD上で中心に来ます。またHUDの針路スケールを見てステアポイントマーカを合わせることも可能です。上から見下ろしたマップで航路を確認したい場合はHSDを見てください。[ Shift + F11 ]あるいは[ Shift + F12 ]を押せば、HSDの表示レンジを縮小拡大することができます。向かっているステアポイントを常にHSD上に表示しておけば便利です。
 5.HUDの右下部分を見て、ステアポイントまでの残りの距離を確認してください。たとえば、"015>04"と表示されていたなら、ステアポイント4まであと15マイルということになります。左側の数字は選択しているステアポイントまでの距離を海里(ノーティカルマイル)表示したもので、右側の数字は選択したステアポイントの番号を示しています。なお、選択したステアポイントに到達した(距離を示す数字が0になった)時点で、ステアポイント・シンボルはHUD上から消失します。
 6.[ S ]を押して次のステアポイントを選択します。
 7.再度タドポールとパスマーカが重なるように機体の針路を変えてください。その後、HUDに表示されているTOS速度で飛行できるようスロットルを調整してください。
 8.以上の手順を繰り返して、航路に沿って飛行してください。

 対気速度とステアリングキューばかりを重視して操縦しないようにしてください。機体の速度と位置は戦術的状況によって左右されます。つまり一人きりで飛んでいるならステアリングキューに従って飛行し、各ステアポイントを予定時間でまわっても構いませんが、TOS速度が300ノットだからといって敵が出現した時に300ノットで飛行していれば、格好の餌食となってしまいます。航路についても同様です。予定航路の先で激しい地上戦が展開している場合は、それを回避して飛行してください。

 ステアポイント間で決められている経路をきっちりと守って飛ぶ必要はないのです。基本的なナビゲーションについての知識や技術を身につけたら、次のステアポイントから最低でも25nm離れた地点で360度旋回し、それでも予定時間で到達できるかどうか試してください。もしこれに失敗してしまったなら、今度はその次のステアポイントに向かってみてください。これを試してみれば、時間をロスするのは比較的に容易な反面、その時間を取り戻すことがどれだけ困難であるかを実感できる筈です。飛行中にロスした時間を取り戻すには、ステアポイントを省略してしまう方法もあります。

 この場合、真上から見下ろした状態で航路を確認できるHSDが非常に役に立ちます。しかし、ステアポイントを省略する場合は予想以上に危険な(あるいは、少なくとも予想とは異なる)地上戦力が存在する空域を飛行することになる可能性があるので注意が必要です。

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