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 ミッション13:空対空レーダモード  Falcon AFにはアビオニクスの難易度として「リアルモード(Realistic)」と「初心者モード(Simplified)」の二種類が用意されています。このミッションではリアルモードが選択されていることを想定したうえでアビオニクスの解説を行っていきます。  図13-1  F-16のAN/APG-68レーダは、機首前方の左右±60度、上下±60度の範囲内に存在する目標を発見・追尾する能力を持っています。しかしこれはレーダーが上記の範囲を同時に捜索できるわけではなく、この物理的な空間内の一部分にレーダ信号を照射することで一定の範囲のみを捜索することが可能であるということを意味しています。  F-16には複数のレーダモードが用意されており、視程距離内(WVR:Within Visual Range)目標に対して使用するものと、視程距離外(BVR:Beyond Visual Range)目標に対して使用するものに分かれています。通常、視程距離内の航空目標をレーダでロックオンする場合にはACM(Air Combat Maneuvering:格闘戦)モードを使用します。左右両方のMFD底部にある中央3つのボタンは、既定のアビオニクスマスターモードが登録されており、この3つのモードを切り替えるには2Dコクピットでそれぞれのボタンを押すか、あるいは左のMFDの場合は[ [ ]を押して、右側のMFDの場合は[ ] ]を押すことで表示モードを切り替えることができます。左MFDにレーダ画面を表示したい場合は、図13-1が示すようにMFD上のリストからFCR(Fire Control Radar:火器管制レーダ)モードを選択してください。  空対空レーダモードの概要  Falcon AFのアビオニクス類を理解するには、まず「マスターモード」と「サブモード」の概念を理解する必要があります。すべてのレーダモードの操作はこの二種類のモードを用いて行います。まずMFDの1つにレーダーを表示してください。[ 2 ]を押して2-Dコクピットに切り替えると、このビューでは2つのMFDが画面下側の左右に大きな四角形のスコープで表示されます。  レーダを起動するためには、左MFDに表示されているリストから"FCR"モードを選択してから、ICP(Integrated Control Panel:統合制御パネル)上の"A-A"ボタンを押すか、あるいは[ Enter ]を押して空対空レーダモードを選択します。左右どちらかのMFDにFCRを表示した時点で、レーダのマスターモードとサブモードの選択を行うことができるようになります。  図13-2  CRM(Combined Radar Mode:統合レーダモード)ではRWS (Range While Search:距離/捜索)モードがデフォルトのサブモードになっています。マスターモード名はMFDの左上の角に表示されており、その表示名の上のボタンを押すことでモードを切り替えることができます。またマスターモード名のとなりにはサブモード名が表示されており、同じくその上のボタンを押すかもしくは[ F1 ]を押すことでモード変更を行うことができます。それらのボタンを操作してCRM/RWSにセットし、MFD上に表示されているリストから適切なモードを選んでください。全てのレーダ・サブモードに共通して[ F11 ]かもしくはMFD左の真ん中のボタンを押すことでレーダの走査範囲を変更することが可能です。ACMマスターモード選択時では[ F11 ]を押すと走査パターンを変更することができます。なおFCRのサブモードでは、走査範囲変更ボタンを押すごとに以下の表のように走査範囲が変化します。  変更サイクル表 ○Bスコープ  RWS、LSR、及びTWSレーダモードはそれぞれきわめて複雑なモードです。しかしこれらのレーダモードの具体的な解説に入る前に、Bスコープディスプレイ(B-scope display)の概念について理解することが必要になります。というのも、上記3つのモードデータは全てBスコープ形式で表示されるためであり、そしてこのBスコープとい表示形式はF-16のレーダ情報を表示するのに最も適したディスプレイ形式なのです。では一体Bスコープとはなんでしょうか? あるいはどのようにスコープ上から情報を読み取ればいいのでしょうか? それについて理解するには、このBスコープの「違い」について述べるのが一番の近道になるでしょう。まず、Bスコープでは機体を直上から見下ろしたような画面表示はされません。またターゲットの高度情報は一切表示されず、そしてBスコープでの走査範囲及びレンジ(距離)には制限があります。図13-3はBスコープ画面と、それがF-16のレーダシステム上に表示される様子を示したものです。  図13-3  図13-3を見では、角度を持って照射されるレーダ信号がスコープの下部に沿って広がっていっている点に注目してください。つまりBスコープ画面上では機首がスコープの中央部には位置しておらず、その代わりに機首はスコープの下部全体の辺で表わされます。たとえばBスコープ上でスコープ下辺にまっすぐシンボルが下りてきている場合、そのシンボルが表わす目標は自機と衝突するコースを取っており、もし高度が同じであった場合は空中衝突することになます。図13-4は、このジオメトリ(表示形式)の仕組みを示したものです。また図13-4では、レーダ信号が非常に特定された空間のみを走査していることがわかります。つまりレーダ信号は地表または空中に向かって全体的に照射されているわけではないのです。そのためパイロットはアンテナの角度を物理的に動かして、特定の高度幅(高低角)をカバーする必要が出てきます。要するにBスコープ画面は、レーダの走査パターンがカバーしてる空間の一部を頭上から表わしたごく限られたディスプレイ形式となっているわけです。したがってBスコープを効果的に使用するには多くの練習が必要となります。  図13-4  ○RWSとLSR  RWS(Range While Search:測距/捜索)はBスコープ画面を用いるモードであり、またF-16の視程外(BVR:Beyond Visual Range)レーダモードの主要モードです。敵機を発見して、AIM-120アムラームやAIM-7スパローなどのミサイルで攻撃を行う際にRWSは使用します。一方のLRS(Long Range Scan:長距離捜索)は遠方の大きな目標を捜索するよう特別に設定されたモードですが、ただしRWSよりもやや走査速度が遅くなります。  ・距離  ・アジマス(左右の走査範囲)  ・バー・スキャン  ・アンテナ上下角  図13-5  RWSモード及びLRSモードの場合、走査レンジ(距離)は10,20,40,80,160マイルの中から選択することできます。しかし通常、空対空目標がレーダ上に表示されるのは40マイル内に接近した場合となります。LRSを使用した場合は、大型目標ならより遠方から発見することが可能です。レーダの走査レンジの増減は[ F4 ]または[ F3 ]を使用します。  次の捜索オプションはアジマス(azimuth:左右の走査範囲)です。RWSモードとLRSモードの場合は±10度,±30度,±60度の中から選択することが可能です。図13-5は、これら3種類のアジマスによるスコープ表示オプションをそれぞれ示したものです。各アジマスの設定時にアジマスゲートがどのようにスコープ上に表示されるかに注目してください。これらのゲート(捜査範囲)外に存在する目標は探知することができません。また、スコープの左側に表示されているレンジ、アジマススケール、バー・スキャンを表わす各数字の変化にも注目してみてください。アジマスの切り替えには[ F11 ]を使用します。  F-16の場合、レーダ信号自体に対する捜索オプションが3つ用意されています。まず、まっすぐ信号を送って同じコース上を戻ってくるように指定することができます。また、レーダ信号をあるコースで送り、やや高低角を付けて別のコースで戻ってくるように指定することも可能です。あるいは、各走査ごとに4回高低角を付けて戻ってくるように送ることもできます。これらのバー・スキ ャンオプションはそれぞれ1バー、2バー、4バースキャンと呼ばれています。スコープの左下部分には、選択しているバー・スキャンオプションが数字で表示されています。図13-6は、各オプションに対するレーダ信号の走査を示したものです。  なおレーダがスコープ中を完全に走査し終えるまでには多少時間がかかるということを忘れないでください。たとえば、(最も多く使用される)4バー・スキャンオプションを選択した場合、レーダが走査を終えて再び信号を送り始めるまでにはより多くの時間がかかり、実際2バー・スキャンオプションの場合の2倍の時間を要することになります。そのため複数のバー・スキャンオプションが要されているのです。パー・スキャンオプションを低く設定すると、レーダアンテナの高低角の傾斜が限られるために小さな高度幅しか捜索できないという欠点もあります。これは大きな欠点とも言えますが、走査を速くしたい場合には妥協しなくてはなりません。基本的に、目標がどこにいるかがわかっている場合は2バー・スキャンオプションを選択してください。しかし、通常は4バー・スキャンオプションを選択しておくのが得策です。  ○レーダアンテナの上下角  最後の捜索オプションは、レーダアンテナの仰角です。図13-7は、捜索する空間をどのように上下に偏向できるかを示したものです。  F-16では、レーダバーの走査パターンの仰角を偏向することが可能です。レーダを下向きに偏向するには[ F5 ]を、レーダの仰角を水平に戻すときは[ F6 ]を、また[ F7 ]を押すとレーダは上向きになります。現在レーダがカバーしている高度はレーダカーソルによって確認 することができます。  レーダカーソルは2本の短い縦線で表わされ、Bスコープ上で移動することが可能です。このカーソルは、レーダスコープ上に表示されている目標をロックオンする時に使用します。しかしレーダカーソルについては後々ふれることとして、いまはアンテナの高低角によるレーダカバー範囲についての説明に話を戻します。カーソルの右側には2つの数字が上下に小さく並んで表示されており、これは走査カーソル内のバー・スキャン高度の最高値と最低値を示しています。つまり、現在のレーダカーソル内で、レーダが捜索を行っている最高高度と最小高度を表わしている数値です。図13-8は、レーダカーソルとその右側に表示されている高度を表わす数字を示したものです。  図13-6  Bスコープ上でレーダカーソルを移動しても、アンテナの高低角が傾斜したり、捜索空間が増減することはありません。もちろん、カーソルをスコープ上で上下に移動すると、その横に表示されている数字は変わります。これはレーダの高低角による捜索空間に角度があるからです。バー・スキャンオプションの設定に応じて、より狭くて近い、もしくはより広くて遠い一定の範囲の空間をレーダは走査します。この概念を図示したものが図13-9になります。カーソルを動かしてみれば、特定の射程におけるレーダアンテナの高低角による捜索空間の上限と下限を確認することができます。  ○RWSモードでの目標表示  図13-9  RWSモードでは、当初スコープ上の目標(ターゲット)は小さな四角形で表示されます。そしてレーダ信号が目標へ当たる度に新たな四角形のシンボルが表示されていきます(実際はそんなに単純ではないのですが、このトレーニングミッションではこの程度の知識を把握しておけば充分です)。前回の走査によって表示された四角形は数回のレーダ走査の間スコープ上に残りますが、そのあと次第に消えていきます。このシンボルはパイロット達から「目標履歴(Target histories)」と呼ばれるもので、これを見ることで目標の軌跡を判断することができます。RWSディスプレイを見てみると、目標を表わすたくさんの四角形が表示されているように見えるかもしれませんが、四角形の中には目標履歴シンボルも含まれているためそのすべてが異なる目標を示しているというわけではありません。図13-10はRWSモード 時のレーダカーソルとディスプレイ上の目標、目標履歴を示したものです。  目標をロックオンするにはレーダカーソルを使用してください。[ ↑ ], [ ↓ ], [ ← ], [ → ]のキーを使って目標上にカーソルを移動して、目標を表わす四角形上にカーソルを置いた後にテンキーの[ 0 ]を押せばその目標をロックオンできます。なお目標を捕捉指示するとRWSモードはRWS-SAM(RWS-Situation Awareness Mode:測距/捜索-状況把握)モードに切り変わります。  図13-10  ○RWS-SAMモード  RWS-SAMモードはRWSモードと似ていますが、RWS-SAMモードの場合レーダはロックした目標を追尾しながら、他の目標を捜索します。しかし目標を追尾しなくてはならないため、RWS-SAMモードではRWSモードと同じ範囲の空間を捜索することができなくなります。そのため、アジマスゲートがスコープ上に現われ、縮小されたレーダのアジマスが示されます。 アジマスの変更の他にもいくつか変わる点があります。おそらく気づくであろう最大の違いは、ロックされた目標が表示されることです。つまりHUD上には目標捕捉(TD)ボックスあるいはロケータラインが表示されると同時に、レーダスコープ上の目標を表わす四角形のシンボルが先端から速度ベクトルが伸びた三角形のシンボルに変わります。そして、このロック目標を示す三角形のシンボルの横には目標の高度を示す数字が表示されます。なおレーダカーソルも引き続き表示されているため、それを使って他の目標をロックオンすることもまた可能です。  図13-11  ○TWSモード  TWS(Track While Scan:追尾/走査)は複数目標を同時に追尾するレーダモードです。なおTWS"twiz"(トゥイズ)と発音しますがミルキィホームズのあれではありません。RWS-SAMモードでは追尾できるのは単体目標のみでしたが、このTWSモードでは最高16個までの目標を同時に追尾することが可能でありこれがTWSモードの長所です。しかし一方短所もあり、それはTWSモードではRWSモードと同じ広さの空間を捜索することができないという点です。TWSモードで選択可能な走査パターンは、4バー・スキャン時は±10度また3バー・スキャン時は±25度に制限されます。  その他の問題点としては、各目標に関する追尾データがRWS-SAMモードほどの精度を持っていないことです。したがって複数目標を追尾したい場合はTWSモードを、1つの目標をより重点的に追尾したい場合はRWS-SAMモードをそれぞれ選択してください。  TWSモードに切り替えるには、MFDに"TWS"と表示されるまで[ F1 ]を押すか、もしくは2DコクピットでMFDのボタンを操作してください。TWSモードに切り替わったら、目標を捕捉指示(ロックオン)することによってTD(捕捉目標指示)ボックスをその目標に表示することができます。Falcon AFのTWSモードでは複数の目標を追尾することが可能となってはいますが、特定の1つの目標にレーダカーソルを合わせてロックオンしておかないと空対空ミサイルをその目標に向けて発射することはできません。目標をロックオンすると(その目標がHUDの視界範囲内に存在するかどうかに応じて)TDボックスあるいはロケータラインのどちらかが表示されます。  ○VSRモード  最も使用効果の低いレーダモードはVSR(Velocity Search with Ranging:測距/速度捜索)モードです。VSRモードに切り替えるにはMFDに"VSR"と表示されるまで[ F1 ]を押すか、あるいは2DコクピットでMFDのボタンを操作してください。このレーダモードでは、MFDの表示方法がBスコープから修正Aスコープに切り替わります。Aスコープでは接近速度(オーバテイクとも言います)が表示されます。接近速度とは、つまり自機がどれだけ速く目標に接近しているかを表す速度です。VSRモードでは接近速度の表示単位を1,200ノットあるいは2,400ノット/時のどちらかを選択することができます。もしスコープの左側にあるスケールで1,200ノット/時を選択した場合、スコープの半分の地点に表示された目標と自機は600ノットで接近していることになります。VSRモードの場合でもRWSモード及びTWSモードと同じようにアジマスが表示されますが、レンジ(距離)は表示されません。図13-13は複数の目標を表示したVSRモードの画面をあらわしたもので、画面上部の目標は約1,000ノットほどで、また画面下部のあたりに表示されている目標は約200ノットほどの接近率で飛行していることになります。  図13-12  図13-13  ○ACMモード  F-16のACM(Air Combat Mode:格闘戦モード)レーダモードは、空対空兵器で照準をつける際に使用します。視程距離外(BVR)レーダモードも同様の目的に使用可能ですが、BVR目標用のモードは目標を発見するためにも使用します。しかしACMモードでは、目標を発見することはできません。ACMモードは通常、既に視認している目標に対してレーダを使って兵器の照準をつけて攻撃する場合に使用します。  F-16場合ではACMモードには4つのサブモードがあります。これらのサブモードを選択するには[ 8 ]を押すか、あるいはMFDのボタンを操作してください。それぞれのサブモード名はMFDのレーダスコープ上にコード(ラベル)で表示されます。  サブモード名の表  ○ACMサブモード:ボアサイト走査  すべてのACMサブモードは、HUDを使って目標を照準します。ボアサイト走査サブモードの場合、レーダ信号は機首からまっすぐ照射されます。このサブモードでは、HUD上にレーダ信号が照射されている位置を示すボアサイトクロス(十字線)が表示されます。図13-14は、ボアサイト走査サブモード選択時のレーダ走査パターンとHUDのシンボルを示したものです。目標をロックオンすると、その目標の周囲にTD(Target Designator:目標捕捉)ボックスが現れます。このボックスは目標の位置を示しています。レーダがロックオンしているにもかかわらず目標をHUDの範囲外に逃がした場合、TDボックスはロケータ(目標方位指示)ラインに変わります。このロケータラインは、ガンクロスから目標の位置へ向かって伸びて表示されます。  図13-14  ボアサイト走査サブモードは非常に正確なモードであるため、ACMモードの中でも使用頻度が最も高いモードの1つとなっています。その狭い走査パターンのおかげで、目的の目標を非常に正確にロックオンすることができるのです。このトレーニングミッションは、FCRのRWSモードが選択されている状態で開始となる筈ですが、もし選択されていない場合はMFD上のリストを確認しながらMFD下の中央3つのボタンのひとつを押してMFDモードをFCRモードに切り替え、つづいてMFD左上のCRMのボタンを押してください。CRMからACMモードへの切り替えはMFD左のACMのボタンを押してください。ACMモードが起動したら"ACM"の文字の隣に"BORE"と表示されるまで[ F11 ]を押してボアサイト走査サブモードを起動します。  ○ACMサブモード:垂直走査  次のACMサブモードは垂直走査サブモード(10×60)です。このサブモードではレーダ信号が幅10度、縦方向60度で照射されます。縦方向60度とはガンクロスの下10度から上50度の範囲にレーダ信号が照射されるということです。垂直走査サブモードを選択すると、HUD上には図13-15のように縦線が表示されます。  図13-15  垂直走査サブモードは、自機の揚力ベクトルに沿って目標をロックオンすることができるため、非常に便利なモードです。図13-16に示すように、揚力ベクトルとは機体から真っ直ぐ上方向に伸びているベクトル線のことです。  図13-16  高Gで機首を目標に向けようとする場合(実戦中は頻繁に行なうことになると思います)、機体は常に揚力ベクトルに沿って旋回しています。したがって、このような場合は垂直走査サブモードを使うことにより、目標がHUDの範囲内に入る前にロックオンすることが可能となるわけです。また、このサブモードは機体のエネルギーが不足していて目標に機首を向けることができない(充分に高い旋回率で旋回できない)場合においても有効に動作します。つまり目標に機首を向けるだけのエネルギーが不足している場合でも、目標をロックオンしミサイルを発射することが可能となります。垂直走査サブモードを選択するには、まず、MFDを操作してFCRページを開いた後、MFD左上に表示されている"CRM"の文字の上にあるOSBボタンをおしてください。つづけてMFD左側の"ACM"ボタンを押してCRMからACMモードに切り替え、それから[ F11 ]を押してサブモードを切り替えます。垂直走査サブモードが起動すると"ACM"の表示の隣に"60"と表示されると共に、レーダスコープ上に幅の狭い縦の走査パターンが現れます。  ○ACMサブモード:HUD走査  HUD走査サブモードは30×20の視界内に存在する目標をロックする際に使用します。図13-17に示すように、この走査範囲は基本的にHUDの視界範囲と一致しています。このサブモードはボアサイト走査サブモードよりも走査の精度および速度が落ちるため、ACMサブモードの中でも最も不便なものとなっています。ボアサイト走査モードの場合レーダ信号は直線で照射され、10マイル内の目標に当たった時点で直ちにロックオンされます。しかしHUD走査サブモードの場合は30×20の領域をカバーするパターンを描いてレーダ信号を照射しなくてはならないため、より多くの時間がかかることになります。むろん空戦時において時間というのはきわめて重要な要素であり、したがってHUD走査サブモードを選んでレーダが目標を発見するのを待っているよりもボアサイト走査サブモードを選んで素早く目標をロックオンする方が遥かに望ましいと言えます。HUD走査モードを選択する場合は、まずMFDで"FCR"ページを開き、つづいて"CRM"表示の上にある一番左のOSBボタンを押して、さらにつづけてMFD左のボタンをおしてCRMモードからACMモードに切り替えてください。そして"ACM"の文字の隣に"20"と表示されるまで[ F11 ]を押してください。  図13-17  ○ACMサブモード:スルー走査  スルー走査サブモードでは20×60の走査パターンをスルー(slew)、すなわち操向(向きを変える)することができます。このモードを選ぶとHUD上にはボアサイト走査サブモード時と似たような十字線が表示されますがひとつ異なる点があり、スルー走査サブモードでは十字線上のいずれかの場所に円が表示されています。この円は20×60の走査パターンの中心点を示しています。図13-18はスルー走査サブモード選択時のレーダスコープとHUDのシンボルを示したものです。  図13-18  スルー走査サブモードは非常に便利なレーダモードです。このモードは必ずしも視認できる目標をロックするために使用するものではないため、他のACMサブモードとは大きく異なっています。事実、目標を視認できない場合に使用するACMサブモードは通常このスルー走査サブモードだけです。このモードは機体が向かっている方向の空域の安全を部分的に確保するために主に使用します。たとえば目標を爆撃した後、基地に帰還すべく離脱しようとしているとします。この時、離脱針路に機体を旋回させた時点でスルー走査サブモードに切り替えれば、これから飛行する空域内に敵戦力が存在するかどうかを確認することが可能となります。走査パターンは飛行針路に沿って水平線から上空まで上下に、またHUDの左方向から右方向へと移動することができます。しかし走査し終えるまでに時間がかかるため、走査パターンの移動はゆっくり行なう必要があります。この方法を使うことにより自機から近い空域内をすべて走査することができ、その後で(ACMモード以外の)さらに探索距離の長いレーダモードに切り替えることで遠方の目標に対処することができます。また、RWR(Radar Waming Receiver:レーダ警報装置)が自機の近く、機首の±60度の範囲内に敵の存在を知らせてきた場合にもスルー走査サブモードが便利となります。この場合、スルー走査サブモードに切り替えれば目標を素早く発見することができます。スルー走査サブモードを選択する場合は、まずMFDで"FCR"ページを開き、つづいて"CRM"表示の上にある一番左のOSBボタンを押して、さらにつづけてMFD左のボタンをおしてCRMモードからACMモードに切り替えてください。そして"ACM"の文字の隣に"SLEW"と表示されるまで[ F11 ]を押してください。なお前述済みですが、BVR(Beyond Visual Range:視程外)目標を発見するために使用する主な空対空レーダモードにはRWS(Range While Search:測距/捜索)モードとTWS(Track While Scan:追尾/走査)モードの2種類があります。  トレーニングミッションの概要  このミッションはそれぞれ異なる方位および距離に複数の空対空目標が存在する空域を飛行している状態から開始となります。有視界内目標に対してACMマスターモードを使用する一方、有視界外目標に対しては他のマスターモードを使用してそれぞれの目標をロックオンする技術を練習します。  初期コンディション  ・対気速度 :400ノット  ・高  度 :15,000フィート(海抜高度)  ・スロットル:中程  ・環境設定 :ギアアップ、AIM-120を4発及びAIM-9を2発搭載  ・武装モード:NAV(FCRを手動で起動する必要があります)  ○ミッションの手順  このトレーニングミッションでは複数の目標が登場します。まずは[ Shift + P ]を押してフリーズモードを起動してください。フリーズモードを起動することで一時的にゲームが停止されますが、レーダやその他の複雑なシステムは引き続き操作することができるため練習の際には大変役にたちます。また[ P ]を押せばゲームを完全に一時中断することができますが、この場合はフリーズモードと異なりレーダなどを含むすべてのアビオニクスの機能を使用することはできません。フリーズモードを解除するには、もう一度[ Shift + P ]を押します。最初に練習するレーダモードはACMサブモードであり、これらのサブモードは有視界内目標をロックオンする際に使用します。HUD走査サブモード(30×20)、垂直走査サブモード(10×60)、スルー走査サブモード(20×60)、ボアサイト走査サブモードを活用して有視界内目標をロックオンしてください。ACMサブモードに続いて、有視界外目標用のRWSモードおよびTWSモード(それともし必要ならVSモード)の使用方法を練習します。レーダカーソルとレーダアンテナの仰角オプションを使用して、目標を発見ロックオンしてください。 以下はこのトレーニングミッションの手順です。[ Shift + P ]でフリーズモードにした状態で行ない一回でこのミッションをクリアできればベストと言えるでしょう。  1.トレーニングミッションの一覧から"13 A-A Radar Modes"を選んでください。  2.フルキーの[ 2 ]を押して2Dコクピットに切り替えて、左MFDがFCRページを表示しているか確認してください。つづいて"CRM"表示の上にある左端のOSBボタンをおしてACMマスターモードを起動してください。  3.最初に選択されるのはHUD走査サブモード(30×20)です。ACMマスターモードに切り替えた時点ではHUD及びレーダスコープ上には"NO RAD"と表示されている筈です。これはレーダーが信号を照射していないため、ACMサブモードを選択して目標をロックオンすることができないことを意味します。目的のサブモードを選択した時点でレーダは自動的に作動します。  4.最初のACMサブモードであるHUD走査(30×20)サブモードを選んでください。自機前方には複数の目標が存在しているため、レーダは最初に発見した目標を自動的にロックオンするはずです。目標をロックオンするとVMS(音声警告システム)が『LOCK(ロック)』と告げてきます。  5.[ F11]を押して適切なACMサブモードを選択してください。  ACMモードは視認できる目標をロックオンするために使用するものであり、その中でも最も便利なサブモードがボアサイト走査サブモードです。目標を視認したなら目標をHUD内にとらえボアサイト走査サブモードに切り替えてください。HUD上にボアサイトクロス(十字線)が表示された時点で目標を十字線に合わせると、レーダーがその目標をロックオンします。また自機の揚力ベクトルの直線上にあり、なおかつHUDの範囲外に出ている目標をロックオンするには、垂直走査サブモードに切り替えます。スルー走査サブモードはACMサブモードの中でも例外的なものです。このサブモードは視認できない目標を発見するために主に使用するサブモードです。このトレーニングミッションでは、スルー走査サブモードに切り替えた後、カーソルキーを使って捜索空間を移動する練習ができます。しかしスルー走査サブモードで目標をロックオンしようとすると、ロックオンに要する時間が他のACMサブモードよりも多くかかることに気付くはずです。  6.ACMサブモードでの練習を終えたなら、OSB(オプション選択ボタン)を再度押してCRM/RWSモードに切り替えてください。このモードは有視界外(BVR)目標を発見するために使用するものですが、近接目標も同時に表示されます。なお、RWS、LRS、VSの各モードは[ F1 ]を押すことでそれぞれのモードへ切り替えが可能であり、また各モード内では2通りの方法で走査レンジを選択することができます。第一の方法は、FCR(火器管制レーダ)ページに切り替えたMFDの左側に表示されている走査レンジスケールの横にあるOSBを押す方法です。走査レンジスケールの上下矢印の横にあるOSBをクリックすると、走査レンジをそれぞれ増減できます。また第二の方法としてレーダカーソルをスコープの上辺または下辺に移動する方法があります。この場合も同様にスケールが増減されます。図13-19は走査レンジスケールボタンとレーダカーソルの移動によるスケールの増減を示したものです。  7.[ F11 ]を押すか、あるいはスコープ上のアジマススケールの横にあるOSBを押してアジマスを変更してください。アジマスを変更すると、スコープの端付近に表示されていた目標が表示されなくなります。  8.MFD左側のバースキャン表示("B")の横にあるOSBを押して、バースキャン・オプションを変更してください。RWSモード及びVSモードの場合、このボタンを押すとバースキャン・オプションが1バー、2バー、4バーと順番に切り替わります。ただし、バースキャン・オプションを上げるとレーダー走査の高低角も上がる(つまり、より大きな高度幅を捜索する)ことになります。  9.次に、レーダアンテナの仰角の変更を練習してください。レーダ信号全体を上向きにす場合は[ F5 ]を、水平にする場合は[ F6 ]を、下向きにする場合は[ F7 ]をそれぞれ使用しますが、これらのキーを押しても捜索高度が上がるわけではありません。図13-20は、レーダ信号がどのように傾斜されるかを示したものです。レーダ信号を偏向すると、レーダカーソルの横に表示されているレーダが捜索する高度の最高値と最低値を示す数字が変わる点に注目してください。レーダ信号を傾け、その状態でレーダーを走査させるとミッション開始時にはレーダ上で確認できなかった目標を新たに発見することができる筈です。  10.[ ↑ ] [ ↓ ] [ ← ] [ → ]をそれぞれ使って、目標を表わす四角形にレーダカーソルを合わせ、その目標をレーダ上でロックオンしてください。カーソルを四角形のシンボルに合わせた状態でテンキーの[ 0 ]を押すことでその目標を追跡できます。そして、もう一度同じキーを押すことで目標がロックオンされます。  図13-20  このミッションでは、すべてのレーダオプションに慣れ親しむと共に、FCRマスターモードの全モードで目標を発見ロックオンする技術を会得することを目的としています。

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