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 ミッション1:基本操縦  このミッションではF-16の操縦方法の習得を目標としています。この全課程をクリアした暁には、自分の操縦によって機体がどのように反応するか、またどういったことが可能かなどをよく理解できている筈です。基本の操縦方法も知らずにあらくれどもとやりあう必要はありません。このミッションは、"TR-1"または"Transition Sortie 1"などと呼ばれる、実際のF-16の操縦訓練課程に基づいて作られています。しかし実のところ、実物のF-16を始めて操縦するパイロットは既に他の航空機の操縦経験があるのが普通です。なので、ここでは初歩の初歩から訓練をすすめていきます。  Falcon AFでのF-16やまた実際のF-16を操縦するのは決して難しいことではありません。しかし、現代のF-16のような戦闘機は「飛ばす」のは簡単でも「闘う」となるとまた別の話になります。機速の高速化とともに、今日の空中戦は人間の身体機能の限界にせまるような過酷なものとなり、そして戦闘機はその戦闘の主導権を握るのに必要な情報をまるで弾幕の如くパイロットに投げつけてくるようになりました。また現代の戦闘機では、センサー類の複雑化や戦闘の高速化にあわせて、強烈な「高G環境」も特徴となってきました。Gとは重力加速度(遠心力)のことであり機体が旋回することによって発生する力です。Gのよく知られた例としては、水の入ったバケツを紐の端に結んで反対の端をもって振り回すという実験が有名です。こうすると、円周の外側に向かって押えつける力が働くので、バケツの中の水はこぼれません。規模の差を除いて航空機に発生するGも本質的には同じものです。もし昔の航空機に現代のような莫大なGが掛かったなら、機体はポッキー(あるいはプリッツ)のごとくぽっきりと折れてしまうでしょう。しかし当然ながら昔の戦闘機パイロットたちも彼らは彼らなりの問題を抱えていました。それはつまり「純粋な難しさ」です。航空機は古くなればなるほど操縦がより難しくなります。F-86を限界の機動性能で飛ばす技術や、F-105での手動爆撃、あるいはP-51での射撃技術などは、熟練した飛行技能が要求されるのです。  それに対してF-16には、Gをはじめとする重要なフライトパラメータを制御してトラブルを未然に回避するフライトコンピュータが装備されており、さらに爆弾の投下すら火気管制コンピュータが半自動で行ってくれます。が、いくら自動化されたとはいえ、パイロットはゆったり座りながらたまにちょっとボタンを押せばいい、というわけではありません。飛行中は多くの機器の操作が必要ですし、どんな時代の航空機に乗っていても着陸時のパイロットというのは忙しいものなのです。  Falcon AFでは本物のような機体を操縦できるのでおそらく操縦自体は難しくありません。しかしいくら簡単だとはいえ、努力なしで飛ばせるという意味ではありません。このミッションではプレイヤーが初歩の飛行方法を習得するのを補助し、更に煩雑で骨の折れる戦闘課程へと進む準備をおこないます。いくつかのディスプレイや計器についてなど操縦方法の基本は全てこのミッション内で解説されます。  ○HUDの基本  まずトレーニングミッションを始めるために、メインメニューから"Trainig"を開いたら、ミッション選択画面で"01 Basic Hadling"を選び画面右下の"COMMIT"を押して、次の画面で同じく右下に表示されている"FLY"をクリックしてください。コクピット内を見回すときは、[ SHIFT + P ]を押してフリーズモードを有効にすると便利です。  Falcon AFではいくつかの視点が用意されていますが、おそらく最初は2Dコクピットビューから始まります。とりあえず確実に2Dコクピットビューにするため、キーボード上部の[ 2 ](ふ)をおしてください。この視点ではF-16のリアルなコクピット内が表示されるだけでなく、実物同様の操作を行うことができます。そしてコクピット内で一番目を惹かれるのは、おそらく正面にあるHUD(ヘッドアップディスプレイ)でしょう。このHUDは、コクピット内でもっとも便利なディスプレイです。以下の図1-1に、HUDの表示項目のリストが示されています。  図1-1  ・ピッチラダー  ・Gメータ  ・速度計  ・ガンクロス  ・フライトパスマーカ  ・高度計  ・フライトパスマーカー:  HUDの表示の中で一番重要なのは、このフライトパスマーカです。これは現在の機体の飛行方向、または現在機体が向いている方向を示しています。例えば、このマーカを地表に合わせたまま固定すれば機体はマーカが重なっている地点へ正確につっこんでいって最後は当然激突します。どかーんとなります。  まあ地表につっこむために使っては本末転倒なのですが、このマーカはほぼ正確な飛行経路を示すので滑走路へ進入する際などに大変役立ちます。またパスマーカを利用することでレベルフライト(水平飛行)や正確な上昇・降下飛行が行えます。  ・ガンクロス:  HUDの上にちょこんとある十字型のシンボルがガンクロスです。日本語では照星といいます。このシンボルは機首がどこを向いているかを表示しており、とても重要な役割を果たします。ただし、あくまでも機首の向いている方向を示しているだけなので、実際に機体が向かっている方向を示しているわけではありません(機体の進行方向と機首方向は、必ずしも一致するものではありません)。このガンクロス(機首方向)とフライトパスマーカー(進行方向)との角度の差をAOA(Angle of Attack)といいます(画像1-2参照)。ちなみにガンクロス自体は、本来機銃の銃身の向きを示しているものです。  ・ピッチラダー:  HUD中央に表示されているピッチラダーは、現在機体が水平飛行をしているか、または上昇あるいは降下しているかを判断する指針になります。HUDの中ほどに表示される長くて濃い水平線は0°のピッチラインです。他のピッチラインとは異なり数字が表示されていないのですぐに区別がつくと思います。このラインの中央にパスマーカを重ねることで水平飛行ができます。5°毎に表示される破線のピッチラインは降下(マイナス角)を示し、同じく5°毎に表示される実線のピッチラインは上昇(プラス角)を示しています。  ・速度計  HUDの左側に表示されているのが速度計です。その名のとおり現在の機速を示しているので"400"をさしていれば400ノット(ノーティカルマイル/時)で飛行中という意味になります。速度スケールの横には〝C〝というマークが表示されており、これは表示されている速度が修正対気速度(CAS:Calibrated Air Speed)であることを指しています。  ・高度計  HUDの右側に表示されているのが高度計です。100フィート単位の平均海面に対する高度(海抜高度)を示しています。海抜高度は、別名MSL(Mean Sea Level)とも呼ばれます。高度は1,000フィート毎に示され、スケールが"16,0"と示している場合は、現在機体は海抜高度16,000フィート上空を飛行中という意味になります。対地高度が1200フィート以下になると、新たに電波高度計がHUD上に表示されます。この電波高度計のスケールは100フィート毎の対地高度を表示しているので、スライドバーが〝2〝のところにある場合は、それは現在の自機と直下の地表までの距離(対地高度)が200フィートであるということを示しています。1500フィートまで上昇すれば、通常の海抜高度の表示に戻ります。ちなみに、高度計の隣に"B"の文字が表示されている場合は、現在の高度が海抜高度(対MSL高度)であることを示し、"R"の文字が表示されている場合は電波高度計(対地高度)が使用されていることを示しています。ただし電波高度計のスイッチをオフにしていたり、あるいは機体が地表面に対してある程度並行していないと電波高度計は表示されません。  ・ヘディングスケール:  HUDの底部に表示されているのが、ヘディングスケール(飛行方位計)です。表示が"270"の場合は、機体は方位270°に向かって飛行していることを示しています(真北が0°、真東が90°、真南が180°、真西が270°となります)。  ・Gメータ  HUD左上に表示されているちっこい数字が、Gメータです。機体に作用している現時の重力加速度を示しています。一方、HUD左下に表示されているGメータには、現在までに機体にかかったGの最大値が表示されています。Gについての詳しい解説は、チャプター25を参照してください。  ○HUDコントロールオプション  HUDの基本的な表示についての説明は上記のとおりです。しかし実際HUDというもは、全てのパイロットが同様の設定でつかうものではなく、必要に応じて表示情報の設定を変更することができるものです。  [ H ]を押すと、HUD上の表示を変更することができます。一回を押すと、高度計と速度計とヘディングスケールのアナログスケールが消えてデジタル表示(数字)のみが残ります。二回押すと、アナログスケールが再度表示され、さらに高度計の左隣にAOA計が表示され、ヘディングスケールの表示が変化します。そして三回押せば、デフォルトの表示に戻ります。  [ SHIFT + CTRL + ALT + C ]を押すと、HUD表示の色を変えることができます。ちなみに実際のF-16にはこの機能はありません。  [ SHIFT + CTRL + ALT + S ]を押すと、ヘディングスケールの表示/非表示を切り替えられます。  また[ SHIFT + CTRL + ALT + P ]を押すと、ピッチラダーとフライトパスマーカの表示/非表示の変更もおこなえます。  この他にもHUD上には、兵装システムと関連した多くの情報(例えば「ステアポイントダイヤモンド」や「タイミングキュー」など)が表示されるのですが、それらについてはこのトレーニングミッション内で追々触れていきます。   ○基本的な計器類  実際に飛行を始める前に、コクピット内のいくつかの計器とディスプレイについて解説します。図の1-3を確認してください。  図1-3  ・対気速度計  ・ADI(姿勢儀)  ・予備ADI  ・高度計  「ADI(Attitude Director Indicator:姿勢儀)」には人口水平線と自機シンボルが表示されており、地表面に対する機体の現在の姿勢や傾きが表されています。日本語では他に「水平儀」あるいは「姿勢指示器」などの呼びかたがあります。  「対気速度計」は自機の速度を100ノット単位で表示します。赤い針が〝4〝を指していれば、現在の機速は400ノットとなります。  「高度計」は自機の海抜高度(対MSL高度)を円形のダイアル上に表しており、ダイアル内のデジタル表示装置は1,000フィート単位の高度を表示しています。ダイアル上の白い針は、100フィート単位の高度を指しています。つまり、デジタル表示が10,000でダイアル上の針が"8"を指していれば、機体は海抜10,800フィート上空を飛行中ということになります。  「AOA計」は、機体の迎え角(Angle Of Attack)を示している計器です。機体を継続的に上昇させるには正の迎え角をとるか、あるいは気流に対して正の角度をとって飛行する必要があります。前述したように、迎え角とはつまりガンクロスとフライトパスマーカとの角度の差であり、F-16にはプラス25度からマイナス5度までの迎え角の制限があります(これを超えると機体は失速します)。図1-4、図1-4a、図1-4bはそれぞれ迎え角についての参考図です。(ちなみにAOA計はADIの隣にあります)  「HSI(Horizontal Situation Indicator:水平状況指示計)」は、トレーニングミッション12で個別に取り扱うことになっている非常に複雑な計器です。とりあえずここで覚えておくとよいことは、HSIを確認することで機首方位を知ることができるということだけです。円形の計器上に表示されるN/S/E/Wの文字は、それぞれNorth(北)、South(南)、East(東)、West(西)を示しています。機首の向きが変われば、HSIのダイアルもそれにあわせて動き、現在の機首方位を示します(つまりコンパスみたいなものです)。  「RPM計(エンジン回転計)」は画面右側のライトアッパーコンソールにある計器で、エンジンコアタービンの毎分の回転数を示しています。PRM(エンジン回転数)はパーセンテージでしめされており、100%が最大通常出力の状態0%ではエンジンが完全に停止しています。ちなみにこのPRMの値はスロットルレバーの位置と直結しているので、レバーの動かし加減によってエンジン出力を制御することができます。  ○トレーニングミッションの概要  このミッション01では、すでに自機は空中を飛行している状態から始まります。ここでの主な目標は航空機の操縦に慣れることとキーボードを操作して視点を変更したりすることです。  初期コンディション   ・対気速度  :400ノット   ・高  度  :7500フィート(海抜高度)   ・スロットル :中程  ○ミッションの手順  1.まず[ SHIFT-P ]を押してフリーズモードを有効にしてください。その状態のまま、他の視点に切り替えてみましょう。視点の切り替えは、キーボード上部の数字キーをつかいます。   [ 1 ]を押すと、コクピットの枠などが消えて画面全体にHUDのみが表示される視点に切り替わります。MFD(Multi-Function Display:多機能ディスプレイ)は、画面の下部(あるいは上部)に箱型に表示されます。[ [ ]で左のMFDの表示を、[ ] ]で右のMFDの表示を、[SHIFT+ [ ]で左上のMFDの表示を、そして[ SHIFT+ ] ]で右上のMFDの表示をそれぞれ変更することができます。   [ 2 ]を押すと、デフォルトの2Dコクピットビューに戻ります。この視点ではマウス使うことで視線の方向を変えたり、またスイッチ類やあるいはダイアルなどを操作することが可能です。表示されるマウスポインターには3種類あり、コクピット内のスイッチ類などのうえにポインタを重ねた時に、「赤いひし形のポインター」が出ている場合はそのスイッチは操作不可能、反対に「緑色のまるいポインタ」が出ている場合は操作可能となり、また「緑色の矢印」が出ているときはその矢印の方向に視線を動かすことができる、ということを意味しています。   [ 3 ]を押すと、バーチャルコクピットビューになります。この視点では、ジョイスティックやキーパッドの矢印キーを操作することで視線を好きな方向に動かすことができます。あるいはマウスを右クリックしたまま動かしても、同様に視点をスムーズに動かすことができます。この視点は戦闘時においてこそ最も有効な視点であり、自身のシチュエイショナル・アウェアネス(Situational awareness)を効率的に維持することができます。シチュエイショナル・アウェアネスとは、現在の自機の位置状況と脅威(敵機等)の状況を正確に把握する能力のことです。バーチャルコクピットビューでは矢印キーの右かあるいは左を押し続けると視線が横にすうっと回ってゆき、最後は座席(エジェクションシート)の近くで止まります。実際のF-16では座席の背後を見ることはできないので、それはこのFalcon AFでも同様に再現されています。こつんっとヘルメットと何か固いものがぶつかったような音が聞こえたら、それ以上後ろは見ることができません。   [ ALT + ` ]を押すと、真上から自機を見下ろしたようなサテライトビューになります。[ L ]を押すと視線がズームインし、もう一度同じキーを押せば元の位置に戻ります。またキーパッドの[ 1 ]を押すとズームイン、[ 7 ]を押すとズームアウトします。   ※このほかにも更に別の視点もありますが、このミッションでは使用しません。  2.[ 2 ]を押して、視点を2Dコクピットビューに戻してください。そして[ SHIFT + P ]を押してフリーズモードを解除してください。  3.右コンソールのRPM計を見ながら、ジョイスティックのスロットルかあるいはキーボードの[ + ]と[ - ]を使って、エンジン出力を85%にあわせてください。  4.図1-5  5.操縦桿を右に倒し、バンク角約60度の状態でHUDのGメータが"2.0"を示す程度に操縦桿を手前にひいて、右旋回を始めてください。図1-5は、操縦桿を動かすことで、機体がどのように反応するかを表しています。機体が傾くことで、機体が緩やかに旋回し始めることに、また徐々に機首方位が変化していくことによく注目してください。2Dコクピットビューでは機首方位はHUD上のヘディングスケール(方位計)で、また機体の傾きはADIで確認することができます。  6.機体を水平に保つため、ゆるやかに操縦桿をひいて、HUD上のフライトパスマーカを0度のピッチラインに重ねてください。  図1-6には、フライトパスマーカが0度のピッチラインにのって綺麗に水平旋回をしている状態のHUDが映っています。左右へ自由に水平旋回できるようがんばって練習してみてください。[ CTRL + S ]を押すことでスモークが噴出され、空中に自機の飛行軌道をトレースすることができます。またサテライトビュー([ ALT + ` ])を使うことで、機外から自分の旋回を見ることもできます。旋回し終わったら水平飛行に戻ります。0度のピッチラインが水平になるまで、今機体が傾いている方向とは反対側に操縦桿を倒してください。そしてフライトパスマーカの水平線を0度のピッチラインと一直線上に並べてください。  7.次に、上昇と下降の練習を行います。フライトパスマーカの水平線を、5度のピッチラインの一直線上に並べてください。すると機体は上昇をはじめ、コクピットとHUDの高度計の数値が増加し、逆に速度はどんどんさがっていきます(もし上昇していなかったら機速は増加します)。また、自分の操作とフライトパスマーカの動きには、若干のタイムラグがあるので注意してください。1,000フィートほど上昇したら機首を下げ、パスマーカを水平ピッチにあわせてください。パスマーカが水平ピッチに重なって水平飛行に戻ると、高度が一定の値からほとんど動かなくなります。  8.続いて下降の練習です。パスマーカの水平線が-5度のピッチラインに並ぶまで、操縦桿を押してください。すると高度が減りはじめ、速度が増加します。飛行中は常に機体の持っているエネルギーを制御しなければなりません。上昇は速度を高度に、いっぽう下降を高度を速度に転換します。では1,000フィートほど下降したら機首をあげて、パスマーカを水平ピッチの位置に戻してください。  9.水平旋回と直線上昇・下降を終えたら、つぎはその二つを同時にやってみましょう。例えば、自機を方位270(真西)まで水平旋回させ、機首が西を向いたら今度は方位090(真東)まで旋回しつつ高度を上げ、丁度2,000フィート上昇する、といったあんばいです。自分自身の限界を見定めて、機体を正確に操れるよう練習してみてください。  10.つぎは低高度での、対地高度1,000フィート以下での水平旋回です。この機動を行うにあたって、HUD高度計オプションを使います。コクピット右側の操縦桿の横に位置するHUD制御コンソールパネル(キーパッドの[ 6 ]を二回、つづいて[ 2 ]を一回押して視線を動かしてください)を見て、そこにある高度計オプション用の三点式トグルスイッチを"AOUT"の位置にセットしてください(図A1を参照)。しかし忘れてはならないのは、この作業をしている最中でも機体は絶賛驀進中ということです。地表近くでよそ見をしているとすぐに墜落してしまうのでよくよく注意してください。  ○低速度状況での対応  続いては"HARTs"と呼ばれる機動です。HARTsとは"Horn Awareness Recovery Trainig"の略であり、これはハイピッチ(高機首角)状態から回復するための、またその時の状況をパイロットに正しく認識させるための訓練です。45度以上のハイピッチで上昇しながら機速が170ノットをきると、コクピットには失速警告音が鳴り始めます。実際この警告音は、機首角と速度の相互関係に基づいて鳴るようになっており、図1-7はF-16で使われている失速警告音用の関数表です。しかし別にこの表を覚える必要はなく、単純に「ハイピッチ状態で機速が落ちてくると失速警告音が鳴る」とだけ覚えておけばいいのです。  図1-7 破線内が失速警告の許容範囲(この範囲を下回ると失速する)。縦=速度 横=機首角度(ピッチ角)  以下の記述に従って、HART機動の練習を行ってください。  1.15,000フィートまで上昇し、水平飛行にうつります。スロットルは75%にセットしてください。  2.操縦桿を引いて、HUD上のフライトパスマーカが70度のピッチラインに並ぶまで5Gから7Gほどで機首を引き起こします。パスマーカの動きは若干遅れるので、最初はガンクロスを基準にしながらピッチ角を調節します。迎え角が小さくなってくれば、パスマーカはガンクロスに重なります。最初迎え角が大きいのは、機首を引き起こしたことで機体に遠心力が生じている為ですが、その力は次第に弱まっていくので焦らずゆっくりと操縦桿を操作してピッチ角70度に合わせてください。図1-8は上昇の様子を示している図です。  3.機速が170ノットほどになってくると失速警告音が鳴り始めるので、機体が制御不能にならないようにゆっくりと180度ロールし、機体を上下逆反転させます(いわゆる背面飛行状態)。機体の上下が逆さになったかどうかは、HUDの表示を見ることで確認することができます。ピッチラインの端についている短い垂直線が真上を向いたら、それは機体の上下が反転したことを意味しています。  4.機体が反転したら、操縦桿をひいて機首を水平よりも下に向けます。一度機首が水平よりもさがったら、操縦桿から手を離し機首が自然とさがっていくようにします。ただし、背面飛行を維持して機体が傾かないようにしてください。  5.機速が150~200ノットくらいまで回復してきたら機体を再度反転させ順面飛行にうつり、3Gから4Gほどで機首を引き起こして水平飛行にうつります(パスマーカを0度のピッチラインに並べる)。  6.以上の要領を用いてこの機動に挑戦してみてください。ただし、ピッチ角が90度を超えてしまわないよう注意してください。またオービットビュー(キーボード上部の[ 0 ])を使うことで、低速度の機体がいったいどのように動くのかを外部から確認することもできます。  さて、これでこの「トレーニングミッション1」は終わりです。つづいてミッション2へ進みましょう。
 ミッション1:基本操縦  このミッションではF-16の操縦方法の習得を目標としています。この全課程をクリアした暁には、自分の操縦によって機体がどのように反応するか、またどういったことが可能かなどをよく理解できている筈です。基本の操縦方法も知らずにあらくれどもとやりあう必要はありません。このミッションは、"TR-1"または"Transition Sortie 1"などと呼ばれる、実際のF-16の操縦訓練課程に基づいて作られています。しかし実のところ、実物のF-16を始めて操縦するパイロットは既に他の航空機の操縦経験があるのが普通です。なので、ここでは初歩の初歩から訓練をすすめていきます。  Falcon AFでのF-16やまた実際のF-16を操縦するのは決して難しいことではありません。しかし、現代のF-16のような戦闘機は「飛ばす」のは簡単でも「闘う」となるとまた別の話になります。機速の高速化とともに、今日の空中戦は人間の身体機能の限界にせまるような過酷なものとなり、そして戦闘機はその戦闘の主導権を握るのに必要な情報をまるで弾幕の如くパイロットに投げつけてくるようになりました。また現代の戦闘機では、センサー類の複雑化や戦闘の高速化にあわせて、強烈な「高G環境」も特徴となってきました。Gとは重力加速度(遠心力)のことであり機体が旋回することによって発生する力です。Gのよく知られた例としては、水の入ったバケツを紐の端に結んで反対の端をもって振り回すという実験が有名です。こうすると、円周の外側に向かって押えつける力が働くので、バケツの中の水はこぼれません。規模の差を除いて航空機に発生するGも本質的には同じものです。もし昔の航空機に現代のような莫大なGが掛かったなら、機体はポッキー(あるいはプリッツ)のごとくぽっきりと折れてしまうでしょう。しかし当然ながら昔の戦闘機パイロットたちも彼らは彼らなりの問題を抱えていました。それはつまり「純粋な難しさ」です。航空機は古くなればなるほど操縦がより難しくなります。F-86を限界の機動性能で飛ばす技術や、F-105での手動爆撃、あるいはP-51での射撃技術などは、熟練した飛行技能が要求されるのです。  それに対してF-16には、Gをはじめとする重要なフライトパラメータを制御してトラブルを未然に回避するフライトコンピュータが装備されており、さらに爆弾の投下すら火気管制コンピュータが半自動で行ってくれます。が、いくら自動化されたとはいえ、パイロットはゆったり座りながらたまにちょっとボタンを押せばいい、というわけではありません。飛行中は多くの機器の操作が必要ですし、どんな時代の航空機に乗っていても着陸時のパイロットというのは忙しいものなのです。  Falcon AFでは本物のような機体を操縦できるのでおそらく操縦自体は難しくありません。しかしいくら簡単だとはいえ、努力なしで飛ばせるという意味ではありません。このミッションではプレイヤーが初歩の飛行方法を習得するのを補助し、更に煩雑で骨の折れる戦闘課程へと進む準備をおこないます。いくつかのディスプレイや計器についてなど操縦方法の基本は全てこのミッション内で解説されます。  ○HUDの基本  まずトレーニングミッションを始めるために、メインメニューから"Trainig"を開いたら、ミッション選択画面で"01 Basic Hadling"を選び画面右下の"COMMIT"を押して、次の画面で同じく右下に表示されている"FLY"をクリックしてください。コクピット内を見回すときは、[ SHIFT + P ]を押してフリーズモードを有効にすると便利です。  Falcon AFではいくつかの視点が用意されていますが、おそらく最初は2Dコクピットビューから始まります。とりあえず確実に2Dコクピットビューにするため、キーボード上部の[ 2 ](ふ)をおしてください。この視点ではF-16のリアルなコクピット内が表示されるだけでなく、実物同様の操作を行うことができます。そしてコクピット内で一番目を惹かれるのは、おそらく正面にあるHUD(ヘッドアップディスプレイ)でしょう。このHUDは、コクピット内でもっとも便利なディスプレイです。以下の図1-1に、HUDの表示項目のリストが示されています。  図1-1  ・ピッチラダー  ・Gメータ  ・速度計  ・ガンクロス  ・フライトパスマーカ  ・高度計  ・フライトパスマーカー:  HUDの表示の中で一番重要なのは、このフライトパスマーカです。これは現在の機体の飛行方向、または現在機体が向いている方向を示しています。例えば、このマーカを地表に合わせたまま固定すれば機体はマーカが重なっている地点へ正確につっこんでいって最後は当然激突します。どかーんとなります。  まあ地表につっこむために使っては本末転倒なのですが、このマーカはほぼ正確な飛行経路を示すので滑走路へ進入する際などに大変役立ちます。またパスマーカを利用することでレベルフライト(水平飛行)や正確な上昇・降下飛行が行えます。  ・ガンクロス:  HUDの上にちょこんとある十字型のシンボルがガンクロスです。日本語では照星といいます。このシンボルは機首がどこを向いているかを表示しており、とても重要な役割を果たします。ただし、あくまでも機首の向いている方向を示しているだけなので、実際に機体が向かっている方向を示しているわけではありません(機体の進行方向と機首方向は、必ずしも一致するものではありません)。このガンクロス(機首方向)とフライトパスマーカー(進行方向)との角度の差をAOA(Angle of Attack)といいます(画像1-2参照)。ちなみにガンクロス自体は、本来機銃の銃身の向きを示しているものです。  ・ピッチラダー:  HUD中央に表示されているピッチラダーは、現在機体が水平飛行をしているか、または上昇あるいは降下しているかを判断する指針になります。HUDの中ほどに表示される長くて濃い水平線は0°のピッチラインです。他のピッチラインとは異なり数字が表示されていないのですぐに区別がつくと思います。このラインの中央にパスマーカを重ねることで水平飛行ができます。5°毎に表示される破線のピッチラインは降下(マイナス角)を示し、同じく5°毎に表示される実線のピッチラインは上昇(プラス角)を示しています。  ・速度計  HUDの左側に表示されているのが速度計です。その名のとおり現在の機速を示しているので"400"をさしていれば400ノット(ノーティカルマイル/時)で飛行中という意味になります。速度スケールの横には〝C〝というマークが表示されており、これは表示されている速度が修正対気速度(CAS:Calibrated Air Speed)であることを指しています。  ・高度計  HUDの右側に表示されているのが高度計です。100フィート単位の平均海面に対する高度(海抜高度)を示しています。海抜高度は、別名MSL(Mean Sea Level)とも呼ばれます。高度は1,000フィート毎に示され、スケールが"16,0"と示している場合は、現在機体は海抜高度16,000フィート上空を飛行中という意味になります。対地高度が1200フィート以下になると、新たに電波高度計がHUD上に表示されます。この電波高度計のスケールは100フィート毎の対地高度を表示しているので、スライドバーが〝2〝のところにある場合は、それは現在の自機と直下の地表までの距離(対地高度)が200フィートであるということを示しています。1500フィートまで上昇すれば、通常の海抜高度の表示に戻ります。ちなみに、高度計の隣に"B"の文字が表示されている場合は、現在の高度が海抜高度(対MSL高度)であることを示し、"R"の文字が表示されている場合は電波高度計(対地高度)が使用されていることを示しています。ただし電波高度計のスイッチをオフにしていたり、あるいは機体が地表面に対してある程度並行していないと電波高度計は表示されません。  ・ヘディングスケール:  HUDの底部に表示されているのが、ヘディングスケール(飛行方位計)です。表示が"270"の場合は、機体は方位270°に向かって飛行していることを示しています(真北が0°、真東が90°、真南が180°、真西が270°となります)。  ・Gメータ  HUD左上に表示されているちっこい数字が、Gメータです。機体に作用している現時の重力加速度を示しています。一方、HUD左下に表示されているGメータには、現在までに機体にかかったGの最大値が表示されています。Gについての詳しい解説は、チャプター25を参照してください。   ○HUDコントロールオプション  HUDの基本的な表示についての説明は上記のとおりです。しかし実際HUDというもは、全てのパイロットが同様の設定でつかうものではなく、必要に応じて表示情報の設定を変更することができます。  [ H ]を押すと、HUD上の表示を変更することができます。一回を押すと、高度計と速度計とヘディングスケールのアナログスケールが消えてデジタル表示(数字)のみが残ります。二回押すと、アナログスケールが再度表示され、さらに高度計の左隣にAOA計が表示され、ヘディングスケールの表示が変化します。そして三回押せば、デフォルトの表示に戻ります。  [ SHIFT + CTRL + ALT + C ]を押すと、HUD表示の色を変えることができます。ちなみに実際のF-16にはこの機能はありません。  [ SHIFT + CTRL + ALT + S ]を押すと、ヘディングスケールの表示/非表示を切り替えられます。  また[ SHIFT + CTRL + ALT + P ]を押すと、ピッチラダーとフライトパスマーカの表示/非表示の変更もおこなえます。  この他にもHUD上には、兵装システムと関連した多くの情報(例えば「ステアポイントダイヤモンド」や「タイミングキュー」など)が表示されるのですが、それらについてはこのトレーニングミッション内で追々触れていきます。   ○基本的な計器類  実際に飛行を始める前に、コクピット内のいくつかの計器とディスプレイについて解説します。図の1-3を確認してください。  図1-3  ・対気速度計  ・ADI(姿勢儀)  ・予備ADI  ・高度計  「ADI(Attitude Director Indicator:姿勢儀)」には人口水平線と自機シンボルが表示されており、地表面に対する機体の現在の姿勢や傾きが表されています。日本語では他に「水平儀」あるいは「姿勢指示器」などの呼びかたがあります。  「対気速度計」は自機の速度を100ノット単位で表示します。赤い針が〝4〝を指していれば、現在の機速は400ノットとなります。  「高度計」は自機の海抜高度(対MSL高度)を円形のダイアル上に表しており、ダイアル内のデジタル表示装置は1,000フィート単位の高度を表示しています。ダイアル上の白い針は、100フィート単位の高度を指しています。つまり、デジタル表示が10,000でダイアル上の針が"8"を指していれば、機体は海抜10,800フィート上空を飛行中ということになります。  「AOA計」は、機体の迎え角(Angle Of Attack)を示している計器です。機体を継続的に上昇させるには正の迎え角をとるか、あるいは気流に対して正の角度をとって飛行する必要があります。前述したように、迎え角とはつまりガンクロスとフライトパスマーカとの角度の差であり、F-16にはプラス25度からマイナス5度までの迎え角の制限があります(これを超えると機体は失速します)。図1-4、図1-4a、図1-4bはそれぞれ迎え角についての参考図です。(ちなみにAOA計はADIの隣にあります)  「HSI(Horizontal Situation Indicator:水平状況指示計)」は、トレーニングミッション12で個別に取り扱うことになっている非常に複雑な計器です。とりあえずここで覚えておくとよいことは、HSIを確認することで機首方位を知ることができるということだけです。円形の計器上に表示されるN/S/E/Wの文字は、それぞれNorth(北)、South(南)、East(東)、West(西)を示しています。機首の向きが変われば、HSIのダイアルもそれにあわせて動き、現在の機首方位を示します(つまりコンパスみたいなものです)。  「RPM計(エンジン回転計)」は画面右側のライトアッパーコンソールにある計器で、エンジンコアタービンの毎分の回転数を示しています。PRM(エンジン回転数)はパーセンテージでしめされており、100%が最大通常出力の状態0%ではエンジンが完全に停止しています。ちなみにこのPRMの値はスロットルレバーの位置と直結しているので、レバーの動かし加減によってエンジン出力を制御することができます。  ○トレーニングミッションの概要  このミッション01では、すでに自機は空中を飛行している状態から始まります。ここでの主な目標は航空機の操縦に慣れることとキーボードを操作して視点を変更したりすることです。  初期コンディション   ・対気速度  :400ノット   ・高  度  :7500フィート(海抜高度)   ・スロットル :中程  ○ミッションの手順  1.まず[ SHIFT-P ]を押してフリーズモードを有効にしてください。その状態のまま、他の視点に切り替えてみましょう。視点の切り替えは、キーボード上部の数字キーをつかいます。   [ 1 ]を押すと、コクピットの枠などが消えて画面全体にHUDのみが表示される視点に切り替わります。MFD(Multi-Function Display:多機能ディスプレイ)は、画面の下部(あるいは上部)に箱型に表示されます。[ [ ]で左のMFDの表示を、[ ] ]で右のMFDの表示を、[SHIFT+ [ ]で左上のMFDの表示を、そして[ SHIFT+ ] ]で右上のMFDの表示をそれぞれ変更することができます。   [ 2 ]を押すと、デフォルトの2Dコクピットビューに戻ります。この視点ではマウス使うことで視線の方向を変えたり、またスイッチ類やあるいはダイアルなどを操作することが可能です。表示されるマウスポインターには3種類あり、コクピット内のスイッチ類などのうえにポインタを重ねた時に、「赤いひし形のポインター」が出ている場合はそのスイッチは操作不可能、反対に「緑色のまるいポインタ」が出ている場合は操作可能となり、また「緑色の矢印」が出ているときはその矢印の方向に視線を動かすことができる、ということを意味しています。   [ 3 ]を押すと、バーチャルコクピットビューになります。この視点では、ジョイスティックやキーパッドの矢印キーを操作することで視線を好きな方向に動かすことができます。あるいはマウスを右クリックしたまま動かしても、同様に視点をスムーズに動かすことができます。この視点は戦闘時においてこそ最も有効な視点であり、自身のシチュエイショナル・アウェアネス(Situational awareness)を効率的に維持することができます。シチュエイショナル・アウェアネスとは、現在の自機の位置状況と脅威(敵機等)の状況を正確に把握する能力のことです。バーチャルコクピットビューでは矢印キーの右かあるいは左を押し続けると視線が横にすうっと回ってゆき、最後は座席(エジェクションシート)の近くで止まります。実際のF-16では座席の背後を見ることはできないので、それはこのFalcon AFでも同様に再現されています。こつんっとヘルメットと何か固いものがぶつかったような音が聞こえたら、それ以上後ろは見ることができません。   [ ALT + ` ]を押すと、真上から自機を見下ろしたようなサテライトビューになります。[ L ]を押すと視線がズームインし、もう一度同じキーを押せば元の位置に戻ります。またキーパッドの[ 1 ]を押すとズームイン、[ 7 ]を押すとズームアウトします。   ※このほかにも更に別の視点もありますが、このミッションでは使用しません。  2.[ 2 ]を押して、視点を2Dコクピットビューに戻してください。そして[ SHIFT + P ]を押してフリーズモードを解除してください。  3.右コンソールのRPM計を見ながら、ジョイスティックのスロットルかあるいはキーボードの[ + ]と[ - ]を使って、エンジン出力を85%にあわせてください。  4.図1-5  5.操縦桿を右に倒し、バンク角約60度の状態でHUDのGメータが"2.0"を示す程度に操縦桿を手前にひいて、右旋回を始めてください。図1-5は、操縦桿を動かすことで、機体がどのように反応するかを表しています。機体が傾くことで、機体が緩やかに旋回し始めることに、また徐々に機首方位が変化していくことによく注目してください。2Dコクピットビューでは機首方位はHUD上のヘディングスケール(方位計)で、また機体の傾きはADIで確認することができます。  6.機体を水平に保つため、ゆるやかに操縦桿をひいて、HUD上のフライトパスマーカを0度のピッチラインに重ねてください。  図1-6には、フライトパスマーカが0度のピッチラインにのって綺麗に水平旋回をしている状態のHUDが映っています。左右へ自由に水平旋回できるようがんばって練習してみてください。[ CTRL + S ]を押すことでスモークが噴出され、空中に自機の飛行軌道をトレースすることができます。またサテライトビュー([ ALT + ` ])を使うことで、機外から自分の旋回を見ることもできます。旋回し終わったら水平飛行に戻ります。0度のピッチラインが水平になるまで、今機体が傾いている方向とは反対側に操縦桿を倒してください。そしてフライトパスマーカの水平線を0度のピッチラインと一直線上に並べてください。  7.次に、上昇と下降の練習を行います。フライトパスマーカの水平線を、5度のピッチラインの一直線上に並べてください。すると機体は上昇をはじめ、コクピットとHUDの高度計の数値が増加し、逆に速度はどんどんさがっていきます(もし上昇していなかったら機速は増加します)。また、自分の操作とフライトパスマーカの動きには、若干のタイムラグがあるので注意してください。1,000フィートほど上昇したら機首を下げ、パスマーカを水平ピッチにあわせてください。パスマーカが水平ピッチに重なって水平飛行に戻ると、高度が一定の値からほとんど動かなくなります。  8.続いて下降の練習です。パスマーカの水平線が-5度のピッチラインに並ぶまで、操縦桿を押してください。すると高度が減りはじめ、速度が増加します。飛行中は常に機体の持っているエネルギーを制御しなければなりません。上昇は速度を高度に、いっぽう下降を高度を速度に転換します。では1,000フィートほど下降したら機首をあげて、パスマーカを水平ピッチの位置に戻してください。  9.水平旋回と直線上昇・下降を終えたら、つぎはその二つを同時にやってみましょう。例えば、自機を方位270(真西)まで水平旋回させ、機首が西を向いたら今度は方位090(真東)まで旋回しつつ高度を上げ、丁度2,000フィート上昇する、といったあんばいです。自分自身の限界を見定めて、機体を正確に操れるよう練習してみてください。  10.つぎは低高度での、対地高度1,000フィート以下での水平旋回です。この機動を行うにあたって、HUD高度計オプションを使います。コクピット右側の操縦桿の横に位置するHUD制御コンソールパネル(キーパッドの[ 6 ]を二回、つづいて[ 2 ]を一回押して視線を動かしてください)を見て、そこにある高度計オプション用の三点式トグルスイッチを"AOUT"の位置にセットしてください(図A1を参照)。しかし忘れてはならないのは、この作業をしている最中でも機体は絶賛驀進中ということです。地表近くでよそ見をしているとすぐに墜落してしまうのでよくよく注意してください。  ○低速度状況での対応  続いては"HARTs"と呼ばれる機動です。HARTsとは"Horn Awareness Recovery Trainig"の略であり、これはハイピッチ(高機首角)状態から回復するための、またその時の状況をパイロットに正しく認識させるための訓練です。45度以上のハイピッチで上昇しながら機速が170ノットをきると、コクピットには失速警告音が鳴り始めます。実際この警告音は、機首角と速度の相互関係に基づいて鳴るようになっており、図1-7はF-16で使われている失速警告音用の関数表です。しかし別にこの表を覚える必要はなく、単純に「ハイピッチ状態で機速が落ちてくると失速警告音が鳴る」とだけ覚えておけばいいのです。  図1-7 破線内が失速警告の許容範囲(この範囲を下回ると失速する)。縦=速度 横=機首角度(ピッチ角)  以下の記述に従って、HART機動の練習を行ってください。  1.15,000フィートまで上昇し、水平飛行にうつります。スロットルは75%にセットしてください。  2.操縦桿を引いて、HUD上のフライトパスマーカが70度のピッチラインに並ぶまで5Gから7Gほどで機首を引き起こします。パスマーカの動きは若干遅れるので、最初はガンクロスを基準にしながらピッチ角を調節します。迎え角が小さくなってくれば、パスマーカはガンクロスに重なります。最初迎え角が大きいのは、機首を引き起こしたことで機体に遠心力が生じている為ですが、その力は次第に弱まっていくので焦らずゆっくりと操縦桿を操作してピッチ角70度に合わせてください。図1-8は上昇の様子を示している図です。  3.機速が170ノットほどになってくると失速警告音が鳴り始めるので、機体が制御不能にならないようにゆっくりと180度ロールし、機体を上下逆反転させます(いわゆる背面飛行状態)。機体の上下が逆さになったかどうかは、HUDの表示を見ることで確認することができます。ピッチラインの端についている短い垂直線が真上を向いたら、それは機体の上下が反転したことを意味しています。  4.機体が反転したら、操縦桿をひいて機首を水平よりも下に向けます。一度機首が水平よりもさがったら、操縦桿から手を離し機首が自然とさがっていくようにします。ただし、背面飛行を維持して機体が傾かないようにしてください。  5.機速が150~200ノットくらいまで回復してきたら機体を再度反転させ順面飛行にうつり、3Gから4Gほどで機首を引き起こして水平飛行にうつります(パスマーカを0度のピッチラインに並べる)。  6.以上の要領を用いてこの機動に挑戦してみてください。ただし、ピッチ角が90度を超えてしまわないよう注意してください。またオービットビュー(キーボード上部の[ 0 ])を使うことで、低速度の機体がいったいどのように動くのかを外部から確認することもできます。  さて、これでこの「トレーニングミッション1」は終わりです。つづいてミッション2へ進みましょう。

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