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13. 文化奨励策 13.1. 連邦レベルでの奨励策 13.1.1. 恩恵 13.1.1.1. 資金移転協定
文化的プロジェクトを実行するため、文化省は、州、市町村および非営利の公 共・民間団体と協定を結ぶ。こうした協定は、国の歴史的・芸術的財産の回復 もしくは保存、図書館の設立、ショーの上演、映画普及の支援、造形美術の展 覧会等のプロジェクトを対象としたものである。提案は、それぞれの活動のた めに定められた基準に従って文化省の担当局が審査する。
詳しい情報を得るには、協定の提案を、関係する文化分野に応じて文化省のそ れぞれの局に送付する必要がある。それらの局とは、書籍・読書局 (Secretaria do Livro e Leitura)、歴史的遺産・博物館・造形美術局 (Secretaria do PatrimÙnio, Museus e Artes Pl·sticas)、音楽・舞台芸術局 (Secretaria da M ̇sica e Artes CÍnicas) および視聴覚作品局 (Secretaria do Audiovisual) である。
文化省のサイトで、プロジェクト提出用のプログラムをダウンロードすること ができるが、このプログラムは文化省の部局に請求することもできる。
13.1.1.2. ルアネット(Rouanet)法
国家文化奨励委員会 (CNIC) により承認されたプロジェクトは、企業および個 人の援助および贈与を受けることができる。また、これらの企業および個人は、 全額ではないが、与えた恩恵分を納付すべき所得税から減額することができる。 そうした処理は、法律第 8.313/91 号 (Rouanet 法) によって認められている。
同法によれば、その恩恵を求めることができるのは、文化的な性質を持つ営利 もしくは非営利の法人、企業および機関、ならびに財団 (FundaÁ„o)、独立行政 機関 (Autarquia) および協会 (Instituto) などの行政が間接的に管理する公益法人 である。ただし、適切な法人格と文化的性格を具備していることが条件である。 プロジェクトは、表現形式、創作・製作方法、ブラジルの文化遺産の保存・保 護方法、文化的現実の研究と解釈方法を開発すること、ならびに芸術的・文化 的財産と価値を知る方法の提供に貢献することを目的とするものでなければな らず、下記の分野を含む。
‐ 演劇、ダンス、サーカス、オペラ、パントマイムその他同種のもの。 ‐ 映画制作、ビデオ制作、写真制作、レコード製作その他同種のもの。 ‐ 参考図書を含む文学作品。
‐ 音楽。 ‐ 造形美術、グラフィックアート、彫刻、ポスター、切手収集その他類似のもの。 ‐ 民俗芸能および手工芸品。 ‐ 歴史的遺産、建築術上の遺産、考古学上の遺産、図書館、博物館、公文書保存
所その他の遺産を含む文化的遺産。 ‐ 人文科学。 ‐ 非商業的性格を持つ教育・文化的なラジオ・テレビ番組。
プロジェクトは、一般の人々に恩恵をもたらし、かつ法律で規定する分野・部 門を中心に置いたものでなければならない。文化的財産を人々が等しく利用で きるようにすることもこの法律の目的のひとつである。従って、一般の人々の 利用を容易にする仕組み (例えば、ショーへの無料入場、大衆的な値段の入場 券、図書館への図書配布、公開の美術展覧会、等々) がこの目的を履行するの に必要である。
法律第 8.313/91 号は、贈与者または後援者は、同法が定めた制度に基づいて承 認された文化プロジェクトのために実際に寄付した金額を、所得税の申告時に、 納付すべき所得税から以下のパーセンテージで控除することができるものと規 定している。
‐ 自然人の場合には、贈与額の 80 パーセントおよび後援額の 60 パーセント。 ‐ 実質利益に基づいて課税される法人の場合には、贈与額の 40 パーセントおよび
後援額の 30 パーセント。
さらに、企業は、贈与額と後援額の合計を営業費に含めることができる。これ によって、当該年度の企業の実質利益が減少し、結果として納付すべき税金の 額が減少する。納付すべき所得税から差し引くことのできる金額の合計は、法 人の場合、総額の4パーセントを超えてはならず、また自然人の場合、6パー セントを超えてはならない。
税制上の利益に加えて、後援者は、後援するプロジェクトによって、作品 (書 籍、レコード、彫刻、CD-ROM、等々) での返礼を得ることができる。プロ ジェクトによって生み出された芸術作品の受け取りは、制作されたものすべて の 25 パーセントに制限されており、受け取ったものは無料で配布しなければ ならない。
詳しい情報を得るには、関係する分野を管轄する局に出向くこと。また、プロ ジェクトは、所定の用紙を用いて、文化省、その地方事務所または文化省につ ながる団体の国家文化支援計画 (Programa Nacional de Apoio ‡ Cultura ñ PRONAC)
調整部門に提出しなければならない。 (そのためには、文化省と連絡をとれば 十分である。)
文化省のサイトでは、プロジェクト提出用のプログラム (これは文化省の部局 の 1 つで求めることもできる) をダウンロードすることができる。プロジェク トが省令 (Portaria) で承認された後は、プロジェクトに関する顛末報告 (計算・ 決算報告) をしなければならない。プロジェクトの顛末報告の作成マニュアル と書式も、文化省のサイトにある。
13.1.1.3. 視聴覚作品法
2003 年度末まで、文化省が承認したプロジェクトの販売権の持分を取得する ことによって独立制作のブラジル視聴覚映画作品の制作に対して行なった投資 は、法律第 8.685/93 号に従って所得税から控除することができる。特に視聴覚 分野の展示会、配給および技術的インフラストラクチャーのプロジェクトも、 同法律の恩典を受け取ることができる。しかしながら、不動産の取得、改修ま たは建設は認められない。
許容される控除は、自然人、法人ともに、納付すべき税額の 3 パーセントに制 限される。さらに、実質利益に基づいて課税される法人は、実施したすべての 投資を営業費として差し引くことができ、納税額の減少というプラスの結果が 得られる。
さらに、法律は、ブラジル国内における外国視聴覚作品の利用によって得られ た利益および配当の送金に課される税金の 70 パーセントの減額を認めている。 ただし、その資金が、予め文化省が承認したプロジェクトのなかで、独立制作 のブラジル視聴覚映画作品の共同制作に投資されることが条件である。
視聴覚作品法の奨励措置を受けるには、プロジェクトは必ず次の要件を満たす ものとし、かつ、宣伝的性格のものであってはならない。
‐ 全体の金額の 20 パーセントに相当する自己資金または第三者資金を持っている こと。
‐ 獲得最高限度は R$300 万であること。 ‐ 技術的・芸術的に実行可能であること。 ‐ 商業的に実行可能であること。 ‐ 完結期限を定めた上で、実行・返済段階の予算および物理的スケジュールが承
認されること。
詳しい説明は、視聴覚作品開発局 (Secretaria para o Desenvolvimento do Audiovisual) で得ることができる。文化省のサイトでは、プロジェクト提出用 のプログラム (これは文化省の部局の 1 つで求めることもできる) をダウンロー ドすることができる。プロジェクトが省令 (Portaria) で承認された後は、プロ ジェクトに関する顛末報告 (計算・決算報告) をしなければならない。プロ ジェクトの顛末報告の作成マニュアルと用紙も、文化省のサイトにある。
13.1.1.4. 旅行チケットの供与
文化普及計画 (Programa de Difus„o Cultural) による旅行チケットの供与は、資金 状況に応じて文化省が行なう。恩恵の対象は、ブラジルまたは国外で催される 文化的イベントに参加して自己の特定の作品を紹介するように招聘されたアー チスト、専門家およびブラジル文化研究者である。希望者の手続きとしては、 所定の書式に従って申請を提出することであるが、その用紙は、少なくとも 50 日前までに関係する局で入手することができる。
文化普及計画の対象となる分野は、舞台芸術、造形美術、音楽、歴史・文化遺 産、視聴覚作品、および人文科学であり、恩恵はもっぱらブラジル人および自 然人にのみ与えられる。グループの場合、旅行チケットはグループのリーダー が申請するものとし、申請書には、然るべく記入して署名した各メンバーの確 認用紙を添付する。
この計画に参加するのに必須の書類は次の通りである。
‐ イベントの組織団体が署名した公式招待状の認証済み写し。 ‐ イベントのプログラム、およびイベントに関する完全な情報が記載されている
文書。 ‐ 参加希望者の専門的な作品と資格について触れている 2 通の推薦状。1通は参
加希望者の活動分野の専門家が、他の1通は文化分野の著名な専門家が署名し たものとし、その署名者が誰であるか (職業および働いている団体) を証明する ものを添える。
‐ 参加希望者、および、グループの場合には、各メンバーの身分証明書および自 然人登録証 (CPF) の認証済み写し。
‐ 自らの活動分野における主要活動を強調した申請者またはグループの履歴書 (受 賞証書の認証済み写し、カタログ、印刷物、実際に行った公演のプログラムそ の他を添付) 。
‐ 申請者が記入し署名した申請用紙 (用紙は文化省の各局で入手できる) 。 ‐ 希望者および、グループの場合には各メンバーが記入し、署名した誓約書。
また、制限は次の通りである。
‐ 連邦、州もしくは市町村の公的な、またはそれらの利害を代表する任務に就い ている公務員は、恩恵の対象となれない。
‐ 舞台装置、作品および/または機器の輸送のための手当、日当、保険または援 助は支給されない。
‐ ショーの巡業には旅行チケットは供与されない。 ‐ 同一人物には、年に 1 回を超えて旅行チケットは供与されない。 ‐ 旅行チケットの供与については、対象となる人物の交代は認められない。
文化普及計画の規則によれば、受益者は、イベントの終了時に旅行チケットお よび搭乗券を返還し、また、帰国後 30 日以内に、自らの作品の上演 (展示) を 証明する書類 (フォルダー、カタログ、プログラム、刊行物) とともに、イベ ントへの参加について報告書を提出することが義務付けられている。
13.1.1.5. 返済を要する貸付金
提案が承認されれば、文化省の指定金融機関が、演劇・サーカスのショーの上 演、クラシック音楽もしくは器楽、コンパクトディスクの録音および文学作品 の出版に対して優遇条件で貸付金を与える。この返済を要する貸付金は、文化 的な性格を持つ私的な法人による舞台美術、サーカス、音楽および書籍の分野 を対象としている。
詳しい情報や各ケースにおけるプロジェクト提出期限については、音楽舞台芸 術局 (Secretaria de M ̇sica e Artes CÍnicas) で知ることができる。プロジェクトは、 ブラジリアの音楽舞台芸術局、リオデジャネイロの国立美術財団 (FundaÁ„o Nacional de Arte ñ FUNARTE) または文化省の地域代表部に自ら持ち込むか、ま たは郵送する。
13.1.1.6. “ヴィルトゥオーゼ”(Virtuose)奨学金
この芸術文化育成計画 (“ヴィルトゥオーゼ”奨学金) の目的は、芸術的およ び文化的制作に直接関連を持つ作家、芸術家および専門家に対して、ブラジル の国内外で育成奨学金を与えることである。この計画が意図するところは、こ うした専門家の自己完成を支援して、彼らの労働市場における仕事を向上させ ることである。恩恵の対象者は、選考手順を踏んで選ばれるが、その選考手順 では、希望者の経歴、その育成プロジェクトの質および/または自己完成プラ ン、ならびに選択した学校のレベルが考慮される。この計画に含まれる分野は、 舞台芸術、音楽、造形美術、歴史・文化遺産、視聴覚作品および文学である。
芸術的制作および文化的制作に直接関連のある芸術家、作家および専門家で、 ブラジル人で満 30 歳に達し、専門的な実績と希望するコースまたは研修の受 入れが証明されているものが申し込みをすることができる。奨学金の期間は、
申込者の育成および/または自己完成プランならびにコースおよび/または研 修の計画に合わせて 3 ヶ月から 12 ヶ月である。この奨学金は、奨学生が向上 を示していることおよび更なる期間が必要であるとの当該育成施設発給の証明 書があれば、1 回のみ、最長 6 ヶ月の延長が可能である。ただし、期間更新は、 文化省の予算に左右されることがある。
申請は、申込者の育成分野に応じて、文化省のそれぞれの局に送付するものと し、書類は、登録期限日までに1通のみを一回で文化省に送らなければならな い。各分野に必要な書類を知り、奨学金の申請用紙を入手するには、文化省に 行かなければならない。
13.1.1.7. 楽器の寄贈
この目的は、楽団に楽器を贈与し、指揮者の能力養成コースを提供し、楽器を 保存して、ブラジル国民の音楽的育成を刺激することである。申請は、文化省 の音楽舞台芸術局に対して直接行なわなければならない。また、希望者は、所 定の書式を用いて自らのプロジェクトを提出しなければならないが、その用紙 は、同局または文化省のサイトで入手することができる。
13.2. 寄付の方法
13.2.1. 自然人
プロジェクトが寄付金を受け取るには、そのプロジェクトがメセナ・プロジェ クトバンク (Banco de Projetos do Mercenato) および/または国家文化財団 (Fundo Nacional da Cultura - FNC) に登録されていなければならない (また、どれを支援 するか決めるために、すべてのプロジェクトを知りたい場合には、文化省を訪 れなければならない) 。登録に関心を有する者、芸術家、プロデューサー、公 的/私的施設は、自らの文化的プロジェクトを文化省に提出する。同省は 60 日以内に意見書を出す。この最初の評価を通れば、当該プロジェクトは法律の 規定の枠内にあることが保証され、受け取った資金やプロジェクトの実行を管 理することが認められる。
国家文化財団に対して寄付をすれば、公的団体のプロジェクト全体を支援する ことになる。特定の私的なプロジェクトまたは企業プロジェクトを支援したい 場合、その寄付金はメセナ・プロジェクトバンクの範疇に分類される。いずれ の場合にも、自然人は寄付金額の 80 パーセントを所得税から差し引くことが できる。ただし、差し引かれた金額が当該年度の納付すべき所得税の6パーセ ント (または、他の理由の贈与も行なっている場合は5パーセント) を超えな いことが条件とされる。
様々な寄付の方法:
1) 文化に対する贈与でプロジェクトを特定しないもの。振込み証明に氏名と 自然人登録証 (CPF) 番号を記入して、ブラジル銀行にある FNC 名義の口 座 (当座預金口座番号: 170.500-8、支店番号:3602-1、識別コード: 42000134902004-5) に振り込むことによって国家文化財団に直接行うこと ができる。この振込み証明書を確定申告書に添付することは法的に有効で あり、所得税を減額することができる。
2) プロジェクトバンクで、贈与を行いたい特定のプロジェクト、および関心 のあるプロジェクトを探すことができる。このプロジェクト・バンクには、 各プロジェクトが概要、どの分野かが、個々のプロジェクトの総金額や、 芸術家、プロデューサーもしくは担当団体の名前および贈与対象となる分 野とともに登録されている。いったんプロジェクトを選択すれば、その後 は、国家文化財団に直接コンタクトするだけである。プロジェクト・バン クを訪れるには、文化省にコンタクトする。
13.2.2. 法人
税制上の恩典を受けるには、投資家は、国家文化奨励委員会 (CNIC) を通じて、 文化省の承認を得ているプロジェクトを選択しなければならない。そのために は、文化省に直接コンタクトして、承認を受けているプロジェクトを知る必要 がある。承認を受けたプロジェクトは毎月更新される。法人による支援の場合、 所得税の減額は 4 パーセントまでとなる。
情報源:文化省







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最終更新:2010年12月15日 17:58