The Mystery of Capital

"The Mystery of Capital WHY CAPITALISM TRIUMPHS IN THE WEST ANDO FAILS EVERYWHERE ELSE"
(HERNANDO DE SOTO,2000)
『資本主義の謎』(エルナンド・デソト著)第1章〜第4章(p107)のレジュメ 
5/13 担当 花田勝暁

エルナンド・デソト──ペルー出身の経済学者。シンクタンク・自由民主協会(Instituto Libertad y Democracia)の所長。本書も同シンクタンクをベースにした世界的な調査の基に執筆されている。

第1章──資本主義の5つの謎 
●本書のテーマ 
 本書で、発展途上国や旧社会主義国が、資本主義の恩恵を受けるのを妨げている要素を示すつもりである。資本とは、労働の生産性を高め、国家の利益を作り出す力である。(p5)
 また、貧しい国の貧しい人々が、資本主義に繋がっていくべき財産をすでに所有していることも、データに基づいて示していく。(p6)
 本書は、資本となるソースを探し、貧しい国が経済的失敗をどのように正せばいいかを説明する試みだ。この経済的失敗は、文化か遺伝とは全く関係ない。(p10)

 その妨げている要素とは──資本主義が成功していない国では、所有権がないから財産が資本にならない。所有権がないならば、死んだ死んだ資本。所有権がないことが、十分な資本主義が育たない本質的な理由である。(p7)
 所有権がなければ、資本主義が機能するしない。なぜか? このことを指して、デソトは「資本主義の謎」と言っている。この謎を解決するには、先進国が所有権からどのように資本を生んできたのかを理解することが必要だ。(p8)

●資本主義の5つの謎①情報がない謎②資本主義の謎③政治認識の謎④アメリカの歴史を学ばない謎⑤法の失敗の謎:どうして適切な方が先進国以外以外では機能しないのか(p12,13)

第2章──なぜ情報がないのか
●1950年以前、第三世界の経済は農作が中心だった。1950年以降、経済革命を行い、ヨーロッパの1800年頃と似たような社会的経済的混乱がうまれた。人口は都市に集中するようになった。が、都市がその人たちを受け入れるには変化が急激で急激で、流入した人々はインフォーマルな方法で住み、インファーマルに仕事をはじめた。(p16,17)
 そして現在まで、都市のインフォーマルな人々はインフォーマルな人々のままであるが、現在、インフォーマルな人が、フォーマルになるにはどれだけのコストがかかるかを、デソトは実験で示している。(p18〜p24)
 ペルー、フィリピン、エジプト、ハイチでの実験例。→フォーマルであることが難しいのと同様、フォーマルになることも難しい。人々は適切な法のもとのシステムから逃れていく。一度インフォーマルになった人は、インフォーマルな世界で行き続けるしかない。その世界は、貧困お中心となっている世界である。(フォーマルであることが難しい例として、ベネズエラとブラジルの例、p23)

●死んだ資本がどれだけあって、どれだけの価値があるのか?(p25〜p35)
 客観的に判断するために、不動産を対象に世界で調査を行ったところ、世界には、9兆3千億ドル相当の財産が、インフォーマルな状態である。この金額は、アメリカ合衆国のお金の全供給額の2倍であり、先進20カ国の全企業の株価の総額にほぼ等しい。→インフォーマルな人々、インフォーマルな財産の中にこそ、貧困の解決策がある。

第3章──資本主義の謎
 資本主義の謎の大半は、貯蓄されたお金や投資されたお金と“資本”を同義語と考えることをやめることで消滅する。第3世界や旧社会主義が資本をうみだせずにいるのは、お金だけで資本主義を整備しているからだ。(p41〜p42)
 アダム・スミスが示していたように、資本は固定されて現実化されたものでなければならない。その点で不動産は資本の代表的なものだ。(p39)
 資本は、転換のプロセスを経て追加的な価値をうむものである。ならば、不動産を資本に転換するには、どうすればいいのか? 先進国ではあたり前の日常的なシステムが、資本主義の最もベーシックな部分だと気づかないできてしまった。(p42)

●先進国の資本主義を成り立たせている6つの効果(p47〜p62)
①資産の経済的ポテンシャルを定める
②分散した情報を1つのシステムに統合する
③人々を責任ある主体にする
④資産を様々な用途に用いることを可能にする
⑤人々を広範なネットワークに結びつける
⑥取引を保護する
 この6つの効果によって、不動産は単に雨風を防ぐものではなく、資本として機能できる。この6つの効果は不動産の経済的価値を知る事を容易にしていており、また、不動産がより多くの価値をうむことへの社会的な同意となるからだ。資本主義は、これらの効果を前提とする複雑で強力なフォーマルなシステムが必要だ。(p62〜p65)

第4章──政治認識の謎
 第3世界や旧社会主義国の政治の中には、インフォーマルの問題に対処してきた国もあるが、それを個別な問題と考えて対処してきたことで、根本的な解決になってこなかった。世界的な変化の中で問題に直面しており、西欧での2世紀前の産業革命と同じような状況にあるが、違いは人口と変化の早さである。
 発展途上国と旧社会主義国は、変化に持続的に対応できるシステムを作るか、インフォーマルな混乱な生活を続けるかを選ばなければいけないし、選択肢はこの2つしかない。(p74)
○盲目点1
 今日の資本主義の外の世界──近年の諸国の実態
○盲目点2
 旧来の資本主義の外の世界──産業革命期の実態

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最終更新:2010年10月27日 07:00