政治風土の変化

政治風土の変化__堀坂浩太郎

 1985年の軍事政権から文民政権への民主化以降、汚職糾弾などの政治情報の増大、北東部の政治州に対する南東部の経済州の発言力強化、電子投票など選挙過程の改善などによって政治風土は急速に変化している。2002年総選挙でカシケ(cacique、親分)と揶揄される地縁的政治基盤をもった大物政治家が相次ぎ落選したのもその表れである。ただブラジルの伝統的政治形態を表す下記のような用語が死語となっていないのも現実である。

◆コロネリズモ(coronelismo)
 帝政時代の民兵組織に起源をもつ用語で、寡頭制の基盤を成す地方ボスの政治。ボス的政治家をコロネル(coronel、大佐)と呼ぶこともある。

◆クリエンテリズモ(clientelismo)
 大土地所有制の家父長主義(paternalismo)に端を発する有力者(patrao)が個人(cliente)や住民に利益を享受し、その対価として服従や支持を取り付ける恩顧主義の政治。

◆ペルソナリズモ(personalisomo)
 カリスマ性をもった有力指導者の個人的意向が強く働き、その結果、その指導者に権力が集中する政治。

◆ポプリズモ(ポピュリズム)(populismo)
 所得の低い大衆層を味方につけることを意識した政治で、政治指導者のカリスマ性や財政資金、権利付与などがそのために利用される。転じて大衆動員の政治運動を指す。

◆コルポラチビズモ(corporativismo)
 ヴァルガス政権時代にイタリアのファシズモを模倣し、国家の下に使用者・労働者それぞれに官製組合を結成し資本・労働両階級を体制内化した政治制度。日本語ではコーポラティズムが使われる。

◆パネリーニャ(panelinha)
 鍋(panela)から発した用語で、経済的・社会的・政治的な共通利害によって結びついた閉鎖的・排他的なグループ。非公式な形で政治に影響力を及ぼす。教会(igreja)から派生した用語のイグレジーニャ(igrejinha)が使われることも。







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最終更新:2010年10月22日 20:02