100512発表資料

総合国際学研究科 博士前期課程 地域・国際専攻 地域研究コース 2年 花田勝暁
2010年5月12日(水)

研究テーマ 
 →ブラジルの文化政策〜企業による文化支援を振興するRouanet法を中心に〜
  Cultural Policy in Brazil〜the Law Rouanet Promot the Art Sponsorship〜

進捗状況、近況
 春休みにブラジルに1ヶ月滞在し、文献収集とインタビュー調査を行った。修論の概要を想定しながら、現在文献を読み進め(重要な文献は全体を逐語訳しながら)ているところ。

■ブラジルでの調査
◆インタビュー
●MANOEL MARCONDES NETO氏:UERJ教授、ブラジルの文化政策の専門家
Doutor em Ciências da Comunicação pela USP, professor da UERJ, autor do livro "Marketing Cultural: das práticas à teoria" (Ciência Moderna) e editor do site www.marketing-e-cultura.com.br na Internet.
●文化省の職員(録音拒否)
●Alvaro Magalhães:大学教員、元広告代理店勤務
Atuou em grandes agências de Propaganda e RP, com premiações nacionais e internacionais. Foi coordenador de PP na UGF. É professor na Faculdade Salesiana e consultor da MBO/Escritório de Negócios. Mestre em Psicologia Social (UGF), especialista em Marketing (ESPM) e graduado em PP e RP (UFRJ, 1979).
●Marcos André
リオ州政府 文化局のコーディネーター Coordenadoria de Economia Criativa
●Mariana Maia
音楽プロデューサー:*実際の審査通過プロジェクトの申し込み書類一式を預かった
●Maria Braga
音楽プロデューサー:*実際の審査通過プロジェクトの申し込み書類一式をメールで送ってもらう
●Juliana Lima
Universidade Federal Fluminenseで文化政策を学ぶ学生

※ペトロブラスの文化担当の連絡先はわかったが、時間がとれなかったので、後日メールでインタビューする予定。
※コンタクトを予定している人 
 Julio Augusto:プロジェクト申請に関する民間講座の講師、企画を通す専門家
 Lu Araújo da Lumearte:同じく企画を書く専門家
※その他数人の音楽プロデューサーとのコンタクトも入手 

◆文献収集
●リオの国会図書館、UERJで、文献探し
●USPで、インターネット上にない論文のコピー、文献探し
●リオ、サンパウロの書店・古本屋での文献探し
 入手文献(ごく一部、現在部分的に翻訳中のもの)
  "ECONOMIA DA CULTURA" Isabela Cribari (Org.) Editora: Massangana
  "CULTURA E DEMOCRACIA ──CADERNOS DO NOSSO TEMPO NOVA SÉRIE Vol.1" Editora: FUNAC
  "GUIA DO INCENTIVO À CULTURA" Fábio de Sá Cesnik,Editora: Manole 

○取材(ラパ地区の近年の文化的な急激な振興についてのレポート(7000字)[ラティーナ5月号に掲載]
 :ミュージシャン3人にインタビュー

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■修論の輪郭

○ブラジルの公的文化機関の歴史 *現在翻訳中
○ブラジルの文化支援優遇政策の歴史(ブラジルが参考にした国との比較を交えて) *現在翻訳中
 →ブラジルは文化をどういう目的でどう扱ってきたのか

中間まとめ ブラジルの文化支援の長所短所


○Lei Rouanetの仕組みについて詳しく
○もし申し込もうとしたらどういう手続きが必要なのか、その実際

ペトロブラスの申し込み要件全訳

実際の審査通過プロジェクトの申し込み書類一式


○Lei Rouanetに基づく支援の実体、問題点

○改正の議論、存続の議論
 Em 2010 a Lei Rouanet deve sofrer mudanças. O projeto já foi enviado ao Congresso pelo Governo. Dentre as principais mudanças está a criação de um fundo de R$ 800 milhões gerido pelo Minc, e também uma contrapartida de pelo menos 20% de recursos próprios das empresas nos projetos (atualmente a lei isenta totalmente os investimentos).

○ブラジルの描く理想を達成するにはどうすればいいのか?
 ブラジルの文化支援から学ぶべき点

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■ブラジルの文化支援優遇政策の歴史

1810年に、ジョアン6世が国立図書館を設立
20世紀の中頃に、エリートは支援の必要性を唱えたが、公的な大きな動きにはならなかった。
1990年代の終わりになって、文化支援の公的政策が生まれた。
以前のアメリカの政策を手本にしている。アメリカでは、1917年に税の控除による文化支援政策を開始し、70年間実行した。86年に廃止した。このモデルはヨーロッパと大きく違う、ヨーロッパでは今日まで国による巨大な投資がある。
アメリカが、当時分かを支援したのは、ヨーロッパの財産をアメリカに持ち込むためだった。この政策のおかげで、アメリカは、文化を輸出する国になった。

ブラジル:1940〜50年に、2人の起業家によって、サンパウロにMAMやTBC、CInemateca Brasileira、MAC等が作られる。
少し遅れて、MASPが作られたが、これは新聞社のオーナーが新聞広告と交換条件に寄付を募った。
同じような課程で、リオにMACが作られた。ShellやBanco do Brasilもこの時期に文化支援に乗り出した。

が、政策的な支援はなく、この流れは消えていく。エリートが上流階級社会における個人の威信において文化を支援していたこの流れは、政策によって資源面での仕組みを確立させる必要があった。

1986年に、税制優遇による文化支援法であるサルネイ法が施行される。90年まで続いたが、システムに大きな問題があり、汚職の温床となった。
90年発足のCollor政権によって、文化省が廃止され、文化に関する財源が全くなくなった。
同年、サンパウロ市において、文化関係者が中心となり、メンドンサ法ができる。サンパウロにおける税制優遇による文化支援法。
91年、共和国の文化局の最高長官だったルアネーは、ルアネー法の施行を達成させる。これが、今日までのブラジルにおける文化優遇政策のベースとなっている。行政と予算審査の透明化、プロジェクトの登録又内容の分析、決算報告における厳格化。
92〜94年までは、あまり有効には機能しなかった。広報不足が原因で、システムが浸透しなかった。
95年にFHC政権になり、Francisco Correa Weffortが文化大臣に。文化省に、文化支援局を設置。大統領や、通信大臣通信大臣の後押し。
プロジェクトの申請や資金の調達を専門にする人が増える。
州知事や市町も刺激を受け、文化支援の意識が広がる。当時においては、バイーア州における支援が目立っている。
01年には、AVの分野で、ANCINEが設立される。
03年に、ルーラ政権に代わり、ジルベルト・ジルが文化大臣になってからも、修正の必要性を尊重しながらもルアネー法の基本路線は維持。

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最終更新:2010年10月27日 06:57