メモ


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章立て

0 序章

1-1 ブラジルの公的文化機関の歴史

1-2 ブラジルの文化支援優遇政策の歴史

1-3 メセナ法の目的/仕組みの概説とブラジルの多文化主義

2-1 他国との比較1

2-2 他国との比較2

2-3 比較から見えてくる「ブラジルは文化をどういう目的でどう扱ってきたのか」

3-1 メセナ法の仕組み

3-2 申し込み手順 ペトロブラスに申し込むとして
   実際の審査通過プロジェクトの申し込み書類一式

3-3 マーケティング・クルトゥラル
  (プロジェクトが如何に文化的に意味があるかという点が競われ、支援されるプロジェクトが決定される)

4-1 メセナ法に基づく支援の実体

4-2 問題点

まとめ ブラジルのメセナ法の独自性

※インタビュー資料どこかに組み込む


●"Guia do Incentivo a Cultura" Fabio de Sa Cesnikの紹介文(Ricardo Ribenboim 彫刻家で、Itau文化機構の元最高長官)
ブラジルのような国で、文化を仕事にするというのはかなりの挑戦だ。
ある面では、国民とその芸術の多様性と創造性に特徴づけられるように、芸術文化資産の豊かな国であるが、別の面では、根深い社会の不平等を抱え、そのことは、必ずしも文化財へのアクセスが開かれていなく、民主的でないことの、原因となっている。
全ての文化活動は、この不平等をかなり意識して規律づけられなければならず、文化活動を成熟した市民社会を形成するために貢献するようなものに変わらなければならない、ということはあたり前のことである。
そして、文化の普及が、段々と、優遇政策を通じて可視化されてきているかもしれないことは、言及する価値がある。

この国で芸術プロデュースを仕事にしている人々にとっての
desafio挑戦(利点)の1つは、この活動を職業化してきたことである。年々、確かで信頼しうるものに変わってきた。
アートや文化は、仕事や収益率の高い製品を生むということを私たちは知っている。そして、それは他のどの経済活動とも同じように、資源を動かす。

~~

メセナの歴史からはじまり、その歴史の中で、この活動を方向付けてきて経済的観点や社会的観点を考察しながら、彼は文化優遇支援に関して、ブラジルの出版界の中で、最も幅広い意図をもって、解説する。
文化プロデューサーや、芸術家、またこのテーマに興味を持つ人にとっての、真に役立つガイドが登場した。
例や、データが豊富で、コンセプトや支援された文化活動の紹介がある。
しかも、市場において専任化を進めることとなった合法的な定石の他に、自分のやりかたや予算を示しながら。
また、資金集めという骨の折れる仕事に関係した明確で正確な示唆にも、私は注目したい。



●ブラジル連邦憲法では
1988年に、no art.215で
市民は、全ての人に、文化権と、ブラジル文化の予算、芸術表現の価値づけや普及の奨励へのアクセスがあると保証している。




文化政策の展開

p140
民間のメセナ活動
● 1980年代の後半頃から、企業等において、企業市民としての自覚(コーポレート•シティズンシップ)のもとに、社会的貢献(フィラントロピー)の一環として、メセナの名による文化芸術への支援が積極的に行われるようになった。このような背景のもとに、1990年、(社)企業メセナ協議会が設立された。
 企業メセナ協議会は、①芸術文化支援等に関する啓発•普及•顕彰、②芸術文化支援に関する情報の収集•配布•仲介、③芸術文化支援活動の調査•研究、④海外の同種の機関との情報交換•交流、などの事業を行っている。特に、②に関し、1994年に同協議会が特定公益増進法人に認定されたことに伴い、同協議会が認定した芸術文化活動に対する企業・個人からの寄付金には税制上の優遇措置が適用されている。
 同協議会を通じて行われた寄附の2000年度以降の推移は、表9-3に見るとおりである。2002年度、2003年度に一時落ち込んだが、近年は増加の傾向にあり、2004年度には6億4,932万円(同256件)、2005年度には7億6,581万円(同234件)となっている(㈳企業メセナ協議会資料)。
 また、同協議会が行ったアンケート調査によると2000年度以降の企業のメセナ活動の推移は、表9-4に見るとおりである(㈳メセナ協議会「メセナレポート2005」)。メセナの実施企業は一貫して増加しており、また資金援助であるメセナ活動費も2001年度に一時落ち込んだものの、2002年度以降は着実に増加している。
 企業にメセナ活動は、資金援助のみならず、人材派遣や場所・機材の提供などの非資金協力の形態をとることも多く、今日、着実に定着しつつあるといってよいであろう。

p144
●民間を含む支援の枠組みの必要性
 国(文化庁、芸文振)による芸術文化活動への支援の構造は以上のとおりであるが、前節で見たように、今日、企業等民間のメセナ活動による支援が活発化し、着実に定着しつつある。また、第1章、第2章でも触れたが、このような民間の動向は、芸術文化活動への支援の新たなあり方を提示した。それは、これまで国(地方公共団体)と文化芸術団体ニ者間の関係のみであった支援体制が、民間企業等を含めた三者間の関係に転換したことである。このため、今後は、公・私の間の連携と相互の役割分担を図ることが必要となっている。すわわち、国(地方公共団体)・文化芸術団体・民間企業三者間の連携(パートナーシップ)により文化芸術を支える新たな仕組みを構築し、定着させることが要請される。
 芸術文化助成財団協議会を構成する助成団体の助成の分野・対象は表9・5に見るように、極めて多様性に富んでいる。頂点を高める方向を志向するものもあれば、裾野を広げることに重点を置くものもある。また、企業メセナ活動も同様に、助成の内容は多岐にわたっているものと考えられる。そして、これら民間の助成活動は、それぞれが独立性を保ちつつ、独自の立場から行われている。その意味で、公・私の間を横断する包括的な支援の枠組みを構築することは容易ではない。
 しかしながら、例えば、民間においては、公の関与が困難な先駆的・評価未定の領域を主たる対象とし、一方、国(地方公共団体)においては、芸術文化活動や文化芸術団体の性格、成熟度の度合いにより支援の内容に強弱を加えるなど、支援の対象と方法の構造化を図ることにより、相互に補完し合う仕組みを構築することなどが考えられる。
 芸術文化活動の支援は、基本的には公的部門が担わなければならないとすれば、文化庁および芸文振による支援行政は、いわば正規軍に位置づけられる。一方、資金源の多元化による自律性の確保や幅広い一般の支持を得るうえで期待される民間部門による支援は、遊撃軍と見なすことができる。正規軍は、全体的・総合的な観点に立って戦術を行使しなければならない以上、そこに空白の部分が生じることは否めない。遊撃軍は、その空白を埋め、間隙を縫う作戦の展開が可能であるとともに、場合によっては初動作戦も積極的に実施することができる。
 いずれにしても、前項で見た国による支援の三層構造に加え、民間のメセナ活動による支援を効果的に組み合わせた包括的な支援の枠組みの構築が望まれるところである。