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ss2-02 奇襲──夜ノ砂漠ニ煌メク者──

惑星シャーオック・ドルグ基地近辺

そこに、二人の男が立っていた。

「……それで、なんでおめぇは部隊旗なんて付けてんだ」

「言ってなかったか?今から俺はアビアティックだ。…こんな感じか」

足元に置いていた六連ミサイルランチャーとデビルレーザーを手に取り、転送装置の前まで来る。

「本当に、俺ら二人でやる気か?」

「俺はそのつもりだがよぉ、まあ、その辺は好きにしていいや」

「……」

ティーガは懐から無線を取り出し、何やら話しこんでしまった。

「目標は惑星ガルド。前の拠点と同じ地点だから、ルートは俺の頭の中に入ってる」

「やるしかねえな…チッ」

舌打ちしてから、ティーガも両腕にシングルガンを握り込んだ。

後ろからガサガサと足音が聞こえて来、ティーガがそれらに目配せする。

次にヴァンガードにアイコンタクトし、転送装置が起動した。





ドルグ基地内・ヴァンガード個室

「あれえ?ヴァンガード様は…」

「これは、アルテミス様。ヴァンガード様は、さきほど惑星ガルドへ用事があると……」

「ガルドへ?」

「ええ、なんでも、アビアティック様を狙う天使軍の部隊の奇襲に行くと…」

「そうですか…」

意気消沈しながら、アルテミスは既に決断していた。

(ガルド行きの小型ジャンプ…確か部屋に…)

思案しながら不審に部屋の隅を探るアルテミスを見て、デルザイルが心配そうに声をかける。

「アルテミス様?」

「あった! あ、えっと…、なんでもありません。失礼します…」

「はぁ…」

釈然としない表情を顔面に貼り付けたデルザイルが、アルテミスを見送る。




夜、惑星ガルド・天使軍基地から近い、小さな拠点。

拠点とは名ばかりで、外見は工場、内部も基地とは言えず、建設途中で骨格はむき出し状態で、なんの機能を果たしていない。更に光源はなく、内部は所々に穴のあいた屋根の部分から、星の光が入ってくる程度である。

そんな薄暗い空間の中で、一名の新参天使軍ロボ・ゼロファイターと、悪魔軍を裏切り、密かに反乱を企てるこれまた下っ端のロボ・デルゴンが会話を続けていた。

「しかし、今の戦力で本当に、その…DF部隊のナンバー2を倒せるのか?」

デルゴンが不安そうにゼロファイターに問いかける。

彼らの後ろには、数名のデルビン・フログランダーなどの両軍の下級兵が入り混じっており、更にその奥に、大きな影が鎮座していた。

「大丈夫さ。アーヴァンって奴の情報だと、ナンバー2はマヌケな野郎らしいからな」

幼そうな声で、ゼロファイターが返答した。

「信用できるのか?その、天使軍のアーヴァンと言う奴は」

不安を拭えず再び問いかけるデルゴン、しかし、自信たっぷりにゼロファイターは意見を通す。

「もちろん。なんたって俺の先輩だぜ」

「し、しかしだな…」

「諦めろ、デルゴン。俺達にはもう、これしか道はない。そうだろ?」



「ああ、確かにテメェらにゃ、この道しかねぇだろうがよォ。ここで果てていく道しかな」

ドスの利いた低い声が、入口から響いた。

「何者だ!」

即座にデルゴンが反応し、目配せで数名のデルビンをデルゴンの前に出す。それを見て、フログランダー達もゼロファイターの前まで出てきた。

以降無言のまま入ってくる侵入者。その侵入者に光が当たる。

同時に、再びデルゴンが目を見開き反応した。

「その部隊旗…ドルグの精鋭…DF部隊か!」

「俺は、ティーガってもんだ。まあ、俺が来た理由は解るよなぁ? ……裏切り者共」

力の籠った最後の一言に、実際に裏切った悪魔軍たちは震えあがる。

「ふん、精鋭だろうが、この戦力の前に一人で現れるとは、流石のバカ組織だな!」

突然の目標乱入に少し焦ったゼロファイターだが、今の絶対的有利な状況を思い出し、精神的優位に立とうとする。

「残念だが、俺はそこにいる馬鹿と違ってバカじゃねえ」

「ひでぇよなァ、馬鹿なんてよぉ」

しかしその返答は、すぐ後ろから聞こえてきた。

「な、な───」

振り返ったゼロファイターのボディに、レーザーが撃ち込まれる。装甲は一瞬で蒸発し、そのまま貫通、爆散してしまった。

「俺様はアビアティック。てめぇらが嗅ぎまわってる部隊の幹部役の一人だ」

部隊旗を翻しながら、リーダーをやられて一斉に襲いかかったフログランダーにミサイルを放つ。

「で、俺は殺し合いに一人で行くほど馬鹿じゃねえから、手下をわんさか連れてるわけだが」

ティーガの声から一瞬遅く、少し小さな入口が破壊され、大きく開いた穴から大量のゴライアスが侵入してくる。

爆音と同時に手下のロボが散っていき、裏切り者であるデルゴンは劣勢を強いられていた。

「ば、馬鹿な、あいつ、あんな事言っておきながら……チィッ、コイツは最後まで使いたくなかったが、やっちまえ!」

「あん?」

目を細めながら拠点の最奥に目を向けるデルファイター。その先の、蒼色の眼光を宿した鴉が、静かに立ちあがった。

「アイツは…ッ」

アイツは。



───夜空を覆い尽くしてしまう程の、漆黒の夜鴉だった。