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薄暗い通路に甲高い金属音を響かせて、その赤いポニーテールの女は繰り出されたクローを槍で弾いた。


「やはり、消しに来ますか」


腰を落として再び槍を構え、敵を見据えるグレイヴ。


(マズイ、ですね・・・。この狭い通路で三対一とは)


対峙するのは三人の天使ロボ。

それぞれが全身に青い迷彩を施した、特殊部隊の一員であった。

その中の一人、ロブガイズが口を開く。


「悪ぃな、ネエちゃん。協力者を殺めるなんてこたぁ正直後ろめたいんだが、アンタらを始末しろってお達しなもんでね」

「別に、こちらとて裏切り者のようなモノですし」

「ハッ、裏切り者同士ってか?なら容赦はいらねぇんだな」


すかさず、再びクローを前面に繰り出すロブガイズ。

ふらりと避けたグレイヴだが、今度はタラバトロンがナイフを横薙ぎに振るう。

槍を両手で下に向けてナイフを受け止めると、その態勢のままタラバトロンのわき腹に向けて蹴りを放つ。

とっさの防御姿勢を取り損ね、もろに蹴りをくらったタラバトロンは後ろに揺らぐ。

両足をつき、追撃を加えるべく槍を構えようとしたグレイヴ。

そこを、横からの衝撃が襲った。

ロブガトロンの巨体から放たれるクローアームの殴打が、グレイヴを吹き飛ばす。


「ぐ、うっ!」


壁に打ち付けられたグレイヴが痛みに呻いた。

槍は手を離れ、カラカラと乾いた音を立てて離れた場所に転がる。


「今だ、やれ!」


ロブガトロンが後方で構えていたセタシオンに叫ぶと、二人の天使ロボは通路の端に飛び退いた。

顔を上げたグレイヴの視界に入ったものは、まっすぐ自分に向けられたセタシオンのレーザーキャノン。


「、っ・・・!」


その時だった。

セタシオンの後ろから小さな黒い影が飛び出し、そぉらっと掛け声とともにパンと音を立てて鉄杭を上からセタシオンのボディに向けて打ち込んだ。


「ァ、ガッ・・・」

「なっ・・・!」


ボディを貫かれ崩れるセタシオンを踏み台に、タラバトロンに向かって続けざまに炎の矢を放つ黒い影。

赤い眼をした黒く鋭利な小型のボディ――ジュピターだった。

三本の炎の矢がタラバトロンの腹部装甲を焼く。

腹に穴をあけたタラバトロンが呻きながら倒れると、そのジュピターはブーストを噴かしロブガトロンに一気に接敵する。


「ちっ、くしょ・・・!」


ロブガトロンが歯ぎしり混じりにクローアームを展開させると、鋏から銃口が覗いた。


「うわわっ、あぶねぇっ」


すかさず放たれた弾をその小さな体で回避するジュピター。


「ちょこまかとよォ!」


大ぶりで振りまわされるクローをひらりとかわし、ジュピターは再びパイルバンカーを装備した腕を突き出す。


「もらった・・・!」


二度目の火薬の音とともに、鉄杭がロブガトロンの腹部に叩きこまれた。

その瞬間、横殴りの衝撃がジュピターを襲う。

ロブガトロンの巨大なクローの殴打に、ジュピターのボディは吹っ飛ばされる。


「ッ・・・浅過ぎたな、俺の装甲を貫くには」


床に転がったジュピターにクローから覗く銃口を向けて吐き捨てるロブガトロン。


「手間取らせやがっ・・・ぐっ!?」


ロブガトロンが突如目を見開き、動きを止める。


「こ、これで・・・」


吐息混じりにグレイヴが呟く。

背後からグレイヴの渾身の突きを受けたロブガトロンの身体は力を失う。

グレイヴが槍を引き抜くと、支えを失った彼はそのままガクリと四つの膝を折り床に倒れた。


「救援、ありがとうございます。助かりました」

「あ、いや、オレの方こそ・・・」


薄暗い通路で二人は初めてお互いの顔を認識し、そして――


「」

「」


絶句した。





「はぁ・・・」


デルファイター=ヴァージニアは満たされなさを感じて、ひとつため息をついた。

彼の周りに散らばるのはオイルの飛沫と、青い金属の塊。

4人の天使軍ロボのうち隊長格らしきガクゥーンともう一人の隊員には辛うじて息があるようだが、ヴァージニアにとってはどうでも良いことだった。

ヴァージニアはもうひとつため息をつくと、再びビームアクスを引きずり歩きだした。

ビームアクスがガリガリと音を立てて床に痕を残す。

全然楽しめない。

隊長格であるらしいガクゥーンはそこそこの腕であったようだが、それでも彼を満足させるにはまだまだ足りなかった。

せっかくの戦場だというのに、普段とたいして変わりやしない。

その強さを持て余したまま、ヴァージニアは辟易していた。


「よぉ、総司令」


2分ほど歩いたところだろうか、ヴァージニアは声をかけられた。

顔を上げてぼんやりと声の主を見るヴァージニア。


「あびあん・・・?」

「どうだ、派手にやったみたいだが、少しは楽しめたのかよ」


あびあんと呼ばれたデルファイターは壁に背中を預けたままこちらを見るでもなく言葉を投げかけた。

ヴァージニアは彼の前を通り過ぎながら返す。


「あんまりだめだったよ。一人はまぁまぁだったけど、あとはぜんぜんだね」

「そうか、それはさぞ残念だろよ」


デルファイター=アビアティックは彼の後ろでケタケタと笑うと、言葉を続けた。


「それじゃ、次は俺様の番だ」

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