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「あ、あの。大佐、ポイーンへ向かっていた強襲部隊が先ほど任務を終え帰還したようです・・・」


惑星シャーオック、ドルグ基地の一室にて。


「そうか。報告ありがとう」

「は、はい・・・」


真っ黒なツインテールが特徴のオペレータ、エウロパからの報告を受け、長赤い眼をした長身の悪魔指揮官、カリストは頷いた。

返事を受けたエウロパは何故か真っ赤になって縮こまる。

ポイーンの大部分を占めるポインドラ大陸、その西側に位置するポンジャバ魔境。

その中にある天使軍の秘密研究所の襲撃作戦は、自ら指揮を執ったデルファイター=アビアティックによって提案されたものである。

今回の作戦の目的は研究所の破壊、及びそれによる魔境の他の天使軍施設へのけん制であった。


「しかし、本当にそれだけなのか・・・?」


カリストはどうにも腑に落ちなかった。

この作戦の実行に当たって彼は自ら指揮を執り、また他の部隊からの協力を一切断った。

確かに実力に立脚した自信を持ち、プライドの高い彼らしいと言えばそうなのであるが。

カリストには何か他の目的があるような気がしてならないのである。


「あ、あの。大佐、どうかなされたのですか・・・」


深く考え込む様子のカリストを見たエウロパが横からどもりながら話しかける。

カリストがはっとして顔を上げると、エウロパだけでなく彼の忠実な部下達が皆揃ってこちらを向いていた。


「む?いや、そうだな・・・」


カリストは話すべきかどうかチラリと迷ってから、再び口を開いた。


「お前達に聞いておきたい。今回の強襲作戦について、何か思うことのある者はいるか?」

「思うこと・・・?あの天使軍中枢とも言えるポイーンに潜入し、強襲を成功させたってのはまぁ確かによくやったとは思うがな」


最初に答えたのはカリスト直属の部隊の中でも最速を誇る中型の悪魔ロボ、ガニメデ。


「んなもん聞いてどうしろってんだよー」


次に口を開いたのが部隊の中でも幼くデルビンと同じほどに小柄なロボ、ジュピター。


「オレ達に感想文でも書けって言うの?カリスト様ぁ」

「いいか、私はどうにもこの作戦に腑に落ちないことがある。作戦の成功は問題ではない」


部下達に諭すように話すカリスト。


「今回の標的はあのポイーンだった。にも関わらずなぜ提案者のアビアティックは独力での作戦遂行を押し通したのか?」

「あの俺様気質のアビアティックの事だろ。どうせ自分の部隊だけで十分だと考えたんだろうよ」


アビアティックの事が気に入らないのか、ガニメデは不機嫌そうに意見を挟んだ。


「そもそも今回のような任務には本来ならば特殊部隊が動員されるはずだと思わないか?」

「そういやぁ確かに、DF隊とかがやりそうな任務だよなぁー」


カリストの言葉にジュピターが乗っかった。

DF隊。

腕利きのデルファイターのみによって構成されるヴァージニア直属の精鋭部隊。

ヴァージニアの腹心、デルファイター=ダイムラーを筆頭とし、一般の部隊には困難とされる任務を主に受け持つ特殊部隊とされている。

任務が下った際に召集される形で構成されるため様々な部隊からデルファイターが集められており、ドルグ部隊総司令デルファイター=ヴァージニアも「ひまつぶしぃー」と称して参加することも多々ある。

件のアビアティックももちろん所属しており、天才的な火器の腕をして副隊長の座にまで昇り詰めていた。

ここからはあくまで憶測に過ぎないのだが、と前置きを置いてカリストが続ける。


「私はあの作戦に何か別の意図があったのではないかと睨んでいる。今回の標的は研究施設であったはずだ」

「あっ・・・。大佐、それってもしかして・・・」


何か感づいた様子のエウロパを見てカリストは頷く。


「ああ。例えば開発中の兵器の奪取であるとか、な」





「これが、デゴに建設されていたという・・・」


惑星デゴ、ボルスノ基地の一室にて。

副官ゼロファイター=アーヴァンはモニタに映し出された施設の見取り図を見ながら呟いた。


「はい、あちら側から提供された拠点の情報です」


コンソール前のパラボロイドが答えた。


「本当にこれで大丈夫なのでしょうか?グリーマン閣下」


アーヴァンは隣でモニタを見ていた自らの上司、指揮官のシュトルバンガー=グリーマンに問う。


「確かに内密かつ順調に事は進んでおります。しかしこの事が後々になって表沙汰になれば、ただでは済みませんが?」

「まぁ、功績を妬んだ他の奴らが我々の粗探しをする可能性も十分にはある。しかし・・・」


グリーマンは余裕の表情で悠々と続けた。


「なぁに、心配する事は無い。証拠は残さないに限るからね?」

「と、言いますと・・・?」


グリーマンの真意を測りかねた様子でアーヴァンが聞き返す。


「我々との関係が割れる前に始末をつける。それだけだ」