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「ひまぁー・・・」


惑星シャーオック、ドルグ基地。

その司令室。

惑星シャーオックドルグ地区配属軍天使領侵攻隊、通称ドルグ部隊総司令デルファイター=ヴァージニアはぐだっていた。


「ひまー。ねぇカリストぉ、ひまー。ボクもあっちの作戦参加しときゃ良かったかなぁ」

「・・・総司令。何度もお話ししたように、総司令にはこの部隊全体を統括、管理するという責任義務がありますので」


カリストと呼ばれたマントを羽織った長身の黒いロボが律儀に答える。

ヴァージニアの言う『あっちの作戦』とは勿論、アビアティック隊による天使軍研究施設の襲撃であった。

だがアビアティックにはこのところ何やら不穏な動きが目立つ。

今回の作戦を提案したのも彼である。

カリストは彼の動向を注視していた。

数年前に突如ふらりと現れたアビアティック。

火器の扱いに関して天才的な技能を有し、次々と作戦を成功に収めてきた立役者である。

同じく天才児と謳われるヴァージニアに次いで、ドルグ部隊の2番手との呼び声も高い。

だがその出自は隠されており、堕天した元天使ロボなのではないかとの噂も立っていた。


「ねぇカリスト?ひまだってばよー」

「・・・総司令」


考え込むカリストに、ヴァージニアが絡む。

カリストはぷるぷる。


「ひぃまぁぁあ。なぁなぁカリスト聞いてるぅ?」

「い、いい加減にィ・・・!」グワッ

「きゃぁぁ痛い痛いぃぃぃ」


カリストのひっさつアイアンクローがさく裂だ!





「て、撤退です!全軍撤退命令です、施設の西側へ終結を!」


ラウドロックが全部隊に撤退命令を飛ばすと、戦闘中だった悪魔軍ロボ達も一斉に撤退を開始した。


「あ、悪魔軍が撤退して行きます!」


施設の司令室でオペレーターが叫んだ。

応じたのは所長のシャインバスター。


「て、撤退!?まさか・・・」

「報告です!36番研究室が襲撃され、アブストラクトが強奪されたようです!」

「や、やはりか・・・。おのれ・・・!」


ギリリと歯ぎしりをするシャインバスターは、すぐに次の命令を下した。


「増援部隊の到着次第、防衛部隊の残存勢力を組み込んで部隊を再編成する!奴らを追撃せよ!」





一方、私設を脱出したアビアティック隊は魔境の西側へと進んでいた。


「あ、アビアティック様、天使軍に追撃命令が出されたようです・・・」


傍受した通信の内容に不安を隠せないラウドロック。

アビアティックは動じない。


「だーいじょうぶ大丈夫。俺様には協力者がついてるんだからよぉ」

「・・・ですね。っ・・・!」


突如グレイヴは息を詰めると槍を構えた。

森林の開けた一角に出た一行。

そこには20人ほどの天使軍の一隊が待機していた。

ガチャガチャと物騒な音を響かせて銃を構える下級悪魔達。

だがそんな彼らも、部隊の中にある人物を認めると武器を下ろした。

アビアティックは一歩踏み出すと、その人物――指揮官らしきシュトルバンガーに話しかけた。


「よぉ。協力者さん?」


アビアティックに呼ばれたシュトルバンガー=グリーマンは軽く一礼すると、返事を返した。


「どうだったかね?作戦の出来は」

「あぁ、上出来だ。アンタにもコイツの情報提供してくれたこと、感謝してやるよ。似合ってるだろ?」


アビアティックは肩のアブストラクトを指しながら言う。


「似合うかと問われれば、正直なところ微妙かね・・・」

「・・・。まぁ良い。追撃部隊が迫ってやがる。時間がねぇんだ。ゲートを頼むぜ」

「ああ、既に用意してある。・・・アーヴァン!」

「ハイ、こちらです」


アーヴァンと呼ばれたゼロファイターはアビアティックの一行を広場の奥に設置してあったデモンズゲートに誘導した。


「既に転送先座標は調整済みです」

「・・・ご協力、感謝します」


と、グレイブ。

転送が開始され、アビアティック一隊はぼんやりとした青い光に包まれる。


「では、また次の作戦で会うことになるだろうね。アビアティック君?」

「あぁ。次はデゴで、だな」

「私は次の作戦の成功を、我が軍での大いなる功績の第一歩としたい。君の目的は・・・」

「今更んなもん言わずとも分かんだろ?」


アビアティックはそう言ってニヤリと笑った。