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レイル過去編06」(2012/03/20 (火) 17:26:19) の最新版変更点

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 クレイドルが、墜落した。  刹那の出来事だった。  新たに合流した、かのホワイト・グリントを撃墜した≪彼≫が、オールドキングに誑かされ、クレイドルへ直接攻撃した、という話だ。  その後破壊活動を続けた≪オールドキング≫は、ジュリアス・エメリーという女リンクスによって粛清、超上空での戦闘はアサルト・セルを撒きこみ、玉砕覚悟で特攻を仕掛けたジュリアスの≪アステリズム≫は、オールドキングの≪リザ≫を盾にする形でアサルト・セルによる一斉攻撃を受け、共に撃墜した。  ORCA旅団の活動として企業連に認知され、マクシミリアン・テルミドールが目指す「革命」に大きな障害が生じたが、終局的には、アルテリアのエネルギーが衛星軌道掃射砲≪エーレンベルク≫に注がれ、宇宙(そら)を囲む無数の無人砲台を破壊した。人類は遂に、宇宙を手に入れたのだ。  エーレンベルクによる、アサルト・セルの排除と同時期に、ORCA旅団は事実上解散となった。すでに生き残っているリンクスは、私を除いてストレイド──≪人類種の天敵≫のみだったのだ。オールドキングの思想があった彼は、僅かにエネルギーを得て残ったクレイドルを全て撃墜。人々の≪空の揺り籠≫はその翼を捥がれた。  時を同じくして、アサルト・セルの事実が人類の前に知らされた。企業の力は弱まり、宇宙開発計画は、失敗に終わった。  かくして、ORCA旅団の、マクシミリアン・テルミドールの革命は終わった。  私はただ世界に絶望し、ただ≪ネクスト≫を駆り、ただ戦った。  私は再び、≪レイル・ナルド≫の名で、カラードに、オーメルに独立傭兵として登用されることになってしまった。ネクストを降りたかったが、ORCA残党として処理されるか生きるかでは、間違いなくこの選択をせざるを得なかったからだ。  宇宙開発政策の失敗から数週間後。企業は、まだ試作段階にあったコジマ粒子除去機によって、コジマ粒子の除去が、一応は可能であることを公表した。地下世界の大開発と共に、地上のコジマ粒子除去が開始。同時に、企業は「コジマ技術の凍結」を発表。リンクスは遂に、ネクストを失うことになった。  ───かと思えば、そうでもない。無数の通常戦力による、複数の企業への一斉大規模攻撃作戦が開始されたのだ。既に破棄されたネクスト戦力を除き、その殆どのカラードのリンクスが無理やり防衛に駆りだされた。 『聞こえているね?レイル、ナルド君。オーメル東部の防衛ができるのは君だだけだ。任せたよ』 「……了解」  釈然としないが、仕方が無かった。安易にネクストを降りるようなら、ネクストによって最優先で狙われるのは見えていた。首を繋がれた山猫は、飼い主からは逃げられないということだ。 「兵装確認。マーヴ、ヒットマン、雄琴、ミサイル確認」 「≪ヘクセン・ナハト≫。ミッション開始」  クイック・ブーストで前進。目の前には、ノーマルだけではなく、MTや戦闘機、戦車を含めた多種多様な通常戦力が向かってきている。 「主力となるのは、やはりグレネードか。対集団での性能は、心得ている」  OGOTO起動。近距離仕様のFCSだが、有視界だ。手動で照準し、ノーマルの集団に撃ち込んだ。 「ぐッ」  バランスが崩れた。空中では使えないことを忘れていた。  メインブースタの出力を切り、地上での航行に切り替え。再びグレネードを発射。  先頭にいた主力と思われるノーマル部隊を、まずは撃破した。ミサイルも起動。マルチロックし、戦車群を薙ぎ払う。 「悪いが、ここから先は通せんな」  マーヴ、ヒットマン起動。ジャンプし、空中から地を這う蟻どもを一掃する。  グレネードに切り替え。ノーマルを確認し、発射。 「何処から沸いて出るんだ…チッ」  MTとノーマル、戦車が固まっている。オーバード・ブースト起動。  OB停止と同時にクイックで前進し、アサルト・アーマーのコマンドを打ち込んだ。  カァァッと円状に反抗群を一掃した。ネクストを前に、殆どの機が距離を取ろうと動く。  更にグレネードを、撃ち込んでいく。  第一波と思われる部隊を殲滅。同時に、アラートが鳴った。  小ウィンドウに、≪重金属元素の検出≫。 「ネクストか!」  私は目を見開いた。複眼が空を駆けるそれを捉えた。タイプ・アリーヤ。最後のORCA。≪人類種の天敵≫。 「……君か」  姿をくらませた大罪者が、目の前に降り立った。私は静かにマーヴを突き出した。 「よく、ORCAの名を汚してくれたな」  相手は何も答えない。だがそれでもよかった。 「その≪遺産≫、貰い受けるぞ」  私はいつの間にか、それを≪アナトリアの傭兵≫として捉えていた。  ベルリオーズは、彼は、どんな気持ちだったのか。  マーヴを一射。敵のクイック。  私は鋭く反応し、前に、そして回避した右へ連続QBを吹かし、両手の銃器を叩きこんだ。  敵のマシンガン、モーターコブラの弾丸が突き刺さる。薄れたPAの中に、アリーヤ自らで突っ込んできた。FCS損傷。 「ッッ…出来るが」  敵機のレーザー・ブレードが迫った。レイレナードの逸品、07-MOONLIGHTの美しい刃が閃光した。無理だ、交わせない。  最早諦めた私に、“外部から干渉があった”。  あろうことか私の≪ヘクセン・ナハト≫は、身体をそらせつつ右へクイック。敵のアリーヤが右手に持っていたモーターコブラを蹴りあげた。 「…無謀だったな≪人類種の天敵≫。……他の奴らと同じだと思ったか?」  ああ、ベルリオーズ。あなたはずっと、そこで私を見守っていてくれたのか。こんな私を、気にかけてくれていたのか。  崩れたバランスをクイック・ブーストで強引に立て直し、約30mの距離からグレネードを放った。  後ろへクイック。一度距離を離し、ミサイルで攻撃。打ち切ってから上昇し、トップ・アタックの準備を整えた。  しかしアリーヤは、いつの間にか私のさらに上に位置していた。機体から砂煙を尾にしつつ、その一刀を構えていた。 「≪良い戦士だ≫」  グレネードをパージ。同時に後へクイック。  神速で降下しその刃を振るったアリーヤは、宙に浮いていたOGOTOの弾薬庫を裂き、その全ての炸薬を爆発させた。 「だが…、勝つのは私だ」  大爆発が起き、ストレイドのアリーヤ・フレームが粉砕した。  地上へ降下し、機体の状況を確認した。目立った被弾は無し。  数分したころに、第二派の反抗部隊が見えてきた。 「身体は満身創痍だが…やるしかない、な」  徐々に迫る頭痛に顔を歪めつつ、愛機ヘクセン・ナハトを進ませる。  交戦距離に入ったころ、暗号通信が送られてきた。  それは、オーメル東部に向けて、本社に影響が無い今のギリギリの距離で核兵器を使用し、一掃する、という文であった。 「な、に……?首脳陣が核兵器を使うだと!?見限るとでも……ッ あちらには非戦闘員も居るんだろ!使うだけ使って最後には見捨てるのか、これだからオーメルは!。……こちら≪ヘクセン・ナハト≫、リンクス≪レイル・ナルド≫だ。反抗部隊は、死にたくなければ退け!時間が無い……ッ ヘクセン・ナハト、離脱する!」  私は必死に、全周波数通信で警告を出した。すぐにオーバード・ブーストを吹かし、南へ逃げる。  と、一機のノーマルが、ピッタリこちらに付いてきていたのだ。 「こちらを追跡するノーマル、何のつもりだ!こちらには交戦の意思は無い!」 『テメェの意思なんて関係ねぇ。こっちは大事なモン全部失ってんだよ!』 『結局テメェも、自分の命が大事なだけだろうがよ!』  敵ノーマルのショットガンが迫った。目一杯に散弾された鋼鉄はしかし、プライマル・アーマーの前に弾かれた。 「私はまだ死ねんのだ、ベルリオーズを越えるまでは!」  私はひたすら、会話で振り切ろうとしていた。 『アンタがNo.1を? ハッ、やめとけよ。ネクストの時代を終わらせたのは、アンタら、特にオーメルだろォが!』  その言葉に、私は頭が沸騰した。思わず叫んでいた。 「私はレイレナードの人間だ!コジマ凍結令が出なければ、再びオーメルの尖兵として戦う理由も、ネクストに乗る理由もなかった!」  私はその怒りにまかせて、ノーマルを破壊しようとした。止まらなかった。  機体を下に向けクイック。ノーマルの前に降りたって、構えていたショットガンをマーヴで吹き飛ばした。そのまま、整波装置を最大展開。アサルト・アーマーを起動した。  敵ノーマルはコクピットをパージしていた。ノーマルの残骸が壁となって対した威力は伝わらず、ひとまず私は落ちついた。 「……」  Gジェルを排出し、メットに対コジマ粒子用のスプレーを適当にかけてから、私はネクストを降りた。  そのまま敵ノーマルのコクピットまで来ていた。拳銃で安全装置を破壊し、パージ後用の前面ハッチを開いた。 「ヘッ、やるならやれよ。レイレナードの亡霊野郎」  彼も、世界に絶望していたのか。この救いようのない世界に。 「…私と、来ないか」 「あ?」 「チームを組むのさ。尤も、我々の所に来い、という意味だが」 「むざむざ銃を向けて言うことかよ」 「私はネクストを降りるよ。いや、半年前ぐらいには、もう降りていたが。…AMS適正も優れていなかったし、企業はもう終わりだろう。どうだ、一緒に傭兵でもしようじゃないか?」 「てめぇ、頭おかしいんじゃねぇのか。さっさと殺れよ」 「死にたいのか?」 「いいや?俺だって死にたくはねぇ。もしまだ生きていけると言うなら、改めて殺しにいそしむさ」 「私は、その力が欲しい。書類上のリーダーは私、実働的なリーダーはお前だ。実はもう一人居るが…それは、またあとでいいだろう」  私は嘘を付いた。めぼしい人物はいるが、誘ってはいなかった。しかし彼なら、喜んで付いてきてくれるだろうとも思っていた。 「何、もう入隊したような感じに持っていってんだよ。……フン、だがそれが、生きるための条件か。…面白ェじゃねぇか」 「…≪ドルグ部隊≫へようこそ。歓迎しよう」  私はその手中に、部下を手に入れていた。後に始まる、領地略奪闘争における、英雄たちを。 fin オマケ |ネクスト|ヘクセン・ナハト|||| |ベース|04-ALICIA||右腕部兵装|04-MARVE| |Mブースタ|03-AALIYAH/M||左腕部兵装|01-HITMAN| |Oブースタ|KRB-PALLAS||右背部兵装|OGOTO| |ジェネレータ|M08-MAXWELL||左背部兵装|MP-O200| |F.C.S|FS-LAHIRE||右格納兵装|02-DRAGONSLAYER| レイル・ナルドのネクスト。オーメルのリンクスとして登録された当初は非武装だったが、初ミッションと同時にオーメルから04-MARVEと02-DRAGONSLAYERを支給される。 カラード発足後OGOTOとMP-O200を購入、同時期に内装類もオーメルのFCSに変更。 カラーは灰や黒を中心とした配色。ライト系はオレンジ。 レギュによっては重量過多するかもしれない。 メモリはKP出力をはじめとした整波性能関連。 因みにヘクセン・ナハトとは、ベルリオーズの第5楽章「魔女の夜宴の夢」(ワルプルギスの夜の夢)のワルプルギスの夜=ヘクセンナハトから来ている。 余談だが、第4楽章「断頭台の行進」とはシュープリスである。
 クレイドルが、墜落した。  刹那の出来事だった。  新たに合流した、かのホワイト・グリントを撃墜した≪彼≫が、オールドキングに誑かされ、クレイドルへ直接攻撃した、という話だ。  その後破壊活動を続けた≪オールドキング≫は、ジュリアス・エメリーという女リンクスによって粛清、超上空での戦闘はアサルト・セルを撒きこみ、玉砕覚悟で特攻を仕掛けたジュリアスの≪アステリズム≫は、オールドキングの≪リザ≫を盾にする形でアサルト・セルによる一斉攻撃を受け、共に撃墜した。  ORCA旅団の活動として企業連に認知され、マクシミリアン・テルミドールが目指す「革命」に大きな障害が生じたが、終局的には、アルテリアのエネルギーが衛星軌道掃射砲≪エーレンベルク≫に注がれ、宇宙(そら)を囲む無数の無人砲台を破壊した。人類は遂に、宇宙を手に入れたのだ。  エーレンベルクによる、アサルト・セルの排除と同時期に、ORCA旅団は事実上解散となった。すでに生き残っているリンクスは、私を除いてストレイド──≪人類種の天敵≫のみだったのだ。オールドキングの思想があった彼は、僅かにエネルギーを得て残ったクレイドルを全て撃墜。人々の≪空の揺り籠≫はその翼を捥がれた。  時を同じくして、アサルト・セルの事実が人類の前に知らされた。企業の力は弱まり、宇宙開発計画は、失敗に終わった。  かくして、ORCA旅団の、マクシミリアン・テルミドールの革命は終わった。  私はただ世界に絶望し、ただ≪ネクスト≫を駆り、ただ戦った。  私は再び、≪レイル・ナルド≫の名で、カラードに、オーメルに独立傭兵として登用されることになってしまった。ネクストを降りたかったが、ORCA残党として処理されるか生きるかでは、間違いなくこの選択をせざるを得なかったからだ。  宇宙開発政策の失敗から数週間後。企業は、まだ試作段階にあったコジマ粒子除去機によって、コジマ粒子の除去が、一応は可能であることを公表した。地下世界の大開発と共に、地上のコジマ粒子除去が開始。同時に、企業は「コジマ技術の凍結」を発表。リンクスは遂に、ネクストを失うことになった。  ───かと思えば、そうでもない。無数の通常戦力による、複数の企業への一斉大規模攻撃作戦が開始されたのだ。既に破棄されたネクスト戦力を除き、その殆どのカラードのリンクスが無理やり防衛に駆りだされた。 『聞こえているね?レイル、ナルド君。オーメル東部の防衛ができるのは君だだけだ。任せたよ』 「……了解」  釈然としないが、仕方が無かった。安易にネクストを降りるようなら、ネクストによって最優先で狙われるのは見えていた。首を繋がれた山猫は、飼い主からは逃げられないということだ。 「兵装確認。マーヴ、ヒットマン、雄琴、ミサイル確認」 「≪ヘクセン・ナハト≫。ミッション開始」  クイック・ブーストで前進。目の前には、ノーマルだけではなく、MTや戦闘機、戦車を含めた多種多様な通常戦力が向かってきている。 「主力となるのは、やはりグレネードか。対集団での性能は、心得ている」  OGOTO起動。近距離仕様のFCSだが、有視界だ。手動で照準し、ノーマルの集団に撃ち込んだ。 「ぐッ」  バランスが崩れた。空中では使えないことを忘れていた。  メインブースタの出力を切り、地上での航行に切り替え。再びグレネードを発射。  先頭にいた主力と思われるノーマル部隊を、まずは撃破した。ミサイルも起動。マルチロックし、戦車群を薙ぎ払う。 「悪いが、ここから先は通せんな」  マーヴ、ヒットマン起動。ジャンプし、空中から地を這う蟻どもを一掃する。  グレネードに切り替え。ノーマルを確認し、発射。 「何処から沸いて出るんだ…チッ」  MTとノーマル、戦車が固まっている。オーバード・ブースト起動。  OB停止と同時にクイックで前進し、アサルト・アーマーのコマンドを打ち込んだ。  カァァッと円状に反抗群を一掃した。ネクストを前に、殆どの機が距離を取ろうと動く。  更にグレネードを、撃ち込んでいく。  第一波と思われる部隊を殲滅。同時に、アラートが鳴った。  小ウィンドウに、≪重金属元素の検出≫。 「ネクストか!」  私は目を見開いた。複眼が空を駆けるそれを捉えた。タイプ・アリーヤ。最後のORCA。≪人類種の天敵≫。 「……君か」  姿をくらませた大罪者が、目の前に降り立った。私は静かにマーヴを突き出した。 「よく、ORCAの名を汚してくれたな」  相手は何も答えない。だがそれでもよかった。 「その≪遺産≫、貰い受けるぞ」  私はいつの間にか、それを≪アナトリアの傭兵≫として捉えていた。  ベルリオーズは、彼は、どんな気持ちだったのか。  マーヴを一射。敵のクイック。  私は鋭く反応し、前に、そして回避した右へ連続QBを吹かし、両手の銃器を叩きこんだ。  敵のマシンガン、モーターコブラの弾丸が突き刺さる。薄れたPAの中に、アリーヤ自らで突っ込んできた。FCS損傷。 「ッッ…出来るが」  敵機のレーザー・ブレードが迫った。レイレナードの逸品、07-MOONLIGHTの美しい刃が閃光した。無理だ、交わせない。  最早諦めた私に、“外部から干渉があった”。  あろうことか私の≪ヘクセン・ナハト≫は、身体をそらせつつ右へクイック。敵のアリーヤが右手に持っていたモーターコブラを蹴りあげた。 「…無謀だったな≪人類種の天敵≫。……他の奴らと同じだと思ったか?」  ああ、ベルリオーズ。あなたはずっと、そこで私を見守っていてくれたのか。こんな私を、気にかけてくれていたのか。  崩れたバランスをクイック・ブーストで強引に立て直し、約30mの距離からグレネードを放った。  後ろへクイック。一度距離を離し、ミサイルで攻撃。打ち切ってから上昇し、トップ・アタックの準備を整えた。  しかしアリーヤは、いつの間にか私のさらに上に位置していた。機体から砂煙を尾にしつつ、その一刀を構えていた。 「≪良い戦士だ≫」  グレネードをパージ。同時に後へクイック。  神速で降下しその刃を振るったアリーヤは、宙に浮いていたOGOTOの弾薬庫を裂き、その全ての炸薬を爆発させた。 「だが…、勝つのは私だ」  大爆発が起き、ストレイドのアリーヤ・フレームが粉砕した。  地上へ降下し、機体の状況を確認した。目立った被弾は無し。  数分したころに、第二派の反抗部隊が見えてきた。 「身体は満身創痍だが…やるしかない、な」  徐々に迫る頭痛に顔を歪めつつ、愛機ヘクセン・ナハトを進ませる。  交戦距離に入ったころ、暗号通信が送られてきた。  それは、オーメル東部に向けて、本社に影響が無い今のギリギリの距離で核兵器を使用し、一掃する、という文であった。 「な、に……?首脳陣が核兵器を使うだと!?見限るとでも……ッ あちらには非戦闘員も居るんだろ!使うだけ使って最後には見捨てるのか、これだからオーメルは!。……こちら≪ヘクセン・ナハト≫、リンクス≪レイル・ナルド≫だ。反抗部隊は、死にたくなければ退け!時間が無い……ッ ヘクセン・ナハト、離脱する!」  私は必死に、全周波数通信で警告を出した。すぐにオーバード・ブーストを吹かし、南へ逃げる。  と、一機のノーマルが、ピッタリこちらに付いてきていたのだ。 「こちらを追跡するノーマル、何のつもりだ!こちらには交戦の意思は無い!」 『テメェの意思なんて関係ねぇ。こっちは大事なモン全部失ってんだよ!』 『結局テメェも、自分の命が大事なだけだろうがよ!』  敵ノーマルのショットガンが迫った。目一杯に散弾された鋼鉄はしかし、プライマル・アーマーの前に弾かれた。 「私はまだ死ねんのだ、ベルリオーズを越えるまでは!」  私はひたすら、会話で振り切ろうとしていた。 『アンタがNo.1を? ハッ、やめとけよ。ネクストの時代を終わらせたのは、アンタら、特にオーメルだろォが!』  その言葉に、私は頭が沸騰した。思わず叫んでいた。 「私はレイレナードの人間だ!コジマ凍結令が出なければ、再びオーメルの尖兵として戦う理由も、ネクストに乗る理由もなかった!」  私はその怒りにまかせて、ノーマルを破壊しようとした。止まらなかった。  機体を下に向けクイック。ノーマルの前に降りたって、構えていたショットガンをマーヴで吹き飛ばした。そのまま、整波装置を最大展開。アサルト・アーマーを起動した。  敵ノーマルはコクピットをパージしていた。ノーマルの残骸が壁となって対した威力は伝わらず、ひとまず私は落ちついた。 「……」  Gジェルを排出し、メットに対コジマ粒子用のスプレーを適当にかけてから、私はネクストを降りた。  そのまま敵ノーマルのコクピットまで来ていた。拳銃で安全装置を破壊し、パージ後用の前面ハッチを開いた。 「ヘッ、やるならやれよ。レイレナードの亡霊野郎」  彼も、世界に絶望していたのか。この救いようのない世界に。 「…私と、来ないか」 「あ?」 「チームを組むのさ。尤も、我々の所に来い、という意味だが」 「むざむざ銃を向けて言うことかよ」 「私はネクストを降りるよ。いや、半年前ぐらいには、もう降りていたが。…AMS適正も優れていなかったし、企業はもう終わりだろう。どうだ、一緒に傭兵でもしようじゃないか?」 「てめぇ、頭おかしいんじゃねぇのか。さっさと殺れよ」 「死にたいのか?」 「いいや?俺だって死にたくはねぇ。もしまだ生きていけると言うなら、改めて殺しにいそしむさ」 「私は、その力が欲しい。書類上のリーダーは私、実働的なリーダーはお前だ。実はもう一人居るが…それは、またあとでいいだろう」  私は嘘を付いた。めぼしい人物はいるが、誘ってはいなかった。しかし彼なら、喜んで付いてきてくれるだろうとも思っていた。 「何、もう入隊したような感じに持っていってんだよ。……フン、だがそれが、生きるための条件か。…面白ェじゃねぇか」 「…≪ドルグ部隊≫へようこそ。歓迎しよう」  私はその手中に、部下を手に入れていた。後に始まる、領地略奪闘争における、英雄たちを。 fin オマケ |ネクスト|ヘクセン・ナハト|||| |ベース|04-ALICIA||右腕部兵装|04-MARVE| |Mブースタ|03-AALIYAH/M||左腕部兵装|01-HITMAN| |Oブースタ|KRB-PALLAS||右背部兵装|OGOTO| |ジェネレータ|M08-MAXWELL||左背部兵装|MP-O200| |F.C.S|FS-LAHIRE||右格納兵装|02-DRAGONSLAYER| レイル・ナルドのネクスト。オーメルのリンクスとして登録された当初は非武装だったが、初ミッションと同時にオーメルから04-MARVEと02-DRAGONSLAYERを支給される。 カラード発足後OGOTOとMP-O200を購入、同時期に内装類もオーメルのFCSに、AAの登場によってOBをKRB-PALLASに変更。 カラーは灰や黒を中心とした配色。ライト系はオレンジ。 レギュによっては重量過多するかもしれない。 メモリはKP出力をはじめとした整波性能関連。 因みにヘクセン・ナハトとは、ベルリオーズの第5楽章「魔女の夜宴の夢」(ワルプルギスの夜の夢)のワルプルギスの夜=ヘクセンナハトから来ている。 余談だが、第4楽章「断頭台の行進」とはシュープリスである。

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