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「おい!応答しろ!オペレータ!」 薄暗い、デゴ悪魔軍基地の内部。 青い迷彩を施されたタラバトロンが、母艦からの通信の突然の途絶に焦りの色を浮かべていた。 「畜生、ダメだ。通じねぇ・・・」 「落ち着くのである」 平静の色を崩さない黄色の瞳で諭すのはこれまた青い迷彩柄のガクゥーン。 彼こそが、天使軍特殊部隊レルグナ隊の隊長である。 悪魔軍基地の内部に北側のドックから侵入したレルグナ隊。 今や彼らは総勢二十人を四つのチームに分け、五人ずつで行動している。 彼は不安の色を浮かべるタラバトロン二人とロブガイズ二人の合計四人の部下の顔を一人ずつじっと見据えると、口を開いた。 「我々の目的は悪魔軍基地司令室の制圧である。母艦及び他部隊との通信は乱れてしまったが、幸い基地内部の構造データは我々一人一人のメモリに刻まれているはずであるな?」 「は、はい」 「ならば問題無いのである。我々が司令部を制圧することで守備隊を無力化、一気に本隊を攻め入らせる。この作戦の成否は我らにかかっているものなのである・・・!」 「はっ・・・!」 ガクゥーンの言葉でそれまで不安の色を浮かべていた部下達の表情が引き締まる。 その様子を見て、ガクゥーンは力強くひしと頷く。 その直後であった。 通路の奥で響いた何かを叩きつけるような派手な音。 その途端、ガクゥーンの表情が険しいものとなる。 次いで部下達も、下ろしていた武器をそろりと構えだし、警戒態勢をとった。 仄暗い、通路の奥の曲がり角の先から次いで聞こえて来たのは何かを削るようなガリガリと言う音。 ガクゥーン達の一隊は緊張に包まれる。 ガリガリという音はまるで彼らの方向を知っているかのように近づき、角を曲がった。 闇の中から音の正体が姿を現す。 一機のデルファイター。 その左型にはバズーカを担ぎ、左手に何か大きな物体を、右手で巨大な斧の柄をそれぞれ持ち、それを後ろにずるずると引きずっていた。 斧の刃は自重で床に食い込み、引きずられることでガリガリと音を立てて床に痕を残していた。 ボディにはオイルが飛び散り、赤い眼が薄暗い通路でぼんやりと光る。 力無くゆっくりとぼとぼと歩くようなデルファイターの異様な様子に、ガクゥーンを始めとする一行は呆気に取られた。 「う、動くな!」 はっとしたタラバトロンの一人が銃をまっすぐにそのデルファイターに向けながら言葉を放つ。 それでも彼から発せられる異様な圧迫感に気押され、引き金を引くことが出来ずにいる。 デルファイターは全く動じることなくぼんやりと銃口の方を向くと、ぽつぽつと言葉を紡ぎだした。 「だれも、ボクと遊んでくれないんだよねぇ」 子供のような声で、残念そうに語るデルファイター。 「すぐみんなつかれちゃって、ねてしまうんだよ」 「・・・!」 そして特殊部隊の一隊は絶句する。 「だからさ」 彼の左手に引きずられていたもの。 「ボクとさ」 青い迷彩を施された、セタシオンの千切られた右腕。 「遊んでくれないかな?」 デルファイター=ヴァージニアがその濁った赤い眼で一隊を見据えた。 [[BACK>Scene10 動乱]] [[戻る>反逆編]] [[NEXT>Scene12 渇望]]

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