ギア比変更の基本原理

センターモーター構造の場合

  • 一般的な電動アシスト自転車の大多数は、モーターが車体中央にある。このモーターが中央に前スプロケ直後にあるアシストギアをモーターで回してチェーンを送りアシストする。
  • 「アシストギア(≒モーター)の回転数」と「自転車の総合ギア比」の2つから計算して、「ギア比でこの回転数なら時速20km/hのはず」等と、擬似的に速度を検知している。
  • この前後スプロケ&変速機&タイヤ外径等を総合して、その自転車の「総合ギア比」決定される。


リアスプロケ交換すると?

効果(1)…1回漕いだだけで一杯進む
効果(2)…アシスト上限速度も少し上がる
  • もし自転車のギア比を大きく(ペダルが重くなる側に)すると、変更前と同じペダル回転数でも速度は高くなり、ペダルはその分重くなる。
  • この場合、ペダル回転数が変わらないとアシストギアの回転数も変わらないので、機械側が実際の速度よりも低いスピードと誤認してしまう。
  • その結果、時速24km/hを少し越えてもアシストしてくれる様になる。


アシストギア変更すると?

効果…脚の負担が減り漕ぐのが楽になる
※注意…漕いだ時の進む量は変化しない
  • もしモーターに付いているアシストギアの歯数を増やすと、制御装置はアシストギアの回転数で速度を検知してるので、アシストギアの歯数を多くすれば、実際の速度よりも低い速度と誤認する。
  • またモーター1回転辺りのチェーンの送り量が増えるので人力の負担率が減る。
  • つまり漕ぎ出しの体感トルクは減少する代わりに一旦速度に乗れば軽快に加速し、時速24km/hをかなり越えてもアシストし続ける。但しバッテリー消耗は激増する。
  • 例外的に、脚力の物凄くある人だと、人力負担率が減りモーターの負担率を上げるので、モーター負荷が許容量オーバーを起こして最高速度が却って低下する事がある。
  • アシストギア変更の基本原理→【PDF形式】


よくある勘違い

  • 非常に間違われやすいが、「アシストギア変更」や「SPS変更」だけだと、「自転車の総合ギア比」は変更していないので、ペダルを漕ぐ忙しさは、アシストギア変更前と変わらない。
  • つまり、アシストギア変更やSPS変更は、リアスプロケ変更(ギア比変更)と併用する事で、初めて真価を発揮する。
  • 尚、逆の改良(ギア比を下げる・アシストギア小径化)だと効果も逆になる。最高速度が落ちて低速でのパワーが増すので普段はまず行う事は無いが、登山や急傾斜で利用する場合には有効かも知れない。リアストブレイスでSPSを8速固定でギアを1速にすると、ウィリーする程のトルクを出せる。



前輪モーター構造の場合

改良はほぼ絶望的、諦める
  • 前輪車軸のハブ部分に直接モーターがあるタイプはモーター回転数で直接速度を計測している。その為、現時点では弄る余地が殆ど無い。
  • 仮に総合ギア比を上げても、まず前輪速度計測なのでアシスト範囲を上げる事ができない。更に前輪モーター構造の特性として、アシスト範囲外でモーターが稼動を止めるとダイナモの様な抵抗が発生する。
  • つまり、ギア比を上げても24km/h到達以後は抵抗が邪魔になって速度を上げられないので、ペダルの重さを改善できない。
  • 一応、「タイヤを大径化」すれば、理論上はアシスト範囲を広げる事が可能。しかしその為には20インチの車体と26インチの車体を用意して、20インチの駆動ユニットを26インチに移植する必要があり、費用対効果が全く割に合わない物となる。





車種選定

最適車種は?

ベース車として最適な車種は、2010年までの「リアルストリームDX」「PASブレイスL」の2つ。
理由は、「リアスプロケ交換」「SPS変更」「アシストギア変更」の3つを同時に併用できる事。
また、「リアスプロケ交換」「SPS変更」だけでも十分な効果があり、
自力交換すれば費用はリアスプロケ代の数百円だけで済む。小額の投資で大きな効果を得られる。
費用対効果が抜群で、改良によるパワーアップの上限値も最大、で文句なしの適正を持つ。

※2011年型の「リアルストリーム」「PASブレイスL」は、SPSが廃止され後輪スピードセンサー形式に変更となりました。改良を行うには速度検出の仕組みを騙す必要があります。


各車種の特徴

■スポーツ車:お勧めモデル
  • 2010年以前のリアルストリーム《4.0Ah》&DX《8.1Ah》(ブリヂストン)
  • 2010年以前のパスブレイス《4.0Ah》&ブレイスL《8.1Ah》(ヤマハ)
数百円のリアスプロケ交換(20T→16T or 18T等)でも十分な効果。
更にSPSを弄る(SPS固定 or SPSずらし or SPS分離)で、
アシスト範囲の上限を上げられるのが、他車種より優位な要素。
ここまで僅か数百円からの投資で絶大な効果を得られるので、コストパフォーマンスが極めて高い。
もちろんアシストギア交換で人力の負担を減らす事も可能。
ここから先はかなり予算が掛かってしまうが、外装変速&シフター分離化すれば、
更にアシストOFFの速度域での走行抵抗を減らして高性能化。
改良の限界値も高く、ベース車として最適。
リアスプロケ交換だけならさほど航続距離は減らないが、
SPSやアシストギアも弄り始めると電池消費は激増するので、8.1Ahモデルを強く推奨。

※2011年型は後輪スピードセンサー方式に仕様変更された為、磁石円盤の工作ができる方以外はお勧めモデルの対象ではありません。


■スポーツ車:次点で有力
  • ジェッター《8.0Ah》(パナソニック)
  • チタンフラットロードEB《5.0Ah~10.0Ah》(パナソニック)
数千円のリアスプロケ交換でも十分な効果。
リアがカセットスプロケなので市販汎用品を買って交換するだけと、実に簡単。
このライトチューンに留めるなら作業の簡単さは最強クラス。
ここから先は作業難易度が上がるが、フロントスプロケをギュットミニの48Tに変更すれば、
更にギア比を高められる(スプロケが内装変速用で厚いので、歯を薄く削る必要あり)。
特に初期装備のフロントスプロケが35Tのジェッターは、
初期装備41Tの他車種に比べるとアシスト範囲を広げられる余地が大きい。
もちろんアシストギア交換で人力の負担を減らす事も可能。
ただSPS変更ができないので、アシスト範囲を直接広げる事ができない。
改良できる上限値はリアスト&ブレイスには一歩譲る。
引き出せるパワーの上限値は低いので、軽量さと航続距離の長さを活かす方向でチューンを行う。


■スポーツ車:その次に有力
  • ハリヤ《8.0Ah》(パナソニック)
数千円のリアスプロケ交換でも十分な効果。
ただしハリヤはボスフリーと呼ばれる旧式のスプロケなので、
同じボスフリー式の中から互換品を選ぶと選択肢が少ない。
そこで現代でメジャー規格なカセットフリーのハブに交換(ホイール交換)する。
最小で9Tのリアスプロケを持つ「カプレオ化」が特に有名。
更にフロントスプロケをギュットミニの48Tに変更すれば、
よりギア比を高められる(スプロケが内装変速用で厚いので、歯を薄く削る必要あり)。
もちろんアシストギア交換で人力の負担を減らす事も可能。
やれる事はジェッターに近いが、より投資額が増える。
SPS弄りができないので、改良可能な余地の大きさではリアスト&ブレイスには劣る。
ただ本体が比較的軽量なのでサス交換だけでもかなり軽量化できる。
軽量化カスタムのベース車として使われ易い。
パワーよりも軽量さと航続距離で勝負するのに適している。


■スポーツ車:非推奨(やれる事があまり無い)
  • CRSHB《8.0Ah》(ジャイアント)
前輪モーターで車速計測を行うので、スプロケ変更してもアシスト範囲を広げられない。
更に初期装備で11-30Tと十分小さなスプロケが付いているので弄る余地も殆ど無い。
やれる事が殆ど無いので、ベース車としては不向き。

■ママチャリ:非推奨
  • 前輪モーター、回生充電搭載機全般
■ママチャリ:お勧めモデル
  • リチウムビビNX《3.1Ah》(パナソニック)
  • リチウムビビSS《3.1Ah》(パナソニック)
  • リチウムビビSS・シティ《3.1Ah》(パナソニック)
  • リチウムビビ・ライト《3.1Ah》(パナソニック)
  • リチウムビビ・ラッテ《5.0Ah》(パナソニック)
  • タフママ《5.0Ah》(パナソニック)
  • エーガールズ《5.0Ah》(パナソニック)
  • ラスティック《5.0Ah》(パナソニック)
  • チタンライトEB《5.0Ah》(パナソニック)
  • リチウムビビSS・スペシャル7《7.0Ah》(パナソニック)
  • リチウムビビDX《8.0Ah》《8.9Ah》・ビビDXスペシャルデザイン(パナソニック)
  • リチウムビビDXシティ《8.0Ah》(パナソニック)
  • パスナチュラT《2.9Ah》(ヤマハ)
  • アシスタリチウムライト《2.9Ah》(ブリヂストン)
数百円のリアスプロケ交換(20T or 21T→16T or 18T等)でも十分な効果。
特に、最もタイヤが大きい27インチママチャリならGD値が大きく、
リアスプロケ交換だけで十分な効果を得られる。
またフロントスプロケをギュットミニの48Tに変更すれば更にギア比を高められる。
リアルストリームやブレイスの様にSPSが無いので、
他でアシスト範囲を広げるにはアシストギア変更しかない。
改良の上限は低いが、スプロケ交換だけでも十二分な効果があるのでコストパフォーマンスは高い。
ただ、アシストギア変更にまで手を出すと出費は8000円を越えて航続距離も激減するので、
リアスプロケ交換より先の段階に手を出すかは要検討。


■ママチャリ:一応可能だが非推奨
  • ビビステップ《3.1Ah》(パナソニック)
フレーム形状の関係で3.1Ahのバッテリー以外は使用不可能。
せっかく改良しても電池容量不足を招くのでお勧めはできない。


■小径車:やや手間がかかるが可能
  • オフタイム《5.0Ah》(パナソニック)
オフタイムはボスフリーと呼ばれる旧式のスプロケなので、
同じボスフリー式の中から互換品を選ぶと選択肢が少ない。
そこで現代でメジャー規格なカセットフリーのハブに交換(ホイール交換)する。
最小9Tのリアスプロケになる「カプレオ化」が特に有名。
更にフロントスプロケをギュットミニの48Tに変更すれば、
更にギア比を高められる(スプロケが内装変速用で厚いので、歯を薄く削る必要あり)。
やれる事はハリヤやジェッターに近いが、より投資額が増え、小径なので高められる上限も低くなる。
更に初期ではローラーブレーキなので、カプレオ化などをするとブレーキ増設が必要な場合が多い。
だが、コンパクトな折り畳みの車体というオンリーワンの特性は他に替え難い魅力。
手間と費用は掛かるが、折り畳みが必要な人には十分狙う価値はある。


■小径車:できなくはないがやれる事が少ない
  • LGS-MVE《2.5Ah》(ルイガノ)
  • YS-11ハイブリッド《2.5Ah》(バイク技術研究所)
  • YS-33ハイブリッド《2.5Ah》(バイク技術研究所)
サンスター技研のモーターユニットをフロントのスプロケ部分に搭載している。
リアスプロケ交換可能だが、小径車なので最初から小さなスプロケが付いており、改良の余地が少ない。
またアシストギア変更は現時点では対応部品がなく困難。ベース車としてはやや難あり。


■その他:一応可能
  • ビジネスビビ《12.0Ah》(パナソニック)
  • かろやかライフEB《12.0Ah》(パナソニック)
  • パスワゴンリチウム《8.1Ah》(ヤマハ)
  • アシスタワゴン《8.1Ah》(ヤマハ)
モデルの性質上、低速&高負荷で使う事が多いのでノーマルで十分。
一応、通常とは逆で低速高トルク化の改良を進める事も可能は可能。




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最終更新:2013年07月04日 14:58