最終話 ~アナザーエンディング~


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(最終話 ふたつめの、適当なところから想像してね)

『アナザーエンディング』



「……い、嫌です!」


見送ろうと思った。
全てを受け入れようと思った。
涙を流して、消えるのを、見ようと思った。

けれど。

けれど。


「ば、馬鹿ッ! はやく行きなさい、逝きなさいよ!」

「いやです! いやなんです! 大好きな死神さんの言葉でも、これだけは、これだけは!」


「うるさい! はやくいきなさい! だって、だって、そんなこと言われたら……」


私の、心が、壊れる。

私のすべてが瓦解する。

今まで生きてきた全てが。

死神としての、すべてが。

この、少女の、言葉によって。


「はなれられないじゃない…! 私だって、私だって、あなたのことが、好きなのよ!」

「死神、さん?」

「でも、私は、あなたを求めると私じゃなくて! だから、だからっ…」



私が言葉をつむごうとすると。
幽霊の少女は。


その、唇で。



私の、口を、覆った。





「!?」

「私だって、一緒にいたいんです。ずっと、ずっと、ずっと……」

「うぅ…ごめんなさい。ごめんなさい! 私は、私は、強くなれなかった!」



そう、私たちは、弱すぎた。

幸せになれるのには、強くなかった。

だから、だから。



……だから。








「へいへーい、あそこに未練たらたらの魂が」
「あなた、仕事でも笑っているの?」
「そりゃもちろん。私のアイデンティティはそれですからねー」
「もう…。ふふっ」


私は、彼女と、生きることを選んだ。

無様かもしれない。
阿呆の選択かもしれない。

けれども。
愛しい、愛しい、『元』幽霊の彼女が、そこにいるから。



「行きましょうか、死神さん」
「あなた、死神の身になっても、それなのね」
「当たり前ですよー。だって、死神さんは、ね? 『死神さん』なんですからっ」
「まったく、もう…」



愚かな道でも。
悲しい道でも。
私には、彼女がいるから。


少しずつ、少しずつ強くなっていこう。



死神として、少しずつ……。







(おわり)